《路傍の草々》
市道から家までの100mほどの道路は、市内一のいまどき珍しい土の悪路である。でも私にとっては実に楽しい散歩道だ。愛犬と日に何度も、見逃しそうな足元の草々との対話を楽しんでいる。
牧野富太郎は、自然に親しむにはまず友達になり相手をよく知れと言った。顔見知りにはなってもなかなか名前が分からないが、何回か話しをしていると自己紹介してくれるから不思議だ。道の両側に生える植物とはいつしか友達となった。
背が伸びたヒメジョオン、満開のタチアオイが道に倒れかかり、すでにカラスノエンドウの黒いサヤは弾けている。秋の草、カゼグサやエノコログサもいつしか穂を付け風に揺れている。スイバは所々立ち枯れ、カナムグラ、ウマノスズクサが勢いよくつるを伸ばしている。ほどなく辺り一面に香りをふりまくクズもかなり伸びてきた。道の真ん中には、オヒシバやオオバコがしっかり根を張っている。
これから散歩の行き帰りに、対話のなくなる雪の季節まで、これらの草々それぞれの生きざまを見つめていきたい。かんかん照りの夏に、色ずく秋に。
市道から家までの100mほどの道路は、市内一のいまどき珍しい土の悪路である。でも私にとっては実に楽しい散歩道だ。愛犬と日に何度も、見逃しそうな足元の草々との対話を楽しんでいる。
牧野富太郎は、自然に親しむにはまず友達になり相手をよく知れと言った。顔見知りにはなってもなかなか名前が分からないが、何回か話しをしていると自己紹介してくれるから不思議だ。道の両側に生える植物とはいつしか友達となった。
背が伸びたヒメジョオン、満開のタチアオイが道に倒れかかり、すでにカラスノエンドウの黒いサヤは弾けている。秋の草、カゼグサやエノコログサもいつしか穂を付け風に揺れている。スイバは所々立ち枯れ、カナムグラ、ウマノスズクサが勢いよくつるを伸ばしている。ほどなく辺り一面に香りをふりまくクズもかなり伸びてきた。道の真ん中には、オヒシバやオオバコがしっかり根を張っている。
これから散歩の行き帰りに、対話のなくなる雪の季節まで、これらの草々それぞれの生きざまを見つめていきたい。かんかん照りの夏に、色ずく秋に。
私の専門は「高分子化学」で、植物は、趣味のチョウの食草から、興味が広がりました。例えば、ウマノスズクサはジャコウアゲハ、カナムグラはキタテハの食草です。信州への進学は、チョウの大先生が信州に居られたからでした。