フランク・プウルセル(1913-2000)は、フランスのバンド・リーダー。
FM放送「ジェット・ストリーム」のテーマ曲「ミスター・ロンリー」は、今なお心に残る名演奏だ。
いまから45年くらい前だろうか、NHK・TVに「世界の音楽」という番組があった。外国の音楽番組を放送し、かなり人気があった。
当時、家庭用ビデオがなかったので、見たい番組を見るチャンスはたった一度だけ。
ある日、「フランク・プウルセル」の特集があったのだが、私は万全を期して食い入るようにこの番組を見た。
白黒の画面に、70名ほどのオーケストラが映し出され、フランク・プウルセルがっさそうと登場した。シャンソンの名曲などを演奏したはずなのだが、曲名はもう忘れてしまった。ゴージャスで洒落たサウンド、それがいま覚えているすべてだ。
「フレンチ・サウンド」の後輩に当たるポール・モーリア、レイモン・ルフェーブルが、何度も来日し、コンサート・ツアーを行ったのに対し、フランク・プウルセルは、70年代に数回来日しただけだ。
彼が日本嫌いだったわけではなく、多分、コンサート・ツアーそのものを好まず、レコーディングに専念したためだろう。
この季節になると、「空と海と太陽」「急流」などの初期のヒット曲を聴きたくなる。最近、彼の初期のシングル盤を集めた「Originals」というCDがリリースされたが、これはいい企画だと思った。
音楽評論家・出谷 啓氏は、「イージーリスニング音楽」「ムード音楽」を堕落させた張本人として、このフランク・プウルセルをやり玉に挙げている。(「ムード音楽 イージーリスニングのスタア達」)
その理由は、ロックのビートをこの分野に持ち込んだこと。それが、かえって音楽をつまらなくしてしまったと言うのだ。この意見には、私も全く同感。
当時、斬新に聴こえた「フレンチ・サウンド」をいま聴くと、かなり古くさく、退屈に感じるのだ。
一方、アンドレ・コステラネッツ、マントヴァーニなどのオーソドックスな「ムード音楽」は、飽きることはなく、ときどき聴きたくなる気分にさせる音楽だ。
「ウィキペディア」(下記参照)には、フランク・プウルセルは、米国のパーシー・フェイス、英国のマントヴァーニと並んで、世界の3大オーケストラ・リーダーなどと書かれている。当時、そんなことを誰が言っていたのか、全く記憶にはないが、多分、日本のレコード会社関係者がでっち上げた、いい加減なコピーなのだろう。
フランク・プウルセルもポール・モーリアも、そしてレイモン・ルフェーブルも、北米大陸の音楽市場では、全くマイナーな存在だった。「ビルボード」誌のアルバム・チャートにもほとんど登場することはなかった。普通のアメリカ人は、多分、その名前さえ知らないだろう。彼らが好む音楽は、「ビリー・ヴォーン」であり「ローレンス・ウェルク」だったのだ。
もちろん、この事実は、フランク・プウルセルの名を汚すものではないけれど…。
【ウィキペディア】より
フランク・プゥルセル(フランク・プールセル、フランク・プルセル、Franck Pourcel、1913年8月11日 - 2000年11月12日)は、フランス生まれの指揮者。
[編集] 主な活動
1950年代初めに、彼の率いる楽団はデビューをし、50年代は、米のパーシー・フェイス、英のマントヴァーニと並んでイージーリスニング界の3大リーダーの1人と言われる。ヒット曲としては、先ず1955年過ぎに「急流」(オリジナル・モノラル録音)が全世界において大ヒットし、その後「オンリー・ユー」(プラターズのカバー)が、1959年にアメリカのビルボードHOT 100で9位にランクインする大ヒットとなった。
その後も録音活動を積極的に行い、イージー・リスニングの分野を中心に、クラッシックの分野でもアルバムを発表していた。
彼の楽団による演奏は、日本に於いて多くのラジオ、FM、テレビの番組のテーマ曲に使われている(詳しくは「テレビ、ラジオ、FMで使われた彼の演奏による音楽」を参照のこと)。 例えば、同楽団の演奏による「ミスター・ロンリー」は、1967年(昭和42年)7月3日に放送開始し、TOKYO FMが当時FM東海と称していた頃から続いているラジオ番組「JET STREAM」のテーマ曲として日本国内でも有名である(現在、同番組では溝口肇による編曲・演奏バージョンを使用。)。更に1972年には、フジテレビ系列で放送されたドラマ「光る海」のテーマ曲に使われた「アドロ」が日本で大ヒットした。
ストリングスによるアレンジを得意とする。元となる楽曲はクラシックをはじめタンゴ、シャンソン、ポップスや映画音楽など多岐に渡る。日本国内では1950年後半から同80年頃にかけて、東芝音楽工業、東芝EMI(現EMIミュージックジャパン)からオデオン(Odeon)、エンジェル(ANGEL)、及びキャピトル(50年代のみ)レーベルにて、シングル、アルバム及び17cmミニLPが多数発売された(いずれもEMI系列の仏パテ原盤)。