今月の兼題は「薫風」でした。晴れて吹き渡る気持ちのいい南風。いろんな状況で薫風が吹きましただ、見事」トップ賞を射止めたのは亜子さんのこの句でした。
この句が投句された時(いつも丁寧なお手紙で送られて来ます)、15年くらい前に訪れた立石寺のことを思い出しました。鬱蒼とした杉木立の中、ひたすら「千の石段」を登りました。頂上からの景色を眺めた解放感と達成感。薫風が後押ししてくれたのかも知れません。
千香子さん:千の石段を登り切った充実感を感じました。
郁子さん:「千の石段」を作者が昇り切ったのだと思いますがかなりの体力を要しそう。
風の後押しがあったと思う。五月の爽やかな風だったのでしょう。
作者の亜子さんに伺ってみました。
山形の山寺、立石寺に60代の頃ご主人と行かれたそうです。「生涯で一番いい薫風に吹かれたのはどこだったろう?」と考えて作られた思い出の一句です。千段以上ある階段を登り切った充足感。見晴らしもよく芭蕉もここへ来てこの景色を見たのかと思うと感慨無量だったそうです。
★★★
具体的な地名を書かなくてもひとつの俳句から亜子さんと同じ景色が想像できたことに喜びを感じました。この階段を登り切ったら煩悩が消えると聞いたことがあります。確かにその時少し消えたような気がしました。それは吹き渡る風のせいだったと思います。麗子