カラベリ(Caravelli 1930.9.21~ )は、フランスのバンドリーダー。
6月末、レイモン・ルフェーブルの死去が伝えられ、フランスの「イージーリスニング音楽」のマエストロは、今やこのカラベリを残すだけとなった。
もう6-7年前になるだろうか。70歳を超えたカラベリは、来日コンサート・ツアーを行った。このときと17年前の来日コンサートを、私は聴くことが出来た。私は残念ながら、アルフレッド・ハウゼ、パーシー・フェイス、レイモン・ルフェーブル、マントヴァーニなど、リアルタイムで本物の演奏を聴いたことはない。どれもマエストロ亡き後の楽団を聴いただけなのだ。
本物のマエストロといえば、他にはヘンリー・マンシーニ(ロイヤル・フィル・ポップスと来日)、ミシェル・ルグラン(2007年秋)を聴いたくらいだ。
だが、カラベリだけは、2度ナマの演奏を聴くことが出来た。これだけで、彼の音楽には愛着が湧くわけだ。
カラベリのアルバムは、気まぐれというか、玉石混淆というか、とにかくそういう印象が強い。特に感じるのは、レイモン・ルフェーブルやポール・モーリアと比べると、アレンジが結構イージーだということ。ヒット曲などは、凝ったアレンジを施さず、ほとんど原曲のまま演奏している印象が強い。
しかし、実際のコンサートで聴くカラベリは、ストリングスの美しさに感心させられる。「弦のファンタジー」で始まるアンサンブルは、非常に精緻で、品の良い響きがする。さすがに、マエストロが目を光らせていると、オケもいい音を出すのだなと感心した。
アルバムの中では、「タンゴ集」がいいと思う。これは、SONYが制作依頼したアルバムで、日本人の嗜好をしっかりと理解して作られていると思う。現在、廃盤だが、ぜひCD化してほしい名盤だ。
カラベリももうすぐ80歳。もう遠路はるばる、来日ツアーは無理だろう。ぜひ、元気でいて、長生きして欲しいと思う。「イージーリスニング音楽」の火を消さないためにも…・。