tetsudaブログ「どっぷり!奈良漬」

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同時進行!平城遷都1300年(13)

2008年10月30日 | 平城遷都1300年祭
今朝(10/30)の新聞各紙に、10/29に発表された「平城遷都1300年祭 事業計画(素案)」に関する記事が掲載された。大筋は春に発表された基本計画のとおりだが、各種イベントの詳細内容や実施時期がハッキリと示され、収支計画や経済波及効果が明らかにされた。

この素案と、前回「同時進行!平城遷都1300年(12)」(08.4.26付)以降の主な動きを、私の新聞スクラップ帖からピックアップして紹介することにしたい。
※同時進行!平城遷都1300年(12)(当ブログ内)
http://blog.goo.ne.jp/tetsuda_n/e/ee5a845be5128e525d0d4fc1be56dc93

主催団体である平城遷都1300年記念事業協会の第4回理事会で「平城遷都1300年祭 実施基本計画」が承認された(08.4.15)。 概要は同協会のHPに詳しいが、要するに、1.平城宮跡事業、2.県内各地事業、3.関連広域事業、4.事前展開事業の4つのジャンルに分けて事業を展開するということだ。特に私が注目したのは「2.県内各地事業」で春秋に予定している「各社寺における秘宝秘仏特別公開、特別講話」である(HPの「実施基本計画」[全体]のP10~11に掲載)。
http://www.1300.jp/jigyou/2008/04/1300.html

この「特別公開」は、9/17になって、奈良日日新聞に詳細が報じられた。《約50の社寺で国宝・重文などの秘宝・秘仏の特別公開を予定。来年秋に北和地域でプレ特別公開を行った後、平成22年は冬季(1~4月頃)に中和地域、春季(4~6月頃)に県内各地、夏季(7~9月ごろ)に南和地域、秋季(9~11月ごろ)に県内各地で順次、特別公開を開く。創建以来初公開のものも含むかつてない試みで、美術・歴史ファンらの期待に応える》という。10/29発表の「事業計画(素案)」の概要版を見せてもらったが、ここにも盛り込まれていた。

興福寺南円堂で特別公開された観音さまに感動したから言うのではないが、このような形で来県客にサービスができるというのは、とても意義のあることだ。私も楽しみにしている。

6/1~30、平城遷都1300年記念事業協会は、1300年祭に向けた応援団(1300人の応援団)を募集した。
http://blog.goo.ne.jp/tetsuda_n/e/50c039f7fb14effcc5ff26a3310129f2

1300人の応募に対し、締め切り間際の記念事業協会の勧誘活動が功を奏し、1600人の応募者があり、めでたく全員当選となった。
http://www.1300.jp/news/2008/07/1300-1.html

応援団の決起集会として、8/19には平城遷都1300年祭〈500日前〉Startingイベントが行われた。
http://www.1300.jp/ivent/2008/07/1300500.html


荒井知事、せんとくん、ミス奈良の木村智子さん(8/19)

8/20付の奈良新聞によると《1300年祭の始まりを告げる平成22年1月1日から数えて500日前となる19日、「1300年祭500日前スターティングイベント」が奈良市内などで始まった。メーンイベントのほか、記念事業協会の公式キャラクター「せんとくん」の着ぐるみ発表や残日計除幕式、1300年祭応援団結団式、奈良おいしいもん・楽しいもん露店出店、燈花会などが行われた。以後約1カ月間、県内各地でさまざまなイベントが繰り広げられる》。
http://www.nara-np.co.jp/n_all/080820/all080820a.shtml



ここで、にわかに暗雲が立ちこめた。2010年の開業をめざし、奈良市がJR奈良駅西側の市所有地に誘致したホテル事業(コートヤード・バイ・マリオットの誘致)で、市が契約した不動産管理会社・ゼファーが7/18、民事再生法の適用を申請した。市の幹部は「2010年春のオープンに影響を与える可能性は否定できない」などというノー天気なコメントを発表していたが、こんな事態で開業などできるはずがない。結局現時点(10/30)でも、事業継承先は見つかっていない。
http://sankei.jp.msn.com/region/kinki/nara/080923/nar0809230319002-n1.htm

7/30、国交省は、宮跡内を横切る近鉄奈良線や県道、市道を宮跡の外へ移設することを柱とする基本計画を発表した。移設前の経過措置として、1300年祭には宮跡内に近鉄の踏切を新設し、通路を確保する案を盛り込んだ。
http://www.asuka-park.go.jp/arekore/heijo/committee-3.html

8/18の産経新聞夕刊(大阪本社版)1面に、面白いスクープが載った。見出しは《平城遷都1300年祭 PR懸垂幕 奈良県も市も掲示せんといて》。1300年協会が祭りをPRする横断幕の掲示を県と市に頼んだのに《「造形美にふさわしくない」などの理由で断られていたことが18日、分かった。(中略) 協会関係者は、予想外の展開に、「どちらも身内なんですが…」と困惑している》。他の県内38市町村はOKだったから、お膝元の身内だけに裏切られた格好だ。
http://sankei.jp.msn.com/life/trend/080818/trd0808181436007-n1.htm

この報道と反響に驚いて、8/19には荒井知事も藤原市長も承諾の意向を明らかにした。どうやら係レベルで対応していて、知事や市長に情報は届いていなかった様子だ。それにしても空気の読めない職員がいたものだ。役所内でのチェックが効いていないのも、お粗末。

9/2付の読売新聞に「第31回読売関西フォーラム(下)関西観光、新ビジョン」という特集記事が載った。奈良県の動きとして、1300年祭を控え、荒井知事の中国(1月)・韓国(6月)訪問、1300年祭を紹介する中国語・韓国語パンフレットの制作、両国旅行会社商品企画担当者の招聘(7、8月)の話などが紹介されていた。


朱雀門(9/2撮影)

9/4、県は11月に発行するミニ公募債「第7回まほろば奈良県債」で、百万円以上の購入者に、「せんとくん」の携帯電話クリーナー(キーホルダーのような形をしている)をプレゼントすると発表した。せんとくん効果の甲斐あってか、この債券は、募集初日の10/22に完売した。
http://www.pref.nara.jp/koho/hodo/h20/html/012500-081022180010_M14124.html

9/10、県は大型ホテルの誘致事業を断念した。奈良新聞(9/11付)によると《奈良市三条大路一丁目の県営プール跡地に予定されている大型ホテルの誘致事業で、県は10日、事業計画の提案があった1事業者について審査委員会で審査した結果「不採択とした」と発表した。あらためて再募集を予定している。新ホテルオープンは当初予定の平城遷都1300年祭中ではなく、その後の平成23年中となる》。

荒井知事は《「サブプライムローン問題などで不動産市況が低迷するなど、厳しい経済情勢にあるが、引き続きホテル誘致に取り組むこととし、再募集を実施する」と述べた》。なお県のホテル誘致は、奈良市が進めているJR奈良駅西側のホテル誘致とは別の話なので、混同されないように。
http://www.nara-np.co.jp/n_soc/080911/soc080911a.shtml


平城宮の基壇跡(9/2撮影)

9/11、1300年協会は、平城宮跡の整備計画を発表した。新聞によると《宮跡内を6ブロックに分け、電動のトラムやカートで移動。遺構への影響をなくすため、各種施設はテント形式の簡易なものにする。将来は国営公園として国が整備することから、整備は小規模にとどめる》(9/11付朝日新聞)。
http://www.asahi.com/kansai/entertainment/news/OSK200809110064.html
 
《6ブロックは、文化庁が復元を進めている第1次大極殿(だいごくでん)正殿南側の「南門前広場」▽衛士(えじ)交代などの古代行事の催しをする「朱雀門広場」▽「ターミナル広場」など。催しや物販用の施設は、宮跡に盛り土をしてパビリオンを建てることも検討されたが、荷重がかからないテント形式にした。遷都祭終了後に撤去する。各ブロックで、奈良時代の暮らしを体験するイベントや、シルクロードにゆかりのある各国の文化を紹介する展示会などを開く。遷都祭の総事業費は約100億円。期間中、約200万人の来場を見込んでいる》(同)。

しかも協会のHPには《仮設建築物については、木組みや格子などを取り入れ、「木」のもつ美しさを活用するとともに、周辺の歴史的景観との調和に配慮する》と出ている。木材は県産材を使用するそうだから、県下林材業活性化のため、とても有り難い話だ。
http://www.1300.jp/news/2008/09/1300-3.html


平城遷都1300年祭コーナー(10/27 奈良ビブレ4階)

地元シンクタンクである(財)南都経済センターは、同センターの月報9月号で、「首都圏在住者の観光の動向と奈良県への観光に関する調査」の結果を発表した。その中に、1300年祭と「せんとくん」の認知度を問う質問があったことから、マスコミが飛びついた。

「1300年祭」の認知度は、1.名前は知っている49.1%、2.知らない43.8%、3.ある程度の内容を知っている7.1% 。しかし祭りの「マスコットキャラクター」については、1.せんとくんを知っている75.6%、2.まんとくんを知っている51.8% 

祭りへの「興味」と「参加予定」は、1.興味なし39.6%、2.興味あり38.0%。
1.参加予定なし82.0%、2.わからない8.3%、3.行く予定8.3%、と、キャラクター以外は心許ない結果であった。
※観光地奈良の勝ち残り戦略(18)首都圏住民の観光動向(当ブログ内)
http://blog.goo.ne.jp/tetsuda_n/e/7323edd11210952c03a96c54e0c5377b


橿原市にも登場(8/27 橿原ロイヤルホテル)

奈良新聞によると協会は、2010年に「奈良を巡るてくてくウオーク」を企画しているそうだ。《歴史文化、自然の魅力をまるごと体験できるウオークを体系的に打ち出すことで「平成の奈良巡礼」ブームをつくり出す狙い。同協会の中山悟県内・広域事業部長は「県内市町村全域で1300年祭を盛り上げ、宿泊型のウオークイベントを売り出していきたい」と話している》(宿泊型ウオーク 「奈良巡礼ブームを」08.9.14付 奈良新聞)。

《平成22年の1300年祭期間中に集中して実施。同年のJRディスティネーションキャンペーン(4月―6月)およびマスコミや日本ウォーキング協会が進めるウォーキング国民運動と連動して話題性を高め、全国からの宿泊型ウオーク「巡礼の旅」を売り出し、「平成の奈良巡礼ブーム」を創出する。今後、各イベントごとに地元市町村やマスコミ、事業協会などでつくる実行委員会を組織し、具体的な内容をつめていく。今後イベント自体が継続的な取組みとなることを目指す》(同) 。
http://www.nara-np.co.jp/n_all/080914/all080914a.shtml

この話は10/29の事業計画(素案)にも盛り込まれている。「宿泊型」ということと、「継続的な取組みとなることを目指す」というところが良い。私も、ぜひ遠方の友人を誘って一緒に歩きたいと思う。

さらに9/17付奈良日日新聞には《「四神(しじん)」キーワードに 秘宝・秘仏の特別公開など 平城遷都祭の県内各地事業》という記事が1面トップに出た。

《2010年に実施する平城宮跡、県内各地、関連広域の3事業のうち、県内各地事業の概要をまとめた。中国、韓国など海外からも観光客を呼び込むため、両国とも縁のある「四神」をキーワードとし、奈良全体を四神の地として提示。県内社寺での秘宝・秘仏特別公開や市町村企画事業などで各地域が一体的に魅力を発信してもらう方針で、観光客呼び込みとともに、将来に向け奈良のブランド力のアップも目指す》。
http://www.naranichi.co.jp/20080916ne2501.html

この話も、10/29の事業計画(素案)に盛り込まれていた。協会は、各種のイベントを小出しに新聞にリークして、祭りの盛り上げを図っているようで、これはなかなかの高等戦術だ。いくらドーンと大きく計画を発表しても紙幅が限られているので、個別の社に小出しした方が、大きく掲載されるのだ。

9/19、財務省は「地方自治法施行60周年」記念貨幣について、09年度後半に発行する自治体を茨城、奈良の両県に決め、奈良県は10年に開催される「平城遷都1300年祭」をテーマにするここなった。図柄などは、県と調整するという。これは話題になりそうだ。 
http://www.jiji.com/jc/zc?k=200809/2008091900459 

10/17付の新聞各紙に、協会の寄付金集めの話が一斉に載った。奈良新聞の見出しは《寄付金まだ180万円》だ。10/16の県議会で《民間から集める寄付金が話題に上がり、目標の20億円に対して、まだ180万円しか集まっていないことが明らかにされた。席上、1300年記念事業協会の中島敬介企画管理課長は「現在、個人などから寄付金180万円が集まっている」。(中略) 来年4月からは本格的に企業からの寄付・協賛金を集める予定のほか、さまざまな形で寄付金などが集まる方法を検討中であることを示して理解を求めた》 (08.10.17付 奈良新聞) 。

そして10/29の「平城遷都1300年祭 事業計画(素案)」である。私が見せてもらった概要版だけで15ページもある「素案」を記事にするのは大変だろうが、それで各紙の目の付け所がよく分かる。読売新聞(10/30付)から拾うと、

《世界的に著名なアーティストによるステージや、東アジアの首長らを招く国際会議などが開催される》《主会場と最寄り駅を結ぶシャトルバスなどを導入する》。《来場者は、関連事業を含めて1200万~1300万人とし、平城宮跡会場では250万人と想定。飲食や宿泊費などの消費が増えることで雇用が創出され、経済波及効果は県内で約750億、関西で約1100億円と試算している》。

奈良新聞(10/30)は一面トップ扱いだ。読売とはタッチが違って、見出しは《遣唐使船を復元・展示 世界初の実物大》。今朝のNHKニュースも、この船のことを紹介していた。奈良新聞には《御手洗富士夫・経団連会長を会長とし、下妻関経連会長を委員長とする財界や政界、有識者からなる「平城遷都1300年記念事業推進委員会」などの各委員会を設立。企業との協賛金などに関する覚書の締結が開始される予定だ》とある。

なお同紙には《11月4日には社団法人平城遷都1300年記念事業協会の設立総会が行われ、事業計画案が承認される》と報じられている。だから10/29発表の「事業計画(素案)」は、まだ承認されていないということだ。そのせいか、10/29の報道資料は(現時点では)協会のHPにも県のHPにも、載っていない。すでに昨夜(10/29)のニュースで報じられてたが、この調子だと、県民は(断片的な)報道から推測するほかない。せめて報道機関に提供した資料くらいは早急にHPにアップしてほしいものだ。

そもそも記念事業協会は、情報の公開が不足しているし、不親切きわまりない。今春「協会のHPにブログができる」と聞いたときは大いに期待したものだが、結局できた「職員ブログ」は当たり障りのない話題が、しかも大幅に遅れて載るだけで、コメントもトラックバックもシャットアウトしている。まるで大本営発表だ。協会の「職員」が、仕事として(勤務時間中に)書くブログなのだから、もう少し真面目に取り組んでいただきたいものだ。
http://www.1300.jp/blog/index.html

また不思議なことに、協会幹部の遷都祭に関する講話を聴いても、全くピンとこない。その理由が、やっと最近分かった。知人(編集者)が「実施基本計画」の要点をピックアップして誌面に紹介しようとすると、協会のチェックが入り、恣意的に要点を拾ってはダメで、すべての事業を網羅的に書くよう訂正を求められたという。そんなことをしているから話が総花式になり、結局、聞いても読んでも頭に入らないのだ。

私の「同時進行…」を「とても分かりやすい」と言ってくれる人が多くて、それはそれで有り難いのだが、そもそも協会がこの程度の時期ごとの「まとめ」をしてくれても、良さそうなものだ。

私は県広報広聴課が運営する電子掲示板「なら県民会議室」の「平城遷都1300年祭を成功させよう」の行方を注目している。一般市民のナマの声が現れるからだ。、皆さんも、ぜひいちどご覧いただき、書き込んでいただきたい。書き込みには登録(無料)が必要だが、それは初回だけで、とても簡単だ。
http://www.kenminconf.pref.nara.jp/top.cgi?FID=forum17

※冒頭の写真は平城宮跡。朱雀門に向けてカメラを構えていると、うまい具合に鳥が飛び立った(9/2撮影)。
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法華寺おりおり(26)コスモスとチェリーセージ

2008年10月28日 | 奈良にこだわる
この「法華寺おりおり」シリーズは、今年の5/5の「瓊花(けいか)」で止まったままだった。10/25、久しぶりにお寺の華楽園(東庭園)を訪ねると、花の少ない夏場を通り越して、秋の花々が咲いていた。

こちらの赤い花は萩だと思っていたが、ひろこさんのご指摘で「サルビア・ミクロフィラ」(通称 チェリーセージ)だと知った。



コスモスはミニコスモスで、元気良く咲いていた。残念ながらキバナコスモスはなく、淡いピンクや白の花だった。

ちょうどこの日から「本尊特別御開扉」、つまり国宝十一面観音立像の特別公開が始まっていた(10/25~11/10)。観音さまの朱色の唇はなまめかしいが、顔の表情はキリッと引き締まり、意志の強さを物語る。
※法華寺の公式ホームページ
http://www.hokkeji-nara.jp/



特別御開扉は原則として、春季(3/20~4/7)、夏季(6/5~6/9)、秋季(10/25~11/10)の年3回だが、それ以外の日は、本堂で十一面観音像の精巧なレプリカが公開されているので、何となく感じはつかめる。

たまたま10/25は、西陣織物語ミュージアムが十一面観音立像をモデルに西陣織で「織軸」を制作され、お寺で奉納式が行われたばかりだった。一見、写真と見まがうばかりのの精巧な掛け軸だった。
http://www.naranichi.co.jp/20081026ne2645.html



この特別御開扉にあわせて、「佐保路の三観音」(佐保路の秘仏と寺宝展 10/25~11/10)というキャンペーンが行われている。期間中、法華寺のほか海龍王寺の十一面観音立像(重文)、不退寺の聖観音菩薩立像(重文)が公開されている。
※パンフレットの写真(PDF形式)はこちら
http://www.kairyuouji.jp/news_pdf/081006_syuki.pdf

奈良交通の1日フリー乗車券(拝観料の割引特典つき)も発売されているので、ぜひこの機会に、3つの観音さまをお参りいただきたい。
http://www.narakotsu.co.jp/news/news_0245.html
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県とNPOとの協働事業

2008年10月26日 | 奈良にこだわる
奈良県とNPOなど非営利団体との「協働事業」をご存じだろうか。毎年夏に提案の募集があり、書類審査(1次審査)と公開プレゼンテーション(2次審査)を経て決定される(担当:県くらし創造部協働推進課)。
http://www.pref.nara.jp/koho/hodo/h20/index.html

奈良新聞(10/5付)によると《県とNPOとの協働事業は、県が3000万円の基金を設置。ボランティアやNPO活動の活性化を図り、豊かな地域社会の形成を目指して、平成16年度から実施されている。県民に効果的で質の高いサービスが提供できるようにと、毎年NPOから事業の提案を募集。審査の結果、採用された事業に、県は1事業当たり100万円程度を上限として経費を負担する》。
http://www.nara-np.co.jp/n_all/081005/all081005b.shtml

つまり、県が「民間の力を借りて実施したい」という施策(協働事業)に対し「最高百万円出すので、やってくれないか」という仕組みなのだ。
http://www.pref.nara.jp/koho/hodo/h20/index.html

9/25に8つの事業が採択・決定されているが、2次審査のプレゼンテーションは一般公開されているので、誰でも見ることができた(8/31実施)。採択された事業のプレゼンの様子を、ピックアップして振り返ってみたい。
http://www.pref.nara.jp/koho/hodo/h20/index.html

写真は、電子自治体アドバイザークラブ(略称:e-AAC)による「WEB版スマイルズの製作」(担当:協働推進課)のプレゼンテーション風景である。「スマイルズ」とは、NPOの活動を紹介する情報誌で、費用の割に効果が少ないという理由で、昨年から廃刊となっている。それをネットで復活しようという提案である。



「WEB版スマイルズ」については、別の団体からも提案があったが(取材してネットに載せる)、電子掲示板を組み合わせるe-AACの提案の方が一枚上だった。e-AACは現在、県広報広聴課の「なら県民電子会議室」の運営も請け負っていて、日々活溌な議論が繰り広げられている。興味深い話がたくさん出ているので、書き込みやアクセスは、もっと増えて良いと思う。
http://www.kenminconf.pref.nara.jp/index.cgi

次の写真は、ASUKA自然塾の「『ほたる』が飛び交う水環境創生ガイドマニュアルの作成等」(環境政策課)だ。飛鳥川で採取したホタルやカワニナ(ヤゴの餌)を人工池で増殖し、川に返す。その活動で得られたノウハウをマニュアルにまとめ、技術指導に活かそうという趣旨だ。



以前、娘と飛鳥川の水質を調べたことがあるが、上流はきれいなのに、明日香村を通過した地点では、汚染が進んでいた。ホタルが住むには水の浄化も必要なので、それも同時に実施されるようである。明日香の川や里山は、日本人の原風景だ。ここにホタルが住むような自然環境が整備されるのは、素晴らしい。

次は、やまと新発見の会による「大和民俗公園『花の谷』創出事業」(公園緑地課・民俗博物館)だ。大和郡山市の大和民俗公園は、梅林や花しょうぶ園(みんぱくしょうぶ園)で知られる県立の公園である。
http://www.pref.nara.jp/bunkak/minpaku/



この公園内にある「花の谷」を整備し、水生植物(ガマ、ヨシ、イグサなど)や生物(ホタル、カワニナ、ザリガニなど)の住み家を作ろうという提案である。現在「花の谷」は、送水ポンプの電気料金節約のため水が流れず、荒れている。やまと新発見の会は、わざわざ手作りの模型まで持参され、整備によりいかに素晴らしい「花の谷」になるか、力説された。「遷都1300年を祝う“屋根のない博覧会場”にしたい」という話にも説得力があった。


みんぱくしょうぶ園(05.6.4撮影)


「花の谷」(整備完了時)の模型

次の写真は、橿原市今井町(郵便局前)だ。今井まちなみ再生ネットワークは「奈良県歴史的町並み地区における空き家バンク支援団体・組織のネットワークの構築」(地域デザイン推進課)を提案された。



今井町に限らず、県下のむかし町(歴史的町並み地区)の空き家情報を共有化し、国内外に情報発信することで、町家に住んでもらったり、お店を開いてもらおう、という趣旨である。そのため「大和空き家ネットワークホームページ」(仮称)と、支援団体ネットワーク組織を立ち上げたい、という。



このブログ冒頭の写真(テレビの収録風景)とすぐ上の写真は、宇陀松山(宇陀市松山地区)だ。最近はテレビや雑誌の取材も多く、全国から注目されている。

県下にはこのほか、ならまち(奈良市)、ごせまち(御所市)、土佐(高取町)、新町(五條市)などのむかし町は数多い。これらの町並みは、地元民の住まいであると同時に、大切な観光資源である。アレックス・カーさんの「庵」の例を持ち出すまでもなく、県下のむかし町が連携して全国・全世界から住人や商売屋さんを募るというのは、とても面白い試みである。
http://www.alex-kerr.com/html/www_iori.html

午後1時に始まったプレゼンは、午後5時半すぎに終わった。15組の発表は、とても興味深かった。審査委員長・村田武一郎氏(県立大学教授)のツッコミも鋭く、発表者も大変だったろう。選に漏れた7つの事業も、もうひと工夫すれば、採択されてもおかしくない事業ばかりだった。来年も募集があるようなので、せひ再チャレンジいただき、遷都1300年祭に向けて、大いに奈良県を盛り上げていただきたいと思う。
コメント (2)
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名仏いろいろ(6)南円堂の不空羂索観音

2008年10月25日 | 仏像
興福寺南円堂(なんえんどう)は、西国霊場第9番札所として名高い。そのご本尊で初期鎌倉彫刻の代表作とされるのが、写真の不空羂索観音坐像である。
※興福寺のサイト
http://www.kohfukuji.com/cgi-bin/kohfukuji/dispdata.cgi?id=but00048

不空は「ふくう」、羂索は「けんじゃく」または「けんさく」「けんざく」などと読む。空(むな)しからざる(=不空)投げ縄(=羂索・けんさく)で、衆生を救う観音さま、という意味だ。秘仏で、毎年10/17の大般若(だいはんにゃ)経転読会の日以外は、非公開だった。


南円堂

それがなんと、今年は「興福寺国宝 特別公開2008」として、1か月以上も特別公開されるというのだ(期間=10/18~11/24 無休)。同時に、いつもは入れない五重塔初層(1階)にも入り、薬師・釈迦・阿弥陀の各三尊像を拝観できる。
http://mytown.asahi.com/nara/news.php?k_id=30000000810190001


五重塔に並ぶ列

また今日(10/25)からは、恒例の「北円堂 特別開扉」(11/9まで 国宝の無著・世親像などが拝観できる)も行われるから、これは見逃せない。拝観料は、南円堂、五重塔、東金堂がセットになって千円だ。北円堂(300円)や阿修羅像などが拝観できる国宝館(500円)は別途必要になる。
http://www.kohfukuji.com/kohfukuji/01_index/f_main2.html

私は10/19(日)にお参りしてきた。初めて拝見する南円堂の不空羂索観音は、聞きしにまさる素晴らしい仏さまだった。鎌倉時代、運慶の父・康慶(こうけい)の作で、三目八臂(さんもくはっぴ・目が3つで手が8本)、像高は3m44cmで、これが高い台座の上に乗っているから、なおさら大きく感じられる。


背景は東金堂

天平仏の面影を残す気迫のみなぎったお顔は、見る者を圧倒する。ヒノキの寄木造に漆箔(しっぱく)が施され、体全体がぼんやりとした金色の光を放っている。仏さまの手からは紐(羂索)が伸び、拝観する者はその先に触れてご利益を授かることができる。何とも有り難い工夫だ。

円形のお堂というものは、誰かを供養するために建てられるそうだが、北円堂は元明・元正天皇が藤原不比等追善のため、南円堂は藤原冬嗣(藤原北家)が父・内麻呂追善のために創建したものだ。


北円堂

この南円堂は院政期以降、庶民の観音信仰に支えられ、今も線香の煙が絶えない。その南円堂ご本尊の尊顔を拝することができる貴重な機会が、この特別公開である。

今日からは正倉院展が始まり(10/25~11/10)、奈良は1年で最も賑わう時期になる。しかし正倉院展と興福寺特別公開を1日で回る、というのはちょっとムリがある。
http://www.narahaku.go.jp/exhib/2008toku/shosoin/shosoin-1.htm

奈良市内にはビジネスホテルなどがたくさんできている。ぜひ奈良にお泊まりいただき、比較的空いている夕方の正倉院展や、朝の奈良公園の風情、昼間の南円堂や北円堂と国宝館などを満喫していただきたいと思う。国立博物館前の飲食施設「ふれあい回廊 夢しるべ 風しるべ」もお忘れなく。
※「夢しるべ 風しるべ」の歩き方(当ブログ内)
http://blog.goo.ne.jp/tetsuda_n/s/%CC%B4%A4%B7%A4%EB%A4%D9
※東横イン奈良新大宮駅前
http://www.toyoko-inn.com/hotel/00183/index.html
※コンフォートホテル奈良
http://rurubu.travel/hotel-detail/6269A11.html
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手打ち蕎麦 夢屋

2008年10月23日 | グルメガイド
10/17(金)大阪へ出張した際、昼食にそばを食べようと「夢屋」(大阪市中央区北新町)というお店に入った。

相当こだわりのあるお店だ。『美味しい店 大阪の101軒』(プラネットジアース)というガイド本には、《「産地が明確な食材を使いたいから」と、奈良市内の畑を借り、自らそばを栽培しているのだ。12月に新そばを提供するため、店の定休日の日曜は毎週畑仕事に精を出す。その情熱にも驚くが、さらに注目すべきは、そばの実を挽く石臼を作ってしまったこと》。

「奈良市内の畑」というところが嬉しい。寡聞にして市内でそば畑を見たことはないので、興味津々だ。ご主人の楠木順彦さんは、元テレビカメラマンで、ロケの合間にそば屋巡りをしておられたという。

お店は「マイドームおおさか」からまっすぐ東へ徒歩2分(中大江公園の東隣)、最寄り駅(地下鉄谷町四丁目)からは徒歩6~7分というところだ。



冒頭の写真はお昼限定の「かやく定食」980円。そばは温・冷いずれかを選べる。メニューには《弊店の蕎麦は手ごね、手のし、手切りによる純粋な手打ち蕎麦です。そば粉八割、つなぎ二割のいわゆる二八蕎麦です。大変伸びやすいので早めにお召し上がりください。また蕎麦つゆや出汁はすべて天然素材で作っています。化学調味料や酸化防止剤など添加物は一切使用していませんので、安心してお召し上がりください》とある。

早速いただいたそばは、香り高く舌触りも良い逸品だった。つゆも、いいダシが出た関東風の本格派だ。外食では、やたら塩辛い「かやくご飯」が出てきて閉口することがあるが、こちらはちょうど良い加減だった。

奥さんによると、柳生の里(奈良市)のお知り合いの休耕田を借りて、そばを栽培しているのだそうだ。ただし、それだけでは賄えないので、北海道や信州のそばも買っているという。11/2(日)には、お店も協賛する「第7回大柳生そば祭り」というイベントが開催されるそうだ。
http://www5e.biglobe.ne.jp/~soba/matizukuri1/ooyagyuu/08yagyuu.html

食べながら、テーブルにあった「店主のウンチク 四九」にふと目をやると、何とこれが「割り箸の話」だった。パソコンで作成された、原稿用紙6枚分(40字×56行=2360字)もの「ウンチク」である。要点を拾うと、

《最近弊店にお越し戴くお客さんの中に「マイ箸」なるものを持参する方がいる。おそらく何かのエコロジストと察する。が蕎麦屋の主は本心から「おやめなさい」と申し上げたい。全く無意味なことである》《少なくとも麺類は「割り箸」に限る。そう、割り箸は日本人の食生活の一部であり、味覚を支える重要なアイテムなのだ》。

《割り箸自体既に廃物を再利用した「エコ商品」なのである。前職のキャメラマン時代、奈良県吉野で箸製造現場を取材した事がある。高齢者の方の作業を撮影して驚いたのは「そこまで使うか」というほどギリギリまで徹底して廃材を使い切ることだ》。輸入割り箸も同様で《建築用資材が優先され、残った木っ端を再利用しているのであり、割り箸を作るため木を切り倒している国はどこにもない》。

《日頃湯水のごとく使っているコピー用紙や新聞、雑誌、ティッシュペーパー、折り込み広告など、すべての紙製品が材木消費のほとんどを占めていることにことに気づかないでいる事の方が重大だ》《どうして自分たちの大切な食文化のひとつ「割り箸」をバッシングするのか。むしろ高齢化と後継者不足で悩んでいる国内林業を救うためにも、どんどんと割り箸を割る方がいい》。

全く同感だ。このまま林野庁(木づかい運動)のHPに転載してほしいほどの力作である。特に、山村の少子高齢化問題にまで踏み込んでいるところが素晴らしい。



このお店では、そばの香りを楽しんでいただくため、杉やヒノキでなく竹の割り箸を提供されている。竹箸は先が細いので、そばの1本1本をつまむこともできる。しかも《竹の割れ目から竹繊維の破片がまれに飛び出すことがある。箸を割る時は決して蕎麦の上で割らないよう、呉々もお願い申し上げたい》という徹底ぶりである。

私は以前、「まっとうな料理店は、必ずちゃんとした割り箸を出す」と書いたことがある。割り箸にここまで気を配る「夢屋」のそばが不味いはずがない。今度は「とりそぼろ丼」や「蕎麦鍋」なども試してみたいと思っている。割り箸のウンチクはさておいても、ぜひお訪ねいただきたい。

※夢屋のホームページ
http://homepage2.nifty.com/soba-yumeya/index.html
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