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"届かなかった手紙”大平一枝著を読む

2017-12-23 11:13:32 | Weblog

本の題名の下に、原爆開発「マンハッタン計画」科学者たちの叫び、とキャッチコピーがあった。原爆開発が何故どのようにして始まったか?そして開発過程とその結果、広島、長崎への投下、開発者の心理などなどこれまで私にとって漠然としていたことがよくわかった。ドキドキしながらページを繰っていた。
原爆開発はナチスの原爆開発を怖れて、アインシュタインがアメリカ大統領へ原爆開発の手紙を書いたと聞いていた。しかし実際にはポーランド系ユダヤ人のレオ・シラードと言う核物理学者が書いた手紙にアインシュタインがサインして出したものだった。原爆開発はポーランド人のニールス・ボーアが核分裂を発見して、レオ・シラードがその実証実験に成功し、イタリア人のエンリコ・フェルミが核分裂制御連鎖反応実験に世界で初めて成功して“原子の火”となって核の制御が可能になった。
大統領のゴーサインを受けて軍の管理下で最高の科学者を総動員して莫大な巨費を投じ何十万人と言う人々を動員して原爆開発に邁進して行った。目的はドイツに先駆けて実現してナチの無謀にとどめを刺すことだった。しかし原爆完成前にドイツは降伏してしまった。そこで本来の目標を変えて執拗に戦いに執着していた日本へ原爆投下でトドメの一撃を与えることになった。そこで原爆開発をアインシュタインの名声を借りて原爆開発を提言したレオ・シラードは今度は原爆使用反対の科学者の署名を集めて軍に送り、無辜の市民を警告もなく殺戮する原子爆弾の使用を中止するよう請願したが大統領に届くことはなかった。この原爆開発は当時の世界で量子物理学の父と言われていたハイゼルブルックを怖れてニールス・ボーアたちが積極的に動いた結果だった、と以前読んだことがある。それにしても何も知らずに命を落とした人々の悔しさや残された者たちの憤りと虚しさは計り知れないものがあると思う。しかしそれを乗り越えて世界平和を目指す被爆地の人々の勇気と寛容の精神が原爆の無い世界の扉をこじ開ける、と確信している。レオ・シラードは原爆開発にかかわった反省から戦後は生涯にわたって原爆の無い世界を作る活動に尽くした。
どうして戦争をして殺し合うのか、殺人兵器を作り出すのか?私には理解できない。