ON  MY  WAY

60代を迷えるキツネのような男が走ります。スポーツや草花や人の姿にいやされ生きる日々を綴ります(コメント表示承認制です)

雪を歌う「津軽恋女」(新沼謙治)だけど…

2022-02-09 21:38:08 | うた
降りつもる雪 雪 雪 また雪よ

雪が降る毎日が続いていると、この歌が時々口をついて出る。
新沼謙治の「津軽恋女」だ。



今から30年くらい前、職場に自分よりも10歳くらい若い後輩がいた。
その若いはずの彼が、飲み会の後にカラオケに行くと、いつも歌う歌が、この「津軽恋女」であった。
この歌のサビの部分は、確かに聴いていて、いい感じだ。

降りつもる雪 雪 雪 また雪よ
津軽には七つの雪が降るとか
こな雪 つぶ雪 わた雪 ざらめ雪
みず雪 かた雪 春待つ氷雪


サビの部分に「雪」という言葉が、なんと12回も出てくる。
「降りつもる雪 雪 雪 また雪よ」で、「雪」を繰り返すことによって、雪がたくさん降る豪雪地帯であることがよく表れている。
そして、次は雪の種類を1つずつ7つ挙げているのだから、「へえ~、雪の種類ってそんなにあるものなのか」と思って聴いていた人が多いことだろう。

ただ、新潟県で雪に降られている私は、この歌を聴くたびに、違和感を感じていたのである。
なぜかというと、空から降っては来ない雪もいくつかあるからである。

こな雪、わた雪などは、実際に降る雪だと分かる。
だが、ざらめ雪というのは、降って積もった雪が、水分を含んで再結晶したような雪のことである。
降って積もった雪が、ざらめ雪になるのであって、最初からざらめ雪として降ってくるわけではない。

同様に、かた雪や氷雪も、降っては来ない。
かた雪は、一度解けかかったが、夜間の冷えこみで凍りついて堅くなった雪。
氷雪は、固まって、氷のようになった雪のことだ。
つぶ雪や水雪という言葉は、使ったことがないので詳しくは知らない。
…ということで、「津軽には七つの雪が降る」のではないのだ。

まあ、そんなわけで、得意げに歌う職場の後輩を横目に、「この歌を作った人は、雪をよく知らないのかもしれないなあ」と推測していた。

太宰治の『津軽』の冒頭には、「津軽の雪」として挙げた7種の雪が使われている。
こな雪、つぶ雪、わた雪、みず雪、かた雪、ざらめ雪、こおり雪。
「津軽恋女」だけに、きっと、この「津軽」から採ったのだろうなあ。

ところで、件の後輩だが、なぜこの歌を好んでいたかは、やがてわかった。
彼がお付き合いしていた女性の名前が「YUKI」だったのである。
何のことはない、彼女の名前をたくさん呼びたかっただけのことであった。
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