青空、ひとりきり

鉄路と旅と温泉と。日々の情景の中を走る地方私鉄を追い掛けています。

真冬に夏の泡沫

2021年01月30日 17時00分00秒 | 小田急電鉄

(相模の大河を渡渉す@厚木駅)

テレワークだったり分散勤務だったりして、変な日が休みだったり逆に休みに出社していたりとなかなか調子が狂う緊急事態宣言下の昨今。全く密とは無縁の冷たい風吹くホームっ端、そっとカバンに忍ばせたカメラで泡沫に終わりそうな夏の祭典ラッピングをそっと切り取る。それにしても更新1000系のLEDの凶悪さよ。話によるとSS1/125でないと映らないらしい。日中の走行時にLEDを正しく出すのはほぼ無理ゲーではないか。そして光線はいいのだが角度が悪くてケーブル影が車体に被るというね。まあ、ちったあ気晴らしにはなりましたかな。

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2020年の残留思念

2021年01月27日 17時00分00秒 | 小田急電鉄

(2020の亡霊・・・?@突然のラッピング1096F)

先日の霙の夜、ホームで電車を待っていると、突然下半分に珍妙なキャラクターを張り付けた列車が音もなく滑り込んで来ました。あ、あのキャラクターは、2020年東京オリ・パラリンピックの「ミライトワ」と「ソメイティ」ではっ・・・?2021年にどうして・・・?という事で、何でか知りませんが、小田急の1000系10連(1096F)が、いきなり2020東京オリンピックラッピングを施されて、先週末より走り始めております。このコロナ禍の世界で、7月にオリンピックが予定通り始められるとは現状とても思えないのですが、まあ奇跡があるなら感染の拡大しにくい夏場の開催ってのと、あと半年以内にワクチン接種が猛烈なスピードで全世界的に進めば開催出来ない事もないんじゃないですかねえというくらいの感じですな。5年前くらいから、日本国中(特に東京)が「東京オリンピック」に向けてタワマン案件や商業施設などの不動産関連にファンドのカネが流れ込んでいる訳ですけども、ここで東京オリンピックが中止って事でもなればそこらへんにカネを回していたファンドやリートが思い切り逆ザヤ抱えて沈み始めるのではないかと戦々恐々としております。パンデミックの中で、自国経済を守るために世界中が一斉に金融緩和に動いておりますが、さりとて実体経済は奮いませんので資金需要はなく、カネ余りの分は金融市場に流れ込んで実体経済と乖離した異常なバブル状態。こんな状態の相場は続く訳はないので、どっかで誰かが調整を仕掛けると踏んでいるのですが、その人為的な引き金があるなら、日本でのトリガーは「オリンピック中止」なのかなあと。まあ、オリンピック絡みで相当に案件を仕込んでいた電〇が自社ビルを3,000億円で売却、なんて話が出るくらいなので、開催出来るか・・・なんてのは既にお察しなんですけど。

閑話休題。そういう意味で、この2021年に突然現れた1096Fの「オリ・パララッピング」。底意地の悪い見立てをすれば、この夏の開催が相当に危ぶまれる中で、アダ花のように始まった(おそらく)〇通案件でありまして、数年後に見返した時に当時の時代背景を語りながら一献傾けられるのかな、と言う味わい深さはあります。ってかね、キャラクターを目立たせるためなんだろうけど、下半分だけステンレスのボディをアイボリーホワイトにマスキングしてるのが憎いのよ!8000系+9000系的な前面のデザインの流れを汲んだ1000系に、小田急鋼製車伝統のアイボリーホワイト&ロイヤルブルーが似合わない訳がない。どうせだったら上もマスキングして欲しい。つーか、オリンピック中止になったらキャラクター剥がして上もマスキングして次の全検まで走ってくんないかな。

しかし東京オリンピック、中止になったら1940年に続いて2回目の中止だぞ。今までの歴史の中で2回もオリンピックを中止した都市なんぞあらしまへんがな。もう東京でオリンピックやろうとすると碌なことが起こらんから、今後は立候補すら自粛すべきだと思うのだが。

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月の光の消える夜

2021年01月24日 09時00分00秒 | JR

(乗り得列車・321M静岡行き@興津駅)

このコロナ禍の中、先日春の臨時列車のダイヤが発表されていましたが、長い事親しまれていた「ムーンライトながら」について廃止となる事がJR東海のHPで通告されていましたね。前身の「大垣夜行」から続いた伝統の東海道筋の夜行列車の終焉には、同世代を中心にした皆さんも色々と物思うところがあるようで、若き日の思い出を肴にTwitterのタイムラインもひとしきり賑わいを見せておりました。かくいう私も・・・と言いたいところなのですが、実際のところはそこまで乗ったことがない(笑)。まあ2,3回くらいは経験ありますけど、混んでるし暑いし周りはグループが騒いで煩いし減灯しないしでちっとも寝られなかった記憶しかない。たまらず浜松の運転停車で駅のホームに飛び出して、ホームのベンチで仮眠してたら車掌さんに声掛けられて思わず乗り遅れそうになったというのが思い出と言えば思い出かな・・・そんな感じだったんで、割と大学生で免許取ってから、東名間の移動と言うのは圧倒的にクルマが多かったんですよね。高速代ケチって下道でしたが、夜中は国道1号線のバイパスが無料になりましたんでねえ。あのMLながらの居住性の悪さを考えたら、自分の運転で深夜の浜名バイパスをかっ飛ばす方がよっぽど精神的には良かったように思います。そう思うと、どっちかと言うと静岡の車両区にいた373系がMLながらのために東京に送り込まれる運用(338M)や、東京に到着したMLながらが静岡車両区に返却される運用(321M)のほうが良く使ったよね。特に321M、横浜を早朝に出ると静岡まで乗り換えなしなんで便利だった。そのまま乗り継げば名古屋にお昼前くらいには着けたので。

大垣夜行〜ムーンライトながらの終焉は、「普通座席で運行される夜行列車」が日本から消える事でもあって、これも一つの時代の終わりを感じます。そこには、JRの公式発表的な「生活様式の変化」も確かにあるんでしょうね。この時代にモバイルの充電も出来ない車両ってどうなのよってのはあるし。大垣夜行やMLながらってのは、安く旅行したいというニーズの高い若年層の世代(18歳〜30代半ば)をコア層としてたと思うんだけど、その世代が大して価格が変わらない割に設備も居住性も良い夜行高速バスに流れるのは当然の理のように思う(もっと安くしたいなら格安ツアーバスってのもある)。まあ、JRも少子高齢化で若い世代の人口が減る中で、付加価値のないただの移動手段としての夜行列車に将来的な需要が見通せなかったってのはあるんだろうな。JR側の働き方改革じゃないけど、夜間の労働力を確保するのも大変だろうし。

じゃあ80年代から90年代中盤にかけて、あれだけ大垣夜行やながらを埋めた団塊ジュニア世代はどうしてるのか?ってーと、時は流れてもうみんな40半ば以上のおっさんですからね。さすがに体力的にもあの貧民列車で移動なんか出来ないんじゃないかと(笑)。どうせ今はみんな新幹線でしょ?

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はこなんの湯治場

2021年01月20日 13時00分00秒 | 温泉

(知られざる三島の名湯@竹倉温泉・みなくち荘)

コロナ禍の中で、なかなかしづらくなってしまったもの。世間一般的には外食や飲み会なんでしょうが、私の中では「温泉めぐり」もその一つ。飲み会などと違って他人とそうべちゃくちゃ喋る訳ではないので、そこまでのリスクがあるのかなと言う気がしないでもないですが・・・まあ風呂にマスクして入る人はいないので、相応のリスクはあるのでしょうね。どちらかと言うと、都市型のスーパー銭湯や日帰り温泉みたいな、脱衣所が満杯みたいな状態でガヤガヤと着替えるような場面の方が怖いかなと言う気はしますけど。

最近はそんな感じなんで、撮影がてらの温泉巡りもすっかりご無沙汰。昔はクルマに布団積んで、車中泊しながら東北を一週間回ったこともあったなあ・・・なんてそんなことをつらつらと考えながら、ふと思い出した温泉場なんかの話をしてみたいと思います。静岡県は三島市に「竹倉温泉」ってのがあるのをご存じでしょうか。三島って言えば中伊豆の入口に当たる街で、それこそ伊豆箱根の駿豆線に乗ってけば伊豆長岡や修善寺の温泉にすぐ行ける場所でもあり、地元の人しか知らないんじゃねえの?という箱根南麓の温泉場。

場所は三島の市街の東の外れ、どちらかってえと函南町に近い場所。鉄道ファンには「函南」「竹倉」と言われると、東海道ブルトレを富士山バックで撮影出来る名撮影地であった「竹倉踏切」を思い出す御仁も多いかと思われるのですが、この温泉があるのはその「竹倉」なんですよね。以前は旅館が三軒あって、どこでも宿泊や日帰り入浴を受け入れていたんだけど、一番大きな旅館だった「錦昌館」が廃業して、この「みなくち荘」が最後の砦を守っています。ここも宿泊は辞めちゃったみたいで今は日帰りだけしか受け入れてません。いつ行っても極めて静かで、年配のご夫婦が番をしています。少し色褪せた観光ポスターとか、手書きの東海バスの時刻表とか、そういうアイテムに昭和の雰囲気を感じるロビー。

伊豆の温泉って言うと、熱海に代表されるような「湯けむりモクモク・間欠泉ピューピュー」の火山性の高温泉のイメージがありますけども、この竹倉温泉は地下10mくらいからちょろちょろと湧いている鉱泉水を温めた「沸かし」の鉱泉。伊豆半島で、沸かして供されている温泉(鉱泉)って相当珍しいと思うんだけど、なんだか昔駄菓子屋で売ってた粉のオレンジジュースを溶かしたようなその色が非常に特徴的。鉄分を多く含む鉱泉の成分で、渋く色付いた浴槽のタイルといい、静岡なのに東北の湯治宿を思わせるような鄙びた雰囲気が自分的には気に入っていて、何度も通っている。お湯に浸かると鉄分でタオルとか赤くなっちゃうんだけど、ちょっと熱めの鉱泉水に10分も入っていると、体の芯までしっかりと熱が入って来る。

内湯が一つ、窓の外はのどかな田園風景が見えるだけ。オーシャンビューで露天風呂で、湯上りはキンメを始めとする海の幸が満載で・・・みたいな、伊豆半島の温泉にありがちなそういう歓楽的要素が全くないってのがまたいい。行くといつも一時間くらい一人で湯に浸かったり出たりしながらぼーっとしてるんだけど、たまに地元の爺さんが一人でガラリと湯に浸かりに来るくらいののんびりした空気感。竹倉温泉自体は昭和初期の開湯と歴史はそう長くはないものの、痛みやコリに効くとの由で、地元に根強いファンを持っているそうです。熱海や修善寺など全国クラスの知名度を誇る温泉場に周りを囲まれてはいますが、湯の良さ一本勝負の実直さで、何とか末永くこのお湯を守って欲しいもの。

竹倉温泉の裏山、錦が丘の高台に上がれば、伊豆縦貫道を跨ぐ道路からこんな風景を見る事が出来ます。ちなみに、この線路が見えてる部分の上の端っこあたりが竹倉踏切のようです。東海道本線が富士山をバックに南を向いて走るのは、この三島から函南に向かっての僅かな区間だけ。線路際の木々の成長によってアングルは日々狭まって行く感じもしますが、短編成の修善寺踊り子くらいならまだ抜けるんじゃねえかな。

なかなか遠征は難しい時節柄ではありますが、世情が落ち着いたらまた行ってみたいですね・・・って月並みな話で終わりにしようと思ったのですが、この長引くコロナ禍の中で、私が好きなこういう「鄙び系」はそこまで持ちこたえてくれるか?廃業しちゃうんじゃないのか?という気持ちがザワザワしてきてそれも切ない。うがー。と言う訳で、今んところは地元の人が行ってあげて!と言う他力本願寺にはなってしまうのがもどかしいですねえ。ホント。コロナを潜り抜けたその先に何も残っていないなら、いっそのことこの自粛なんぞクソ喰らえ、なのかもしれません。

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海を見ていた午後

2021年01月17日 17時00分00秒 | JR

(stripes-185@根府川駅)

あなたを思い出す この駅に来るたび
海辺を走って今日も ひとり来てしまった
根府川のホームは 静かなステーション
晴れた午後には 遠く三浦岬もみえる
ファインダーの中を ストライプが通る
伊豆の踊り子 風のように消えていった

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