初めてツルグミに防鳥網を掛けた。ここに実があることを知られてしまってからは、熟さないうちに全ての実を食べられていた。ほとんどがヒヨドリによるものだが、里の農地にあるグミはハクビシンに被害を受けるという。
真竹を曳き割って支えにし、その上から防鳥網を被せた。ツルグミは大粒で甘いので、おチビちゃん達に今年こそ食べさせようと思い立ったのである。
周囲に何株かあるツルグミだけれど、着色しないうちから食べられ続け、すでに実を失った株もある。網をかけたことで今年は賞味できそうだ。
その結果、ようやく熟し始めた。時折、つまんで賞味するけれど、懐かしい美味しさだ。この懐かしさは、少年時代に夜陰に乗じてグミを食べつづけ、舌が渋で割れた記憶に通じているのに違いない。