大相撲は、子どものころから好きで、結構見る。
まだ自分の家にテレビがないころ、よく近所の雑貨店に行き、テレビで相撲を見せてもらっていた。
小学校にも上がっていない子どもだったので、大きな声で「大鵬、大鵬!」などと叫ぶものだから、「うるさい!出ていけ!」とほかの人に言われたこともあったのを覚えている。
その大相撲、先場所は関脇若隆景の初優勝に終わったが、優勝決定戦までもつれ込み、大いに盛り上がった。
大相撲の主役は相撲をとる力士たちだ。
ただ、それを支える脇役としての存在に、行司がある。
その行司について、私たちはよく知らない。
例えば、その歴史や仕組み、細かな仕事などについて、知っていることは非常に少ない。
本書は、それらのことに加え、行司の型や所作についてなども扱い、詳しく述べている。
まあ、それらのことを知らなくても、大相撲は楽しく見られているわけだから、別に困ることはないけれども。
著者の根間氏は、大学の教授で、英語の発音を専門とする先生である。
その英語の先生が、相撲を司っているのは行司だから、という理由で興味を持ち、行司について研究を進めて書いたのが、本書である。
行司といえば軍配がセットになるが、持つ軍配の房には、階級によって色があるとは知らなかった。
また、行司の主な仕事の一つには、放送があり、館内の場内放送をしているのが、背広を着用した行司だとは意外だった。
全体を通して、行司は、単に勝敗の判定をするだけでなく、神事と結び付ける重要な役割も果たしていることはよくわかった。
ほかにも、いろいろと新しく知ったことが詳しく述べられていたが、専門用語が多く、私のポンコツ頭は、浸透するのに拒否反応が起こってしまった…。(苦笑)