お魚三昧生活

鹿児島の定置網で獲れる魚や市場の魚、鹿児島大学総合研究博物館魚類ボランティア(魚ボラ)の事などを紹介します!

日本初記録種に昇格 ヨコヅナマルコバン

2019年07月09日 | 魚ボラ
昨年の11月24日に市場に水揚げされているのを見つけ、魚ボラの標本用に確保し、鹿大に持ち込みコガネマルコバンと同定された魚(ブログ 初確保 コガネマルコバン)ですが、その後、魚ボラの学生が頭部を解剖して精査され、第2肋骨が大きく肥大する、側シ骨と前鋤骨がこぶ状に肥大する、上後頭骨上片は板状、上神経骨第1骨は逆L字状などの内部骨格の形態がコガネマルコバンではなく、国内ではまだ未記録のTrachinotus anak Ogilby, 1909と同定されました。その後、その学生が論文を執筆し、今日魚類学雑誌早期公開版が出版され、ヨコヅナマルコバン(新称)と提唱されました。当時コガネマルコバンと同定された時もとても嬉しかったが、日本初記録種となるとは更なる喜び。当時のブログにも書いているが、魚ボラの先生がコガネマルコバンによく似た頭部の骨格の違う未記録種がいると言うのが良いヒントとなったであろう。コガネマルコバンを日本初記録種として論文を執筆したのが魚ボラの先生なので、この近縁種に関しては特に詳しいと思われる。違う研究機関に持ち込んでいればコガネマルコバンのままだった恐れもあり、運も良かった感じである。だが、良かった反面、今後また新たに標本を手にした場合、毎回解剖、もしくはレントゲンで頭部の骨格を調べないと同定出来ない事となり、厄介な事になってしまった感じでもある。


ヨコヅナマルコバン
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ニタリ胎児

2019年07月09日 | 定置網
 今日は定置網漁を終え帰港すると、市場に尾の長い大きなサメが揚がっている。サイズからマオナガかと思いながら見に行くと、驚くことにニタリである。93キロと張ってあり、こんなに大きなニタリを見たのは初めてである。すると、この個体を水揚げした定置網の人が来て、腸を抜いた時に出て来た子と卵を標本用に取って置いてくれているらしい。冷蔵庫に見に行くとニタリの胎児が1個体と卵が丁寧に氷水の中に入っている。有難く魚ボラの標本用に頂く。親魚の腹を切った時の話を聞くと、胎児は2個体だけであとは全てまだ卵の状態だったそうである。胎児のもう1個体はボロボロで捨てたそうである。恐らくこの胎児が残りの卵も食べ、もう少し成長してから産まれてくるのであろう。標本写真を撮りたいところではあるが、胎児とはいえ、このサイズでは家にある撮影用の水槽には入りそうにない。なので家に帰りなるべく鮮度の良い状態で直ぐに冷凍保存しようかと思ったが、この胎児をよく見ると血管が透けて見えており、とても綺麗であり貴重である。胎児なので体がとても弱そうな状態で、冷凍すると今の状態が保てなくなる恐れがある。だが、今日は大学へ持ち込む時間はないので、水槽に入れないで写真を撮ることにする。一応、水槽に入れてみると、尾鰭を曲げればギリギリ水槽には入った。本来は尾鰭をピンと伸ばした状態で撮りたいのだが、直で撮るよりもやはり水槽に入れて撮った方が綺麗な写真になるので、妥協して尾鰭を曲げた状態で水槽に入れて撮ることにする。尾鰭が下に曲がっておりちょっと不自然ではあるが、水槽に入れて撮影した方がやはり綺麗に撮ることが出来た。家で大きな魚を撮影することは非常に少ないが、やはり大きな撮影用の水槽も準備した方が良いのか悩むところである。


ニタリの胎児



ニタリの卵



今回のニタリ胎児の親魚



ニタリの胎児
コメント (4)
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