インターネットを検索していたら、見覚えのある人物の名前にぶつかった。立教大学名誉教授の野村浩一氏。中国政治思想史の学者として有名な人だ。
《野村浩一著「蒋介石と毛沢東」》
野村氏へのインタビューは、昨年、東京大学で行われたもので、後輩に当たる村田雄二郎という東京大学教授が、インタビューしている。
今年でもう78歳になったのかと思ったが、インタビューの内容は、部外者にとっても興味深いものだった。
野村氏は、1930年生まれ、1950年に旧制・三高から東京大学法学部政治学科に入学している。大学では丸山真男に学んだ。成績優秀だったのだろう、研究生として大学に残っている。
当初、丸山真男に倣って「日本政治思想史」を専攻しようとしたが、丸山の勧めで中国政治思想史の分野に進んだという。かつて西洋政治思想史研究を志した丸山真男も恩師・南原繁の勧めで日本政治思想史を専門とすることになった。全く同じパターンのようだ。さすが天下の秀才は、どんな課題を与えられても直ちに対応できるということなのだろう。
政治思想史家としての野村氏は、かつて毛沢東を高く評価した。毛沢東ではなく「毛主席」という言葉を使って、「どこの国の学者なのか?」と冷やかされたほどだった。だが現在、毛沢東の評価については、部分的に誤りを認めていて、その誠実な人柄がうかがわれる。
毛沢東政治の政治構造については「…中国では人々は上から下まで様々なレベルがあるけれども、およそ当権者-実権者はそこでは全権を持っている。何でも出来ると思っているんではないかと。”権力は持っているうちに使わなければ、期限が過ぎるとダメになってしまう”(権力不用、過期作廃)という言い方があると聞いたことがあります。…そうした権力を生みだした歴史、政治風土、政治文化を考えていきたいと思うようになりました」とインタビューで応えている。
1972年当時でも、宇野重昭氏(現・島根県立大学学長、当時・成蹊大学教授)は、「野村先生は、毛沢東の一番キラキラした輝く部分だけを採り上げているきらいがある」と評していたのを覚えている。
社会の下層にたたずむ者としては、「権力不用、過期作廃」の意味が身に染みてわかる。日本社会でも似たようなことが沢山あるので、イヤでも気付かされてしまった訳だ。
その意味では、秀才中の秀才である野村氏は、やはり有象無象が権力をふりかざす実社会とは無縁の人のようだ。
何にしても、野村浩一氏がご健在で喜ばしい。実は、教わったこともないのだけれど、一度エレベーターの中で話したことがあったっけ…。
《私は、こちらの「蒋介石と毛沢東」の方がお気に入り!》
《野村浩一著「蒋介石と毛沢東」》
野村氏へのインタビューは、昨年、東京大学で行われたもので、後輩に当たる村田雄二郎という東京大学教授が、インタビューしている。
今年でもう78歳になったのかと思ったが、インタビューの内容は、部外者にとっても興味深いものだった。
野村氏は、1930年生まれ、1950年に旧制・三高から東京大学法学部政治学科に入学している。大学では丸山真男に学んだ。成績優秀だったのだろう、研究生として大学に残っている。
当初、丸山真男に倣って「日本政治思想史」を専攻しようとしたが、丸山の勧めで中国政治思想史の分野に進んだという。かつて西洋政治思想史研究を志した丸山真男も恩師・南原繁の勧めで日本政治思想史を専門とすることになった。全く同じパターンのようだ。さすが天下の秀才は、どんな課題を与えられても直ちに対応できるということなのだろう。
政治思想史家としての野村氏は、かつて毛沢東を高く評価した。毛沢東ではなく「毛主席」という言葉を使って、「どこの国の学者なのか?」と冷やかされたほどだった。だが現在、毛沢東の評価については、部分的に誤りを認めていて、その誠実な人柄がうかがわれる。
毛沢東政治の政治構造については「…中国では人々は上から下まで様々なレベルがあるけれども、およそ当権者-実権者はそこでは全権を持っている。何でも出来ると思っているんではないかと。”権力は持っているうちに使わなければ、期限が過ぎるとダメになってしまう”(権力不用、過期作廃)という言い方があると聞いたことがあります。…そうした権力を生みだした歴史、政治風土、政治文化を考えていきたいと思うようになりました」とインタビューで応えている。
1972年当時でも、宇野重昭氏(現・島根県立大学学長、当時・成蹊大学教授)は、「野村先生は、毛沢東の一番キラキラした輝く部分だけを採り上げているきらいがある」と評していたのを覚えている。
社会の下層にたたずむ者としては、「権力不用、過期作廃」の意味が身に染みてわかる。日本社会でも似たようなことが沢山あるので、イヤでも気付かされてしまった訳だ。
その意味では、秀才中の秀才である野村氏は、やはり有象無象が権力をふりかざす実社会とは無縁の人のようだ。
何にしても、野村浩一氏がご健在で喜ばしい。実は、教わったこともないのだけれど、一度エレベーターの中で話したことがあったっけ…。
《私は、こちらの「蒋介石と毛沢東」の方がお気に入り!》