ギフチョウとヒメギフチョウは思い出の多いチョウだ。
尊敬する昆虫写真家 田淵行男著 山の絵本 「安曇野の蝶」 より
かつての昆虫少年は、学生時代は信州でヒメギフチョウに魅せられた。専攻外の生物学教室にしばしば顔を出していた。
また、もう40年も前には、かつてのヒメギフ生息地川俣に居住したことがあり、花塚林道あたりを巡ったが、その頃は既に見られなくなっていた。
この2種は生息する地域が分かれている。いわゆる「リュードルフィアライン」だ。
福島県では、阿武隈山系を境に、西北側はヒメギフチョウ、日本海側はギフチョウが分布している。
この生息境界線の訳は、幼虫の食草の違いのようだ。
ギフチョウはカンアオイの仲間の葉をたべ、ヒメギフチョウのはウスバサイシンだ。
姫川流域や飯山あたりの何カ所かは両種が混成している。
手元に、『長野県の昆虫 ギフチョウとヒメギフチョウ』1967年発刊がある。
素晴らしい書
そこには飯山産の両種の写真が並び、2種の各地採集写真や鱗粉の顕微鏡写真、各令の幼虫やサナギ、羽化の様子などの写真が載っている。
目次の前には、母校信大の小山長雄先生の「この本へのことば」がある。
そこには、《生物学は生きものの学問である。生物の自然におけるたたずまいから離れてはならない。そこが全ての出発点であり、・・・・》と。
著者は藤沢正平以下、,小中学校の教師仲間だ。定価300円。小山先生には、いろいろとお世話になった。
ギフチョウは西会津町の天然記念物に指定され6~7年になる。
それ以前、小生は度々ギフチョウの危機を訴えてきた。
当時の小生の町長宛提言と町の回答ある。
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[提案等の内容]
毎年5月連休の時期にギフチョウの写真撮影に西会津方面へ出かけています。
○○から○○への峠筋では、ギフチョウ採集目的のネットを持った輩を驚くほど
多数見かけます。以前に比べ個体数は確実に減っています。
採集者に「ギフチョウは心配だから採るのやめましょう!」と声をかけますが、「ここは採っても良いんだ。価値観の違いだ。」などと一蹴されます。
ギフチョウはレッドデータリストでは準絶滅危惧種(県)、絶滅危惧?類(環境庁)の指
定がなされ、個人のエゴでの採集は絶対許せません。
西会津町としても保護対策をより強化すべきと思います。
たとえば、食草のコシノカンアオイを保護したり、採集禁止の条例制定などが必要と考
えます。 ギフチョウを町の宝として保護して欲しいと願っています。 (60歳代 男性)
[回 答]
貴重なご提言を賜り御礼申し上げます。
ご指摘のとおり、毎年ギフチョウの採集に多くの方が○○や○○などに来ています。
私も山の散策が好きな方ですから、こうした採集は大変残念な行為だと思っています。現
在、西会津町教育委員会がギフチョウや食草のコシノカンアオイの分布調査を行っていま
すので、その結果を踏まえ、町としての保護対策を検討します。お質しの保護条例もその
一つであると考えます。 (平成25年6月27日公表)
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最近、喜多方市の広報を目にした。(掲載日:2020年3月4日掲載)
《希少なチョウとして知られる「ギフチョウ」と「キマダラルリツバメ」を、本市の天然記念物に指定しました!》と。
いずれの指定も素晴らしいことだ。でも、問題は採集禁止と同時に、これからギフチョウがいつまでも生息できるような対策だろう。
例年、連休前後に西会津のギフチョウ生息地を訪れ、この「春の女神」との再会を楽しみにしている。
最近は,発生時期の違いもあるが、運が悪く,最近は観られない年もあり、可憐なカタクリに訪れる女神はほんのわずかとなった。
明らかに女神は減ってきている。いつまでも生息し続けて欲しい願いで一杯だ。
「今年 西会津で再会したギフチョウ」 2020.4.25
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