エッセイ  - 麗しの磐梯 -

「心豊かな日々」をテーマに、エッセイやスケッチを楽しみ、こころ穏やかに生活したい。

精一杯に生きる鳥たち、虫たち

2014-01-28 | 文芸

                                      【ジョウビタキ ♂】 (ネットからお借りしました。)

  先日フォレストパークでの雪の中の研修で、弦間一郎所長の「冬の生きものを調べる」の講義を聴いた。
 まず、テーマ「野外生物観察」では、冬という季節が「生きることの大切さ」や「生命の神秘」などを知りやすい季節であること、落葉や雪上など、森林の中で生きものが観察しやすい季節であることを再認識した。
 その中で、バードウオッチング「心を観る、感じる野鳥」は素晴らしい話だった。

 資料に本人が朗読する串田孫一の詩があった。私にはしばらく忘れていた懐かしい名前だった。それは、1965年FM放送番組「音楽の絵本」の1500回記念のテープだった。
 
”今朝も小鳥が私を見にやってきた
 一体何をしているのだろう
 ・・・・・・・・・・・・
 私は戸口の小鳥を見返す
 山椒の実よりも黒い眼が
 私の疲れた赤い眼と重なる
 ・・・・・・・・・・・・
 木の実を食べては空を見上げ
 焦茶色の胸をきりっと張って
 ・・・・・・・・・・・・
 柿の木から飛んで行った
 枝の柿はまだかすかに揺れている
  ・・・・・・・・・・・         ”
ここで、講師の質問は 「ここに登場する野鳥は?」何という種類だろうかだった。
形態は?習性は?・・・、野鳥についてあまり詳しくはない小生だが、詩の中の情報から推測するに、小鳥はジョウビタキ!と思われた。
 あの講義から10日が経った。気になって隣の短大図書館で串田孫一随筆集の「遠い鐘の音」を借りてきた。あったあった、「小鳥と女王様」と言う詩を見つけた。あの資料の詩だった。
 書き出しには「今朝も常鶲が私を見にやって来た」と、解答があった。
 資料の小鳥は常鶲、正解だった。
「山椒の実より黒い眼、焦茶色の胸、胸をきりっと張る、柿の枝が微かに揺れている・・・」一つ一つ、串田の正確な観察描写をあらためて思った。

 それにしても、この講義の組み立てが素晴らしいと思った。野鳥について総括的な解説はわかりやすく、頭の中がすっきり整理された。そして、「心を観る」の意義をあらためて考えさせられた。

 いつも小さな虫たちの心を思っていた。
厳寒の雪の庭にリンゴの皮を置いている。三々五々訪れる小鳥たちは、何を考えているのだろうか。きっと、ときどきこの庭に来ようと思っているに違いない。
いろいろな動物や小さい虫たちには、本能しかないとは思いたくない。人間に負けない優しい心があると信じている。


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4 コメント

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身近に見えた鳥が少なくなりました (さんたろう)
2014-01-29 16:13:57
ジョウビタキ♂の写真きれいですね。私はまだ見たことがありません。家の台所の窓から見える畑にノビタキ、そしてすぐ近くの梅の木にリンゴを半分にしてさしておいたら1度だけですけどきれいなヒレンジャクがきて驚いたことがあります。

 40年ほど昔、つまり私がまだ40歳台の頃は家の近くの川原の森や近くの里山にはいろんな鳥を見ることが出来たように思います。
 きれいなカワセミは金魚や鯉を養殖している業者に害鳥として嫌われていましたのに今はすっかり近くでは見当たりません。川原の森にはホホジロ・ホホアカ・オナガなどがいっぱいいたのに今は姿を見ません。

 一年だけでしたけど田んぼにおかしなトビがいるなと思って双眼鏡を借りて見たらコミミズクでした。これも一年だけでしたけど近くの開けた里山にツイッピーと鳴いてきれいな輪を描いて飛ぶサシバかなと思う鷹のような鳥も見ました。名前は知りませんけど赤い頭の鳩よりちょっと小さいキツツキや山鳥も見ることが出来ました。

 そんな鳥が今ではもうすっかり見ることが出来なくなってさみしいです。なぜこんな鳥がみられなくなったんでしょうね。自然がどんどん消えていくようで怖いです。
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Unknown (Unknown)
2014-01-29 17:25:02
 確かに減っているような気がします。多分、緑が少なくなりと虫が減って・・・。
自然破壊は現在進行形です。我が家の周辺でもわずかに残っていた田んぼが無くなり、聖域だった林も伐採されました。寂しい限りです。
里山へ行っても、チョウやトンボに関心が向いてしまいますが、野鳥大好きでついでに撮るくらいですが、ときどきオオルリ、キビタキなど珍しいのにも会いました。
 我が家の庭の桐の木にときどきコガラ、アオゲラ、アカゲラを見かけ、カメラを向けます。今、毎日来るのはヒヨドリです。さんたろうさんも野鳥好きですね。
 またさんたろうさんの豊かな昔のお話しを楽しみにしています。
 有り難うございます。
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初めまして (wagtail)
2014-02-03 12:08:03
果実は、「野鳥との語らい」を訪問いただき、ありがとうございました。
わたしは、自然好きの信州人ですが、毎朝散歩がてらバードウォッチングを楽しんでいます。
わたしにとって自然への道案内人的存在である野鳥の記録を兼ね、
つたないブログ「野鳥との語らい」をアップしている次第です。

自然好きの人々にとっては興味深い講義が開催されたんですね。
近くでしたらわたしもとんでいったかも知れません。
掲載された詩からジョウビタキと判断し、さらに図書館で調べるなど、
会津マッチャンさんも、本当に自然好きの方でいらっしゃるんだなと推測いたしました。
またゆっくりと訪問させていただきます。
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素晴らしい写真・・・wagtailさん (Unknown)
2014-02-03 16:04:38
wagtailさんのHP、ブログ「おりふしの記」も素晴らしいですね。きれいな写真に魅せられます。ときどき訪問させてください。

小生、信州は第2のふるさとです。
チョウやトンボを中心に里山を巡っています。
今の課題は、自然環境の保全です。いつも、絶滅危惧の小さな虫たちを守りたい気持ちでいます。

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