『里山資本主義』 日本経済は「安心の原理」で動く (角川oneテーマ21) [新書]
藻谷 浩介 (著), NHK広島取材班 (著)
何冊かの本を同時並行で読んでいるせいか読書日記は久しぶりとなった。最近は新書はあまり買わないことにしている。ハイペースで借りた本の返却期限も迫ってくるし。
それでも週に一度は書店に行かないと取り残された気がして、そしていつも新書コーナーを覗く。
本書はまだランキング棚にはなかったと思うのだが
手にした理由は(一見)本の内容には関係のない2つの理由があった。
そのひとつは
相撲ブログを書くので奄美市の十両里山関の関連でgoogleやTwitterの検索で「里山」に関する記事は時々ついでに読んでいるので関心があった。
ふたつ目は
ブログのコメントで数年前(DVDも買った)「グローバル資本主義の危機」「日本人の常識」というyoutubeのコントを何度も観ていて本書の内容と通じるものがある直感したこと。時代が変わってコントが奇妙な現実味を帯びてきたと感じる。
日本が「世界の辺境」だとすると外海離島の奄美大島はまたその中で辺境とも言えるし、山がちで平野が少ない島国日本の縮図のようである。
本書の第一章は「世界経済の最先端、中国山地 原価ゼロ円からの経済再生、地域復活」で始まる。
その一章の目次を少しながめただけで
21世紀の〝エネルギー革命〟は山里から始まる/石油に代わる燃料がある/エネルギーを外から買うとグローバル化の影響は免れない/一九六〇年代まで、エネルギーはみんな山から来ていた
”はじめに”「もはや世の中の先端は田舎のほうが走っている」とも言っている。取り残されずにすみそうだ、と思ったわけではないが、もしハズレでもamazon レビューで賛否両論ありそうだと、それを読む楽しみで買うことに決めた。
楽しみにしていた本書前半の全国各地の事例紹介は
そんなにうまくいくのかなあ、などと否定的な気持ちで大分飛ばした。
読みごたえがあった第5章と最終総括を先に読むべきだったか、と後悔。
第5章 「マッチョな二〇世紀」から「しなやかな二一世紀」へ―課題先進国を救う里山モデル
最終総括 「里山資本主義」で不安・不満・不信に訣別を―日本の本当の危機・少子化への解決策
あと著者がなにげに主張した次の部分で納得。これも事例紹介を読む前に読んでおけば、事例も少しは肯定的に読めたのかもしれない。
P260 逆に言えば「日本全体が成長していれば個別の問題も自動的に解決に向かう」というようなこともありえない。個々の問題ごとにある根深い構造をそれぞれ解きほぐして、個別に解決を図るしかないのであり、手前味噌だが筆者はそのお手伝いを生業としている。P260
P288「少し前の日本であれば、都会に住まなければ味わえないマネー資本主義の恩恵というものが、物質的な充足というものがあった。その当時に田舎を出て大都市に移り住んだ今の中高年の方々には、田舎は未だにその当時のままだと思い込んでいる、ある意味幸せな人もいるのだろう。」p289
都会で猛烈に働いている人の中には忙しくて洗濯の暇なく靴下などはコンビにでしょっちゅう新品を買っているという人もいるとか。
コンパクトな名瀬の街はどこへ行くにも便利、驚いたことに都心にはあまりないという大型ホームセンターに行けば大概のものは手に入る。ネットの普及で買い物のハンディは昔とは大違い。・・・仕事があればの話だが・・・とくじけそうになるのだが仕事といっても本書ではこれまでの常識では考えられない事例が・・・。だから田舎へ帰ろうという本ではないのだが。
著者の『デフレの正体』 経済は「人口の波」で動く は書店で手にした記憶があるが、まだ読んでいない。
amazon 内容紹介
「社会が高齢化するから日本は衰える」は誤っている! 原価0円からの経済再生、コミュニティ復活を果たし、安全保障と地域経済の自立をもたらす究極のバックアップシステムを、日本経済の新しい原理として示す!!
内容(「BOOK」データベースより)
課題先進国を救うモデル。その最先端は“里山”にあった!!危機を超え未来を生む、すり潰されない生き方を提言!!
登録情報
新書: 308ページ
出版社: 角川書店 (2013/7/10)
おすすめ度: 5つ星のうち 4.2
(38件のカスタマーレビュー)
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里山資本主義 日本経済は「安心の原理」で動く (角川oneテーマ21) 価格:¥ 820(税込) 発売日:2013-07-10 |
デフレの正体 経済は「人口の波」で動く (角川oneテーマ21) 価格:¥ 760(税込) 発売日:2010-06-10 |