今日は市場でヨコヅナマルコバン(のちに判明)を標本用に確保している。なので今日は大学へ行く事になると思うので、他に持ち込むような魚がいないか市場内を探す。昨日、一昨日と時化だった為、今日はどこの定置網も漁獲が多く、特にロウニンアジやマルヒラアジなどヒラアジ類の魚種が多い。まだ水揚げ中の定置網を覗くと選別前の魚が沢山入ったカゴがあり、その中を探すとホシカイワリの幼魚を発見。ホシカイワリは以前に同じサイズ位の標本を確保しているが、もう何年も前の話である。大学のカメラが良くなったので改めて綺麗な写真を撮ってもらえればと思い、大学へ行く序でにと言う事で確保する。大学へ行くと持ち込んだマルコバンがコガネマルコバンなのかヨコヅナマルコバンなのか、そればかりが気になる。すると横でホシカイワリを精査していた学生がアンダマンアジではと。そんな事ないだろうと思うが、鰓耙数がホシカイワリとは被らずアンダマンアジとの事。学生が代わる代わる鰓耙数を数えるがやはりアンダマンアジと同定される。アンダマンアジは国内では珍しく、沖縄島と九州東岸から記録されていたが写真すら見た事がなく、本当に日本に生息しているのだろうかと思っていた。それが2年前、種子島の定置網で漁獲されたアンダマンアジが鹿児島中央市場に揚がり、仲買さんがFBにアップされていて、それを見て鳥肌が立った。その時はホシカイワリと思われていたみたいであるが、問い合わせると後日また入るという事で確保してもらい鹿児島県産のアンダマンアジが報告された。この時の個体は大型で見た目でアンダマンアジとわかったが、幼魚こそまだ見た事がなく、アンダマンアジの幼魚は自分では未知の魚であった。Fishbaseにアンダマンアジの幼魚の写真が掲載されているが、それもホシカイワリの幼魚ではと疑っていた位である。またしても自分の悪い癖でホシカイワリではという思い込みが強く、今回もアンダマンアジを全く疑う事なく気付く事が出来なかった。この個体がアンダマンアジと同定され、ヨコヅナマルコバンよりもこちらの方が自分としては収穫が大きい感じであり、大学へ行く序でと言う事で確保した魚であるので驚くほど運が良かったとその運命に感謝である。
アンダマンアジ幼魚