(払暁の富山平野@常願寺川橋梁)
前日は上滝線の一往復を終えて宿に戻り、いなり鉱泉の仕舞い湯を浴びて、エアコンをガンガンに効かせたまま氷結を飲んでいたらそのまま寝落ちして短い富山の一夜が終わる。エアコンを効かせて部屋を冷え冷えにしたまま厚めの布団にくるまって寝るのって結構好きだなあ・・・。という訳で翌朝、睡眠時間は短めなれどしっかり眠れた富山の朝。昨日にもましてスッキリ晴れ上がった空は、思い切りオレンジ色のモルゲンロート。いそいそと支度をして常願寺川の河原に出てみれば、雲一つない朝焼けの立山連峰がくっきりはっきりとその姿を結んでいました。富山の人はこんな風景を毎日見ながら暮らしているのだとしたら、羨ましい事です。
昨日夜は上滝線の往復運用深夜までお疲れさんでした。14720形、朝の始発電車(5:16電鉄富山発103レ宇奈月温泉行)に抜粋です。あと3ヶ月で引退というのに、朝もはよから宇奈月温泉までとは過酷な仕業であります(笑)。さすがにまだ乗る人もまばらな一番電車を、払暁の空と劒立山がお見送り。行ってらっしゃい。
富山方面からの二番電車は、快速急行の立山行き。アルペンルートへ向かう観光客&登山客向けの、地鉄伝統の列車です。この列車って基本的に14760形が入る事が多いような気がしますが、運用は車種指定なのだろうか。山のイラストを下地にした「電鉄富山⇔立山」の方向板がカッコイイ。そう言えば、アルプスの反対側にある松本電気鉄道にも、松本→新島々のノンストップ快速が早朝に設定されていましたねえ。松電の方は、「ムーンライト信州」の運行がなくなったのに合わせて運転しなくなっちゃったみたいですが。
立山連峰の稜線が、日の出の時刻を前にして段々と明るくなっていきます。上市方面からの始発電車は10030形カボチャの電鉄富山行き。そして富山発三番列車の17480形立山線経由岩峅寺行き。今回の10020と14720の引退に伴う減車分は、この東急8590系こと17480形の2編成増備によって補充されるそうです。逆に言えば、東急から8590の出物が調達出来るメドが立ったから、経年数の高い2編成が引退の運びとなったのでしょうな。正直4扉車オールロングが富山地鉄の設備とニーズに合ってるとはとても思わないのだけど(今でも中間2扉は締め切りで使ってますのでね)、全国的にメンテナンスフリーなステンレスカーがバンバン中古で出て来る会社ってのも東急くらいしかないんだよね。せめて側面の未使用ドアは埋めて、伊豆急の8000系みたいに片側でもクロスシートを付けて欲しいけどなあ。あと、冬季降雪の多い北陸の電車なんでスカート外してスノープロウ付けてるけど、出来れば春~秋はスカート姿に戻して欲しい!(文句と要望が多い害悪ヲタクの典型例)。
日が昇ったので順光側で17480形。正直、私は全国的な地方私鉄における東急車の大量導入による画一化と没個性化を憂う気持ちがないわけではない。地方鉄道の中でも体力があると思われていた狭軌の三強(秩父鉄道・長野電鉄・富山地方鉄道)の中でも、自社発注車の割合の比較的多い富山地鉄だけは東急車の進出を拒み続けていたように思うのですが、2013年の8590系の導入を皮切りに、ここに来ての増備は「地鉄、やっぱりお前もか!」みたいな気持ちはありますよね(笑)。しかしながら、人口増の望みも乏しく高齢化と過疎の傾向に拍車がかかる中では、改めて自社発注で新造車を入れるほどの予算は投入出来ないというのもよく分かる話。鉄道事業が圧倒的に設備産業である限り、メンテナンスの行き届いた大手私鉄の中古、軽量でレールに優しく錆びないステンレスカー、部品の共通化による保守費用の抑制と言う観点から、東急系の車両の増備が続くんでしょうね。この記事を書いている際にも、10020の置き換えのため導入する3編成目の17480形が恩田を出発したそうで。車両には罪はない。富山のニューフェイスとして、コイツもカッコよく撮影してあげられるよう、努力しないといけませんな。