お魚三昧生活

鹿児島の定置網で獲れる魚や市場の魚、鹿児島大学総合研究博物館魚類ボランティア(魚ボラ)の事などを紹介します!

序でに確保した魚 アンダマンアジ

2021年12月03日 | 市場
 今日は市場でヨコヅナマルコバン(のちに判明)を標本用に確保している。なので今日は大学へ行く事になると思うので、他に持ち込むような魚がいないか市場内を探す。昨日、一昨日と時化だった為、今日はどこの定置網も漁獲が多く、特にロウニンアジやマルヒラアジなどヒラアジ類の魚種が多い。まだ水揚げ中の定置網を覗くと選別前の魚が沢山入ったカゴがあり、その中を探すとホシカイワリの幼魚を発見。ホシカイワリは以前に同じサイズ位の標本を確保しているが、もう何年も前の話である。大学のカメラが良くなったので改めて綺麗な写真を撮ってもらえればと思い、大学へ行く序でにと言う事で確保する。大学へ行くと持ち込んだマルコバンがコガネマルコバンなのかヨコヅナマルコバンなのか、そればかりが気になる。すると横でホシカイワリを精査していた学生がアンダマンアジではと。そんな事ないだろうと思うが、鰓耙数がホシカイワリとは被らずアンダマンアジとの事。学生が代わる代わる鰓耙数を数えるがやはりアンダマンアジと同定される。アンダマンアジは国内では珍しく、沖縄島と九州東岸から記録されていたが写真すら見た事がなく、本当に日本に生息しているのだろうかと思っていた。それが2年前、種子島の定置網で漁獲されたアンダマンアジが鹿児島中央市場に揚がり、仲買さんがFBにアップされていて、それを見て鳥肌が立った。その時はホシカイワリと思われていたみたいであるが、問い合わせると後日また入るという事で確保してもらい鹿児島県産のアンダマンアジが報告された。この時の個体は大型で見た目でアンダマンアジとわかったが、幼魚こそまだ見た事がなく、アンダマンアジの幼魚は自分では未知の魚であった。Fishbaseにアンダマンアジの幼魚の写真が掲載されているが、それもホシカイワリの幼魚ではと疑っていた位である。またしても自分の悪い癖でホシカイワリではという思い込みが強く、今回もアンダマンアジを全く疑う事なく気付く事が出来なかった。この個体がアンダマンアジと同定され、ヨコヅナマルコバンよりもこちらの方が自分としては収穫が大きい感じであり、大学へ行く序でと言う事で確保した魚であるので驚くほど運が良かったとその運命に感謝である。









アンダマンアジ幼魚

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小さなヨコヅナマルコバン

2021年12月03日 | 市場
 今日は定置網漁を終え帰港すると、市場に小さなマルコバンが1個体水揚げされているのが目に付く。だが、今回の個体は背鰭軟条も短くコガネマルコバンの可能性がある。仲買人が来る前に確保する。家に帰り調べるとやはり普通のマルコバンではなくコガネマルコバンの可能性の方が高い。魚ボラの先生に連絡するとヨコヅナマルコバンの可能性も指摘される。確かにそうである。以前にコガネマルコバンに同定された個体が内部骨格の違いからヨコヅナマルコバンと改めて再同定されている(ブログ2019 7.9)。外見だけでは両種は判別出来ないのである。コガネマルコバンなら初確保、ヨコヅナマルコバンでも若魚は初確保となり、どちらの種でも初確保となるので綺麗な写真を撮ってもらう為に大学へと走る。大学に到着し先ずは展鰭して標本写真を撮ってもらう。その後ホルマリンで固定し、固定が終わり標本となってから頭部の骨格を調べるので今日は同定結果は出ないのだろうと思っていた。だが、固定する前に頭部を解剖し上後頭骨を調べてくれる。その結果、ヨコヅナマルコバンと同定される。自分としてはコガネマルコバンであれば標本確保魚種がもう1種増えるので良かったのだが、ヨコヅナマルコバンでも確認魚種としては増えないが、このサイズは初確保なのでやはり嬉しい。この個体は日本国内でヨコヅナマルコバンの3例目となりそうである。頭部を解剖した後は傷口を糸で縫合してからホルマリン固定となる。今後、ヨコヅナマルコバンかコガネマルコバンの標本は全て頭部に糸で縫合した跡のあるものとなりそうである。

市場に水揚げされているのを見つける



魚ボラの標本用に確保する



鹿児島大学へ









頭部を解剖し、上後頭骨を確認する







上後頭骨を確認する







解剖後、傷口は糸で縫合する



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