鳥居由佳(とりい・ゆか)さんは、東大阪市のご出身で(1982年生)、昨年(2013年)6月、川上村の「地域おこし協力隊」の隊員(かわかもん)となった。私が初めてお会いしたのは、今年の8月だ。
※トップ写真は、鳥居さんのFacebookから拝借
仕事で林業振興に関わるなか「奈良県で『林業女子会』を立ち上げませんか?」と打診したのだが、あっさりとフラれてしまった(まだ諦めていないが)。その頃からFacebook友達となり「東大阪の元気なおネエさんが川上村に入ると、どのような化学反応を起こすのだろう」と、期待(&心配)しつつ、日々の動静をチェックしていた。
奈良の木シンポジウム(10/5 イオンモール橿原)
10月5日(日)にイオンモール橿原で開催された
「奈良の木シンポジウム」(県主催)では、鳥居さんも私もパネラーに呼ばれたので、しばらくぶりにお会いした。鳥居さんは、折りたたみ式の木のベンチを普及させようと懸命にPRしておられた。シンポジウムではモンペと地下足袋姿で「海が好きだ。森がきれいな水を運んでくれないとサンゴやマングローブも育たないので、林業と森を守る活動に関わっている」と話しておられた。鳥居さんのプロフィールは
まほなび(奥大和総合情報サイト)に詳しく紹介されている。
竹枠を外し、樽をあっという間に分解するパフォーマンス(10/5 イオンモール橿原)
水源地の村から始まる林業女子の挑戦
川上村地域おこし協力隊員 『かわかもん』/鳥居 由佳さん
奈良県南部地域の過疎化・高齢化は深刻だ。中でも川上村は65歳以上の村民が半数を超える奈良県一の高齢化率。その川上村が変わろうとしている。地域おこし協力隊員(通称=かわかもん)として移住者を募集し、今春(2013年)、東京や大阪などから6人の若者が移住した。鳥居由佳さんもその1人だ。
写真は、川上村地域おこし協力隊のFacebookから拝借
「海が好き、だからここで林業がしたい」。東大阪で生まれ育ち学校事務をしていた鳥居さん。学生時代の一人旅をきっかけに八重山の海に10年余り通い続けるほどの海好き。「海から見える広い空、眩しい太陽、水平線を見ればその向こうに何があるのだろうとワクワクする」。そして海の中で山をおも想った。「この豊かな海があるのは山のおかげ。山がありそこに雨が降る、養分を蓄えたその水は川に流れて海へゆく。豊かな海を作るため山林を守る林業に関わりたい」。鳥居さんは心に決めた。
以下の3点の写真は、鳥居さんのFacebookから拝借
山のことを学ぶため2年前から森林ボランティア活動に参加し、兵庫や京都で環境整備などを経験。同時に、林業者や建築家、デザイナーなど林業に関わる人々が集まる場にも積極的に参加し林業ネットワークを広げていった。
川上村との出合いも活動を通じて知り合った友人からの誘いだった。60年以上吉野林業を支えてきた同村の辻谷達雄さん(80歳)を塾長に、孫世代の若者約20人が集い、山の知恵、山村の文化を学び次の世代に伝えていこうと『源流塾』を立ち上げた。そんな頃、川上村の地域おこし協力隊員の募集を見て、迷わず応募。採用となり前職を辞して、今年(2013年)6月に村民となった。移って実感したのは林業衰退の深刻な問題だった。「ここは海の源、水の1滴目ができる水源地の村、川上村を人生を賭けて守りたいと思いました」
村では『源流塾生』として師匠辻谷さんに学び、『かわかもん』として地域振興活動にいそしむ。林業といっても山仕事だけではない。丸太を切り出せば売れた時代とは違い、知恵を出し合い売れる製品にしていかなければならない。「今の時代に合わせ、林業の活性化を村の人に寄り添いながら考えることがよそから来た、そして若い私の役割かなっと思っています」。ブログやソーシャルネットワークでの情報発信活動をはじめ、今からできることが山のようにある。
「楽しいんです! エネルギーが水のように湧き出てきます」。新しい価値観や情報を村に伝え、村に生きる技と知恵が合わさる。「甘いかもしれないですが、未来への小さな光が見える ”予感 “がしませんか」『かわかもん』の活動は始まったばかり。村から都市へ、世界へ。彼らの力強いまなざしをこれからも追いかけていきたい。
巫女さんに化けた(?)鳥居さん。吉田遊福さんから拝借
そんな鳥居さんが、トンでもないことをしでかした。なんと、吉野杉の丸太をまるごと1本買ったというのだ! 鳥居さんのFacebookによると、
今日わたしは人生ではじめて吉野杉の原木を買いました!可愛すぎなので、名前つけようかな ということで、名前公募します。笑(10/24 180人が「いいね!」)
マイ原木との面会♪(いやいや、そんな特別なことではなくて、誰でも会いに行けます。)昨日よりもほんのりピンク色が綺麗にでてる。(10/25 156人が「いいね!」)
あすか(貝谷明日香)さん☆「おすぎ」やったら中性でちょどいいかなとも思うし。おすぎでいこ!ほんで、ピーコも買う!(10/25)
もう2本め(ピーコ)を買うことも決めているのだ。買った丸太を何に使うのか、ハラハラ・ドキドキしながら注目している。11月1日(土)~3日(祝)には、川上村の「匠の聚(むら)」で、「山のふゑすた」というイベントが開催される。川上村地域おこし協力隊のFacebookによると《薪窯のピッツアやあたたかいスープを提供する『林業Cafe』のほか、『山の図書室』では、お外でほっこり読書ができたりもします。また、期間中ギャラリーのカフェも、いつもと違う空間になりますよ。みなさま、お楽しみに ♪》というイベントである。鳥居さんは「カフェコーナー」に「和」のテイストを持ち込もうと目論んでいるようだ。
鳥居さんをはじめ
かわかもん(川上村の地域おこし協力隊)では8人ほどの若者が活動している。私の先輩のお嬢さんも、隊員の1人である。彼ら彼女らが今後、どのように活動を展開していくのか、これは楽しみである。お行儀よく活動するも良し、丸太を買うような無茶をするも良し…。
鳥居さん、かわかもんの皆さん、若い力で川上村を大いに盛り上げてください!