エッセイ  - 麗しの磐梯 -

「心豊かな日々」をテーマに、エッセイやスケッチを楽しみ、こころ穏やかに生活したい。

草刈りでなくなるチョウの食草

2012-05-14 | 環境問題

   水が入った田の土手をヒメシロチョウが静かに舞っていた。ベニシジミ、ツバメシジミも現れた。

ツマキチョウ♂                                 ♀

   

  ベニシジミ

 

ツバメシジミ♂                             ルリシジミ♀

根の乾かないシオヤトンボが倒木に日向ぼっこ、不順な天候が続いているが、ようやくいつもの初夏のさわやかさを感じた。

山あいに田が伸びているが、どの田の土手も伸び始めていた草がきれいに刈り取られていた。一番奥の田の土手だけが、緑が残っていた。

 

白いか弱いチョウたちが、伸び始めた種々の草の間にツルフジバカマを見つけて産卵していた。ひっそりした日曜日の里山はヒメシロチョウの楽園だ。

 

食草のツルフジバカマ                            産卵時は、腹部を直角に曲げている。

ヒメシロチョウのデート  結構長い時間、ストローを伸ばし、触角を触れ合って仲良くしている。残念ながら交尾は確認できなかった。

 

エゾタンポポに吸蜜するヒメシロチョウ、こんな光景がいつまでも続いて欲しい。

ヒメシロチョウは弱々しく飛ぶがなかなか止まってくれない。自動でピントを合わせて連写する。下手な鉄砲だが、数枚なんとかみれるものがあった。

 

 準絶滅危惧種に指定されているヒメシロチョウ、年々少なくなっているような気がする。
 この土手の食草も何時刈られるのか、おそらく成虫まで育つことはないだろう。切ない気持ちでいっぱいだ。

 いつか山の公園の除草で気づいたことを訴えた。
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一面の芝生のわきに小川が流れ、境の土手には豊かな秋の草むらがあった。そこで紫色のきれいな花をつけるツルフジバカマにヒメシロチョウがさかんに食草の産卵していた。  翌日行くと、その草むらが跡形もなく除草されいた。ヒメシロチョウは、県の準絶滅危惧種に指定され、ほんのわずかな空間で生き長らえてきたチョウだ。落胆し言葉もなかった。
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結局、翌年からヒメシロチョウを見ることはなかった。
行動範囲が狭い種である。食草が刈られてなくなれば、種は絶滅する。
 土手の草刈りがとてもさかんだが、特に田の稲に影響の少ない土手の草は遺すようにできないのだろうか。

 ジャコウアゲハも同じ運命にある。しょっちゅう土手の草刈りが行われ、ウマノスズクサは育つ閑がない。運の良いジャコウアゲハチョウがなんとか種を遺している現状だ。
 我が家にも数本のウマノスズクサがあったが、訪れるジャコウアゲハが結構産卵していく。

 かわいい幼虫も令を重ねると食欲旺盛、伸びた蔓にもお構いなし、途中の太い茎を食いちぎってしまう。今年はまだ芽が出ていないので心配している。

 町中の庭でウマノスズクサを殖やせないものだろうか。

 こうした議論は、生態系のバランスを考えると賛否あろうが、営々と生き延びてきたチョウを守りたい一心だ。

 隣の宮城や栃木でも絶滅のおそれがあるようだ。なんとかこの弱々しいチョウを守ってやりたいと思っている。  (2012.5.13)

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放射線量の測定

2012-03-10 | 環境問題

未明、午前2時25分地震で目が覚めた。すぐにラジオのスイッチを入れると、緊急地震速報のメロディだ。高萩市で震度5弱だった。相変わらず毎日、何度も地震速報が入る。

 今朝は春の雪降りだ。庭に出ると、それほど寒さは感じない。
 きのうの冷たい雨よりも、気温は低いだろうが、何となく温かい感じがした。
  重たい雪に、黒竹が撓って倒れていた。杉の花芽も色づいて膨らみ、飛散も間近だ。
  BSが映らず、脚立を欠けてアンテナの春の雪を払った。

  数日前、4月の市内一斉清掃に伴い、町内の側溝を中心に放射線量を測定した。
 毎年春に、各地区ごとに町内の側溝、道路の土砂等を回収する行事だ。
  市から貸与された測定器で、地区内各所の側溝で、底から1cm,50cm,1mを測 定した。
  丁度寒い日で、手が凍えた。孫にノートに記録を付けて貰いながら約2時間、2日間にわたって20カ所を測定した。
 町内で計測した放射線量は0.16μSv/h~0.28μSv/h の範囲だった。
 特別問題となるような高い値はなかったので、予定通り時実施できそうだ。
  データを整理しながら、いろいろ考えさせられた。疑問も湧いた。この値は健康には影響ないのだろうか。
 国の被曝量の基準は,年間1mSvをこえてはいけないことになっているようだ。これはICRP(国際放射線防護委員会)の勧告を準拠にしている。
   計算してみた。
   0.16μSv/h → 0.16×24×365=約1.40mSv 
     0.28μSv/h →  0.28×24×365=約2.45mSv
 なんと年間1mSvを超えているではないか。原発事故で飛散した人工的な放射線量による値と考えて良いのだろう。怖い話だ。 
 我々は常に放射線を浴びている。調べてみると、ちなみにその自然放射線による被曝線量は、地域によって差はあるが世界平均で、1人が年間に受ける値は2.4mSv(ミリシーベルト)だという。
 また、人工放射線量は胃のX線検診で0.6mSv、胸部X線スキャンでは6.9mSvだ。してみれば、私の8年前の入院で受けたCT,MRIなどの検査はゆうに10回を超えている。かなりの被曝量だったのだ。癌を治すために、癌がふえるリスクをしょったのかも知れない。いずれにしても、低い被曝線量の健康へ及ぼす影響はよくわかっていないらしい。

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いのちを守る森づくり

2012-03-02 | 環境問題

   最近、宮脇昭氏の「いのちを守る森づくり 〜東日本大震災復興〜 」を視聴した。
 御高齢になられた先生の情熱を感じながら、今大変な問題である膨大な震災ガレキの処理について提言を見た。 
  http://www.youtube.com/watch?v=M3xDaV0BugU&feature=related

著名な生態学者、宮脇昭氏は、昔、私自身環境教育の教材に使った「植物と人間」(NHKブックス)の著者で、当時を懐かしく思い出した。
 その「はしがき」には、「植物と人間の関係といえば、・・・、多少関心のある人は、例えば箱根のヤマボウシの白い花は美しかったという。・・・」とあった。 それ以降、私はヤマボウシの花が好きになり、庭に植えた。もう30年も前,毎年可憐な花を咲かせている。

 また、「まとめ」に、「よりよく生きるための、健全な社会の発展の基礎は、自然の緑の必要性をみんなが共通に理解し、まず生きている緑の確保から始まる」と結んでいる。
 
 提案のがれき処理方法は、①がれきを選別(有害物質、不分解物を除く)し、②穴を掘って埋めて土をかぶせる。③そのマウンドに木を植える。と言うもの。
 氏は、ずっと以前から苗木を植え続け「防災環境保全林」を作っていた。土の中の微生物による分解、植えられた植物や樹木が緑の壁を作るのだ。
  やがてその林は、津波を軽減し、命を守り、明日の豊かな森を作るに違いない。http://ryuji.org/activity/images/2011/20110509_midori.pdf

  細野環境相は「日本人の絆」を強調して広域処理を呼びかけているが、難航している。でも、気の遠くなるような膨大なガレキを遠くまで運ぶより、また心配される放射能の広域への拡散も閉じ込められるこの方法は、まさに素晴らしい提言だと思った。被災地の状況もいろいろだろうが、ガレキを貴重な資源として再利用し、可能なところで宮脇氏の防潮林案を採用すればよいと思っている。

 

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赤井谷地エコミュージアム構想

2011-09-05 | 環境問題

                     【乾燥化進む赤井谷地  2011.6撮】

 
何年も前から気になっていることがある。
猪苗代湖の北西岸に位置する高層湿原、天然記念物 に指定されている「赤井谷地沼野植物群落」の現状だ。
   前に拙ブログ 【「赤井谷地湿原の危機」  2011-06-08  環境問題 】を書いた。

 市の図書館でいろいろ調べてみた。
 市では  1992年(平成4年)から、福島県教育委員会では1994年(平成6年)から、赤井谷地の学術的価値の再検討と現状把握を目的に、総合的な学術調査を実施し、その報告書が出ていた。その報告書を閲覧することが出来た。
その後、1999年(平成11年)に、赤井谷地復元保存のための指針となる『赤井谷地沼野植物群落保存管理計画』が策定された。

 4-5万年から2万年前に、泥炭ドームを発達させて出来た高層湿原が、今危機的な状況にあることを再認識させられた。
 個人的に興味があるのは、ときどき訪れる谷地の周辺のチョウやトンボだ。
 明らかに乾燥化が進む湿原では、トンボの生息は致命的である。最近の生息状況もかなり変化がある。その他、植物の植生だけでなく、湿原環境に生息する昆虫はじめ動物の保全が急務であると思っている。

 計画書で、『赤井谷地エコミュージアム構想』を初めて知った。
 計画書の発行からからもう12年になる。その後、この計画はどう検討され、現在どう進んでいるのだろうか。是非知りたいと思う。
 『エコミュージアム構想』を見て、信州の霧ヶ峰や志賀高原の湿原、また雄国沼の木道浮かんできた。
 構想には、①保護・保全機能 ②展示・普及機能 ③調査・研究機能 ④レクリェーション機能 などの全体像が提案され、概念図スケッチが示されていた。
 放っておけば明らかに失われる貴重な自然。どう保全を図るか、難しいだろう。でも、こうした構想の実現は、一つの素晴らしい対策に違いない。
  近々、赤井谷地の保全計画の進捗状況を市の教育委員会に訪ねたいと思っている。   
  

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赤井谷地湿原の危機

2011-06-08 | 環境問題

赤井谷地沼野植物群落は、猪苗代湖の西岸に位置する標高約520mに広がる高層湿原で、昭和3年に国の天然記念物に指定された。
 先日、湿原の西側の道を歩いたら、道には砂利が入れられ、山側に側溝を敷設する工事をしていた。
 実は昨年の秋、道の脇の林の木々に赤いテープで印が付けられていた。瞬間、道路拡張?、伐採されるのか?と心配になった。
 冬を越して、その不安は現実となっていた。
また、驚いたことに、道路脇の一部にかなりの量の粗大ゴミが埋められているではないか。
 多分、以前から林に捨てられていた不法投棄のゴミを,一時道路工事の際に集めておくのだろうと希望的に推測した。
 作業中の市の水道課の方に現状を訴え、併せてこの道路の必要性などについて聞いてみたが、よくわからないようだった。



 道路のこと以外に、以前から湿原の乾燥化に危機感を持っていたからだ。
 自然の遷移であれば納得できるが、明らかにここ数十年の歴史の中での人為的な環境破壊だと思っている。
 今ともかく、湿原言の水位の低下を防がなければならないと思っている。

  ウィキペディアの「赤井谷地沼野植物群落」には、
【特徴として、○北方系植物の遺存 や、○陸化型高層湿原など貴重な自然であることと共に、
 ○湿原保存整備事業として 最近の湿地乾燥化の経緯や現況の問題点が書かれていた。
 今後、赤井谷地湿原の保全対策を担当する教育委員会へ出向いて、いろいろお聞きしたいと思っている。

 
 毎年時期になると、限られた空間に細々と棲息するアマゴイルリトンボや、絶滅が危惧されているマダラナニワトンボを確認に、
 湿原の周囲を巡っていた。

アマゴイルリトンボ




 数年前まで見られたモートンイトトンボは姿を消してしまったようだ。
 今何とか生きながらえているマダラナニワトンボやアマゴイルリトンボなども心配だ。
 乾燥化によって植生は当然だが、豊かな湿原に何万年も前から生き続けてきたトンボを絶滅させてはならない。

 モートンイトトンボ





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ギフチョウに再会

2011-05-09 | 環境問題

 ギフチョウの生まれるころに連休がある。ギフチョウにとっては災難、困ったことだ。
例年ギフチョウの撮影に出かけるが、そこは採集マニアが大きなネットを持って待ち受けている。いつも耐えられない光景だ。
 先日、連休の合間(5/6)、静岡と多摩ナンバーの車だったが、まだ少し早かったようで、彼らに採られなくて良かった。
ギフチョウは福島県では準絶滅危惧種、環境庁カテゴリ-では絶滅危惧 II 類に分類される希少なチョウだ。
また、西会津町は自然環境保全地域として保護対象となっていて、もちろん採集も出来ないはずなのだが・・・。

 今日は風もなく快晴、もう一度ギフチョウに会いに行った。
 連休明けの月曜日でもあり、思ったとおり気分の悪い採集者には出会わなかった。
 例年は、カタクリや桜に吸密するところを撮ることもあるが、なかなか上手く写せないものだ。
 カンアオイの散見できるポイントで、食草を探して飛ぶギフチョウに合うことが出来た。 
今年はやはり雪が深く、まだ残雪も多く1週間ほど遅れているようだ。
 産卵を待ったが、いっこうに止まる気配はなかった。
 何回か数頭が飛翔するギフチョウにカメラを向けた。
 不十分だが、何とか「春の女神」とわかる写真を撮ることが出来た。



 純真な美しい蝶を思いながら、窓を開けて車を走らせた。
 車窓から、水の入った田に逆さ磐梯がさわやかに映っていた。

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オオハンゴンソウの刈り取りと赤井谷地

2010-08-26 | 環境問題



 赤井谷地湿原の西側を走る林道脇で、草むらに入って何やら大がかりな草刈をしているグループに出会った。
車を止めると、咲き始めたオオハンゴンソウを刈り取っていた。
10袋位あったろうか、刈り取ったごみ袋をワゴン車の荷台に積みこんでいた。
市の教育委員会の方たちで、赤井谷地への侵入を防ぐためだと説明してくれた。

オオハンゴンソウは (外来生物法)により指定されている特定外来生物である。
 明治中期に観賞用に導入され、その後野生化し、現在では全国に分布する。
日光国立公園の戦場ヶ原や十和田八幡平国立公園では、在来植生への影響が出始めていることから、駆除作業が行われているという。

赤井谷地は「赤井谷地沼野植物群落」として天然記念物に指定されている貴重な湿原だ。
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猪苗代湖の北西岸で,比較的低標高に位置する高層湿原。
およそ4~5万年前の火山の噴火により,猪苗代湖の水位が高かった時期に湖沼であった地域が,
その後の水位低下と陸化によりおよそ2万年前から湿原が形成され今日に至っている。
このような湖沼から典型的な陸化遷移によってできた湿原は,日本では現在のところ赤井谷地しか知られていない貴重な湿原である。
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 会津若松市教育委員会では、最近(平成4年から)、赤井谷地の学術的価値の再検討と現状把握を目的に、
総合的な学術調査が行われ、報告書が作成された。
その調査結果に基づき、『赤井谷地沼野植物群落保存管理計画』が策定され(平成11年)、
天然記念物の管理団体に会津若松市が指定された(平成13年)。
 現在その計画に沿い、湿原からの漏水防止が図られたり、湿原内地下水位の自動計測など、
湿原の乾燥化を防ぐ方策がとられつつあるようだ。
貴重な湿原は今危機状態にあると思う。一度失われた自然は戻らない。


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身近に生息する希少な虫たちを守りたい

2010-07-20 | 環境問題
 

昔、会津地方にオオルリシジミというチョウが生息していた。しかし半世紀以上も前にすでに絶滅してしまった。
今、このチョウが幼虫のときの食草クララが花をつけている。

【オオルリシジミ ネットより】
 

いつも里山の自然に触れながら、いま細々と生息している希少なチョウやトンボを心配している。
 
 たとえば最近、十数年来虫たちを観察していたフィールドで、大規模な堰の改修工事があった。
木漏れ日にイトトンボが舞い、クワガタやチョウが集まった林の多くの樹木が伐採され、コンクリートの護岸に変わった。
林間に道路ができて、にぎやかだった虫たちの楽園は消滅してしまった。環境アセスメントは十分だったろうか。

生物多様性という言葉がある。
数十億年の生物の進化の歴史が多くの生物をはぐくんできたが、毎日多くの生き物が絶滅している。
すべてが人間の行為によるものだ。

 小さな虫たちの命を見つめ、絶滅を防ぐためのあらゆる保全対策が急務だと思っている。

 【今年も会いたいマダラナニワトンボ 2009.10撮】


キマダラルリツバメ    シンポジュウム

2010-06-27 | 環境問題


「奥会津三島町キマダラルリツバメシンポジュウム」に参加した。
 前日、たまたま久しぶりに角田伊一さんのHP「雪国茶屋」を見てこの会の計画を知った。
また、今年も6/25に、キマダラルリツバメが発生したとあった。
 シンポジュウムは、現地の生息状況を観察しながら保存活動の在り方を話し合うとあったので、一度参加してみようと思った。

 会では、まず三島町文化財専門委員を務める角田さんから「キマダラルリツバメの生息地の現状」と題しての基調講演があった。
そこでは、会津における個体変異群や、産地の様子、保護の現状が話された。
次いで、キマダラの産地である新潟の阿賀町と喜多方市高郷地区での現状と保護の取り組みについて、それぞれ報告があった。
 いずれも、チョウのマニアや業者による採集が問題で、その禁止が必要との話であった。

参加者は約30名、チョウを愛する人たちであろうが、行政関係や趣味で写真撮影をしている方々のようだった。
私自身は、チョウの保全の観点から、何が問題なのか、今後個人として何か取り組めることはなど、現状認識をしたい思いで参加してみた。

 会議のあと、町内の「大林ふるさとの山」に、若いキリの木が植林されている林を見学した。
角田さんは、ここで将来、キマダラルリツバメの乱舞する姿を想像しておられた。
天然記念物に指定して採集などを禁止しながら、生息環境を保全することがまず必要である。
 桐の木に巣を作るハリブトシリアゲアリとの共生のできる素晴らしい環境が三島町にはあるし、今後も保全されていくだろうと嬉しかった。 

 大林地区

 その後、キマダラルリツバメの観察をした。キリの林の中、写真撮影会となった。
 ポツリポツリ雨が落ちてきたが、ネットを持たないことが分かったのか、やがてヨモギ、ヒメジョオン、カナムグラなどの下草に下りてきた。
 なにしろ飛翔が早い。しかし止まるとじっとしていて撮影は比較的容易だ。
ちょうど幸運にも交尾体を発見、みんなが輪になって撮影することができた。
ネットではなく、カメラに囲まれたチョウも穏やかで、実に微笑ましい観察会だった。







 この会に参加して、いろいろ感じ考えることがあった。
 先ずは、採集は禁止しなければならないと思った。当然、蒐集マニアやネット販売のための採集は論外だ。
 しかし、調査と称しての無益な採集もあると思われた。確かに学術的に必要なこともあろうが、採集は極力避けるべきと痛感した。
 また、減少あるいは絶滅が危惧されるている虫たちを守るには、蝶がトンボが生息続ける環境を保全することである。
 三島町では、そのための対策、努力が地道に続けられいると実感した。
快い気持ちでバスに揺られ、町の市民センターへ戻った。
(2010.6.26)

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富良野自然塾

2009-12-12 | 環境問題
                【冬そうび 咲けるだろうか】



文藝春秋の新年号で三井住友銀行(SMBC)の広告を見た。そこに「富良野自然塾」を支援している。とあった。
広告文(部分)に
  ・・・・・・・・
   日頃自然を感じることの大切さ。
風や音や光は自然界の信号だ。
   目覚めさせよう、今眠っている私たちの感覚を。
   自然の中で生きていくのだから。
  ・・・・・・・・

 確かにそうだ。人々は忙しすぎるからだろうか、なかなか自然を見つめることが少ないと思う。だから、5感で身近な自然にふれ、そのすばらしさに気づく機会もほとんど無いだろう。
 こんなにすばらしい風や音や光が、いつも身近にある幸せを感じている。

 富良野自然塾を検索してみると、案の定、あの「北の国から」の倉本聰氏が塾長を務める「SMBC環境プログラム NPO法人 C・C・C富良野自然塾」とあった。
この事業では、、閉鎖されたゴルフ場の跡地に苗を育て元の森に回復させる活動と、五感で自然を体感する環境教育を行っている。すばらしい事業だと思った。

環境教育の基本は、五感により自然に触れることだ。体験的な観察から自然への理解、関心が高まり自然保護の思想へつながると思う。
学校教育でも、もっと身近な自然や生き物を題材にして自然への正しい認識が生まれるに違いない。 親しむ → 学ぶ → 守るだ。教職にあったとき、これらを教材化して実践してきた。環境教育に夢中だった頃のことを懐かしく思い出した。



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猪苗代湖の水質保全

2009-11-29 | 環境問題
【猪苗代湖・裏磐梯湖沼フォトコンテスト入賞作品 ネットより】

 先頃、08年度の全国の湖沼水質ランキングが公表され、2年連続ランク外だった猪苗代湖が2位に入った。猪苗代湖は05年度まで4年連続で全国1位だったが、大腸菌が環境基準を超え、2年連続で最初から評価対象外となっていた。ランク1位は支笏湖(北海道)、3位は倶多楽(くったら)湖(同)、4位は有峰湖(富山県)、5位は草木湖(群馬県)だった。
 トップから「ランク外」への転落は、猪苗代湖を本県の自然環境のシンボルに据える県に大きな衝撃を与え、県は関係市町村、各団体と20年2月に猪苗代湖水環境保全関係団体等連絡会議を設立、生活排水対策、環境に優しい農業などを強化してきた。また、専門家で構成する猪苗代湖水質保全対策検討委員会も発足させた。また、民・産・学・官が一体となって実践活動に取り組むこととし、清らかな湖、美しい猪苗代湖の水環境研究協議会が発足した。
猪苗代湖は、流入河川の水質変化で中性化が進み、大腸菌類が生息しやすい環境になり、水環境保全活動の重要性が増しているという。

平成20年度猪苗代湖の水質測定結果等が詳しく報告されている。
http://www.pref.fukushima.jp/kance/invest/report/H20inawasiro.pdf

猪苗代湖はこれまで、安達太良山周辺の酸性温泉や旧硫黄鉱山からの硫酸が長瀬川を通じて流入。酸性の水で溶け出した鉄イオンなどが、環境悪化の原因となる水中のリンなどを付着させて沈殿する自然の浄化システムで水質を保ってきた。湖水の水素イオン濃度は90年代前半まではpH5程度だったが、徐々に酸性度が弱まり、昨年度は年間平均6・5と中性化が進んでいる。
 
 会津若松市でも、大切な資源を守るため「猪苗代湖水環境保全推進計画」を策定し、○自然汚濁の低減 ○人為汚濁の低減 ○水辺環境の保全・整備推進 ○市民参加による水環境保全活動の活性化 ○水環境保全思想の啓発推進 ○水環境保全に関する調査研究の充実などを具体的に実践している。 湖畔のヨシなどが枯れ、富栄養化の原因の1つと考えられ、最近では刈り取りが進められている。

 時々眺める美しい猪苗代湖にいつも癒されている。ランク付けよりも、水質改善が急務である。個人でできることは限られるが、湖の周囲で生きとし生ける野鳥や魚、植物や昆虫など、壊れやすい生態系がいつまでも保全されていくことを願っている。

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猪苗代湖の水質保全

2008-12-01 | 環境問題
          【美しい湖:笹山から翁島方面を望む】

 猪苗代湖は、2005年まで湖沼水質ランキングで日本一だった。しかし、昨年と今年は、環境省発表のこの水質調査で大腸菌群が環境基準を上回り、ランキングの対象外となってしまった。
 県の水・大気環境課では「酸性の川水が流れ込むことで水質が弱酸性になり、大腸菌類の繁殖が抑えられていたが、最近は中性化が進んでいるのが原因の一つ」としている。
 これは、95年ごろから数年続いた安達太良山の火山活動が一因らしい。閉山した硫黄鉱山などからの強酸性の水が鉄分などを溶かしたうえで湖に流れ、化学反応で汚染物質を吸着、湖底に沈殿させる仕組みに変化があるようだ。
 
 大腸菌群数の増加と聞くと、まず周辺自治体の生活排水の下水処理が大きな問題と思われる。また、裏磐梯の湖沼群はランキング第2位だが、一部の湖では、20年ほど前から富栄養化の進行が見られるようになっていたようだ。いずれにしても、このランキング失格を機に、いっそうの水質保全対策を強化しなければならない。水質を保全していた自然の浄化作用を、人為的に壊してはならない。
 会津若松市の飲料水はじめ生活用水は猪苗代湖の水だ。いつまでも安心して美味しい水が飲めるような水質であって欲しい。


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愛おしいハクチョウに再会

2008-10-27 | 環境問題

 午後から晴れ間が出てきたので、猪苗代へコハクチョウに会い行った。
 稲刈りの終わった田で20羽ほどのコハクチョウがさかんについばんでいた。でも、コンバインでの収穫では落ち穂はほとんどない。
 一年ぶりの冬の使者に、よく来たな!と呼びかけた。



ニュースで「冬の使者」の飛来を報じられたのが10日、「猪苗代湖の自然を守る会」の調査では、昨年より4日早かったと言う。会のHPのデータでは昨年2007年11月20日にはコハクチョウの成鳥が1348羽、幼鳥が165羽で、ピーク時には約3000羽になるらしい。
数日前に、夜の我が家の上空をハクチョウが「コーウ コーウ」と鳴きながら猪苗代湖方面に向かって飛んでいった。暗闇に飛翔するハクチョウの雄姿は感動的だった。その美しすぎることったらなかった。またも雄大な自然の美しさに畏敬の念を覚えた。

 そう言えば、今年はあちこちでハクチョウに餌をやらないようにしようということだ。今年に入り、北海道や秋田県などで見つかったハクチョウの死骸(しがい)から鳥インフルエンザが検出され、その危険性が指摘されていた。
先頃のニュースで、毎年1万羽近くのハクチョウが来る、日本一の飛来地の酒田市では「白鳥を愛する会」が今シーズンの餌付けを自粛するらしい。また、福島市でもハクチョウなどの野鳥に近づいたり、餌やりなどをしないよう訴え、例年催していた「白鳥の歓迎会」や里親募集も休止すると言う。猪苗代湖ではどうするのだろうか。

鳥インフルエンザ問題とは別に、以前から「野生の動物への餌付けは生態系を崩す危惧も言われていた。自然のままと言うが、人為的に変えられている地球環境をどう保全していくべきなのだろうか。

 冬鳥たちには、例年よりも厳しい冬になるのではないだろうか。気温10度、冷え冷えする夕闇迫る田にコハクチョウが点々と何かをついばんでいた。これから迎える厳寒の雪の季節を元気に生き延びて欲しいと願った。
雄大な磐梯山を背に、3羽4羽とハクチョウが飛んでいる。
今年も愛おしい冬の使者に会いに、ときどき猪苗代を訪れたいと思っている。





消えた草原と「黒い赤トンボ」

2008-09-15 | 環境問題

【ほっとした マダラナニワトンボの産卵】

 この時期、いつものフィールドで細々生き続けている、絶滅危惧種のマダラナニワトンボの棲息が気がかりだ。初見は9/1、その後は会えなかった。今年は、それなりの理由があって、見られるかどうか心配していた。それは、フィールド近くのいつもの自然環境が、人為的に変えられたからだった。
 また、この春、カキツバタやノアザミ、ワレモコウ・・・、また、ヒョウモンやジャノメ、セセリ、その他数多くの虫たちの棲んでいた草原がなくなった。そこは、毎年虫たちの美しい姿を写真に撮りに訪れていた草原の楽園だった。小さな自然領域の緑がすっかり刈り取られ、いつの間にか建物が建ち、駐車場に変わってしまっていた。悔しく、残念でならなかった。追いやられた虫たちが、愛おしく切ない。



 今日、マダラナニワトンボの産卵を見ることができた。とても心配していたので、個体数は少なめだが、ペアになって産卵する姿を見て、ひとまず胸をなで下ろした。
 マダラナニワトンボは、オスに頭を挟まれ連結し打空産卵をする。ホバリングしながら、水のない池の縁の地上に、空中から卵のばらまきを繰り返していた。
 池の周囲でも産卵に適した場所はごく限られ、毎年、この狭い同じ環境で細々と生き続けていると思う。この、絶滅が危惧されている黒いアカトンボが、いつまでもいつまでも生き長らえていって欲しいと願っている。
(2008.9.14)


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「EM菌投入 河川の汚濁源」

2008-03-10 | 環境問題

 3/8付けの福島民友新聞に「EM菌投入 河川の汚濁源」との記事が載った。(EMは有用微生物群という造語)
それによると、県によるEM菌の培養液の分析結果、有機物汚濁指標のBODは合併浄化槽の放流水の環境基準の約200倍~600倍だったという。驚きの数値だが、本来有機物であればEM菌がBODを高めることは当然だ。
 微生物や菌にはふさわしい活性環境があり、その使用環境での有効性や安全性の確認は不可欠である。
 これだけEM菌使用が普及してきた今ごろになってデーターが公表されたことに疑問を感じた。EM菌による汚濁有機物を減らす有効性が十分に検証されていなかったということだ。
 EM技術は20年ほど前農業分野の土壌改良用に開発されたが、生ゴミや糞尿の堆肥化はいいが、公共用水域への放流排水の処理には多少の疑問があった。ともかく、EM菌が対象とする有機汚濁物質の分解に、排水系全体として最終的にどれだけ有効か、実験、研究され、そのデータの十分な考察評価が為されなければならない。この際、その有効性が検証されるまでは使用には十分注意しなければならない。最適に使用しないとかえって環境を汚すことになってしまうからだ。
 EM菌使用の活動は県内の学校や団体で広く行われており、波紋を拡げそうだ。