(かつての超高層ビルを仰いで@学習院下~面影橋間)
山手通りと新目白通りの交わる、高戸橋の交差点から東池袋方面を見上げる。これも都電では非常に有名な構図ですかね。早稲田を出た都電は、高戸橋の交差点で北に向きを変え、神田川の橋を渡って山の手の台地を東池袋に向かって登って行く。坂道の向こうに聳えるはサンシャイン60。高さ240m、地上60階の東洋一の高層ビルも、現在は第1位の「あべのハルカス(大阪・300m)」から数えて日本の高層ビルランキングではトップ10圏内にも入ってない(12位)のだそうで。都内でもサンシャインより高いビルは東京都庁を始め結構出来てしまいましたけど、やっぱり我々世代には「日本一の高層ビル」と言えば池袋のサンシャイン60(サンシャインシティ)。今は「空飛ぶペンギン」で有名なサンシャイン水族館でも人気があるようです。
この日の神田川沿いの桜並木は七分咲き。都内の中でも、意外とこの川は大袈裟に言えば急峻な谷あいの地形を褶曲して流れていて、ひとたび大雨・・・現代で言うとゲリラ豪雨なんかがあったりすると、あっという間に谷底にある石神井川~神田川に水が集まって溢れたりする暴れ川でもあります。特に上流、杉並あたりの神田川とか善福寺川って、今更河川改修も出来ないんだろうけどグネグネに曲がって流れてて治水の難しさを感じますですよね。この辺りの神田川も相当の深さに浚渫して河道を下げ、川の流量を確保する対策が取られてますから、東京都でも都市の洪水対策は色々とやってるんだろうけどさ。
面影橋電停に停まる7700形。新目白通りの桜並木を添えて。面影橋と言えば、私がたぶん小学生の頃だからもうウン十年前の話になるのだけど、生まれて初めて都電に乗ったのがここ面影橋の電停でした。千葉県の我孫子にある祖父母の家に行く際、休みになると片道千円くらいの電車賃を渡されてはその交通費の範囲内で一人で好きなルートを使って行っていたんですが、ある時、ふと「都電に乗ってみたい!」と思い立ったんですよね。小田急で新宿へ出て、高田馬場から歩いて面影橋の電停まで来たのを覚えている。都電の始発駅が早稲田というのは知っていたけど、たぶん地下鉄東西線の運賃をケチったんだろうな。
桜咲く面影橋の電停を眺めながら、もう記憶の彼方になった子供の頃を思う。この祖父母の家への一人旅は、都内を通り抜けて千葉へ行くだけとは言え、「自分でルートを考え、切符を買って、電車に乗る」という行為自体が小学生には非常に刺激的で楽しみだった覚えがある。もう季節はいつかも忘れたけど、確か都電を面影橋から町屋駅前まで乗ったんだよねえ。んで、町屋から千代田線に乗らず、あえて京成線に乗って高砂から京成金町に出てね。そっから千代田線乗って我孫子に出たので、小学生にしちゃマニアックなルートだと思う。まだ町屋電停も商店街のアーケードの横にあったんだよね。
ちなみに、この「面影橋」という電停の名前は、個人的に非常に趣があっていいよなあと思う。何だか歌や小説のタイトルになりそうな名前で、都電の電停名で一番好きかもしんないなあ・・・なんて考えながら、自分の「路面電車とのかかわり」がスタートした場所である面影橋の風景と、満開の桜を眺める。ここで三ノ輪橋行きの都電を待っていた少年の頃の面影なんて、とうに忘却の彼方へ去ってしまったなあ、なんて独り言ちるオジサンのセンチメンタリズム。ちょっと気恥ずかしくはあるのだけど。