tetsudaブログ「どっぷり!奈良漬」

コロナも落ちつき、これからが観光シーズン、ぜひ奈良に足をお運びください!

異常気象と少子化/人はリスクを直視しない by 長谷川眞理子氏(毎日新聞「時代の風」)

2021年08月02日 | 意見
人類学者で、総合研究大学院大学(博士課程のみの国立大学院大学)学長の長谷川眞理子氏は、いつも鋭い提言をされる。私は毎日新聞の「時代の風」や京都新聞の「現論」で拝読している。2021年7月18日(日)付の「時代の風」は「異常気象と少子化/人はリスクを直視しない」だった。人間はリスクに対する感受性が鈍く、現状維持を好む。
※トップ画像は、総合研究大学院大学の公式HPから拝借

〈みんなが会議室で議論しているところに、どこからともなく煙が漂ってくる。煙はだんだん濃くなる一方だ。会議中の人々はどうするか? なんと、何もしないのである。これは心理学の実験だ。人が、目の前にあるリスクにいかに目をつぶるか、リスクを認識しようとしないか、を示す実験で、動画投稿サイト「ユーチューブ」でも見ることができる。実に恐ろしい〉。

長谷川氏は、リスクに対する感受性の鈍さが、地球温暖化(異常気象)や少子化問題を起こしたと指摘する。以下、「時代の風」の全文を貼っておく。

先日起きた熱海の土石流による被害は、本当に甚大なものであった。被害にあった方々に対し、衷心より哀悼の意を表したい。それにしても、今回の土石流で崩れた盛り土の事業に対しては、その違法性について行政側から何度も警告があったらしい。それでも何もできなかったのか?

そもそも、このごろは毎年のように大雨、洪水、土砂崩れの災害が多発している。それはみな、気候変動のせいだ。人間がエネルギーを使いまくり、自然界の炭素をはじめとするさまざまな元素の自然循環を乱し、この地球環境を短期間で激変させている。その一つの表れが異常気象だ。

大気中の二酸化炭素濃度は、長きにわたって300㏙前後であったが、産業革命以後、徐々に増え続けてきた。1896年、物理化学の創始者とも言われるスウェーデンの科学者アレニウスが、二酸化炭素は温室効果をもたらすので、その大気中での量が地球の気温に大きな影響を与えるだろうと指摘した。このころから事実認識はされていた。そして、大気中の二酸化炭素濃度の測定も以前から行われていた。それでも誰もこのことを真剣には受け止めなかった。

これまでの何百万年の単位で見て、400㏙を超えたことはなかったのに、ハワイでそれを超えたのが2013年。国連のSDGs(持続可能な開発目標)が採択されたのが15年。ちょっと遅過ぎないか?

日本の少子化問題も同じではないかと思う。戦後、復員してきた男性が結婚し、平和になったことで人々は歓喜した。人口がどんどん増えて、政府は人口爆発を危惧した。そこで、夫婦に子ども2人を基準とする住宅の設計や、ブラジルなどへの移民政策を打ち出し、人口増加を抑えようとした。それはすぐに効果を表し、出生率はどんどん低下する。そして、1970年代以降、女性が一生の間に産む子どもの数は、2を多少上回る程度から、多少下回る程度へと漸減していく。

このままだと人口減少に転じるということは、誰の目にも明らかだった。同時に、都市部の人口は増えても、地方の農村部での人口が減り続けていることは明らかだった。しかし、限界集落という言葉が流布するようになった04年まで、地方創生などというキャッチフレーズはなかった。高度経済成長期はもちろん、そのあともずっと、日本の国民総生産は上昇し、みんなが豊かになっていると実感していた。だから、その先にある深刻な人口減少と地方の凋落(ちょうらく)には、誰も注意を払わなかったのだろう。

どうも、ヒトという生物は、リスクに対する感受性が鈍いようなのだ。今、それほど困っているわけではないならば、現状がそのままであり続けるのが心地よい。そう願ってやまないので、現実を見る目が鈍る。私もそうだが、首都直下型地震が、そう遠くない未来にやってくると言われても、だから何かをしようという気にはなかなかならないし、引っ越しもしない。そして、多くの人々が現状維持でいいと思っているとき、どこかにそのひずみがあっても、それは見過ごされてしまう。

みんなが会議室で議論しているところに、どこからともなく煙が漂ってくる。煙はだんだん濃くなる一方だ。会議中の人々はどうするか? なんと、何もしないのである。これは心理学の実験だ。人が、目の前にあるリスクにいかに目をつぶるか、リスクを認識しようとしないか、を示す実験で、動画投稿サイト「ユーチューブ」でも見ることができる。実に恐ろしい。

どこかで読んだのだが、古代中国の哲学者である老子の言葉に、「物事を種のうちに見抜くことができる人は、それは天才というものだ」というのがある。それはその通りに違いない。しかし、天才がそのような指摘をしても、周囲の大多数は天才ではないので、その指摘を無視する。かくして大変な事態が起きる。そこで初めて、普通の人々は考え直すのだ。

「煙探知器の原則」というのもある。来る、来ると言われていた危機が現実に起こらないことが数度続くと、それは煙探知器の誤作動だと無視されるようになる。いつかは本当の危機が訪れる。が、その時も誰もが無視して動かない。=毎週日曜日に掲載


※以下の画像は、毎日新聞「時代の風」(2021.7.18付)および京都新聞「現論」(2021.7.20付)



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2019年 極私的ニュース「ベスト5」!

2019年12月27日 | 意見
2019年もまもなく暮れる。今年も私の周囲ではいろんな出来事があった。悲しいニュースもあったがそれはさておき、年末にあたりベスト5を選んでみた。これは1~5位のランキングではなく、発生日順に並べてある。

2月28日 『奈良百寺巡礼』(京阪奈新書)を発刊
2019年は和辻哲郎著『古寺巡礼』の出版100周年の年。これにちなんでNPO法人「奈良まほろばソムリエの会」は、奈良県内および京都府南部の寺院計115ヵ寺をすべて見開き2ページで紹介する『奈良百寺巡礼』を刊行。執筆者は42人、編集委員は8人。現在までに6,000部を発行。
 
4月 8日~「奈良まほろば館」で5日間(1日2回)の連続講座を実施するなど、講演活動を強化
奈良まほろば館(東京・日本橋三越前)の開館10周年を記念して、4月8日(月)~12日(金)まで、連続5日間・1日2回の講演会のオファーがあり、私が講師に。体力の限界を感じながらも、何とか無事終了。8月以降はこれを改め、月1回・1日2回の「ざっくりわかる!万葉講座」を5人の講師が分担して実施。また6月からは近鉄百貨店橿原店の「近鉄文化サロン橿原」で、「奈良まほろばソムリエ歴史講座」(年10回)をスタート。初年度は私が担当し、来年度からは当会会員が5回ずつ交代で担当することに。

9月18日 南都銀行でビジネスカジュアルがスタート
産経新聞奈良版「2019この1年(下)」(12/26付)にも「南都銀行員の服装自由化」として紹介された。「服装の自由化の試行」(9/18~11/1)および「男性行員の服装基準の見直し」(11/1~)により、現在では本部の男性行員はビジネスカジュアルで勤務している。おかげで私もスーツやワイシャツ購入に関する出費がゼロとなり、代わりにクローゼットの奥で眠っていた綿パンや綿シャツを活用している。しかしこのような傾向は全国的に広がり、紳士服業界は深刻な不況に苦しんでいるという。

9月30日 奈良テレビ放送「ゆうドキッ!」(月曜日と木曜日)にレギュラー生出演
奈良まほろばソムリエの会会員は、「ゆうドキッ!」(月・木)に交代でコメンテーターとしてレギュラー生出演している(メンバーは私を含め、約10人)。月曜日は「グルメ」、木曜日は「お出かけ情報」のコーナー(各20分)に出演するほか、番組終了までコメンテーターとして出演している。
 
11月30日~万葉ブームを受け、3週連続で万葉ツアーを実施、JR専用臨時列車も
新元号「令和」が万葉集から採られたことから、万葉集がブームに。これを受け奈良まほろばソムリエの会は、東京では「ざっくりわかる!万葉講座」、奈良では「サクサクわかる!万葉講座」「万葉集とその時代」「ゼロからわかる万葉講座」を開講。またその一環として万葉集をテーマとしたウォーキングを3週連続で開催した。

振り返ってみて、われながら「まぁ、ようやったなぁ~」という気持ちである。毎月毎月、このようなイベントをこなしてきたということは、やはり健康と体力に恵まれたからということなのだろう。来年以降も、気力と体力が続く限り頑張ります!
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まれにみる「危機管理広報」の失敗事例/反面教師としての日本大学 記者会見

2018年06月11日 | 意見
私は企業で約15年間、広報(対マスコミ広報)を担当してきた。その間、雪印の「私は寝てないんだ!」、みずほHDの「実害はなかった」、船場吉兆の「ささやき女将事件」などをはじめとする危機管理広報の失敗事例を反面教師として注目してきた。しかし今回の日大の記者会見は、過去の全ての事例をはるかに上回る「超弩級の失敗事例」となった。その後も、「週刊文春」や「週刊新潮」での追いかけ報道(内部告発など)が止まらない。
※トップ画像は、ニコニコ生放送から拝借

日大の事例については、いつか自力でまとめようと資料(テレビの録画や新聞切り抜き)を収集していたが、今回、それをズバリとやってくれた記事が、産経新聞「論説委員 日曜に書く」欄(6/10付)に出た。鹿間孝一(しかま こういち)氏による《日大の「失敗の本質」》だ。ネット版には「甘い想定、逆ギレ会見、逃げた?トップ…」というサブタイトルがついている。以下、ネット版から全文を引用する。

日本大学は大きな誤りを犯した。関西学院大とのアメリカンフットボールの定期戦での悪質な反則タックルは、スポーツを汚す行為だが、それだけではない。事後の対応があまりにお粗末だった。近年、企業の不祥事が相次ぎ、コンプライアンス(法令順守)や危機管理の重要性が叫ばれている。しかも日大には危機管理学部があるというのに、どうしたことか。3つの観点から「失敗の本質」に迫りたい。

◆最悪を想定せよ
危機管理の要諦は、まずは最悪の事態を想定して、そうならないためにはどうしたらいいかを考えることである。だが、とかく大事(おおごと)にはならないだろうと楽観しがちである。日大もそうだった。反則タックルが監督や担当コーチ(いずれも辞任)の指示だったのでは、と取り沙汰されているのに、「指導と選手の受け取り方に乖離(かいり)があったのが問題の本質」という説明をした。誤解した選手が悪いというニュアンスだ。

事実を隠蔽(いんぺい)しない、うそをつかない、責任を転嫁しない-も危機管理の基本である。日大アメフット部において監督は絶対的な存在で、選手は反抗できない。だから前述の説明で乗り切れると思ったのだろうが、甘かった。反則タックルをした選手が記者会見して、指示の内容を詳細に明らかにしたことで、一気に風向きが変わった。「そうでなければ謝罪にならない」と顔を出したのも、同情と好感を呼んだ。


 リスク・コミュニケーションとメディア
 福田 充(日本大学危機管理学部教授)
 北樹出版

◆会見で火に油
翌日に前監督とコーチが会見して、改めて反則指示を否定したが、選手とどちらが信じられるかは言わずもがなである。危機対応にはスピードが求められる。放っておけば火は燃えさかる。なのに日大は、火を消すどころか、油を注いでしまった。

まず関学大への謝罪も、質問状への回答も遅かった。加えて謝罪に訪れた前監督は、ピンクのネクタイで、大学名の「かん(くわん)せいがくいん」を「かんさいがくいん」と言い間違えた。ピンクは日大を象徴するカラーらしいが、ふさわしくない。誰もアドバイスしなかったのだろうか。

危機管理において、謝罪の記者会見は極めて重要である。事前に想定問答をつくり、リハーサルをする。服装は地味なスーツか業種によっては作業服で、派手な色や柄のネクタイは避ける。頭の下げ方にも注意する。

ところが、前監督らの会見は準備不足で、うまく切り回すべき広報部職員の司会者が目立ってしまった。同じ質問が繰り返されているとして、声を荒らげて何度も会見を打ち切ろうとし、「あなたのせいで日大のブランドが落ちますよ」と指摘されると、「落ちません!」。

「私は寝てないんだ」と言った食品会社の社長や、息子に耳打ちする高級料亭の女将(おかみ)を思い出すが、誠意を示すべき会見で逆ギレは最悪である。かつて橋下徹前大阪市長は、時間無制限、どんな質問にも答えると深夜まで会見した。

◆逃げた?トップ
危機管理はトップが責任をもって対応しなければならない。平素から悪い情報が迅速に上がってくる体制を整備し、損失は覚悟の上で、二次被害、損失の拡大防止に全力を尽くす。なによりトラブル時に、トップは逃げないことが大切だ。

日大のトップである田中英寿(ひでとし)理事長は、問題が発覚して以降、一度も会見していない。学内の会合は別にして、公には謝罪も自らの責任への言及もない。これでは逃げていると思われても仕方あるまい。日大は弁護士7人からなる第三者委員会を設置した。関係者から聞き取り調査などを行い、7月下旬に結果を報告するという。

すでに関東学生アメリカンフットボール連盟は、監督とコーチが反則行為を指示したと認定し、処分を下している。いまさら何を調査し、どんな報告をまとめるというのか。これも後手に回った。日大のイメージは失墜した。学生の就職活動や入試にも影響が出そうだ。まれに見る危機管理の失敗例といえよう第三者委を設けるなら、こちらを検証してはどうか。危機管理学部の貴重な教材になるはずだから。

鹿間氏は同業者を気遣っているが、今回の失敗の一因は、あの司会者・米倉久邦氏だ。もとは共同通信社でワシントン特派員、経済部長や論説委員長を歴任した人だ。「やめてください。1人で何個も聞かないでください。他の方も聞きたい方いっぱいいるんですから」「こんな何十人もいるのに、全部やるんですか? 何時間かかるかも分からないじゃないですか、無理ですよ。みんな手を上げているのに」など、乱暴な言葉を連発していた。これで日大はもちろん、共同通信社のイメージも地に落ちたのではないか。

広報の経験者として、上記以外で首をかしげたのが以下の6点である。
・緊急会見を開く旨を報道各社にファクスで連絡したのが、開始時間の約1時間前だった
・ホテルではなく学内で会見した。ホテルなら「予約していた時間が来たので」と打ち切れる
・謝罪コメント、日大側の主張、事実関係などをまとめた資料などを全く配布していない
・会見を始めるとき司会の米倉氏は、名前も肩書も名乗らなかった
・冒頭で内田氏と井上コーチが、順番に謝罪の言葉を述べた。コーチはここで述べる必要はない
・謝罪してすぐに質疑応答に入った。まずは経過をきちんと説明すべきだ
・内田氏と井上コーチが終始「僕」と言っていた。常識的には「私」


日大危機管理学部のHPには、
・私たちに脅威を与える「危機」は社会の多様化・グローバル化とともに増大し、個人や企業、さらには国家レベルでも高度な「危機管理能力」が求められるようになりました。日本大学はそうした時代のニーズにいち早く対応し、2016年4月に、日本ではじめてとなる文系の「危機管理学部」を開設しました。
・時代に求められている危機管理のエキスパートをいち早く養成し、社会に送り出します。
・「災害マネジメント」、「パブリックセキュリティ」、「グローバルセキュリティ」、「情報セキュリティ」の4領域を置く危機管理学部は、「オールハザード・アプローチ」の視点で社会の安全を脅かすあらゆるリスクを研究対象とし...(学部長からのメッセージ)
・「リスク」と「クライシス」の両面で 多様な危機に対応できる能力を養成。(ある教授からのメッセージ)
・警察でのキャリアを生かし即戦力となる人材育成を目指します。(同上)


危機管理学部の学生はかわいそうだし、来年、この学部を受ける学生がいるのか、と余計な心配をしてしまう。今となっては、詳細な「第三者委員会」からの報告が楽しみだ。
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冬眠人間だった!私

2016年12月28日 | 意見
毎年この時期になると、夜にお腹がすいてやたら甘いもの(炭水化物)が食べたくなる。昨年まではお餅を焼いて食べていたが、今年はもっぱら食パンだ。はじめは山崎製パンの「ダブルソフト」で済ましていたが、同じ職場のNさんに、やや値が張るがとても美味しい食パン(近鉄奈良駅前「capital」の石窯パン)を教えてもらったので、これは当分やめられそうにない。
※トップ画像は「がくげいイラスト素材集」より

それだけではなく、やたら眠くなり、珍しく夜に十分な睡眠をとった日でも午後になるとまた眠くなる…。ネットをいろいろ検索していてやっと分かった、これは「冬眠」(冬季うつ)なのだそうだ!AllAboutによると、

秋から冬にかけて、食事量が増えて睡眠時間が長くなるというのは、何かに似ていませんか? クマなどの冬眠する動物の行動と同じですね。

多くのうつ病は、季節と関係なく気持ちがふさぎこむのが一般的ですが、ある決まった季節だけに発症するうつ病があり、「季節性感情障害」と呼ばれています。夏に起こるものもありますが、ほとんどは秋から冬にかけて憂うつな気分にとらわれ、春になると自然に治る「冬季うつ病」です。

冬季うつ病に特徴的な症状は、食欲増加、体重増加、睡眠時間の増加。普通のうつ病の場合、食欲がなくなって体重が減り、昼夜を問わず眠ろうとしても眠れなくなります。しかし、冬季うつ病の場合は逆で、特に午後~夜に炭水化物や甘いものが欲しくなります。また、夜の睡眠時間が長くなり、日中の眠気も強く、昼寝や居眠りが増えます。

通常のうつ病と同じく、冬季うつ病の場合も、気分の落ち込みや、それまで興味があったことへの関心の薄れなどが見られます。また、集中力や意欲、精力が低下し、疲れやすくもなります。


明るい光を浴びて治療する方法もあるそうだが、春になると自然に治るということだし、幸いヤル気の低下はない(そんなことを言える状況ではない)ので、特に心配してはいないが、問題は体重の増加だ。今までは「餅太り」「正月太り」と軽く考えていたのだが。そういえば、お腹の脂肪が少し増えてきたような…。

「冬季うつ」と言われるといやな感じだが「冬眠」と考えると「まぁ仕方ないか、冬だから」と気楽になれる。この機会に、普段めったに食べない食パンをいろいろと買い込んで「食パングルメ」をめざすのも悪くない、とブログには書いておこう。





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お正月には氏神様に参拝しよう!

2016年12月15日 | 意見
先日、自宅の郵便受けに「奈良北和地域にお住いの皆様へ 参拝のご案内」という封筒が届いていた。差出人は奈良県神社庁北和支部(奈良市石木町648-1 登彌神社内)。「配達地域指定郵便」とあり、ウチの住所は記されていない。なお配達地域指定郵便とは、日本郵便(株)のHPによると、

ご指定いただいた地域の全戸に郵便物をお届けするサービスです。新規顧客獲得やエリアを絞ったアプローチに最適です。DMやチラシとは違うユニークな媒体として来店促進や販売促進にお役立てください。

というものだ。中に入っていたのは「日々のまつりで届ける 感謝と祈りのこころ」と題したカラーのチラシだ。裏の最下部には「お正月には氏神様に参拝しよう」と題して、県北部に坐す17の神社名がずらり。ちなみに神社名を記すと(ふりがなは私が付けた)、

龍田大社、龍田神社、登彌(とみ)神社、往馬(いこま)神社、郡山八幡神社、添御縣坐(そうのみあがたにいます)神社、杵築(きつき)神社(二名)、住吉神社、葛上(くずがみ)神社、杵築神社(安堵)、飽波(あくなみ)神社、斑鳩神社、伊弉諾(いざなぎ)神社、素盞嗚(すさのお)神社、生駒山口神社、平群坐紀氏(へぐりにいますきしorきうじ)神社、八幡神社(勢野)

なお氏神様とは、居住地の神さまのことだ。神社本庁のHPによると、

氏神神社とは、自らが居住する地域の氏神様をお祀りする神社であり、この神社の鎮座する周辺の一定地域に居住する方を氏子(うじこ)と称します。

元来は、文字通り氏姓を同じくする氏族の間で、自らの祖神(親神)や、氏族に縁の深い神様を氏神と称して祀ったことに由来し、この血縁的集団を氏子と呼んでいました。

現在のような地縁的な関係を指しては、産土神(うぶすながみ)と産子(うぶこ)という呼称がありますが、地縁的関係についても、次第に氏神・氏子という呼び方が、混同して用いられるようになりました。


どうもこのチラシ、ねらいは3つあるようだ。
1.初詣には氏神神社に参拝しよう
2.自宅で神さま(お神札)をお祀りしよう
3.人生の節目(お宮参りや七五三、厄除け)には神社にお参りしよう

私は奈良市内のさる短期大学で「奈良の伝統行事」という科目を受け持っている(NPO法人奈良まほろばソムリエの会のメンバーと複数で)。そこで以前に質問したことがある。「初詣に社寺をお参りした人は?」。しかし、ほとんど手が上がらず、びっくり仰天した。今どきの若いモンは、初詣に行かないのだ。ついでにおせちやお雑煮のことも聞いてみたが、どうも反応が鈍い。古くからの日本人のしきたりは、ここへ来てどんどん失われているのだ。

「教えて!goo」に「初詣に行く人が減っている気がします。行く人は減っていますか?」という質問があり、回答が示されていた。著名な神社では、さほど変化はないようだ。

神社仏閣によって差がありますが、激減というわけでもなさそうです。昭和63年→2013年の比較を作ってみました。
明治神宮 399→313万人/成田山新勝寺 316→300万人/川崎大師 344→298万人/浅草寺 170→281万人/伏見稲荷大社 238→270万人/鶴岡八幡宮 196→255万人/住吉大社 289→235万人/熱田神宮 227→230万人/大宮氷川神社 159→207万人/太宰府天満宮 180→200万人


してみると、著名な神社へ初詣に参拝する人はさほど変わらず、地域の氏神神社のようなところに参拝する人が減っているということなのだろうか。

以前、当ブログで「日本人は無宗教ではない」というお話を紹介したが、初詣の賑わいを見てもそれは分かる。しかし、おそらくテレビや新聞のニュースで取り上げられる著名神社はいざしらず、氏神さまにお参りする人は減っているのだ。これは「イベント感覚」でお参りする人は減っていないが、「暮らしのなか」でお参りする人が減っているということなのだろう。

皆さん、お正月には氏神さまにお参りいたしましょう!

※以下のチラシデータ(PDF)は、こちらのサイトからダウンロードした。ウチに来たチラシには、裏面最下部の空欄に「お正月には氏神様に参拝しよう」という文言と県北部17の神社名が刷り込んであった。



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