tetsudaブログ「どっぷり!奈良漬」

コロナも落ちつき、これからが観光シーズン、ぜひ奈良に足をお運びください!

通学カバンはダイワホーサン

2006年10月31日 | 奈良にこだわる
宇陀市大宇陀区(旧宇陀郡大宇陀町)といえば、柿本人麻呂の歌にも詠まれた皇室の狩猟地・阿騎野(あきの)の地である。

中世には秋山氏、近世には織田氏3万石の城下町として栄え、同区内の松山地区は「重要伝統的建造物群保存地区」に選ばれた「むかし町」である。

このような土地に「新素材・新技術を駆使したモノづくり企業がある」というと、驚かれるかも知れない。それが(株)ダイワホーサンだ。なお、ホーサンは「縫産」(縫って産み出す)である。

同社の主力製品は通学カバンである。中学・高校別にオーダーメイドで作る「ルートコンパス」と、一般の幼児~小学生用の「Dランド」の2つの柱があり、特に力を入れているのが小学生向けのDランド(ランドセル)だ。なお「D」はドリームの意だそうだ。

昨日このブログで紹介した「元気企業ビジネスフェア」に出展していた企業で、写真が同社のブースである。同社のカバンは軽くて丈夫、その上カラフルでデザインも豊富、というスグレもので、帝人や奈良県工業技術センターと共同開発した新素材「テグラン」などを使っている。
※同社のホームページ
http://www.h-daiwa.co.jp/index.html

悩みは、安すぎて売れないことだ。通常のランドセル(クラリーノなどの人工皮革が主流)は2万5千円~4万円だが、こちらは1万3~4千円。孫のためならとおカネを奮発したいおじいちゃん・おばあちゃんには物足りないようなのだ。

テグラン以外にも、産官学の共同開発により、燃焼時のダイオキシン発生量を95%以上抑えたり、トウモロコシを原料とした生分解性の生地など、素材を工夫するほか、CAD・CAMを導入し(中国製の量産品などと違って)多品種少量生産ができる体制を整えたりと、時代の最先端を走る。

「奈良の土地には宝物が埋まっている」と言われるが、知られざる優良企業もたくさん埋まっていそうだ。これから発掘してブログで取り上げていくので、お楽しみに。
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元気企業ビジネスフェア

2006年10月30日 | 奈良にこだわる
マイドームおおさかで、「第5回 元気企業ビジネスフェアNANATO」が開かれていた(10/26~27)。

奈良を中心に、大阪・京都・和歌山・三重の各府県にある元気な中小企業が一堂に会する「展示商談会」だ。1階では八尾市・八尾商工会議所、2階では池田銀行が同様の催しを行っていた。
※元気企業ビジネスフェアについて(ニュースリリース)
http://www.nantobank.co.jp/news/060824.htm

奈良県下の事業所数は約6万(社)で、これは大阪府下の八尾市・東大阪市・大東市にある事業所数合計とほぼ同じ、それほど少ない。

奈良県の地場産業というと、靴下・パンスト、メリヤス・ニット製品、サンダル・スポーツ靴という軽工業が中心だ。OEM(相手先ブランドによる生産)が多いので、独自ブランドも育っていない。千趣会のパンスト、グンゼの肌着、ナイキのサッカー靴 etc.として出回っているのだが。

しかし、とてもユニークな企業が多く、中には、ニッチな製品で全国シェア1位というオンリーワン企業もある。

西垣靴下(株)のブースでは、足を温めるサポーターをいただいた。冷え性の妻に大好評だ。オカハシ(株)のブースには、有名化粧品・医薬品、菓子・アイスクリームの「パッケージ」がずらりと並んでいた。すべて同社が作っているそうで、驚いた。

このフェアの目的は、もちろん来場者(社)と商談して成約にこぎ着けることだが、同フェアでは、開催後も商談を継続できるようにWebサイトも設けていて、誰でも、いつでもアクセスすることができる。商談成立状況も、上々だそうだ。
※Web版 元気企業ビジネスフェア
http://www.business-nanto.com/index.htm

奈良の企業は「PR下手だ」と言われている。このような良い機会を捉えて、ぜひ奈良の優良企業を全国に売り出していただきたいものだ。

※この項、明日(10/31)に続く。
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行って楽しい奈良の紅葉名所

2006年10月24日 | 奈良にこだわる
「行って楽しい紅葉の名所」という記事が出ていた。

毎週土曜の日本経済新聞にはさみ込まれる「NIKKEIプラス1」の「何でもランキング」コーナーに載っていたものだ(10/14付)。専門家がベスト10を挙げていた。

奈良県ではどこが選ばれたのかなぁ、と期待して見てみると、どういうわけか全く入っていない。それにひきかえ京都は6位に東福寺、8位に高雄、9位に大原三千院、と3か所もランクインしている。

これにはガッカリだ。奈良にも、ベスト10圏内の紅葉名所がたくさんあるのに…。試しに、奈良検定の参考書である『奈良まほろばソムリエ検定 公式テキストブック』(山と渓谷社)を繰ってみると、たちどころに11か所の紅葉名所が出てきた(P250)。それは、

奈良公園   (奈良市春日野町)
春日奥山   (奈良市東部)
正暦寺    (しょうりゃくじ・奈良市菩提山町)
談山神社   (たんざんじんじゃ・桜井市多武峰)
大野寺    (おおのじ・宇陀市室生区大野)
室生寺    (宇陀市室生区室生)
一言主神社  (ひとことぬしじんじゃ・御所市森脇)
竜田川    (生駒郡斑鳩町龍田)
みたらい渓谷 (吉野郡天川村)
吉野山    (吉野郡吉野町吉野山)
奥香落渓   (おくこおちだに・宇陀郡曽爾村)

いずれもよく知られた名所ばかりだ。奈良検定を受検する人は、この際シッカリと覚えておいてほしいものだ。なお談山神社は「たんざん」神社である(P127)ので、引っ掛からないように。

奈良の紅葉名所は、私も以前インターネット新聞「JanJan」に紹介したことがある。
※紅葉の奈良へ、いらっしゃい
http://www.janjan.jp/area/0510/0510023236/1.php?PHPSESSID=5ab30b0d2e6b354b57a33baf85432a32

上記のうち私のイチ押しは、写真(04年秋に撮影)の正暦寺だ。カエデの木がたくさん茂り、周辺は「錦の里」と呼ばれている。空気も水も澄み渡り、まるで別世界の静けさだ(ただし紅葉シーズンの土日だけは騒々しいので、平日がおススメ)。

それにしても気になるのは、年々紅葉の鮮やかさが失われていることだ。奈良に限ったことではなく、温暖化やヒートアイランドのせいか、秋になっても気温が急に下がらないので、葉が茶色くなってそのまま散ってしまうことが多い。紅葉を愛でるためにも、地球温暖化はぜひとも食い止めなければ!

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手軽で便利! 宮崎哲弥著『新書365冊』

2006年10月23日 | ブック・レビュー
10月16日、朝日新聞社から「朝日新書」が創刊された。

第1弾・12冊の執筆陣は、売れっ子・齋藤孝、朝生(あさなま)文化人の代表格・宮崎哲弥と姜尚中(カン・サンジュン)、同新聞の看板・星浩に外岡秀俊 等々という豪華顔ぶれだ。
※朝日新書の紹介サイト
http://opendoors.asahi.com/original/shoseki/shinsho/soukan/

この中で私が選んだのは、宮崎哲弥の『新書365冊』だ。通常の新書2冊分の厚さで、定価は800円(税抜)。この本のもとになったのは02年~06年、雑誌『諸君!』に連載された書評(解体「新書」、「今月の新書」完全読破)で、とりわけ「完全読破」連載時には、毎月60~100冊の新書(新刊)を読んでいたというから、スゴい読書量である。

この本では、新書を「Best」「Better」「More」(要注目)「Worst」の4ランクに分けてコメントつきで掲載しているので、新書探しの際にはとても便利だ。読みながら「買おうかなぁ」という本をメモったところ(「ワースト」は除外)、ちょうど全体の1割・36冊のリストができた。BOOK・OFFの各店を回る折に持参することにしている。

同書で紹介された新書には、私が読んだ本も何冊か混じっていたので、宮崎氏との視点の違いが分かって興味深い。長くなって恐縮だが、うち6冊をピックアップしてみる。

【Best】
『さおだけ屋はなぜ潰れないのか』山田真哉著(光文社新書)

宮崎評:「会計学の啓蒙書としては型破りだ」「会計は法律とともに新しい教養層の『必修科目』である。まずはまずはこの優れた門前書(入門の入門)から」

私見:この本を読んで会計のことが少しでも分かるのか、疑問だ。私は学生時代(経済学部)に必修だった「会計学」を学んだので、語る資格はないのかも知れないが。
宮崎氏は『新書365冊』の最終章で「これだけ読んでも会計学の体系的な理解はさっぱり得られない。私なんかには不満が残るけど、いまのニーズにはぴったり合っているんですね」とい書いているが、これなら分かる。私の評では、せいぜい「More」。

【Best】
『自由とは何か』佐伯啓思著(講談社現代新書)

宮崎評:「佐伯は、現代のリベラリズムとは異なる考拠に支えられた自由の概念を提示する」「かかる構想が、果たして実効性を具備できるか、米英の卓越主義的なコミュニタリアニズムと同様、現実の壁に逢着(ほうちゃく)するのではないか、という疑義は抑え難いが、味読に値する書であることに疑問の余地はない」

私見:とても難解な本だ(上記の宮崎評も難しい)。私は、佐伯氏の著作は何冊も読んでいる。佐伯氏は奈良県出身で京都に住まれていて、同氏を講師とする勉強会(会社の同僚が主催し、年に4回程度開催)に出ているからだ。
PHP新書の『人間は進歩してきたのか』『20世紀とは何だったのか』も同じくらい難解だった。しかし新書ではないが『成長経済の終焉』(ダイヤモンド社)や『総理の資質とは何か』(小学館文庫)は具体的でよく分かる。
抽象的思考にたけ、近代西洋思想に明るい人にはおススメだ。私の評では「More」。先生、ごめんなさい。

【More】
『バカの壁』養老孟司著(新潮新書)

宮崎評:「重要な問題提起もあるのだが無責任な放言も多い。口述筆記のせいか散漫で非論理的」

私見:宮崎氏が指摘するようなキズはあるが、目からウロコの話が多く、とてもタメになる。読後、養老氏の他の著作はもとより、ローヤー木村著『リコウの壁とバカの壁』(本の雑誌社)という怪しい本まで読んだ。
養老氏が提起する「身体性の喪失」「脳化社会」という指摘は鋭い。私は「Better」。

【More】
『「食べもの神話」の落とし穴』高橋久仁子著(講談社ブルーバックス)

宮崎評:「本書は栄養学の見地から、近年のファド(流行)を一つ一つ検証し、冷製に判定を下す。澱みに浮かぶ泡沫のような健康情報に流されたくない人のために」

私見:宮崎評のとおり。著者は農学博士で群馬大学教授。テレビなどによる誤解だらけの食情報を丁寧に検証している。専門家による厳密な記述であるのに、一般読者にも、とても分かりやすく書かれている。
前著『「食べもの情報」ウソ・ホント』も良い。私は「Best」に挙げる。

【Worst】
『東大教師が新入生にすすめる本』文藝春秋編(文春新書)

宮崎評:「大方の東大教員が『新入生のために』選んだ本の、現実離れした『高尚さ』に辟易(へきえき)する。これは、学生の能力やニーズをまったく顧慮しない、自己満悦のリストに他ならない」

私見:そうは思わない。180人の東大教員がリストアップしたのは約1500冊。マックス・ヴェーバーや丸山眞男などの定番をはじめ、『阿房列車』『官僚たちの夏』『ショージ君の青春記』など、硬軟とりまぜた良書が全400ページにぎっしり詰まっている。
かつて大学生協で無料配布していた「読書のいずみ」に載っていた現実離れした晦渋(かいじゅう)本を買い込み、途方に暮れていた学生時代に、こんなガイド本があれば有り難かったのだが。私は「Better」。

【Worst】
『世界が認めた和食の知恵…マクロビオティック物語』持田鋼一郎著(新潮新書)

宮崎評:「マクロビオティックは科学的な食餌療法ではない。易学を応用した『無双原理』という独自の世界観に基づく、事実上の宗教だ。近年のニューエイジ・ムーヴメントに乗じて欧米に広がった」

私見:確かに、そういう側面は否定しない。しかしジャンクフードやコンビニ食全盛の現代において、マクロビの提唱する玄米中心の自然食が新鮮な視点を提供していることもまた事実。日頃の暴飲暴食に対する自戒として、私の評価は「More」。

何はともあれ、『新書365冊』は手軽で便利な新書ガイド本なので、買って損はない。

※写真はウィンターコスモス。10/21、おふさ観音(橿原市)で撮影。
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おふさ観音の秋バラ

2006年10月22日 | 奈良にこだわる
奈良県下で「バラの寺」といえば、奈良市中町の霊山寺(りょうせんじ)か、橿原市小房(おふさ)町のおふさ観音だ。

写真は昨日(10/21)、おふさ観音(正式名称は観音寺:高野山真言宗)で撮ったものだ。さわやかなお天気に恵まれて、たくさんの人が色とりどりの秋バラを楽しんでいた。さほど広くない境内は、バラの香りで一杯だった。何といっても、入場無料が有難い(霊山寺は600円)。
※おふさ観音の公式サイト(イングリッシュローズと花まんだらのお寺)
http://homepage3.nifty.com/ofusa/

良いお土産もある。お寺のすぐ近くにある米屋さん(総本家 さなぶりや)の「さなぶり餅」だ。「さなぶり」とは田植えが終わったあと、田の神様を送る儀礼のことで、その時にお供えするのがこのお餅で、もち米ではなく小麦の餅だ。

寒天で覆われていて、きな粉をふりかけて食べる。素朴でとても美味しい。最近は「ふひと団子」というきな粉団子も売り出した。
※「総本家 さなぶりや」のサイトhttp://sanaburi.com/

おふさ観音の秋バラは11月上旬がピークだそうだが、ソメイヨシノのように一斉に咲いて一斉に散るわけではないので、これから3週間くらいはじっくりと楽しめる。ウインターコスモスや、菊の仲間のミラやセイヒンギスといった色鮮やかな名脇役たちもきれいだ。

※霊山寺の情報はこちら
・お寺の公式ホームページhttp://www.ryosenji.jp/
・ブログ内http://blog.goo.ne.jp/tetsuda_n/e/2a867828c106c33a0b2cf5b48200e84d

【お知らせ】
新しいパソコンが到着しました! 今日からブログを再開いたします。皆さん、お待たせいたしました。
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