tetsudaブログ「どっぷり!奈良漬」

コロナも落ちつき、これからが観光シーズン、ぜひ奈良に足をお運びください!

地域密着型ツアー

2007年12月31日 | 奈良にこだわる
昨日(12/30)の奈良新聞に、「地域密着型ツアー 観光協会、企画に知恵」という記事が載っていた。

《各地の観光協会がツアーを主催し観光客を増やそうとする動きが広がっている。2007年5月に旅行業法の施行規則が改正され、小規模事業者も主催ツアーができるようになったのがきっかけだ。各観光協会は地域密着型ツアーの企画に知恵を絞っているが、薄利なために苦戦が続くなど課題も抱えている》。
※産経新聞(12/27付)にも同じ記事が載っている。
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20071227-00000132-san-bus_all

これまで《ツアー主催には旅行業登録に加え、保証金1100万円を国に預けるなどハードルが高かった。それが条件付きで300万円に下がり旅行業への参入が容易になった》そうだが、こんな法改正があったとは知らなかった。

ツアーの例としては、
○佐賀県・唐津観光協会:6つの夏休みツアーを企画(唐津焼体験、温泉探検など。約110人が応募)。今後は、虹の松原(日本三大松原の1つ)や名護屋城跡(秀吉の朝鮮出兵の拠点)を巡るツアーを計画中。
○長崎県・平戸観光協会:キリシタン紀行ツアー
○新潟県・佐渡観光協会:イカの塩辛づくり体験、おけさ柿収穫ツアー
○福井県・敦賀観光協会:越前ガニの釜ゆで見学
○長野県・飯山観光協会:森林浴による女性の「若返りツアー」 など。

ただし、ツアー料金が数千円台と安いため、薄利(利益率は10%程度)で利益を出しにくいのが課題だという。

「地域密着型ツアー」とは初めて聞く名前だが、以前、このブログで話題になったランドオペレーター構想の「着地型旅行」と発想は同じだ。地元のことをよく知っている地元旅行業者などが、遠方からのお客を迎えるという形態だ。
※参考:奈良に「ランドオペレーター」を!
http://blog.goo.ne.jp/tetsuda_n/e/fa0f7a902e18a70a7670b2d99ed017aa

これを奈良でやらない手はない。神社仏閣だけでなく、山も森も川も、花も祭りも手作り体験もある。そのお手本が、奈良検定1級受験者用の「体験学習プログラム」だ。ここでは奈良の伝統工芸体験、大峯山・山伏修行、川上村・源流の森ツアー、黒滝村・炭焼き体験など、選び抜かれたツアーが@1000円~10500円(=1泊)という料金で提供されていた。

地場食材によるランチや温泉をセットすれば、ある程度の料金も取れるだろう。県観光連盟や各市町村の観光協会あたりで、大々的に取り組めないものだろうか。

※写真は、近鉄田原本駅前のゑびす通り(12月下旬の撮影)。近世の田原本は、大和川の舟運で栄えた寺内町・陣屋町だった。中街道(下つ道)が町内を通っている。
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振ると古代の鈴の音

2007年12月30日 | 奈良にこだわる
昨日(12/29)、奈良市・猿沢池畔の魚佐旅館で、ブログの常連コメンテーターの皆さんとオフ会(オフラインミーティング)を開いた。

メンバーは6人で、奈良の観光振興やまちづくりについて、美味しい鍋(豆板醤のタレでいただくオリジナル)をつつきながら歓談した。金やんさんや南都さんからは、詳しい資料も頂戴した。話の内容については、今後このブログで小出しに紹介させていただくことにする。

オフ会に先立ち、ご当主(金やんさんのお父さま)から、所蔵されている「お宝」を見せていただいた。さすがに「開運!なんでも鑑定団」に2度も出品されただけあって、素晴らしい書画骨董の数々だった。

中でも驚いたのは、写真の「二重はそう」だ。「はそう」は瓦へんに泉と書く須恵器の1種である(高さ=約12cm)。桜井市の三輪山麓から出土した5世紀の土器だそうだ。名前の通り2階建てになっていて、2階部分は容器だが、1階部分は鈴になっている。振るとカラカラと乾いた良い音がする。大ぶりの土鈴の音だ。

古墳時代は、ほぼ100年ごとに前期(4世紀)、中期(5世紀)、後期(6世紀)と分けられる。この土器は古墳時代中期、つまり堺市の仁徳天皇陵(大仙陵)や、奈良市の磐之媛命陵(いわのひめりょう・仁徳天皇の皇后陵)、ウワナベ・コナベ古墳の時代の遺物なのである。仁徳天皇の愛した八田若郎女(やたのわきいらつめ)や、それに嫉妬した磐之媛命も、この音を聞いたのであろうか。

魚佐旅館は文久2(1862)年の創業で、小泉八雲も泊まった由緒ある旅館だ。庭には興福寺の礎石や十三重石塔がある。ロビーには飛鳥時代の軒瓦(奈良市・横井廃寺)をはじめ、貴重な史料が展示され、まるでミニ博物館だ。この日は、花園の全国高校ラグビー大会に出場する高校生たちも泊まっていた。
http://www.ryokan.or.jp/uosa/index.html

午後5時に入館してからの6時間は、あっという間だった。これからも、ネットを離れたリアル歓談の場を設けることにしたい。ご参加いただいた皆さん、そして何より貴重な場をご提供いただいた金やんさん、有難うございました。
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カレンダー日和

2007年12月29日 | 奈良にこだわる
昨日(12/28)は、勤務先の仕事納めだった。例年この日には、お取引先から頂戴した来年のカレンダーをもらって帰る。

いつもは職場の全員でクジ引きしていたのだが、今年は例年以上にたくさんいただいたので、希望者が自由に持ち帰って良いことになった。

私は奈良検定が始まって以来、対策を兼ねて仏さまの写真やカレンダーを家に貼ることにしている。それを話したものだから、小山(株)さんは、わざわざ「佛像シリーズ第51集」(2008 Calendar)を送って下さった。共同精版印刷(株)さん、岡村印刷工業(株)さんからも職場に仏像ものを頂戴していたので、迷わずこれらもいただくことにした。

「仏さまの写真ばかり貼ると家が暗くなる」と家内に言われていたので、女性の写真カレンダーも確保した。(株)きんでんさんの「松竹カレンダー 花美人」だ。12人の美人を花に見立て、周囲に葉をあしらったもので、とてもよく撮れている。1月が松坂慶子、12月は名取裕子と、これは本格派だが、中には漫才師のオセロや元アイドルの浅田美代子などが混じっていて、結構楽しめる。ネットで検索すると、市価1500円と知って、2度驚いた。
http://www.shochiku.co.jp/calendar/

企業の配るカレンダーが増えるということは、業績が上向いているということで、景気が回復しているということになる。奈良県内にいるとあまり実感はないのだが、これが来年を占う「吉兆」となりますように。

※写真は宝慶寺(ほうけいじ=中国・西安 唐時代)の「十一面観音龕」。東京国立博物館蔵(7/28撮影)。龕(がん)とは仏像を安置する厨子のことで、これは30余点の浮き彫り石仏龕の1つ。細川護立氏(細川護煕氏の祖父)の寄付による。奈良では、十輪院の石仏龕がよく知られている。
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あすなら観光

2007年12月27日 | 奈良にこだわる
奈良県観光課は、明日(12/28)から、宿泊観光客を対象にした観光情報「あすなら観光」の発信をスタートする。県内の宿泊施設にメールを送信するほか、県のホームページからもダウンロードできるという。以前、荒井知事が記者会見で語っていた施策が実現したものだ。

《「翌日すぐ帰ろう」と考えていた観光客に、滞在時間を延長してもらって多様な観光資源を体感、再び県を訪れてもらうのが狙い》(12/27付 奈良新聞)だ。早速明日は、12/29に行われる薬師寺のお身拭い(13:00~)や興福寺の絵馬展(9:00~)の情報がアップされるそうだ。

奈良市ホテル協議会の発表によれば、今年7~11月の宿泊客は、前年同月比で軒並み減少している。参院選が行われた7月は△18.8%、観光シーズンの10月は△4.2%、11月も△3.5%と落ち込んだ(12/21付 奈良新聞)。協議会は「景気の陰りが現れてきた」とコメントしていたが、今年の国内旅行は全般的に好調(海外旅行は不調)だったというから、奈良観光にだけ景気の陰りが影響したとは思えない。

ともあれ、奈良に泊まってくださる方に、こうしたキメ細かいサービスを提供することは、「もてなし」の向上になり、リピーターを増やすことにもつながる。

「あすなろ」(ヒバ=ヒノキ科)という名前は、「自分も明日はヒノキのように立派な樹木になろう」と願ったという寓話から取られた名前だそうだが、「明日の奈良」は、ぜひ立派なオンリーワンの観光地として、たくさんの方を集客していただきたい。そのためにも、もっと多くの旅館・ホテル業者の方に配信登録(現在は63施設のみ)をお願いしたいと思う。

※写真は、奈良市内の商業施設で行われた奈良大学雅楽研究会の「雅楽演奏会」(11/30撮影)。雅楽の調べは古都奈良の雰囲気にピッタリだ。
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名仏いろいろ(4)聖林寺のご本尊

2007年12月26日 | 仏像
毎日新聞奈良版に好評連載中の「チャレンジ!奈良検定」に、こんな問題が出ていた(7/12付)。

Q.桜井市にある聖林寺(しょうりんじ)の本尊は。
A.(ア)十一面観音(イ)阿弥陀如来(ウ)子安延命地蔵菩薩(エ)不動明王

正解は、子安延命地蔵菩薩である。 これは、超有名な(ア)の十一面観音と答えさせようと仕組まれた引っ掛け問題だ。ご存じ「乾漆十一面観音像」は、もとは大神神社(三輪明神)の神宮寺だった大御輪寺(だいごりんじ・大三輪寺とも)にあった仏さまだ。現在は客仏として、聖林寺に祀られている。
※十一面観音像の写真
http://blogimg.goo.ne.jp/user_image/0c/c0/8b5cf7f0608d9da71bde6b328bcedf83.jpg

この観音さまは、和辻哲郎が『古寺巡礼』(岩波文庫)で絶賛しているほか(入江泰吉の写真も掲載)、ありとあらゆる仏像関係書で紹介されている不朽の名仏である。それに対し、ご本尊の子安延命地蔵菩薩は、ほとんど知られていない。

それどころか、いとうせいこう&みうらじゅんの『見仏記』(角川文庫)では
《頭の中には、あの魅惑的な十一面の顔しかない。「うわっ」 ところが、堂内で我々を待ち受けていたのは、マンガみたいな顔をしたどでかい石仏だった。優雅な十一面観音とは、およそ縁もゆかりもない圧倒的にユーモラスな地蔵である》などと紹介されている。

だから、私が奈良検定1級受験者用の「体験学習プログラム」でこのお寺を訪ねることになったとき、最も期待したのは、正真正銘のご本尊を拝むことであった。

このお地蔵さんは、江戸時代の僧・文春が、姉が何度も出産で苦労したことから一念発起し、4年7か月に及ぶ托鉢で集めた浄財で建立したものだそうだ。江戸期には、難産で苦しむ女性がこの周辺にも多かったのだろう。だから今もこのお寺は、安産・子授けの祈祷寺として栄えている。

それが写真の仏さまである。丈六仏というのか、とにかく大きいお地蔵さんだが、拝みに来られる女性たちにとっては、さぞ優しく頼りがいのあるお姿に映ったことだろう。

聖林寺に拝観に来られる方は、このご本尊の横をドヤドヤと通り過ぎて、耐火構造の収蔵庫に安置されている十一面観音さまの方に向かうが、江戸時代から今日まで、悩める女性を優しく見守り続けてきたこの仏さまも、ぜひ拝んでいただきたいと思う。

※写真は、いずれも8/12撮影。
コメント (2)
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