tetsudaブログ「どっぷり!奈良漬」

コロナも落ちつき、これからが観光シーズン、ぜひ奈良に足をお運びください!

川上村で、ベビーラッシュが起きている!(社内報「なんと」299号)

2022年12月31日 | 奈良にこだわる
南都銀行の社内報「なんと」299号(2022夏・秋合併号)の「巻頭言」では、川上村(奈良県吉野郡)くらし定住課の辰巳龍三課長が、同村の移住・定住への取り組みを紹介されていた。地道に活動を行ってきた同村では子育て世代の移住者が増え、子どもの人数は5年間で17%増えたというから、すごい。以下に全文を紹介する。

日本一人口が減る村でのベビーラッシュ
執筆者:川上村くらし定住課
課 長 辰巳龍三(たつみ・りゅうぞう)さん


川上村は、県南東部に位置し、山林が面積の95%を占める「吉野林業」の発祥の地です。また、奈良県では「吉野川」、和歌山県に入ると「紀の川」と呼ばれる川の源流に位置し、「水源地の村」として、奈良県の多くの市町村へきれいな水を供給し続けています。

川上村の人口は、1955年には8000人を超えていましたが、ダムの建設や林業の衰退等により、人口は大きく減っており、2015年には約1300人まで減少しました。

国立社会保障・人口問題研究所が2018年に発表した「地域別将来推計人口」では、2045年までの人口減少率が「全国ワースト1」と位置付けられ、2045年には村の人口が5分の1になるという予測が発表されました。

しかし、この予測が発表されるより前の2013年から、人口減少の状況をなんとかしようと、村の若手職員が声を掛け合ってチームを作り勉強会を始めていました。

当初は、村営住宅を建てて移住者を呼べばいいと考えていました。しかしながら、スーパーマーケットやガソリンスタンドの生活インフラが少なくなる村では、移住や定住は望めないと気付きました。

村営住宅を建てるだけでなく、どうやったら村に来てもらえるのか、役場職員が課を横断して村民の暮らしを支えることを幅広く考えるようになりました。

結果として、今住んでいる村民が安心して住み続けられるように、“住み心地”を整えることを意識し、まずは、今住んでいる村民を大切にする方針に変わりました。今の村民が暮らしやすい村づくりが、結果的に外から人を呼び込む魅力につながっています。

住民の“住み心地”を整えつつ、移住推進に取り組むなか、移住を希望する人たちから「働く場所が見つかるかが不安である」という声を聞く機会が多かったので、移住希望者に働く場所を紹介するために、村内の事業所を調査しました。

そのなかで、事業所の「従業員の確保が大変」「後継者がいない」という課題が浮き彫りになってきました。移住希望者の中には村内で働く場所を探したい人がいる一方で、村内の事業者は人材確保・後継者不足を課題としていました。

「村に住み働きたい人」と「働き手を求めている事業者」をマッチングするために、村内にある複数の事業者が協力し合い、「事業協同組合かわかみワーク(以下かわかみワーク)」を2021年に設立しました。

「かわかみワーク」がいわば派遣会社のような役割を果たし、村内で住み仕事を求める人と雇用契約を結び、「かわかみワーク」がきめ細かいマッチングを行い、職員を事業者へ派遣しています。

また、川上村への移住を検討しているが、「どんな人が住んでいるのか?」「どんな生活をしているか?」と不安に感じられる方に向けて、移住体験ツアーを実施しています。

空き家の紹介や小学校等子育て環境の紹介、求人募集している事業所の紹介等川上村の『今』が分かる移住体験ツアーとなっており、移住検討者の不安を解消しています。

このように、移住・定住への取り組みを地道に行ってきた結果、子育て世代の移住者が増え、子どもの人数は5年間で17%増加しベビーラッシュとなっています。

今年度より、『子育て』・『教育』・『暮らし』・『仕事』・『住まい』の5つの施策をワンセットとして、子育て世帯に向けて情報発信を強化しています。

令和6年度には、9年間のシームレスな教育を行うことができる新築木造3階建ての義務教育学校が開校します。子育て世帯にはどんどん来てほしいです。

これからも、住民の方の“住み心地”を整えつつ、“新しい出会い”を求め、現状に満足せずに、常に新しい取り組みを打ち出していきたいです。



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オペラ「トロヴァトーレ(吟遊詩人)」ハイライトステージ&コンサート、1月15日(日)なら100年会館で上演!(2023 Topic)

2022年12月30日 | お知らせ
2023年5月18日(木)~21日(日)の4日間、「法隆寺」境内の特設ステージで、日本で最大級の野外オペラ「トロヴァトーレ(吟遊詩人)」が上演される。

これを記念して、2023年1月15日(日)「なら100年会館」中ホールで、「オペラ『トロヴァトーレ』ハイライトステージ&コンサート~炎の復讐劇~」が上演される(他に1/14には宝塚、1/27には名古屋、1/28には京都、2/7には東京で上演される)。

当日(1/15)は、第1部で有名なオペラの名曲や日本歌曲などが歌唱・演奏され、第2部ではオペラ『トロヴァトーレ』が日本語ナレーション入りのハイライトとして上演される。ナレーションが入っているので、初めてでも楽しめる。また桜井市出身のソプラノ歌手・梨谷桃子さんが、特別(賛助)出演される。同公演の公式サイトには、

初めての方でも楽しめる、ヴェルディの傑作!
これを見れば野外オペラ・法隆寺公演がより楽しめる!


公演日程 2023年1月15日(日)開場13:15 開演14:00
※チケットのお申し込みは、こちら

【チケット料金】全席指定・税込
ペア:7,600円/一般前売:4,000円/学生前売:1,000円

※ペアは2枚同時購入必須、取り扱いは前売りのみです。
※学生は、小学生~高校生までが対象です。入場時に学生証の提示を求める場合がございます。
※未就学児の入場は不可とします。
※残席があった場合に当日券を販売いたします。その際の販売価格は(一般当日:4,500円、学生当日:1,500円)です。
※新型コロナウイルス感染症状況によっては、主催者の判断により中止とさせていただく場合もございます。

出演者 〈オペラ歌手〉上田純子(レオノーラ:ソプラノ)/後田 翔平(マンリーコ:テノール)/佐々木有紀(アズチェーナ:メゾ・ソプラノ)/上田誠司(ルーナ伯爵:バリトン)/梨谷桃子(ソプラノ)*賛助出演/〈ピアノ〉篠宮久徳
〈演出〉小澤可乃(さわかみオペラ芸術振興財団)
主催 公益財団法人さわかみオペラ芸術振興財団


法隆寺での野外公演に先立って行われる「ハイライトステージ&コンサート」、皆さん、ぜひ足をお運びください!

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ご夫婦で表具用手漉き和紙「美栖紙(みすがみ)」を作り続ける 上窪良二さん(社内報「なんと」299号)

2022年12月29日 | 奈良にこだわる
南都銀行の社内報「なんと」の「お久しぶりです(退職された方からのお便り)」のコーナーは、同行OB・OGの皆さんが、元気で活躍されている姿がわかるので、いつも真っ先に拝読している。その299号(2022年夏・秋号)では3人のOB・OGが、現況を綴っておられた。
※トップ画像は、毎日新聞奈良版(2022.4.29付)

上窪良二(うえくぼ・りょうじ)さんは、多忙な銀行勤務の傍ら、奥さんのご協力を得ながら、吉野町のご自宅兼工房(上窪和紙)で美栖紙(表具用手漉き和紙)を作り続け、今年の春の叙勲では「旭日双光章」を受賞された、おめでとうございます!「なんと」299号では、

伝統の紙漉(かみす)き、妻と共に
上窪 良二さん
昭和37年入行 平成13年退職


銀行を退職して21年になります。退職後5年あまり桜井木材協同組合へ出向し、平成17年より家業の和紙製作に専念しています。私が勤めている間、妻が両親と共に仕事に従事し紙漉きの技術を習得しました。

表具用手漉き和紙「美栖紙(みすがみ)」の製作は、原料を吟味し伝統的な製法を守り、ほとんどが手作業の手間ひまのかかる作業ですが、今も伝統的な製法を厳格に守って製作しています。

美栖紙はどんな所に使われるのですかとよく尋ねられますが、そのほとんどが掛け軸や巻物の文化財の修理に使われます。

最近、美栖紙が使われた修理のなかでは、誰もがよく知っている国宝「鳥獣戯画」の修理が5年間かけて行われました。今回、全面修理でしたので古い裏打ち紙をすべて取り除いて新たに表装されましたが、私の製作した美栖紙も裏打ちに使われました。

作品にもよりますが、200年~300年に一度こうして修理を行い大切な文化財を後世に残して行く努力がなされています。日本の文化財を支える重要な和紙の一つを家業として永年漉かせてもらっています。

また、表具に関する材料や用具を作る技術者の団体「一般社団法人伝統技術伝承者協会」の創立から役員としてかかわり、理事長も務めさせていただき業界の発展に取り組んできました。

今回、図らずも「旭日双光章」拝受の栄に浴し、改めてこの仕事の重要性を評価していただき大変うれしいことと思っています。今後は後継者の育成に力を入れ、一層精進して文化財の修理・保存に貢献できるよう、妻と共にもう少し頑張りたいと考えています。

このように退職後も仕事を中心とした生活ですが健康であることに感謝しています。


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木造アーケード「陽屋根(ひやね)」を守って来られた 堀元信さん(社内報「なんと」299号)

2022年12月28日 | 奈良にこだわる
南都銀行の社内報「なんと」の「お久しぶりです(退職された方からのお便り)」のコーナーは、同行OB・OGの皆さんが、元気で活躍されている姿がわかるので、いつも真っ先に拝読している。その299号(2022年夏・秋号)では3人のOB・OGが、現況を綴っておられた。
※トップ写真は堀元信さん、奈良新聞の記事サイト(8/3付)から拝借した

天理市丹波市(たんばいち)町は、明治時代初期から市場町として栄えた。特に魚を扱う店が多かった界隈には、南北約100mの木造アーケード「陽屋根」が建てられ、太陽光から鮮魚を守ってきた。

昭和25年のジェーン台風でほとんどの屋根が吹き飛んだが、堀さんのお祖父さまは自費で自宅前の陽屋根を再建し、丹波市町のシンボルとして守ってこられた…。この話は朝日新聞奈良版(6/24付)や奈良新聞(8/3付)でも紹介されていた。では「なんと」の記事全文を以下に紹介する。

想いをつなぐ「陽屋根(ひやね)」
堀元信さん
昭和63年入行、令和4年退職
現在 株式会社森川商店勤務


私の地元である天理市丹波市町は、古くはお伊勢参りの宿場町として栄え、藩から保護された歴史ある町です。その後も昭和20年ごろまで市場町としてにぎわい、その名残としてレトロな風情をとどめていた「陽屋根」が今年1月に撤去されました。

明治初期には、このあたりに魚を扱う店が多く、日光を避けるために陽屋根が建てられ、「木造アーケード」として南北100メートルもありました。昭和25年の台風でほとんどの屋根が飛んでしまいましたが、祖父が町並みには欠かせないものだと、自費で鉄筋の支えやコンクリートの土台固めなどで補強し、丹波市町のシンボル・歴史的建造物として維持してきたと聞いています。

私にとって陽屋根の思い出といえば、子供のころ、すぐ近くの神社で遊んでいて雨が降ったら屋根の下に行ってキャッチボールや、三角ベースをしたことです。まさに現在のドーム球場的な存在でした。

この自宅前の陽屋根ですが、道路交通法上の問題や木の老朽化も進んでいたため、天理市と協議のうえ撤去されることになりました。撤去されたときは寂しさがありましたが、今後モニュメントとして残すなどしていくのが、私の丹波市町への恩返しと思っています。

なお、陽屋根の撤去にあたり屋根の梁に使っていたヒノキ材を天理市に寄贈しました。この立派な大きな梁のヒノキ材が、当時繁栄していた町を裏付けるものとして、次世代の方々の目と心に訴え、リアルに実感していただければとの想いで市役所に持参しました。

天理市からは感謝状をいただくとともに、展示スペースを設ける予定など賛同をいただきました。何ともいえない温かさを感じる陽屋根。なくなってしまいましたが、私をはじめ地元の方々の思い出の中では、これからもそこに在り続けます。




以下の画像は、奈良新聞(2022.8.3付)
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尾上幸子さん「お久しぶりです」に登場!(社内報「なんと」299号)

2022年12月27日 | 奈良にこだわる
南都銀行の社内報「なんと」の「お久しぶりです(退職された方からのお便り)」のコーナーでは、同行OB・OGの皆さんが、元気で活躍されている姿がわかるので、いつも真っ先に拝読している。その299号(2022年夏・秋号)では3人のOB・OGが、現況を綴っておられた。

うち尾上幸子(おうえ・さちこ)さんは、私と同期入社で、配属も本店だったので、仲間と連れだってよく遊びに行った。今は退職され、朗読家として、また読み聞かせ講師として元気に活動されている。全文を抜粋すると、

朗読家、読み聞かせ講師として活動
尾上 幸子さん(旧姓:小崎)
昭和53年入行/平成26年退職


現在、朗読や読み聞かせ講師として、また朗読家として活動しています。在職中、子供の手が離れたころ、余暇にと朗読教室へ通い始めました。最初は趣味でしたが、先生が私の朗読を褒めてくださったことがうれしく、だんだん意欲や活力が湧いてきました。

また、次第に私の好きな朗読で周りの人が元気になったことで、気軽に集える場所作りがしたいと思う気持ちが強くなり、「一般社団法人日本朗読検定協会」で基礎から学び講師の資格を取得しました。

退職の翌年より講師としての活動を「なら文化さろん新大宮教室」から開始し、今では「近鉄文化サロン奈良」など複数のカルチャーセンターで開講させていただいています。

朗読講座のほかに、書店やアフタースクール、公民館の生涯学習などで絵本の読み聞かせ活動や朗読会を開催したり、時々ラジオ番組で朗読をさせていただいて声を届ける活動もしています。

生徒さんが自身の読む力が伸びることを実感して生き生きされたり、読み聞かせでは子供たちの真剣な眼差しや笑顔に出会うと、私も新しい発見と大きな喜びを感じることができます。

また最近では、万葉集を題材としたイベント「万葉物語朗読&コンサート」に参加し、子供たちやたくさんの方々に万葉集を知ってもらう活動を始めています。今後はこの活動にも力を入れていきたいと思っています。朗読などにご関心のある方は、ぜひご連絡ください。


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