tetsudaブログ「どっぷり!奈良漬」

コロナも落ちつき、これからが観光シーズン、ぜひ奈良に足をお運びください!

道楽(DOURAKU)のハンバーグランチ

2010年11月30日 | グルメガイド
昨日(11/29)、出張の途中でランチをとろうと、同僚と国境食堂(奈良市奈良阪町2611-5)をめざした。ここのカツ丼は780円と安くて、お腹が一杯になる。しかし国境食堂に着いてみると、お昼どきとあって駐車場はほぼ満車状態だった。仕方なく奥の方まで駐めに行くと、そこには別のお店があり、看板には「ステーキの店」「DOURAKU」、のれんには「道楽」とある。さほど新しい店ではない。ということは、今まで国境食堂敷地の奥に別の店があるとは、気づいていなかったのだ。
※国境食堂(食べログ)
http://r.tabelog.com/nara/A2901/A290101/29000489/

「お金もうけではなく、道楽でステーキ屋をやっているのだろうか」と首をかしげながらも、「ランチ すじのせハンバーグセット 1000円」に引かれて、試してみることにした。ちなみに「まかないステーキ コーヒー付」は1600円である。愛想の良い奥さんが、出迎えて下さった。掃除の行き届いた和風の店内には、カウンターが6席に、座敷が20席ほど。私たちは、掘りごたつ式の座敷に座ることにした。DOURAKUはご夫婦で営んでおられ、オープンは9年も前なのだそうだ。



店内にあった09年発行の『奈良うまいもん大図鑑1000』(ぱーぷる別冊)に、DOURAKUの紹介が出ていた。《「タレではなく、本当のお肉の味を味わっていただきたくて…」との思いから開店したオーナー。噛みしめると肉の甘みが口いっぱいに広がる。全国の和牛を厳選してたどり着いた、宮城産の日高見牛だ。「DOURAKU」のステーキを食べたい、と県外から通うファンも多い。落ち着いた和風の店内で、こだわりの味をぜひお試しあれ》。なお、夜のステーキは日高見牛、ランチのまかないステーキはノープランドの国産黒毛牛なのだそうだ。

注文してほどなく、ハンバーグがジュージューと音を立てて運ばれてきた。とても分厚いハンバーグだ。そこにトロトロに煮込んだすじ肉が載っている。ハンバーグを箸でぱくっと割って口に運ぶ、うーん、これはうまい! こんなに分厚いのに、奥までよく火が通っている。このハンバーグに、トッピングのすじ肉や、ソースや、付け合わせの野菜が、とてもよく合う。きのこたっぷりの味噌汁も、浅漬けも、ご飯も美味しい。



これは良い店を見つけた。とても「道楽」どころの話ではない、立派なプロの技である。次回はぜひ、「まかないステーキランチ」(サラダ、みそ汁、ライス、ドリンク付)1600円を試してみよう。

なお夜は「セット」メニュー(スープ、サラダ、ライス付)と「コース」メニュー(スープ、サラダ、魚貝きのこバター、ライス、デザート、ドリンク付)があり、肉の部位と量によって値段が決まる。例えばロース130gのセットは3600円、フィレ130gのコースは5800円、ロース220gのコースは6900円、といった具合である。

奥さんによると、土曜日(11/27)には、あの「ビリーズブートキャンプ」のビリー隊長(ビリー・ブランクス)が来店し、私たちの座った席に陣取っていたのだという。ビリー夫人が、この店の常連さんなのだそうだ。ビリーは、お店のノートに英語で「あなたたちのおもてなしに感謝します、良いお仕事をお続け下さい」等々と書かれていた。ビリーのエクササイズスタジオは心斎橋だし、自宅は茨木市なのに、わざわざ奈良にステーキを食べに来られていたとは!



ノートには、他にもお客の感想がたくさん書きつづられている。「山梨県から出てきて、道に迷いみつけたこの店で、こんなにも美味な肉にありつけるとは、思いもよりませんでした。きっと偶然をよそおった必然だったのかも知れません。友達みんなに『良い店あるよ』と伝えたいと思います。本当にごちそう様でした。また機会がありましたら来ます。こんどはハンバーグで」「姫路から古寺巡りに来ました老夫婦です。おいしいお肉で車の渋滞の疲れもふっ飛びました」等々。

家に帰って、05年に発行された『奈良うまいもん大図鑑1000』をめくると、ちゃんとこの店のことが出ていた。しかし「奈良市奈良阪町2611-5」と載っていたから、ピンとこなかったのだ。「国境食堂と同じ敷地の奥で、駐車場も共用」と書かれていたら、すぐ分かったのに…。周囲には青山住宅も州見台もあるのだから、もっとお客が押し寄せてもおかしくない。夜は特別な日のディナーに、ピッタリだ。

DOURAKUとは、そんな素晴らしいお店である。あまりブログで宣伝してしまうと、「隠れ家的雰囲気」がなくなってしまうが、私としては、もっと広く知られて、たくさんの人に美味しいステーキとハンバーグを味わっていただきたいと願っている。

奈良市奈良阪町2611-5(奈良阪町北バス停前) 0742-23-8400
営業時間 11:00~14:00、17:30~22:00(ラストオーダー 21:00)
不定休  カウンター6席、座敷19席 駐車場30台
http://r.tabelog.com/nara/A2901/A290101/29004749/
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芸妓 菊乃のかわいい奈良

2010年11月29日 | ブック・レビュー
ならまち最若手の美人芸妓(げいこ)、菊乃(きくの)さんが書かれた『芸妓 菊乃のかわいい奈良』(実業之日本社刊)を読んだ。これは、とてもユニークな奈良ガイド本である。菊乃さんが薦める奈良の「かわいいもん」「おいしいもん」「ありがたいもん」「うつくしいもん」「おとまりどころ」が、たっぷりと紹介されている。

本の帯には《「奈良にうまいもんなし、夜の街なし」などと悲しいことをいわはる方もいてますが、そんなことありまへん。うちの大切な、大好きな奈良の魅力をのぞいてみてください》とある。

版元の紹介には《奈良の芸妓さんのはじめての本、できました! 奈良は、かわいいもの天国。みなさん、どうぞごひいきにぃ。最若手芸妓・菊乃ねえさんが案内する、乙女でディープなガイドエッセイ》《●かわいいもん……猫かふぇ 寧估庵、亀ノコミチ、垣谷繊維など ●おいしいもん……Le BENKEI、日本料理 つる由、カフェcloverなど ●ありがたいもん……春日大社、氷室神社、御霊神社、不空院など ●うつくしいもん……佐保川、飛火野、鶯の滝、滝坂の道など ●おとまりどころ……菊水楼、ゲストハウス枕、登大路ホテルなど》。


第1回菊乃会「春日大社日本舞踊奉納」の模様
(菊乃さんのホームページ「菊乃流」より拝借)
http://www.kikuno.net/index.html

菊乃さんは当ブログもご覧になっているのか、私がブログで紹介したお店がたくさん登場する。日本料理つる由のほか、囲炉裏ダイニングたなか、そば切り川名、BEKKAN PIATTO(別館ピアット)、TEN.TEN.CAFE(テンテンカフェ) etc.
※つる由 ― 奈良に咲く割烹の華(当ブログ内・以下同じ)
http://blog.goo.ne.jp/tetsuda_n/e/3854b1b98d589ad2e3a73387a42a646c
※囲炉裏ダイニングたなか
http://blog.goo.ne.jp/tetsuda_n/e/ffa5581b73d215f0b2064a607def71fc
※そば切り川名
http://blog.goo.ne.jp/tetsuda_n/e/94e3ccb56d7f28bcceff90de061530c5
※BEKKAN PIATTO
http://blog.goo.ne.jp/tetsuda_n/e/227f8d053b7a2902487b6e0b0b31610e
※TEN.TEN.CAFEのキーマカレー
http://blog.goo.ne.jp/tetsuda_n/e/3c633d0e6df12a79c9e7c46b01094def

「あとがき」には《まだまだ奈良にはご紹介できなかったすてきなお店がぎょうさんあります》として、粟ならまち店、黒川本家、クイーンアリス・シルクロード、天平青柳(てんぴょうあおやぎ) etc.の名前が挙がっている。新しいお店も、よくご存じのようだ。
※粟ならまち店(当ブログ内・以下同じ)
http://blog.goo.ne.jp/tetsuda_n/e/ee42679fb5112ad0b1e1c66cdfef264b
※黒川本家の「葛あんかけ丼」
http://blog.goo.ne.jp/tetsuda_n/e/e88b3762af71622ffaa8c6998aa04b04
※クイーンアリス・シルクロード
http://blog.goo.ne.jp/tetsuda_n/e/84be1a0dd1adf900dee7cbbf14aaaab5?fm=rss
※天平青柳
http://blog.goo.ne.jp/tetsuda_n/e/37cac6d7aadd13089c5cb16be7e39530

芸妓 菊乃のかわいい奈良
菊乃
実業之日本社

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菊乃さんは、奈良市・元林院町(がんりいんちょう)の芸妓さんである。菊乃さんのHPによると、元林院町は《明治初年花街として出発。明治44年元林院町検番設置。大正年間には置屋12軒に増え昭和にかけ芸妓も200人を数えるぐらいになるが昭和40年代半になると元林院の衰退が始まり現在置屋は3軒、芸妓数は13名》。
http://www.kikuno.net/about.html

《元林院という寺院は興福寺の別院だったと言われ創建時期は不明。地方から出てきた人たちの宿所だった。興福寺別院の元林院は 1532年で焼失しその後再建されずこの頃から奈良の他の町と同様町人たちが移り住み元林院町の歴史の始まり。江戸時代には竹坊と称する絵師たちが工房を構え絵屋町を形成。別名絵屋町と呼ばれる》。

実業之日本社の「コン平&糖子のブログ」には、著者・菊乃さんへのインタビュー記事が載っていて、無料で公開されている。これが面白い。《「現在奈良にお住まいだそうですが、奈良に住む人の人柄ってどんな感じなのですか?」 菊乃「個性的な人が多いんとちがうかな? う~ん、個性的というよりは、自分を持ってはる方が多いですねぇ。前から奈良に住んでる人にしても、こう、『わたしはわたし』というような方が多いように見受けられますね。強気で『わたしはわたし!』と肩ひじはっているのではなく『うちはうちやから~』みたいな。『だからこうしたい~』『したいからしてんねん~』っていう方が多いように感じますねぇ」》。う~ん、これは鋭い。奈良県人は、わりと頑固なのだ。
http://ameblo.jp/konpeitoshobou/entry-10668306793.html#main

《「芯は強いけど、当たりはソフトな人が多いんですね。奈良に住んでて感じる奈良の魅力ってなんでしょう」 菊乃「そうですねぇ。奈良は、どこからか集まってきた人らが多いんです。地元の人は少ない気がしますね。いったん奈良を出て、どっかよそへ行ってまた戻ってくるというパターンも多いみたいですよ。よその土地や外国へ行ったら奈良の良さを再発見して、『やっぱり奈良がいい』って思うみたいですよ。ほっとできるんですって。心のふるさとというんかなぁ」》

《菊乃「うちは大阪出身なんですけど、もう奈良で過ごしている時間の方が長いさかい。たまに帰省してまた奈良へ帰ってきたときはね、夜に近鉄奈良駅に降り立って空気を吸ったら、『はぁぁぁ』って落ち着くんですよね。関東から来られた方もね、近鉄奈良駅の前の行基像(ぎょうぎぞう)あたりでいつも、『奈良の空気は全然違うなぁ』と感じはるそうですよ。普段いたら思わないんですけどね」》

《「菊乃さんは10代のころからずっと舞妓、芸妓をされていて、とてもお忙しいイメージがあるのですが、恋愛をする時間はあったのですか?」 菊乃「ある、ないではなく、そういう時間は作るもんでしょう。それに、恋愛しているときっていつの間にか睡眠不足になってしまっていても、妙にうきうきして、元気が出てきません? 健康やないとデートできないし。化粧品を選ぶにしても、どういうのが好きなんかな、こういうのが好きなんかな、こんなのデートで着ようかしら? なんてわくわく感が24時間続きますでしょ。うきうきモードがスイッチオンですよ。恋愛は元気にしてくれるものでしょう。逆に、元気になれない恋愛はだめですよね。うちは前向きなんでマイナス思考の男性はお断り!」》
http://ameblo.jp/konpeitoshobou/entry-10695166651.html#main

GACKTIONARY
Gackt
角川マーケティング(角川グループパブリッシング)

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《「菊乃さんは、どんな男性が好みですか?」菊乃「今、GACKTさんが大好きなんです(笑)今度、GACKTさんが主演の『眠狂四郎』の公演を観に行くんですよ。楽しみですね。もうチケットが届いた日にゃあ……ふふふ。生もお綺麗でしたねぇ~。着流しが素敵で~♪ お顔でいうとね、こう、切れ長でしゅーっとしたような、目の細い人が好きなんです。あと『鬼平犯科帳』の二代目中村吉右衛門さんとか。どちらかというとファザコンなんです、うち(笑)。逆に若い人は苦手なんですよ、一緒にいても何を喋っていいか分からなくて。年上の方でお話上手な方が好きですね。それもかなり年の離れた人。でも、GACETさんは特別。彼ってこの世のものじゃないような美しさがあるじゃないですか。そこがいいんですよね」》。

菊乃さんは花柳流の名取(花柳鷹)で、この土曜日(11/27)には「名生の奈良~世阿弥への熱き想いを所縁の奈良で」(やまと郡山城ホール・伝統芸能シリーズ)というイベントで、創作舞踊「井筒」を舞われた。能の「井筒」(筒井筒)から詞章を取り込んだ新作で、あまり大きな動きのない難しい舞踊だったが、菊乃さんは情感たっぷりに舞われていた。菊乃さんが登場すると、静かな会場内からどよめきが起きた。

「夜の街がない」といわれる奈良で、菊乃さんの存在は大きい。最近は「ゆうドキッ!」(奈良テレビ放送)や「かんさい想い出シアター」(NHK総合テレビ)などにも出演され、奈良の「顔」として活躍されている。3年前からはお茶屋バー「つるや」も営まれている(ただし「一見さんお断り」である。私も入れてもらえなかった)。『芸妓 菊乃のかわいい奈良』は、そんな菊乃さんへの「入門書」としても読める本だ。
http://www.asahi.com/food/news/TKY200711180082.html

この本には、奈良の花街に住む若手芸妓の目から見た「かわいい奈良」の魅力が満載されている。ぜひお読みいただきたい。

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大ヒット!1300年祭の秘宝・秘仏開帳

2010年11月28日 | 平城遷都1300年祭
11/23付の朝日新聞(大阪本社版・社会面)に、こんな見出しが躍った。《秘仏開帳 大ヒット》《奈良 古寺に人波 ひと月10人→2000人》。前文には《ひと月10人が来るだけだった山里の寺に1カ月で2千人が訪れ、桜の季節ばかりが有名だった吉野山にはこの秋、10万人が押し寄せる勢いだ。平城遷都1300年祭の今年、奈良県内の50を超す社寺が、ふだんは公開しない秘仏などを特別開帳。古寺巡礼ブームのなか、各地で参拝者が急増している。(編集委員・小滝ちひろ、成川彩)》
http://www.asahi.com/kansai/entertainment/news/OSK201011230016.html


本堂で寺宝展を開く円成寺(奈良市忍辱山町 11/12撮影)

《奈良市東北部、柳生(やぎゅう)の里の入り口にある南明寺(なんみょうじ)は、寄棟(よせむね)造の本堂に薬師如来坐像(ざぞう)などを安置する。お堂も仏像も鎌倉期の重要文化財だが、市中心部と結ぶ路線バスは日に数本。米田弘雅住職は「拝観者が月10人を超すことはめったになかった」という。しかし、10月23日から本堂を公開すると、11月21日までに約2千人が参拝し、拝観料収入がどっと増えた。米田住職は「傷みが目立つ涅槃(ねはん)図=江戸時代=の修理費用などにいかし、多くの人にまた来てもらえるようにしたい」と話していた》。なるほど、拝観料が増えれば修理代に充当できる。やはり拝観者に来ていただかないと、ジリ貧になるのだ。
※奈良大和路 秘宝・秘仏特別開帳(平城遷都1300年記念事業協会の公式HP)
http://www.1300.jp/event/roam/yamatoji/index.html

1300年祭の今年は《大小五十数カ所の社寺で「祈りの回廊~奈良大和路 秘宝・秘仏特別開帳~」が行われ、普段あまり公開されていない建物や宝物が積極的に公開された。その効果はあちこちで表れた》。「祈りの回廊~奈良大和路 秘宝・秘仏特別開帳~」(「巡る奈良」事業)では、南都銀行OBによるボランティアグループ「ナント・なら応援団」(36人)が活躍している。年間を通じ、計15か所で仏像などの説明(ガイド)をしていて、活動日数は約878人日(=人数×日数)に上る。
※ナント・なら応援団の活動報告(当ブログ内)
http://blog.goo.ne.jp/tetsuda_n/e/b7ed818034bd72f6d79bee0fc4ee77e3


円照寺(奈良市山町)では、庭園が特別公開(11/18撮影・トップ写真とも)

《県南部の吉野山にある修験道の根本道場・金峯山寺(きんぷせんじ)は9月1日から100日間、秘仏の本尊・金剛蔵王権現像(16世紀、国重文)を特別公開している。田中利典(りてん)執行長は「参拝者は例年の10倍。100日で10万人を超すのではないか。吉野まで足を運んでもらおうにも、寺の努力には限界がある。やはり県をあげてのPRが届いた」とみる》。拝観料は大人1000円だから、1000円×10万人は、などという計算をしている場合ではない。桜の季節以外は閑古鳥が鳴いていた吉野山の飲食店や土産物店も、にわか景気に沸いている。金峯山寺蔵王堂には、土日だと1日2000人ほどが訪れるそうで、OBもガイドどころではなく、懸命に場内整理に当たっている。
※金峯山寺 金剛蔵王権現像(当ブログ内)
http://blog.goo.ne.jp/tetsuda_n/e/0c4a12cadfd8d653143ccf8b73ad1920

《秘仏・阿弥陀如来立像がある奈良市の「叙寰宦iれんじょうじ)」は「5月と10月の公開で1日平均100人以上。通常の3倍の拝観者が来た」、室町時代の再建以来初めて三重塔の初層を公開した同県高取町の壷阪(つぼさか)寺も「春は3~4割増、秋は1割増。これまでほとんどなかった関東からの参拝者が目立った」という》。壷阪寺の三重塔は初公開で、それが室町時代以来だというからスゴい。OBによると、東京からの日帰り客がいるそうだ。早朝に東京発→新幹線で京都→観光バスで金峯山寺蔵王堂と壷阪寺→その日の夜に東京帰着、というJR東海などの弾丸ツアーが企画されたのだという。
※裸形阿弥陀仏の寺・叙寰宦i当ブログ内)
http://blog.goo.ne.jp/tetsuda_n/e/2bdb4ec1171dad2392ef7bbd9da5b834


壷阪寺三重塔前で開かれた事前説明会(9/7)

《金峯山寺を訪れた千葉県松戸市の主婦荻原貴美さん(63)は「今、秘仏を見逃したら、数十年先になるかも知れないと思って来た。本などで下見したが、本物は100倍素晴らしい」。室生(むろう)寺=奈良県宇陀市=や当麻(たいま)寺=同県葛城市=など5、6カ所の秘宝・秘仏を拝観した奈良市の飲食店長山田素子(もとこ)さん(26)は「秘仏に会えるとラッキーな気になる。いつも行っている寺社でも、特別なものが見られてお得だった」と言った》。
※まだ拝観できる主な特別開帳(11/23現在)
http://www2.asahi.com/kansai/entertainment/image/OSK201011220265.jpg

この事業の成功の陰には、平城遷都1300年記念事業協会の辻晋吾さん、露口真広さんをはじめとする職員の皆さんの献身的な努力があった。私もよく深夜や休日にお電話をいただいたが「皆さん、ちゃんと寝ているのだろうか」と心配になるほどの活躍ぶりだ。現地にも何度も足を運ばれ、その都度パンフレットを補充されたり、説明書きを追加されていて、全く頭が下がる。

《課題は来年からの取り組みだ。「今年のような開帳が続くとありがたい」(県幹部)と期待する声もあるが、具体的な動きはまだない》。継続については、すでに春頃から議論されていた。来年以降の体制づくりも、県を巻き込んで秋頃から準備されていて、今後の展開が楽しみである。

禅の教えに「明珠在掌(みょうじゅたなごころにあり)」という言葉がある。曇りのない明珠(宝珠)は、どこかヨソにあるのではなく掌(手のひら)、つまり自分の中にある、という意味である。奈良県には国宝の仏像が70件、国宝建造物が64件・71棟もあり、いずれもダントツで全国1位である。どこかに観光資源はないか、地域おこしのネタはないかと探さずとも、地元にこんな埋もれた「お宝」があったのだ。

折しも、世は歴史ブーム、仏像ブーム、古寺巡礼ブーム。2011年以降も、秘宝・秘仏特別開帳で全国から奈良県に拝観客を引きつけたいものである。
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Topic まもなく第5回奈良検定の申込み締切です!

2010年11月27日 | お知らせ
第5回奈良まほろばソムリエ検定(奈良検定)のインターネットによる申し込みは、11/30(火)締め切りである(郵送による申し込みは、12/1必着)。受験料はクレジットカード決済で、別途手数料350円が必要になるので、ご注意を。
※奈良まほろばソムリエ検定の公式ホームページ
http://www.nara-cci.or.jp/narakentei/02/index.html

奈良商工会議所公認 チャレンジ奈良検定 出題全問 必勝整理ノート 2011年第5回対策

株式会社毎日新聞 奈良支局

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今回の奈良検定については、耳寄りな情報がある。主催者によれば、2級試験では過去問(既出問題)から「5割」、1級試験では「3割」程度出題されるというのである。だから毎日新聞の『チャレンジ奈良検定 出題全問 必勝整理ノート』1260円が、役に立つ。過去問のうち「正解とならなかった選択肢」などを徹底的に勉強すれば、大きな収穫を得ることができるだろう。

2級試験対策としては、私が以前に作った攻略本『ズバリ!奈良検定2級の要点整理』も使える。わずか35ページに要点をまとめてあるので、1日1ページ勉強すれば、1か月と少しで要点が頭に入る仕掛けである。
※ズバリ!奈良検定2級の要点整理(当ブログ内)
http://blog.goo.ne.jp/tetsuda_n/e/71fa593b91174a1b88f394f5dc2917e5

改訂新版 奈良まほろばソムリエ検定 公式テキストブック
網干善教
山と溪谷社

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なお「1級対策の攻略本を作ってほしい」という要望をよくいただくが、それはムリな話で、1級対策としては、過去問と『奈良まほろばソムリエ検定 公式テキストブック』を隅から隅まで読んでいただくことが、最善の対策である。

奈良県の歴史散歩〈上〉奈良北部

山川出版社

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ソムリエ対策は、当ブログで紹介したので、こちらを参考にしていただきたい。参考書は『奈良県の歴史散歩(上・下)』が必読だ。論述部分は、やはりあらかじめ「手で書く練習」をしてから試験に臨んでいただきたい。ソムリエ試験は時間との戦いである。試験場では、時間に追われてアセる。だから四択問題(=テキストと過去問から6割程度出題される)は、直感でササッと解答できるようにしなければならない。
※奈良検定「ソムリエ」必勝法(当ブログ内)
http://blog.goo.ne.jp/tetsuda_n/e/574b2e662bfe0c660b99a5d76c1b39b9

平城遷都1300年祭で、全国から注目が集まる奈良。奈良検定の趣旨は《価値ある観光資源を持つ奈良をより多くの人に理解していただく一方、奈良を訪れる皆さんに、そのすばらしさを伝えることができる人材の育成を目指します》(主催者のHP)というものである。ぜひ検定にチャレンジ・合格され、奈良の語り部として、奈良を盛り上げていただきたい。
コメント (6)
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そば処 幸村庵

2010年11月26日 | 九度山町
11/3、真田幸村ゆかりの九度山町(和歌山県伊都郡)に「そば処 幸村庵」がオープンした。朝日新聞(11/6付和歌山版)によると《戦国武将の真田昌幸・幸村父子が蟄居(ちっきょ)した九度山町で、真田氏のふるさと長野県の名物「信州そば」を出す店が開店した。店名は「そば処(どころ)幸村庵(あん)」。新たな名物づくりと町中心部の活性化のため、町が木造平屋建ての古民家(約150平方メートル)を改装した》。
※九度山町の公式ホームページ
http://www.town.kudoyama.wakayama.jp/dd.aspx?itemid=2635

《町は店に立つそば打ち職人を一般から募集。選ばれた人が、九度山町の姉妹都市で、かつて真田氏の居城があった長野県上田市でそば打ちの研修を受けた。町出資の財団法人「町柿の里振興公社」が運営。当面は上田産のそば粉を使用するが、九度山町内の遊休地を活用してソバの栽培にも取り組んでおり、将来は店で使う計画だという。町は「紀州九度山真田そば」と銘打って町の名物にする考えで、岡本章町長は「2号店、3号店と広げ、『関西のそば処』を目指す」と話している》。
http://mytown.asahi.com/areanews/wakayama/OSK201011050068.html



岡本章町長は、中学時代の同級生である。故郷を離れた私とは違い、九度山で喫茶店を経営しながら町会議員を務め、4年前に町長に当選した。観光を起爆剤にした町の活性化に尽力している。「そば処 幸村庵」も、真田幸村が蟄居した「真田庵」の隣に置くというこだわりぶりだ。
※九度山町を元気に!(当ブログ内)
http://blog.goo.ne.jp/tetsuda_n/e/9405cf5bec364f91f72008ce8f7a378f

《店の場所は、真田父子が住んだ場所に立つ「真田庵」〈善名称院(ぜんみょうしょういん)〉の東隣。メニューはざるそば(600円)のほか、天ぷら、柿の葉ずし、そば豆腐などのセット「幸村御膳(ごぜん)」(2千円)など。そばは腰が強く、歯ごたえがあるのが特徴という。定員45人ほど。営業時間は午前11時~午後2時、午後5~8時。月曜定休。電話は0736・54・3751》。
※そば処幸村庵へ行ってきました(地元のmatsuさんのブログ)
http://www.k-matsu.com/mt/2010/11/post-350.html



11/24、休暇を取って帰省し、母と「そば処 幸村庵」を訪ねた。着いたのは11時半頃だったが、ほぼ満席だった。土日だと、オープン直後の11時頃に訪ねないと並ばなければならない、とのこと。私は「町場ならともかく、こんな田舎で、そば屋の経営が成り立つだろうか」と心配していたが、それは杞憂(きゆう)だった。

古い町家を改装したとのことであり、柱も梁も頑丈で、とても良い雰囲気に仕上がっている。床の間の鎧甲が、雰囲気を盛り上げる。席は、観光バス1台の約45人分が用意されているそうだ。庭もきれいだ。私は冷たい天ぷらそば(900円)、母は温かいかけそば(600円)と柿の葉寿司(250円)を注文した。



こちらのそばは、今年の真田祭りでも、仮設店舗で振る舞われた。1人前200円という「お試し価格」で、とても美味しくいただいた。だから、味には全く不安がなかった。
※2010真田祭り回顧(当ブログ内)
http://blog.goo.ne.jp/tetsuda_n/e/07fe1d6fdec7a0d1fa5f61c3a9f50cfa

毎日新聞(10/30付和歌山版)には《そば打ち技術を伝授した「信州そば」の本場、上田市の笠原茂正・真田地域自治センター長は「練りもだしも申し分なく、本場よりおいしい」と太鼓判を押した》とあった。麺は「二八そば」(そば粉が8割)で、つるつるとのど越しが良い。ざるそばのツユは本格的な濃い口、かけそばのツユは関西風の薄味で、これもよく考えられている。天ぷらも、からりと揚がった本格派である(海老は2匹)。
http://mainichi.jp/area/wakayama/news/20101031ddlk30040269000c.html



店内を見渡しても、知った顔はいなかった。噂を聞きつけて、町外からもたくさんの人が訪れているようだ。メニューには、600円~1200円のそば単品14種類のほか、「そば焼きみそ」などの一品や、そばと天ぷら、そば豆腐などをセットにした「幸村御膳」(2000円)などもある。4月に始まる「町家の人形めぐり」のシーズンや、5月4~5日の「真田祭り」の時期には、相当の混雑が予想される。

和歌山特報(11/11付)には《兵庫県の豊岡市出石町が皿ソバに注力。3店から51店(売上げ約140億円)に躍進、マチを活性化させた。豊岡市と肩を並べるソバのマチ・九度山町を描いている。オープン当日(3日)はも、和歌山市や大阪方面から家族連れや女性グループが大勢訪れた。中には満員で引き返す人もいた。ソバでマチ起こしを意気込む岡本町長は、入口付近へ立ち、笑顔で来店客を1人ひとり出迎えていた。原料のソバを町内で栽培、農家の収入をふやす取り組みも開始した》とある。

幸村庵は順調にスタートを切ったが、閑散期の冬場をいかに乗り切るか、4~5月の観光シーズンにいかにお客をさばくか、課題は残っている。岡本町長は、衆知を集め、ぜひ困難を乗り越えて、「町家の人形めぐり」に続く九度山の「町おこし」第2弾を成功に導いていただきたい。
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