エッセイ  - 麗しの磐梯 -

「心豊かな日々」をテーマに、エッセイやスケッチを楽しみ、こころ穏やかに生活したい。

雨ニモマケズ

2007-11-03 | 文芸

何気なく本棚の小冊子「宮沢賢治記念館」を手に取った。かつて何度も訪れた花巻の記念館で求めたもので、そこには見学した時の感動のメモが記されていた。

 賢治は私にとって小さい頃からの身近な詩人、哲学者、科学者であった。
 イーハートヴ、ジョバンニなどの響きからは、賢治の抱いた大自然や宇宙銀河の世界が清らかによみがえってくる様だ。
 妹の死を嘆く詩に、暗い冬の寒さが浮かんでくる。また、賢治の古い手帳に書かれた「雨ニモマケズ」を繰り返し読むと、その高潔さに涙がこみ上げ、勇気が湧いてくる。
 冊子に、黒色のレザー装のこの手帳の「雨ニモマメズ」を見ていたら、奇しくも「11.3.]とあることを発見、悲願自戒の記録「雨ニモマメズ」の手帳は昭和6年(1931年)に書かれたものと推定される。今から76年前の今日、病床にありこの手帳に記した賢治の気持ちを思った。

 彼の三十七才の短い生涯を思い、サムサノナツハオロオロアルク暗い時代の、しかし濃厚な精神的生きざまを考え直した。そして自分の精神状態の貧しさを思い、物質文明が精神の高揚を妨げる一因ではないかと疑ったりしている。
 
 賢治の「慾ハナク 決シテ瞋ラズ」に自分の生き方を重ね、これからでもそんな生き方をしたいと思っている。はからずも巡り来た秋に、人生の糧となる彼の生きざまを振り返り、再度豊かな心を考えた。

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雨ニモマケズ手帳全文

雨ニモマケズ
風ニモマケズ
雪ニモ夏ノ暑サニモマケヌ
丈夫ナカラダヲモチ
慾ハナク
決シテ瞋ラズ
イツモシヅカニワラツテヰル
一日ニ玄米四合ト
味噌ト少シノ野菜ヲタベ
アラユルコトヲ
ジブンヲカンジヨウニ入レズニ
ヨクミキキシワカリ
ソシテワスレズ
野原ノ松ノ林ノ蔭ノ
小サナ萱ブキノ小屋ニヰテ
東ニ病氣ノコドモアレバ
行ツテ看病シテヤリ
西ニツカレタ母アレバ
行ツテソノ稻ノ束ヲ負ヒ
南ニ死ニサウナ人アレバ
行ツテコハガラナクテモイヽトイヒ
北ニケンクワヤソシヨウガアレバ
ツマラナイカラヤメロトイヒ
ヒドリノトキハナミダヲナガシ
サムサノナツハオロオロアルキ
ミンナニデクノボートヨバレ
ホメラレモセズ
クニモサレズ
サウイフモノニ
ワタシハ
ナリタイ
  南無無邊行菩薩
  南無上行菩薩
 南無多寳如来
南 無 妙 法 蓮 華 経
 南無釈迦牟尼佛
  南無浄行菩薩
  南無安立行菩薩
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