9/27(土)13:00~16:00、県橿原文化会館で開かれた「吉野山灯(やまあか)り10周年記念フォーラム」(基調講演とパネルディスカッション)に参加してきた。フォーラムには、業界や行政の関係者、一般消費者など約170人が出席した。テーマは「木の住まいと吉野の森」だ。
http://www.biz.yoshino.jp/akari/010c/10_f.htm
事前にいただいたパンフレットには《木を大好きな日本の人々 その木が私達の暮らしの場から遠ざかりつつあります。その一方で日本の山や森では沢山の木が放置されています。木の好きな人々の暮らしに、木を近づけるために 私たちは何ができるでしょう?》とあった。単に木の家をどう売るかということではなく、相当根源的なところから問題提起されている。
冒頭、吉野山灯り実行委員会の中井神一会長に続き、吉野町長の北岡篤氏が挨拶(写真)。《吉野は「モノが良いから売れる」と高をくくり、川下の先(エンドユーザー)のことを考えてこなかった。その間にブランド力に劣る他所は、懸命に創意工夫して頑張っていた。林材業が元気にならないと、吉野は元気にならない。素晴らしい吉野材をどう売っていくか、今日のフォーラムで考えていただきたい》と語った。
挨拶される北岡町長
■基調講演…千田要宗氏(せんだ・としむね (株)飛行船スタイル代表)
千田氏(=冒頭の写真)は、大阪でプロダクトデザイナーの仕事をされ、週末には上千本(吉野山)の工房で、山灯りの作品を制作されている。
氏は、これまで手がけられた仕事をスライド上映しながら、《吉野は「優美」という言葉がよく似合う。京都は「優雅」だ。また京都のハレ(晴=非日常)に対し吉野はケ(褻=日常)、「雅(みやび)」でなく「俚(さとび)」だ》。
《自然材と人間の知恵をうまく組み合わせることが大切》《マンションのクローゼットや下駄箱はビルトイン(作りつけ)されているが、これは日本の発想だ。押し入れも床の間も、ビルトインだ》と語り、自ら考案した、壁に引いたレールの上に引っ掛ける形の家具などを紹介された。
■パネルディスカッション
コーディネーターは千田氏。パネラーとプロフィール(会のHPより抜粋)は、
○栗本修滋氏…㈱共同設計企画(栗本技術士)
社会と自然の共生や森林生態など自然環境に関する分野の専門家。日本全国の森林・林業に精通。
○阪口浩司氏…坂口製材所代表
木材の天然乾燥や品質管理した材の提供等。次代の先を見据えた経営で吉野の製材業を牽引。
○福井綱吉氏…㈱ケイ・ジェイ・ワークス代表
日本の風土に似合う国産材による木造在来住宅の設計・施工に携わり、木の暮らしをトータルに提案
○坂本良平氏…吉野中央森林組合専務理事
林業家・森林インストラクター・山灯り実行委員会創設時のメンバー。森林環境保護活動等を企画・運営。
吉野林業の歴史を振り返った坂本良平氏の話が面白かった。《安土桃山時代~江戸初期にかけて、城などを建てるために日本の森は乱伐された。近江に良材がなくなったため(仕方なく)急峻な吉野の木を伐った。大台ヶ原という日本有数の多雨地帯を控えた吉野の材は、脂が乗って腐りにくい、耐久性のある良材だった。そこで大規模な伐採が行われ、人工造林が実施された。伐採・造林を一体的に行ったのは、吉野が初めてだった》。
坂本氏(右)と福井氏
《間伐材は、数寄屋建築の材料となった。70~80年物の材は樽丸(酒樽用の木)になった(用途と施業が一体だった)。吉野の木は筏で和歌山へ流していたが、明治になって、吉野町で引き揚げて製材・加工するようになった。鉄道も開通し、全国へ出荷された》。
製材業の阪口浩司氏は《市場の「吉野材は値段が高い、ほしいものがない」という声に耳を傾けてこなかった。材を見ず、寸法と等級だけで売っていた。エンドユーザーのことを考えてこなかった。20年前から出てきた「木材乾燥」の問題についても、これを聞き流した地域ときちんと対応した地域で、(産地間競争の中で)大きな差がついた》。
阪口氏(右)と栗本氏
「木材乾燥」の問題とは、乾燥していない木材を使用して家を建てたり製品を作ったりすると、完成後に乾燥が進み、不具合が生じる。これを防ぐためには、十分乾燥させた材を使わなければならない。材の収縮や寸法の狂い、反り、ワレ・ヒビは乾燥する過程で発生するものなので、乾燥させた木材はそのような現象は起きず、安定した製品となるのだ。逆に未乾燥材を使用して何か製品を作ると、作った直後は問題がなくても、時間の経過により乾燥が進み、寸法の変化や反り、ワレが生じる。家の柱や壁などに使用した場合は、大きな問題となりクレームとなるのだ。
http://www.mokunokai.jp/sumaikagaku4.htm
千田氏は《外材は安いから売れているのではなく、洋風住宅にマッチしているから売れているのだ。ヨーロッパでは、やたら楢(ナラ)の木を使う。日本で多用する杉は、英語で“Japan Wood”という。鉄が高騰している今、3階建て住宅を木造で作る家が増えている》。
栗本修滋氏の話は具体的だ。《林野庁は岐阜・愛知・三重に巨大生産・流通基地を設ける計画だが、残念ながら吉野は入っていない。昨年、近畿の100~150の社寺で「神仏習合の巡礼ルート」を作るという計画が発表された。改修が必要になる社寺が多いから、吉野にとっては大きなビジネスチャンスとなるが、誰かこれに伴う改修計画を調査しただろうか》。
※参考:「神仏習合」巡礼ルート、近畿の100社寺で今秋創設(07.1.5付 読売新聞)
http://www.yomiuri.co.jp/tabi/news/20070105tb04.htm
千田氏の《今の時代は、同じことをしていては生き残れない。製材業者は、規模の小さいことを活かして、多様な活動をした方が良いのでは》という問題提起に対し、阪口氏は《吉野の製材業は、小規模だから生き残れた。コスト競争に加わらず、技術で勝負してきた。「吉野材センター」ができてから、意識が高まった。「ここなら、必要な材が全部すぐ揃う」ということを発信し続けたい》。
なお吉野材センターとは、吉野製材工業協同組合傘下の約100社によって、1974(昭和49)年に建設された木材製品市場(倉庫・展示場も備える)。共同取引を進め、吉野材の品質管理・販路拡大を行い、流通機構の合理化に努めるなど多様な機能を発揮している。
http://www.yoshino-wing.jp/
質問タイムになって、会場から3人の質問を受けることになった。2人はすぐ手を挙げたが、3人目がなかなか出てこない。で、私が日頃から疑問に思っていたことをぶつけてみた。
それは「外材と国産材の比率は8:2になり、材価はこの20年で1/3になった。しかも、今や世帯数より家の戸数の方が上回っている有様だ。こういう状態なのに、吉野で新たな動きが見られないのは、“またいつか、高度成長期のような良い時代が来るだろう”と高をくくっているのか。そうでなければ、高いプライドが邪魔になって身動きがとれないでいるのか」という質問だ。買い手は「国産材は高いから買えない」、売り手は「国産材は安いから伐り出せない」と、いつまで経ってもにらめっこだ。
栗本氏から回答があった。《危機感がないのは事実だ。材の販売価格が下がると、販売業者はその値下がり分を山主に負担させている。つまり、販売努力をしないで川上へ川上へとしわ寄せしているのだ。先ほどは社寺改修計画の話をしたが、もっと販売努力をすべきだ》。なるほど、これはありえる話だが、とても情けない。立場の弱い者をいじめているのだ。林業経営が厳しいはずだ。
見事に手入れされた杉の人工林(川上村高原地区)
この日のフォーラムを聞きながら、所どころで思い出したのが、田中淳夫著『森林からのニッポン再生』(平凡社新書)の「日本林業が没落した本当の理由」のくだりである。
《林業関係者が「日本の林業が不振になった理由」として口にするのは、たいてい「安い外材に押されたこと」と、「日本の山は急峻だからコストがかかること」だろう。(中略) だか、これははっきり言ってウソだ。実は、外材は決して安くない。国産材の値段とさして変わらない。いや、むしろ国産材より高いのである》(同書)。
山元(やまもと)価格では、国産材の方が外材より安い。しかし、流通と加工コストが高いので、建築現場に着く頃には、外材より高くなっている。日本は林道が未整備で、また高性能機械が普及していないため、効率が悪いのだ。《多くの外材は、不当に安いわけではない。日本とは比べ物にならない合理化ときめの細かい経営により、低コストで利益が出る構造を作り上げているのだ》(同)。
国産材が売れない理由に、乾燥度の違いがある。《現場で最大のポイントとなるのは、木材の乾燥度である。(中略) ところが国産材の中の乾燥材の割合は、いまだに2割に達しない》(同)。ハウスメーカーは《クレームの出ない家にするために、建築後に変化することの少ない素材を使いたくなる。それは完全に乾燥させている外材であり、エンジニアードウッドと呼ばれる工業化された木材だ》(同)。
《そのうえ日本の木材業界はユーザーの求める商品を出荷していないという。住宅1つとっても、斬新な機能や構法が次々と登場して、それに合わせた新しい木材のニーズが発生している。にもかかわらず国産材には、それらのニーズに対応した商品がない》(同)。また供給の安定性も問題だ。《現場の大工に、国産材を使いたくない理由を尋ねると、「安定供給されない」ことだといわれた》(同)。
何だか、『森林からのニッポン再生』の話のウラをこのフォーラムで取ったような具合になった。
コーディネーターの千田氏は、「自ら“変わる”ことが大切」と訴えたが、このような流通・加工、品質管理、供給という問題は、変えようと思えば変えられることばかりである。冒頭の北岡町長ではないが、林材業が元気にならないと奈良県が元気にならない。われわれ消費者としては、伐採→植林→保育・間伐→伐採のサイクルがうまく回るよう、もっと木を使わなければ。
http://www.biz.yoshino.jp/akari/010c/10_f.htm
事前にいただいたパンフレットには《木を大好きな日本の人々 その木が私達の暮らしの場から遠ざかりつつあります。その一方で日本の山や森では沢山の木が放置されています。木の好きな人々の暮らしに、木を近づけるために 私たちは何ができるでしょう?》とあった。単に木の家をどう売るかということではなく、相当根源的なところから問題提起されている。
冒頭、吉野山灯り実行委員会の中井神一会長に続き、吉野町長の北岡篤氏が挨拶(写真)。《吉野は「モノが良いから売れる」と高をくくり、川下の先(エンドユーザー)のことを考えてこなかった。その間にブランド力に劣る他所は、懸命に創意工夫して頑張っていた。林材業が元気にならないと、吉野は元気にならない。素晴らしい吉野材をどう売っていくか、今日のフォーラムで考えていただきたい》と語った。
挨拶される北岡町長
■基調講演…千田要宗氏(せんだ・としむね (株)飛行船スタイル代表)
千田氏(=冒頭の写真)は、大阪でプロダクトデザイナーの仕事をされ、週末には上千本(吉野山)の工房で、山灯りの作品を制作されている。
氏は、これまで手がけられた仕事をスライド上映しながら、《吉野は「優美」という言葉がよく似合う。京都は「優雅」だ。また京都のハレ(晴=非日常)に対し吉野はケ(褻=日常)、「雅(みやび)」でなく「俚(さとび)」だ》。
《自然材と人間の知恵をうまく組み合わせることが大切》《マンションのクローゼットや下駄箱はビルトイン(作りつけ)されているが、これは日本の発想だ。押し入れも床の間も、ビルトインだ》と語り、自ら考案した、壁に引いたレールの上に引っ掛ける形の家具などを紹介された。
■パネルディスカッション
コーディネーターは千田氏。パネラーとプロフィール(会のHPより抜粋)は、
○栗本修滋氏…㈱共同設計企画(栗本技術士)
社会と自然の共生や森林生態など自然環境に関する分野の専門家。日本全国の森林・林業に精通。
○阪口浩司氏…坂口製材所代表
木材の天然乾燥や品質管理した材の提供等。次代の先を見据えた経営で吉野の製材業を牽引。
○福井綱吉氏…㈱ケイ・ジェイ・ワークス代表
日本の風土に似合う国産材による木造在来住宅の設計・施工に携わり、木の暮らしをトータルに提案
○坂本良平氏…吉野中央森林組合専務理事
林業家・森林インストラクター・山灯り実行委員会創設時のメンバー。森林環境保護活動等を企画・運営。
吉野林業の歴史を振り返った坂本良平氏の話が面白かった。《安土桃山時代~江戸初期にかけて、城などを建てるために日本の森は乱伐された。近江に良材がなくなったため(仕方なく)急峻な吉野の木を伐った。大台ヶ原という日本有数の多雨地帯を控えた吉野の材は、脂が乗って腐りにくい、耐久性のある良材だった。そこで大規模な伐採が行われ、人工造林が実施された。伐採・造林を一体的に行ったのは、吉野が初めてだった》。
坂本氏(右)と福井氏
《間伐材は、数寄屋建築の材料となった。70~80年物の材は樽丸(酒樽用の木)になった(用途と施業が一体だった)。吉野の木は筏で和歌山へ流していたが、明治になって、吉野町で引き揚げて製材・加工するようになった。鉄道も開通し、全国へ出荷された》。
製材業の阪口浩司氏は《市場の「吉野材は値段が高い、ほしいものがない」という声に耳を傾けてこなかった。材を見ず、寸法と等級だけで売っていた。エンドユーザーのことを考えてこなかった。20年前から出てきた「木材乾燥」の問題についても、これを聞き流した地域ときちんと対応した地域で、(産地間競争の中で)大きな差がついた》。
阪口氏(右)と栗本氏
「木材乾燥」の問題とは、乾燥していない木材を使用して家を建てたり製品を作ったりすると、完成後に乾燥が進み、不具合が生じる。これを防ぐためには、十分乾燥させた材を使わなければならない。材の収縮や寸法の狂い、反り、ワレ・ヒビは乾燥する過程で発生するものなので、乾燥させた木材はそのような現象は起きず、安定した製品となるのだ。逆に未乾燥材を使用して何か製品を作ると、作った直後は問題がなくても、時間の経過により乾燥が進み、寸法の変化や反り、ワレが生じる。家の柱や壁などに使用した場合は、大きな問題となりクレームとなるのだ。
http://www.mokunokai.jp/sumaikagaku4.htm
千田氏は《外材は安いから売れているのではなく、洋風住宅にマッチしているから売れているのだ。ヨーロッパでは、やたら楢(ナラ)の木を使う。日本で多用する杉は、英語で“Japan Wood”という。鉄が高騰している今、3階建て住宅を木造で作る家が増えている》。
栗本修滋氏の話は具体的だ。《林野庁は岐阜・愛知・三重に巨大生産・流通基地を設ける計画だが、残念ながら吉野は入っていない。昨年、近畿の100~150の社寺で「神仏習合の巡礼ルート」を作るという計画が発表された。改修が必要になる社寺が多いから、吉野にとっては大きなビジネスチャンスとなるが、誰かこれに伴う改修計画を調査しただろうか》。
※参考:「神仏習合」巡礼ルート、近畿の100社寺で今秋創設(07.1.5付 読売新聞)
http://www.yomiuri.co.jp/tabi/news/20070105tb04.htm
千田氏の《今の時代は、同じことをしていては生き残れない。製材業者は、規模の小さいことを活かして、多様な活動をした方が良いのでは》という問題提起に対し、阪口氏は《吉野の製材業は、小規模だから生き残れた。コスト競争に加わらず、技術で勝負してきた。「吉野材センター」ができてから、意識が高まった。「ここなら、必要な材が全部すぐ揃う」ということを発信し続けたい》。
なお吉野材センターとは、吉野製材工業協同組合傘下の約100社によって、1974(昭和49)年に建設された木材製品市場(倉庫・展示場も備える)。共同取引を進め、吉野材の品質管理・販路拡大を行い、流通機構の合理化に努めるなど多様な機能を発揮している。
http://www.yoshino-wing.jp/
質問タイムになって、会場から3人の質問を受けることになった。2人はすぐ手を挙げたが、3人目がなかなか出てこない。で、私が日頃から疑問に思っていたことをぶつけてみた。
それは「外材と国産材の比率は8:2になり、材価はこの20年で1/3になった。しかも、今や世帯数より家の戸数の方が上回っている有様だ。こういう状態なのに、吉野で新たな動きが見られないのは、“またいつか、高度成長期のような良い時代が来るだろう”と高をくくっているのか。そうでなければ、高いプライドが邪魔になって身動きがとれないでいるのか」という質問だ。買い手は「国産材は高いから買えない」、売り手は「国産材は安いから伐り出せない」と、いつまで経ってもにらめっこだ。
栗本氏から回答があった。《危機感がないのは事実だ。材の販売価格が下がると、販売業者はその値下がり分を山主に負担させている。つまり、販売努力をしないで川上へ川上へとしわ寄せしているのだ。先ほどは社寺改修計画の話をしたが、もっと販売努力をすべきだ》。なるほど、これはありえる話だが、とても情けない。立場の弱い者をいじめているのだ。林業経営が厳しいはずだ。
見事に手入れされた杉の人工林(川上村高原地区)
この日のフォーラムを聞きながら、所どころで思い出したのが、田中淳夫著『森林からのニッポン再生』(平凡社新書)の「日本林業が没落した本当の理由」のくだりである。
《林業関係者が「日本の林業が不振になった理由」として口にするのは、たいてい「安い外材に押されたこと」と、「日本の山は急峻だからコストがかかること」だろう。(中略) だか、これははっきり言ってウソだ。実は、外材は決して安くない。国産材の値段とさして変わらない。いや、むしろ国産材より高いのである》(同書)。
山元(やまもと)価格では、国産材の方が外材より安い。しかし、流通と加工コストが高いので、建築現場に着く頃には、外材より高くなっている。日本は林道が未整備で、また高性能機械が普及していないため、効率が悪いのだ。《多くの外材は、不当に安いわけではない。日本とは比べ物にならない合理化ときめの細かい経営により、低コストで利益が出る構造を作り上げているのだ》(同)。
国産材が売れない理由に、乾燥度の違いがある。《現場で最大のポイントとなるのは、木材の乾燥度である。(中略) ところが国産材の中の乾燥材の割合は、いまだに2割に達しない》(同)。ハウスメーカーは《クレームの出ない家にするために、建築後に変化することの少ない素材を使いたくなる。それは完全に乾燥させている外材であり、エンジニアードウッドと呼ばれる工業化された木材だ》(同)。
《そのうえ日本の木材業界はユーザーの求める商品を出荷していないという。住宅1つとっても、斬新な機能や構法が次々と登場して、それに合わせた新しい木材のニーズが発生している。にもかかわらず国産材には、それらのニーズに対応した商品がない》(同)。また供給の安定性も問題だ。《現場の大工に、国産材を使いたくない理由を尋ねると、「安定供給されない」ことだといわれた》(同)。
何だか、『森林からのニッポン再生』の話のウラをこのフォーラムで取ったような具合になった。
コーディネーターの千田氏は、「自ら“変わる”ことが大切」と訴えたが、このような流通・加工、品質管理、供給という問題は、変えようと思えば変えられることばかりである。冒頭の北岡町長ではないが、林材業が元気にならないと奈良県が元気にならない。われわれ消費者としては、伐採→植林→保育・間伐→伐採のサイクルがうまく回るよう、もっと木を使わなければ。