青空、ひとりきり

鉄路と旅と温泉と。日々の情景の中を走る地方私鉄を追い掛けています。

くろがねの街に桜咲く

2019年03月31日 22時00分00秒 | JR

(満開間近@山北駅)

今週ではまだ早いかな、来週だと散ってしまうかな。そんなヤキモキ加減になりがちな桜の季節。花びらは足早に、ひと雨とひと風で一枚一枚が過去になってしまうので、気を揉む前に出掛けてみる。鉄道黎明期には東海道本線の箱根越えの基地として、500人以上の鉄道従事者を擁した山北の街。その中心たる山北の駅の、往時を偲ぶ広い構内。駅から始まる25‰の連続勾配の坂道に、今年も枝垂れるように桜が咲きます。


丹那トンネルの開通によって、御殿場回りの急勾配のバイパス線に身を窶す存在となってしまった御殿場線。神奈川県内唯一のJR東海の線区ですから、御多分に漏れず車両は静シスの313系。500両以上が製造されているため、JR東海はどこ行ってもこの顔と行き当たるという車両で、趣味的界隈からは興味を削ぐような意見もあったりします。ただ、走りと居住性はハイスペックなことこの上ない上等な車両。見た目もスマートだし、私は結構好きですね。

 

山北の駅本屋。鉄道の街も遠い昔の話、神奈川県にあっても首都圏とは言いにくいこの辺り、やはり山村の過疎化は著しいようで、20年前と比べると乗客は半減。今日はさくら祭りという事で賑わいを見せてはいるものの、JR東海は乗客減によって駅業務から撤退。現在は地元NPOが切符の販売を行う簡易委託駅になっています。駅前からは西丹沢方面に行く富士急バスの乗り場があるのですけど、駅前通りは日曜日とは言えあまりにも寂しいシャッター通り。前に来た時はもうちょっとやってる店あったような気がするんだけどなあ…小憎らしいアールの付いたレトロな美容室が目を引きます。


駅から続く桜並木をそぞろ歩く。掘割の幅の広さが、太平洋戦争当時まではこの路線が複線であったことの証。もっと谷峨の方まで歩いていけば、複線時代の廃トンネルなんかが今でもそのまま残っていたりするし、鮎沢(酒匂)川の鉄橋なんか橋脚も複線当時のそのまんま。山北界隈が最も賑わったのは、昭和9年に丹那トンネルが開通して東海道本線が熱海回りになるまでの間だそうですが、「特急燕」等の一部の例外を除き、後補機の連結のために全ての列車は山北停車となっていたようです。


線路に架かる人道橋は花見客でいっぱい。山北の桜はそこそこ老木なので、テングスにやられちゃって樹勢の弱ってる木も多かったのですけど、南側の桜の花の開きは場所によっては満開に近付いていました。いつの間にか東京発の山北行きがなくなっちゃってたり、特急あさぎりが御殿場までに短縮されて減便されてたり、何かと活気のある話は聞こえてこない御殿場線界隈。神奈川県内でここまで見事に桜と鉄道のコラボレーションが撮影できるところもそうはないので、大事にしたい鉄道風景だなあと思いますね。
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平成の 最後の桜 咲き渋り

2019年03月30日 22時00分00秒 | 小田急電鉄

(木によっては満開ね@谷戸山公園)

そろそろ冬モードもおしまいって事で、今日はクルマ屋行ってスタッドレスを脱いできた。スタッドレスは履いている時はあまり気付かないけど、やっぱり夏用タイヤになるとクルマの手足が軽くなったような気がしますね。運転の挙動が、どうしてもスタッドレスだともっさりした感じがあるんだけど、そのもさもさ感が抜けてキビキビ感が戻って来たなあ。今日は天気予報だと雨が降って天気が悪いなんて話だったけど、予報に反して午後も天気が持ったので、ちょっくら桜の機嫌を伺いに近所の公園を回ってみる。桜の下で花見と洒落込む家族連れ、結構咲いて来た木もあるけどまだまだね。


ハーモニーホール座間の横にクルマを止めて、谷戸山公園から座間桜を眺めにテクテクと散歩してみる。例年だったら三月も終わりなら満開か、下手すりゃ散り始めという印象の座間桜が、今年はまだ五分咲きがいいところ。開花が発表されてから寒くって全然開花が進まない…去り行く平成を惜しんで桜も咲き渋っているのか、はたまた月曜の新元号発表を待っているのか。


座間桜については、小田急の安全対策によって高い金網が建てられ、下りアウトカーブで首を振るあの構図のお立ち台が消滅してしまいましたし、相武台前サイドの桜ポイントは少し前に凶悪事件も起こってたりしてますし、何かとナニな感じもアリ。それでも小田急沿線で列車と桜を合わせるには一番バランスがいい場所なので、もう少し撮影場所が開拓できればいいのですがね。
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復活の桜

2019年03月28日 21時45分30秒 | 中央東線

(桜、映えるね@勝沼ぶどう郷駅)

先週末頃からちらほらと咲き始めた桜ですが、以外に日中の気温が上がってこないせいで今シーズンは満開までにかなりの時間が掛かっているように思う。週末も気温が低く雨模様との残念な予報、今年は満開が晴れに当たらず休みに当たらずという完全に旬を逃すパティーンになりそうな予感がする。去年は咲いてから晴れベースが続いてよかったんだけどなあ。去年は青空で満開を迎えられた勝沼の甚六桜、関東とは少し時期をずらして満開になる桜なので、来週末辺りに満開になるのだろうか。

ちなみに、3月になってから正直ちょっと体調不良が続いてしまいカメラを持って外に出る気になれなかった。40を超えてからすっかり体力が衰えたような気がするのだが、だいぶ回復してきたので、今週末あたりからまた徐々に趣味を再開して行きたいと思います。
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春麗墨流

2019年03月24日 22時00分00秒 | 東武鉄道

(桜咲いたか@区立隅田公園)

桜の開花宣言が出された東京、週末に向けて一気に開花が進むかと思いきや、よくある事なんですが桜が咲いたとたんにみぞれ混じりの雪が降るほど冷え込んだ土曜日で一歩足踏みと言う感じでしたね。明けて今日は朝方こそ冷え込みましたが、その分空気も澄み渡って絶好のお出掛け日和。こんな日に家族を置いて行ってしまっては結構後々恨まれるので、ちょっくら都内まで家族サービス。隅田川の桜も来週末は満開でしょうな。

 

今日の目的地は浅草。普通に銀座線で行ってはつまらないので、日の出桟橋から水上バスに乗ってみる。大人1名780円。首都東京を、隅田川の上から眺めるのは初めてだ。浜離宮の向こう側に眺める汐留の高層ビル群。電通とか日テレとかの給料一杯貰ってる人たちが通っているビル群である(笑)。

    

隅田川を遡って行くのは、川の景色もあるけど橋の鑑賞会のようなもの。新設の築地大橋と勝鬨橋から始まって、吾妻橋まで10本以上。個人的には一番カッコいいと思っているツインピークの清洲橋が工事中だったのが残念。ってか全体的に橋が工事中なのが多かったな。年度末だからか、それとも来たるべき2020に備えた全面的なインフラ整備なのか。川面渡る風爽やかな春の下町クルージングは気持ちの良いものである。


吾妻橋を潜って、浅草の船着き場へ到着の手前。東武電車の隅田川の鉄橋を特急リバティがゆっくりと浅草駅へ進入して行く。トラスの中心部に線路を設置している「中路ワーレントラス」という独特の作り。浅草駅の構内が狭いせいで、橋の真ん中にシーサスクロッシングを持っているトリッキーな橋です。船からのアングルは通過する列車との運次第、来週は満開の桜に包まれていることでしょう。

 

美しいトラスの隅田川橋梁ととうきょうスカイツリー。関東大震災からの復興計画に基づき、復興院の都市計画の一環として昭和6年に架橋されたこの橋は、斬新なデザインと気鋭の技術を導入して作成されています。昭和初期に架橋された隅田川の橋はデザイン性に富んだものが多く、土木遺産的価値の高さも特筆できるものです。

  

浅草寺にお参りしたのなんか何年ぶりだろうか。すっかり外国人が優勢となった浅草界隈。受け入れ側もインバウンド慣れしているのか、お土産物屋のおっちゃんが流暢な英語を駆使しての道案内とは恐れ入る。桜のほころび始めた仲見世は、嬉しそうに着物を着てスマートフォンに収まるアジア勢と、人力車で優雅に浅草見物の欧州勢というインターナショナル感。そーいうところに目を向けてみると、何だか日本人がサイフのヒモが固くて一番消費していないように感じるねえ…。何となく世界の経済の縮図を見るようで、いささかの寂しさを感じてしまうのであります。
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親鼻に影を慕いて

2019年03月21日 17時00分00秒 | 秩父鉄道

(秩父路の空は杏子色@上長瀞~親鼻間)

夕暮れて一人、早春とは言えまだまだ寒風の吹き抜ける長瀞の河原に立てば、西の両神の山々に日は落ちて、茜から杏子色に変わり行く空をバックに電車が鉄橋を渡って行く。言わずと知れた秩父鉄道の名撮影地、親鼻の鉄橋。流紋岩の河原に三脚を立てて、轟々と流れる荒川の川音にただ耳を埋めれば、懸濁した頭の中まで洗われて行くような気持ちになります。


先程武州原谷で積み込み作業を眺めていたヲキ車が、チョコバナナに牽引されて三ヶ尻に向かいます。親鼻鉄橋の夕暮れと言えば西の空をバックにした影抜きなんですが、バックの雲が結局取れずに満足度としては60%くらいに終わりました。それでも、積車のヲキの三つこぶに盃型の車体、デキの二丁パンタがシルエットを結んでくれればまずまずの出来栄えでしょうかね。

秩父から 白いダイヤの道続く 連なる貨車の 影を慕いて。
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