(こどものころNHKTVで見た「次郎物語」の池田秀一が主演のドラマ「路傍の石」
youtubeでどちらも見ることができる)
こちらは1938年版の映画で愛川吾一役は片山明彦。戦前の話だ。
出だしから名作の香り。長い黒塀のつづく川べりの道をを学校に走る少年の下駄の音。川向うのカメラがとらえつづける。
同級生の父の呉服屋に住み込みで働くことになった。
担任の先生に「お前の名は素晴らしい名前なんだぞ、吾一とは「吾はこの世に一人しかいない」という意味なんだ。
世界に何億の人間がいるかも知れないが、いいか愛川、吾一というものはな、世界中にたった一人しかいないのだぞ。だが、一人ぼっちとは違う、やろうと思えば何でもできる」と励まされた吾一少年だった。成績優秀で向学心があるも、父が事業に失敗し貧しくて中学に進学できない。
吾一は住み込み奉公先である同級生の父の呉服屋に住みも込むことになり、主人に商人にはふさわしくないと、「五助」と命名され、吾一の名を奪われ数々の屈辱を味わう。
なんとか仕事になれたある日、向学心に燃え意志の強い吾一は、怒り心頭に発する出来事に直面し、ついにその怒りを爆発させるのであった。
そして自分の進むべき道を見つけた吾一の人生はその後大きな転機を迎える。(見てのお楽しみ)
突然の怒り爆発にはまわりの人たちも、また観るものも驚かされる。吾一少年のそれは、戦後の反骨、反権力とは方向性の違う、非常に激しいものだった。
Wikipedia 映画「路傍の石」
1938年版
1938年公開。日活製作。この作品は文部省推薦映画の第1号に指定されており、キネマ旬報ベストテンでは1938年度の第2位に入っている。
スタッフ
監督:田坂具隆
脚色:荒牧芳郎
音楽:中川栄三
キャスト
愛川吾一:片山明彦
愛川庄吾:山本礼三郎
愛川おれん:滝花久子
稲葉屋黒子泰吉:井染四郎
おせい:吉田一子
久美田住江:沢村貞子
1955年版
1955年公開。松竹大船製作・配給。
1960年版
1960年5月15日公開。製作は東京映画、配給は東宝
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テレビドラマ
2度にわたってNHK総合テレビでドラマ化された。
1963年版
東映版公開1年前の1963年6月16日に『こども劇場』で放送。出演者は東映版にも主演する池田秀一や、万代峰子、富田浩太郎 ほか。
1966年版
1966年に連続ドラマとして放送された。放送時間は毎週火曜18:00 - 18:25。出演は花森常雄、冨田浩太郎ら。