tetsudaブログ「どっぷり!奈良漬」

コロナも落ちつき、これからが観光シーズン、ぜひ奈良に足をお運びください!

天平時代の東塔・西塔(いずれも国宝)が残る當麻寺/毎日新聞「やまと百寺参り」第91回

2021年03月22日 | やまと百寺参り(毎日新聞)
NPO法人「奈良まほろばソムリエの会」は『奈良百寺巡礼』の刊行を記念して毎週木曜日、毎日新聞奈良版に「やまと百寺参り」を連載している。連載は今年(2021年)3月25日で終了するので、まさにカウントダウンが始まっている(4月1日からは、新連載が始まる)。
※いずれも国宝の東塔(左奥)と西塔(右端)=葛城市當麻の當麻寺

3月4日(木)に掲載されたのは「二上山ろくの極楽浄土/当麻寺(葛城市)」、筆者は堺市にお住まいの柳原恵子さんだった。當麻寺といえばボタンが有名だが、桜やシャクナゲ、ツツジも美しい。ぜひお訪ねいただきたいものだ。では記事全文を紹介する。

二上山は古来、大和の人々にとって死者の魂が赴く西方浄土の入り口と考えられてきました。近鉄当麻寺駅付近から西方に真っすぐ伸びた道を進むと、その突き当たりに二上山などの山並みを背景に当麻寺があり、そのまま極楽浄土に引き込まれそうな錯覚に陥ります。

この寺は、中将姫ゆかりの当麻曼荼羅(まんだら)で知られています。創建当時は弥勒(みろく)仏が本尊でしたが、平安時代後期になると浄土信仰が活発になり、当麻曼荼羅が本尊となりました。

毎年4月14日には練供養会式(ねりくようえしき)が行われます。二上山に夕日が沈む頃に、現世を意味する娑婆(しゃば)堂の中将姫が、来迎(らいごう)した二十五菩薩(ぼさつ)と共に極楽浄土を表す曼荼羅堂(本堂)に導かれる様を表しています。

日本で唯一、奈良時代から現存している東塔・西塔は、共に国宝の三重塔ですが、細部は異なります。東塔は初重より二重・三重が小さく優美な外観です。相輪(そうりん)は通常の九輪でなく八輪で、水煙(すいえん)は特異な魚骨形です。西塔は初重から三重まで同じ大きさで量感があり、相輪は八輪、水煙は唐草模様です。塔頭(たっちゅう)の奥院(おくのいん)から両塔の美しい姿が同時に見渡せます。(奈良まほろばソムリエの会会員 柳原恵子)

(宗派)高野山真言宗・浄土宗
(住所)葛城市当麻1263
(電話)西南院0745・48・2202、中之坊・同2001、奥院・同2008、護念院・同2004
(交通)近鉄当麻寺駅から徒歩約15分
(拝観)9~17時、境内自由。本堂、金堂、講堂は共通500円。各塔頭は別途
(駐車場)無(周辺に有)


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本書を携えて、万葉集ゆかりの地を訪ねてください!『奈良万葉の旅百首』(奈良新聞「明風清音」)第53回

2021年03月20日 | 万葉集
奈良新聞「明風清音」欄に月1~2回、寄稿している。この木曜日(2021.3.18)に掲載されたのは「奈良万葉の旅百首」、2月末に発刊されたばかりの書籍の紹介である。おかげさまで本書は順調に売れ行きを伸ばしている。本書編集者の加藤なほさんは、版元のFacebookに「もう2度とこんな本は作れないんじゃないかと思うくらい、スゴい本になりました」とお書きになっている。
※トップ写真は奈良新聞本社で3/10撮影。中央は同社の田中篤則社長、右は豊田敏雄理事長

この本を手にされたKさんからは「万葉集を勉強しようと思って読み始める本というより、万葉集に興味がなくても気軽に手に取れて、そのうち万葉集が好きなるという本ですね」というコメントをいただき、思わず膝を打った。「万葉集のような古典は苦手」という人にこそ、気軽に手に取っていただきたい本である。では全文を紹介する。

ことし2月末、奈良まほろばソムリエの会は京阪奈情報教育出版から『奈良万葉の旅百首』(税込み1100円)を刊行した。4月に迎える当会の設立十周年を記念して制作したものである。当会としては、『奈良「地理・地名・地図」の謎』『奈良の隠れ名所』(いずれも実業之日本社刊)、『奈良百寺巡礼』(京阪奈情報教育出版刊)に続く4冊目の著作となる。

本書は当会会員60人が分担して執筆し、5人の会員(編集委員)と加藤なほさん(京阪奈情報教育出版)が編集・校閲、上野誠氏(奈良大学文学部教授)に監修していただいた。上野氏からは「ワインをたしなむには、ワイン通に聞くのがよい。この本は、奈良通が、奈良万葉のウンチクを語る本です。じつに、滋味豊か――。感服しました」というキャッチコピーも頂戴した。

おかげさまで本書は、啓林堂書店奈良店(近鉄奈良駅前)の「一般書部門ベスト5」のベスト1位を独走している。額田王(ぬかたのおおきみ)と大和三山をあしらったカバーも、とても評判がいい。絵本画家なかじまゆたかさんのイラストをもとに、千田淳さん(センダデザイン代表)にデザインしていただいたものだ。コピーの「ワイン」にちなみ、ワインレッドを基調としている。



本書コンセプトは「この本を携えて、現地を訪ねてもらおう」。万葉びとが見たであろう風景を眺め、歩いたであろう道をたどってもらいたいという思いで制作した。そのため地図をつけ、交通手段も詳しく記載し、持ち歩きに便利な新書サイズとした(全288ページ)。

本書「推薦のことば」に岡本三千代さん(犬養万葉記念館館長)は、「地図や歌碑が紹介されたり、現地を訪ねるために掲載された情報がとてもきめ細やかで(中略)県内の散策を多角的に楽しめる貴重なガイドブックになっています」とお書きくださった。基本的に1首を見開き2ページで紹介し、巻頭には代表的なスポット24ヵ所のカラー画像を掲載した。

特徴の1つは、漢字のみで書かれた歌の「原文」を載せたこと。万葉の時代にはまだ平仮名がなかったので、漢字を借りて書き記していたのである。巻末の「万葉集の基礎知識」で詳しく解説しているが、例えば「牛鳴」と書いて「む」と読ませる。これは牛の鳴き声「ムー」から来ている(今は「モー」だが)。

本書の制作にあたっては、イオングループのご寄付による「奈良の文化遺産やまちなみの保全事業」をテーマとした「奈良県地域貢献サポート基金」(県文化・教育・くらし創造部青少年・社会活動推進課)から助成を受けた。同課からは「歴史のある奈良の魅力が伝わる本を制作していただくことで、多くの皆さまに関心を寄せていただき、奈良を訪れていただくきっかけになることを期待しています」というコメントもいただいた。

奈良県民のなかには万葉集にまるで関心を持たない人がいて、とても残念に思っている。しかし万葉集に登場する地名は延べ約2900、うち奈良県の地名は延べ約900とほぼ3分の1を占めるのである。しかも県内に立つ万葉歌碑も、200基以上にのぼる。いよいよこれから行楽シーズンが到来する。ぜひ本書をポケットに入れ、万葉集のゆかり地や歌碑を巡っていただきたい。当会では万葉集をテーマにした講演会も企画しているので皆さん、お楽しみに!(てつだ・のりお=奈良まほろばソムリエの会専務理事)

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食材厳選の本格的イタリアン!トラットリア前澤(橿原市八木町)

2021年03月17日 | グルメガイド
先月(2021.2.1)のランチタイム、久々に「トラットリア前澤」(橿原市八木町1-7-38 メガネの三城 2階)を訪ねた。もとは桜井市で「創作イタリアン・ダイニングバー TORATTORIA 前澤」(桜井市粟殿1026-2)として営業されていて、当ブログでも紹介したことがある。八木に移転されてきて、私が訪ねるのは今回でまだ2回目だ(コロナ禍のなか少人数完全予約制)。当日は朝から、橿原市内の初めての場所で講演させていただいたので、その「打ち上げ」としてお邪魔した。わざわざ奈良市から講演を聴きに来てくれたOさんも一緒だ。
※トップ写真はメイン料理、大和牛のポルペット-ネ(ハンバーグ)


エントランスにはこんな灯りが。おお、これはカキモトさんの華倭里(かわり)行燈だ!

ランチタイム、今はパスタランチやピザランチはお休みされていて、コース料理のみ。3,500円(税別)と5,500円(同)の2つのコースがあり、この日は奮発して5,500円のコースとし、少し追加料金を払ってパスタもグレードアップした。GoTo Eatの食事券が使えるのも有り難い。「できるだけ奈良産の食材を使い、冷凍食品・既製品・化学調味料を使わない。ソース、ブイヨン、パンは自家製」というこだわりだ。いただいたお料理を出てきた順に紹介する。





まずは前菜盛り合わせと季節のスープ。新鮮なタコがとてもいい。瀬戸内産の活けタコだそうだ。甘いトマトはイタリアのパルマ産。チーズは水牛の乳100%のモッツァレラチーズ。甘いあすかルビーも切り立ての生ハムも美味しい。









次はパスタ(若干の追加料金あり)。2人で別々のものを注文して、取り分けていただいた。ソースの味がしっかり感じられ、パスタとソースのハーモニーも抜群だ。パスタは自家製。



次はメイン料理の大和牛(やまとうし)のポルペット-ネ(ハンバーグ)。つなぎを使わない大和牛100%のうま味の濃いハンバーグだった。ソースはトマトベース。サトイモのムースを添えた有機レンコンがあしらわれている。目にも鮮やかな野菜は、ロマネスコ(カリフラーの一種)。ここにパンがつく。





おしまいはドルチェ(デザート)盛り合わせ。自家製バニラアイスに濃厚なパンナコッタが載る。シャーベットには地元産あすかルビーをふんだんに使っている。そこに香り高いコーヒーがつく。


最後に記念撮影。向かって右側がご主人(おやじバンドに所属)と奥さん

近鉄大和八木駅からも、八木西口駅からも近い、こんな便利な場所で本格的なイタリアンが味わえるというのは有り難い。皆さん、ぜひ予約してからお訪ねください!
※お店の公式HPは、こちら
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昼も夜も楽しい駅前食堂!あまき(近鉄大和八木駅前)

2021年03月16日 | グルメガイド
近鉄大和八木駅のまん前(南側)に良い店を見つけた。看板には「四季彩宴 あまき」および「うどん・そば あまき」(橿原市内膳町1-5-1)。昭和レトロなうどん屋さんかと思ってランチタイムに入店したところ、メニューがとても豊富で驚いた。うどん・そばはもちろん、丼物や定食、居酒屋顔負けの一品料理もある。「奈良グルメ図鑑」によると、
※トップ写真はカキフライ定食(税込み1,000円)、味噌汁はうどんに(+180円)3/3撮影






こんな大きいカキだった!

近鉄大和八木駅すぐ、橿原市民なら知らない人はいないと思われる駅前食堂。うどん、そば、丼、定食など一般的な食堂のメニューはほぼ揃える。その中で特に男性客に人気なのがカツ丼。カリッと固めに揚げたカツにとろとろの卵、濃いめの出汁、ボリュームもあり、がっつりといただける。


トップ写真に同じ


ミニうどんかと油断したが、しっかり量もあった!

今回、ハーフのうどんを付けてもらったが、これも手打ちでしっかりとコシがある。豚角煮や手羽先揚げなど一品メニューもあり、居酒屋としても使える。2階にも座席があり、宴会にも対応可。

初回の3月3日(水)は冬季限定というカキフライ定食(税込み1,000円)の味噌汁をうどんに変更した(180円プラス)。正午過ぎのランチタイムのピーク時とあって、席は満席に近かったが、何とか座れた。店内はとても活気があり、抜群のチームワークで注文をさばいていた。


ミックスフライ定食1,200円。ご飯大盛は無料だったが、すごい量だ!

2回目は3月15日(月)に訪問。13時だったのでピークからは少し外れていたが、相変わらずお客さんは多い。近所の会社員・ОLや学生たちで賑わっていた。前回のカキフライが美味しかったので、ミックスフライ定食1,200円を注文。ランチタイムの単品では最も高価なメニューだが、その値打ちはある。「今日はご飯は無料で大盛にできますよ」との声に誘われて大盛にしたところ、丼にてんこ盛りのご飯が出てきた。残さず食べたが、あとで体重計が心配になった。


割り箸は吉野杉の天削げ箸。ツートンカラーがきれいだし、香りもいい


晩ご飯用にちくわの磯部揚げ(320円)と若鶏唐揚げ(520円)をお持ち帰り

揚げ物が気に入ったので、お持ち帰りすることにした。ちくわの磯部揚げ(320円)と若鶏唐揚げ(520円)で、見たところさほど量がなさそうだが、家で盛り付けてみると、このように結構なボリュームだった。



家族経営のようなアットホームな雰囲気の食堂だ。県内でも最近は店主の高齢化や後継者難で、このような昭和レトロな食堂が減ってきて寂しい思いをしていたが、こちらのお店は大丈夫そうで安心した。これから八木へ出るたびにせっせと通うことにしたい。次回はやはり夜の部か。

お店の皆さん、ごちそうさまでした。皆さ~ん、八木へお出ましの折はぜひお訪ねください!

住所 橿原市内膳町1-5-1/電話番号 0744-23-6677/営業時間 11:00頃~13:30、17:00~22:00頃(日曜日は早く閉まるかも)/定休日 不定休/駐車場 無
※食べログは、こちら
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中宮寺本堂修復!クラウドファンディングにご協力を/毎日新聞「やまと百寺参り」第90回

2021年03月15日 | やまと百寺参り(毎日新聞)
NPO法人「奈良まほろばソムリエの会」は『奈良百寺巡礼』(京阪奈新書)の刊行を記念して毎週木曜日、毎日新聞奈良版に「やまと百寺参り」を連載している。先月(2021.2.25)掲載されたのは「如意輪観音 清楚な笑み/中宮寺(斑鳩町)」、執筆されたのは大和郡山市在住で同会理事の大江弘幸さんだった。
※トップ写真はヤマブキに彩られる中宮寺本堂

文中にもあるとおり、本堂の修復工事に伴い本尊は現在、九州国立博物館(2021年1月26日~3月21日)に出陳中で、お寺では3月末まで、お身代わり像を位牌堂で拝観することになっている。なおお寺では本堂修復の資金をクラウドファンディングで募っているので、ぜひご協力いただきたい。では記事全文を紹介する。

中宮寺は、聖徳太子(厩戸皇子)の母で穴穂部間人(あなほべのはしひと)皇后(用明天皇の皇后)亡き後、宮跡を改めた寺と伝わります。現在地から東へ約500㍍の所にありました。しかし、次第に衰微し、鎌倉中期には塔と金堂が残るだけだったようです。室町後期に初代門跡・慈覚院宮(じかくいんのみや)が入寺し、その頃までに現在の地に移されたと伝わります。

国宝の「菩薩半跏(ぼさつはんか)像(寺伝如意輪観音)」は創建伽藍(がらん)の金堂の本尊。ほほ笑みをたたえながら右足を左ひざに乗せ、思いを巡らす菩薩の姿は、尼寺らしい清楚(せいそ)な優しさで参拝者の心を癒やします。

この菩薩半跏像とともに、聖徳太子を偲(しの)んで作られた飛鳥時代と鎌倉時代の刺しゅうをアップリケのように混在させた国宝「天寿国繍帳(てんじゅこくしゅうちょう)」の複製が、本堂に安置されています。春になると、本堂周辺ではヤマブキが咲き誇ります。秋には創建当初の伽藍跡の中宮寺跡史跡公園に咲くコスモスが人気です。

現在、本堂修復工事に伴い本尊は出陳中です。通常非公開の位牌(いはい)堂で、3月末まで身代わり本尊を特別参拝できます。(奈良まほろばソムリエの会理事 大江弘幸)

(宗 派)聖徳宗
(住 所)生駒郡斑鳩町法隆寺北1の1の2
(電 話)0745・75・2106
(交 通)JR法隆寺駅からバス「中宮寺前」下車、徒歩約5分
(拝 観)9~16時(10月1日~3月20日)、9時~16時半(3月21日~9月30日)、600円(法隆寺も拝観する場合は100円引き)
(駐車場)無


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