(SCMAGLEVって何ですか?@リニア・鉄道館)
雨の稲沢のお宿を出て、この日は金城ふ頭にある「リニア・鉄道館」へ。名古屋港の南の果ての果てにあるので、枇杷島から延々と庄内川の堤防道路を走って行ったんだけど、稲沢からだと結構遠かったねえ。ちなみに「SCMAGLEV」というのは「Superconducting Magnetic Levitation Railway」=超電導リニアの事らしい。スーパーコンダクティングマグネティックレビテーション=超電導と言う事ですか。この辺りいかにもクイズで出そうなので覚えておいて損はない知識かもね(笑)。
名古屋からあおなみ線で30分。そして車だと伊勢湾岸道の名港中央ICを降りてすぐ。「リニア・鉄道館」はポートメッセなごやだの、ファニチャードームだの、そして鳴り物入りで作ったものの「内容の割に高過ぎる」と評判が最悪なレゴランドなどのレジャー系施設が立ち並ぶ一角にあります。ちなみに日本の鉄道系博物館と言えばJREの鉄道博物館(大宮)、JRWの京都テッパク(梅小路)、そしてJRCのリニア・鉄道館ですから、これで3つともコンプリートした事になります(笑)。
エントランスホールにはC62に新幹線955型、そしてリニアMLX01-1が「日本の高速鉄道のシンボル」として展示されています。どれもその当時の「世界最速」を記録したスピードメーカー。C62は日立製作所製で名古屋機関区に籍を置いた地元のカマで、長らく東山動物園に展示されていたのをリニア・鉄道館の開館に伴い収蔵されたそうな。新幹線の試験用車両である955型は平成8年に時速440.3kmを記録した車両ですが、これと同じのって米原の鉄道総研に置いてあって新幹線から見えますよね。リニアは…山梨のリニア実験線で走ってるのってこの形でしたっけ?(リニアに興味ない勢)。
メインホールの落ち着く展示物(笑)。やっぱこういうのが鉄道博物館っぽさあるよね。リニア・鉄道館の建設以前にはJR東海は飯田線の佐久間駅に「佐久間レールパーク」という鉄道公園を持ってたんだけど、ここの収蔵物はそこで保存されていたものも多い。佐久間時代には飯田線ゆかりのED62とか保存されてたらしいけど、こっちには持って来なかったみたいね。EF58157号機は「イゴナナ」の愛称で親しまれ、一線を引いた後は浜松所属のイベント機として様々な記念列車の先頭に立っていたのは旧型電機に疎い私でも知っています。
案外こんなところがグッとくる特急しなの381系。先代のしなのに使われていたキハ181系と並べての展示。我々世代の「振り子特急」と言えば特急くろしお・特急しなのに投入された381系ですよね。現在でも伯備線の特急やくもで活躍中。そう言えば大学時代に「信州ワイド周遊券」を買って、川崎の実家から名古屋(笠松競馬)と高崎(高崎競馬)を長野回りで巡った事がありましたねえ。ワイド周遊券では行きを名古屋経由の中央西線回りに出来たので物凄いお得でした。周遊券区間では特急の自由席に乗れたので、わざわざ中津川まで普通電車で行って特急しなのの自由席に乗車した記憶がある。翌日は特急あさまで高崎へ出たのだから今思えば楽しい鉄道の旅であった。
流線形の車体が美しいクモハ52。これも佐久間保存車。東海道線京阪神地区の快速ランナーとして戦前から活躍、晩年は飯田線でローカル輸送に徹し切った根っからの通勤型車両。このマルーンとベージュの塗り分けは後に117系に引き継がれ、新快速色の起源となる訳ですね。湘南色の113系は関東圏でもポピュラーだった東海道線の車両、貫通路に出された「322M」の表記は、JR発足時だと静岡5:30発の東京行き始発電車だったようで、そんなところも芸が細かい。まだ当時は東京から浜松行の普通列車が出ていて、あまりJR同士の境界みたいなものはありませんでしたね。
保存フロアの一番奥に並べられた面々。165系と381系のクロ381(パノラマシート)の並びがいかにも「神領電車区」っぽさあるよね。165系で言えば急行赤倉、急行伊那路、急行ふじかわで活躍していた印象もありますが、個人的には晩年の中央西線のローカル輸送のイメージが強いですね。中津川から塩尻までの普通電車はだいたい165系だった記憶がある。キハ82特急ひだ、合掌造りのHMが懐かしいですね。個人的にはこのキハ82系に準じた名鉄のキハ8000系で運転されていた特急北アルプス、昭和62年のダイヤでは新名古屋を11:15に発車し、鵜沼から高山本線に入って4時間半かけて富山着15:41という長距離特急でしたが、さらにシーズンは富山地鉄に乗り入れて立山まで行っていました。名鉄が中部地方の雄として君臨していた栄華の時期であります。犬山橋を渡る北アルプスとか今だったら間違いなく撮りに行く案件でしょうな。
新幹線100系。新幹線になると途端に喋る事が少なくなるのは興味の多寡の問題ですが、それでも100系は真ん中に組まれたサロとサシの2階建て車両な!ここの2階の食堂車でメシ食うのが子供の頃の夢だったんだけど、自分のカネで新幹線に乗れるようになった時には2階建て新幹線なくなってたからな。100系はサシ抜かれて最後は4連とかで西の果ての末端運用に就いていたのは一抹の寂しさがあった。
「THE SHINKANSEN」の嚆矢たる0系新幹線。車内にも入れますが、椅子に座ったりしてみるとまあ今のN700なんかと比べるべくもない貧弱なシートだったんですねえ。車内は整備されているのだろうけど、どことなくスモークフリーだった時代を思わせるヤニ臭さがあるようなないような…何回か0系にも乗ったと思うんだけど、ここまで貧弱なシートだった記憶がないので既に改造済みだったのだろうか。300系新幹線ね。アンビシャスジャパーンな感じだよね。この300系デビューってのぞみと同時スタートだった記憶がありますが、名古屋の黒歴史こと「名古屋飛ばし」については一言も触れられていなかった(笑)。
子供が大好き鉄道ジオラマは、ナガシマスパーランドに名駅に新幹線に富士山という「ザ・JR東海」な組み合わせ。展示物に占める新幹線車両の割合が多いのがこの博物館の特徴ですが、「新幹線=東海道新幹線」であるというJRCの強烈な自意識とある意味アッパーな態度は、こーいうとこのなんとない展示にも現れているような気がします。
さてこの「リニア・鉄道館」。感想としては新幹線の実車を中心にした展示中心で、実車に思い出のある人はそこそこ楽しめるのではないかと。あと「リニア」と謳ってる割にはリニア部分の展示が少ないですね。いや、別に構わないんだけどリニアに興味があるなら山梨のリニア見学センターに行った方がいいと思う。あとこの手の博物館のお楽しみであるシュミレータみたいなのは僅かな人数だけが体験出来る抽選制になってしまっていて、ほとんどの人にやるチャンスがないのはケチくせーなーと思いましたね。それと大宮・京都と比べると圧倒的にスペースが少ないので一日遊べるというほどでもない。午前か午後で十分のような気がしましたな。周りにメシを食うようなところもないしね。うん、ちょっとネガティブな反応に終始しているのは、車両なんて313系とN700系だけあれば十分でしょ?と思っている会社の作った施設っぽさが随所にみられるからなのでありましたw