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『サピエンス全史』(下) 文明の構造と人類の幸福 (河出文庫) – 2023/11/3

2025年01月02日 | 本と雑誌

年末に読みました。退屈なページはほとんどない。なぜ今まで読まなかったのか。

上巻は主に約7万年前の「認知革命」から1万年前の「農業革命」までの進化の過程が描かれ、人類がどのようにして地球上の支配者となったかを探る。
この過程では、言語の発達やフィクション(宗教 貨幣 法律と国家などの抽象的な概念や物語)の共有による社会的効力の拡大が中心テーマ。


それでも後半には、下巻の農業革命以降、帝国や宗教の成立、科学革命、産業革命、そして現代に至るまでの人類の変化などに向かう視点もあって読書意欲を書きたてる展開だった。

下巻でもその展開も急速になる印象。
下巻では特に、科学と資本主義がどのように結びつき、現代社会の基盤を形成してきたか、さらには技術革新がもたらす未来像(AIやバイオテクノロジーの予測を超えそうな影響)について詳述。

人類が自然や他の生命体を支配する過程を描くと同時に、その代償としての環境破壊や社会的不平等にも警鐘を鳴らす。(悲観一色ではない)

下巻に対しても、壮大なスケールで歴史を語る一方で、具体的な事例や多様な文化に対する配慮がやや欠けているとの批判がある。

 

関連記事 このぶろぐ『サピエンス全史 』上: 文明の構造と人類の幸福 (河出文庫) 文庫 – 2023/11/3
2024年12月26日 | 本と雑誌


Wikipedia『サピエンス全史 文明の構造と人類の幸福』(サピエンスぜんし ぶんめいのこうぞうとじんるいのこうふく、ヘブライ語: קיצור תולדות האנושות‎、英: Sapiens: A Brief History of Humankind)は、ヘブライ大学の歴史学者ユヴァル・ノア・ハラリによる書籍。2011年にヘブライ語版がイスラエルで最初に出版され[1]、2014年に英語版、2016年に日本語版が発売された。あわせて50か国以上で出版されベストセラーになっている

 


『サピエンス全史 』上: 文明の構造と人類の幸福 (河出文庫) 文庫 – 2023/11/3

2024年12月26日 | 本と雑誌

↑ サピエンス上下巻 ホモ・デウス 上下巻

今更ですが、書店で文庫本を見つけた。

訳は、超訳でしょうか、分かりやすくていい。昔ながらの堅苦しい訳では多分途中で脱落しそうなテーマですが、
本書の「歴史」を超えたスコープにふさわしい。

 

批判的観点として、ハラリの論は挑発的で独創的、そしてしばしば簡略化や過剰な一般化が指摘される。


たとえば、農業革命を「詐欺」と評する見解や「フィクションが人類を支配する」はインパクトがある一方で、その評価は時代や地域性、宗教の多様性を十分に掘り下げていない、などの異見がある。

読後の楽しみはブックレビューもいいけど、ChatGPTとの対話に移りそうだ。本書は訊き所も満載だ。

では、農業以外の選択の可能性についてのハラリの指摘はありますか?と訊いてみた。

ChatGPT
ハラリは『サピエンス全史』において、農業革命が人類の進化における重要なターニングポイントだったとしつつも、農業以外の選択肢についても一定の示唆をしています。具体的には・・・。

中略

著者ハラリは、農業以外の選択肢については深く掘り下げることはしていないのだが、

GPTは結論で、”この選択を再考することで、現代における持続可能な社会のあり方についてのヒントを得ることができるでしょう”と結ぶ。


『生成AIで世界はこう変わる』 (SB新書 642) 新書 – 2024/1/7

2024年11月24日 | 本と雑誌

生成AIで世界はこう変わる (SB新書 642) 新書 – 2024/1/7
今井翔太 (著)
4.1 5つ星のうち4.1    518個の評価

名瀬の書店で見つけました。
いまアマゾンでも人気だそうだ。

アマプラで今「2001年宇宙の旅」を見ているのは偶然だ。

本書では「穴埋め問題」をひたすらAIに解かせることから始まるとして
簡単な問題から複雑な問題へいたる例文で紹介しているところが一番印象的だった。

AIは人間の直感みたいなものも理解する力があるのではないか、、、みたいな。

「2001年宇宙の旅」では猿がモノリス(monolith)を恐る恐る触るシーンが印象的だ。

AI による概要

モノリス(monolith)には、次のような意味があります。
一枚岩、石柱、記念碑などを指す言葉
ソフトウェア開発におけるシステムアーキテクチャの形態
マイクロメートルオーダーの網目状の骨格が繋がった一体型の多孔質体
地球外知的生命の道具である「魁種族」の道具
モノリスの語源は、ギリシャ語の「mono(単一の、一の)」と「lithos(石)」です。

あのモノリスを創った知性体は神だったのかAIだったのか。それとも悪魔だったのか。


「田中一村 かそけき光の彼方』 荒井 曜 : 単行本

2024年11月01日 | 本と雑誌

遅読のわたしだがはやくも三回目読了。

昭和33(1958)年12月12日午後一時過ぎ、著者は一村と同じ時刻ごろ鹿児島港から奄美大島名瀬港に向かった。

物語りでは、それからずっと著者は一村と共にいる。

乗り移ったのは、一村なのかそれとも著者なのか。綿密な取材と地元の人々の惜しみない協力がうかがえる。

島の人々の方言がじつにリアル。一村は相手に対し、様をつけ丁寧な敬語で話すその姿勢はついに変わらない。
時には(一度だけだったと思う)激しい気性を示すこともあるが。しかし著者は冷静に一村を捉え続ける。

難解な方言は、一村がそうであったように、読者にも次第に意味が分かるよう配慮されている。
実に巧みだ。そうして会話の中で奄美の歴史をも学べるのだった。

常人には理解しがたい一村の芸術にたいする信念も生真面目な生活習慣も次第に地元の人々を折り合いをつけていく。

圧巻は、「海辺のアダン」の本画に取り組む一村の姿。
一村の筆先に美大出の著者が乗り移ったのか、それともキーボードに一村が乗り移ったのか。
紡ぎ工場で働いたお金を貯め、南の島で何者の掣肘も受けない理想の環境を得た一村

P228一村は全精力を遣い果たし、筆を置き、二尺五寸巾絹丈五尺一寸の画面をぐるりと見回した。
絹本著色による本画は、この惑星の軌跡ともいいうる奄美の自然を凍りつかせたように完成していた。P228
この絵にはアダンと海辺だけが描かれているのではない。
鹿児島からの船で隣り合わせた老漁師からその後に聞いた、この浜に降りてくる島んちゅの霊魂(まぶり)

P226この絵の一つの主役は、アダンが嵐に負けないよう逞しく根塊をはる土坡でありP226
絹本の縁まで敷き詰められる砂礫の一粒一粒に命を吹き込むのだ。

己の余命、残りの貯金残高、画材調達の費用。制作に没入する前の現実的な算段にまで著者の筆はおよぶ。


大島紬にもいえる光をころして活かす。これまでの、一村の人生に対するイメージも、絵の見方も大きく更新された一冊。

亜熱帯の植物群に魅せられ紆余曲折のあと紬工場の染色工としての職を得た一村。
奄美との出会いは奇跡的だったのだ、と思える。

 


田中一村 かそけき光の彼方 単行本(ソフトカバー) – 2024/8/5 荒井 曜 (著)

2024年09月04日 | 本と雑誌

田中一村 かそけき光の彼方 単行本(ソフトカバー) – 2024/8/5
荒井 曜 (著)

 


幽けき
読み方:かそけき
別表記:幽き

今にも消えてしまいそうなほど、薄い、淡い、あるいは仄かな様子を表す語。古語「幽けし」の連体形であり、現代でも雅な表現として用いられることがある。


幽(読み)ユウ
デジタル大辞泉 「幽」の意味・読み・例文・類語
ゆう【幽】[漢字項目]

[常用漢字] [音]ユウ(イウ)(漢) [訓]かすか
1 暗くて見えない。かすか。「幽暗・幽明」
2 奥深い。「幽遠・幽艶ゆうえん・幽玄・幽邃ゆうすい」
3 世間から離れてひっそりしている。「幽居・幽境・幽棲ゆうせい/清幽」
4 人を閉じ込める。「幽囚・幽閉」
5 死者の世界。「幽界・幽霊」


『ゴッドドクター 徳田虎雄』 (小学館文庫)  – 2020/1/7(これはこのブログ2020年12月15日の記事の再掲です)

2024年07月12日 | 本と雑誌

NHKニュース
徳田虎雄元衆議院議員 死去 86歳「徳洲会」グループ創設者
2024年7月11日 9時02分 

これはこのブログ2020年12月15日の記事の再掲です)

2024 7/11日のNHKニュース 元衆議院議員で、全国各地で病院などを運営する医療法人「徳洲会」グループを創設した徳田虎雄氏が10日夜、入院先の神奈川県内の病院で亡くなりました。86歳でした。

ゴッドドクター 徳田虎雄 (小学館文庫)  – 2020/1/7

先週、名瀬の書店で見つけた。

徳田本はけっこう読んだし、もう,いいかな、とも思ったが、

ナゼ、今頃?とも思って、
表紙の徳田虎雄の写真の表情に惹かれて手に取った。


黒板に向かいマイクとチョークをもって数字を示しながら
聞き手に向かって鋭い視線を向けている。
鋭いといっても威圧的な目ではない。
こちらがつい見入ってしまうような情熱的な純粋な目。
(本書本文にもあった、理と情にも通じる写真かもしれない)

そのエネルギーに押されたように、写真はと題字の「ゴットドクター徳田虎雄」の
文字とともにやや傾き、天に押し出されそうに見える。

写真が少しだけセピア調めいて見えるが、それは錯覚だろうか。
徳田がめざした医療革命の理念は、
決して色あせてはいないぞ、という読後の感想につながる。

「毀誉褒貶の振幅が激しい」「清濁併せのむ」は、徳田虎雄
に対する評価によく当てはまる言葉だが、
本書でも「誉」「褒」「清」は積極的には描れない。
しかし、写真の目は、決して濁ってはいない。

本書は、著者が、自分なりの視点で描くドラマチックな構成になっている。(本書は2017年平凡社刊の『神になりたかった男 徳田虎雄 医療革命の軌跡を追う』に大幅加筆、改定して文庫としたもの)

医局支配の「白い巨塔」を飛び出した医師たちや、アメリカ帰りのエリート医師(京大在学中、学生運動にのめりこんだ徳洲会ナンバーツーは徳田と同郷(徳之島伊仙町)だ、そして次世代は全共闘の経験者、それにやくざも実名で登場する。

これらの人たちが、まったくの徒手空拳から、巨大な病院グループ病院を作りあげた男とともに、
抵抗勢力と闘いながら政界進出し、医療改革を推し進める紆余曲折を描く。、

これでおもしろくないはずがない。


それに非医師の「七人衆」と呼ばれた側近たちのドラマが連ねられる。その細かいエピソードも読みどころで、
むしろそれが怪物徳田虎雄の実像を浮かび上がらせる。

事実はドラマよりおもしろい。並みの取材だけの取材者目線では、描けないノンフィクションだと思う。

ネットの書評でも、「おもしろい」とのレビューが多い。

もひとつ写真のはなし。

本文中の挿入写真、1993年3月、石原慎太郎(左)が都知事選出馬を表明する前夜、ホテルで密会していた自由連連合代表(当時)の徳田虎雄。ホテルの廊下だろうか。スタイリッシュな、石原慎太郎と並んで歩く背広姿の徳田虎雄も負けてはいない存在感がある。この写真も傾いていて緊迫感が伝わる。人と時代を映しているようで印象的な写真だ。


徳田がかかげる医療改革の理念「生命だけは平等だ」は、わかったようで実は、わからないでいた。
その前に省略された「せめて」の意味を考えないと、よくはわからないのあった。

p409 じつは、多くの徳洲会関係者の証言で初めて明らかになったのだが、徳田は「生命だけは平等だ」の決め台詞を吐く前に「せめて」を添えていたという。「徳田は「世の中、生まれの違いは変えられん。頭の良し悪しも仕方ない。貧富の差はあるだろう。だが生命だけは平等だ」と・・・。p409

徳田の「せめて」の思いは、今も生きている。

関連年表2017年の項 

徳田王国が崩れさり、病院数71、年商は4600億円、職員3万3340人、に上る日本最大、世界屈指の(2019年3月病院グループを維持している。

そして、

南海日日新聞 2016年12月27日
 奄美群島と十島村を運航範囲とする奄美ドクターヘリの運航開始式が26日、奄美市名瀬佐大熊町のヘリ格納庫であった。三反園訓県知事をはじめ国、県の議員、奄美群島の市町村長、医療、消防関係者など約120人が出席。テープカットで27日からの導入を祝い、救急医療の発展に期待を込めた。

 

今では、県立大島病院屋上からドクターヘリが発着する。(2017年から)

ドクターヘリの運用開始により、それまでの沖縄から来る自衛隊ヘリに比べると、時間的にもマンパワーの上からも、奄美の離島間救急網(喜界島、徳之島、加計呂麻島、沖永良部、与論、吐噶喇列島)は大きな前進を見せている。


P304 時は止まっているようでも流れている。時代はいつも過渡期なのだ。p304

時代はあっという間に変わる。本書もそのとき再び増補改訂されるかも知れない。


amazon 内容(「BOOK」データベースより)
徳田虎雄が創設した「徳洲会」は、謎の多い、巨大な医療複合体である。一九七三年、大阪に徳田病院を開院して、わずか十数年で日本一、世界屈指の民間病院グループに成長した。かくも巨大な民間病院チェーンが、なぜ短期間に出来上がり、存在し続けているのか。医療の「善」と裏舞台での「悪」―両極端の顔を併せ持つ異端者、ALSを発症してからもなお経営を握り、旺盛な生命力を発揮する「病院王」と、彼のもとに集まった非医師の「七人衆」、「白い巨塔」から飛び出した医師たちの群像を描いた衝撃ノンフィクション!

今では徳田虎雄の名前を知らない若者も多いかもしれない。

wikipedia アメリカ占領時代の鹿児島県大島郡徳之島町出身(出生は兵庫県高砂市。
実弟が医療を受けられなかったことによる急病死をきっかけに医師を志し、阪大受験のため鹿児島県立徳之島高等学校から大阪に単身移り住み阪大合格を果たす。
実家の家計は苦しかったが父親が先祖伝来の農地を切り売りして仕送りをして学資を支えてくれた。

徳洲会事件wikipedia


『日本はこうしてつくられた 』大和を都に選んだ古代王権の謎 単行本 – 2020/12/28

2023年12月12日 | 本と雑誌

日本はこうしてつくられた: 大和を都に選んだ古代王権の謎 単行本 – 2020/12/28
安部 龍太郎 (著)
3.8 5つ星のうち3.8    28個の評価

※月刊「サライ」(小学館)連載の「半島をゆく」を底本にして加筆修正した歴史エッセイ紀行。

豊富なカラー写真、地図、系譜などがふんだんにあり、初心者にもマニアにも楽しめるということだが古代史なので初心者と言っても、それなりの程度の基礎知識は必要だった。
たとえば「三世紀の明治維新」と言われても
中国・後漢が黄巾の乱をきっかけに衰退にむかい、それによって伊都国の主導権がゆらぎ「倭国乱」が出来し、それを解決すべく,吉備、播磨、讃岐、出雲、丹波(なにわ)、大和などが倭国再編に向かい、卑弥呼を担ぎ纏向を新首都としてヤマト王権成立につながった、(「卑弥呼とヤマト王権」(中公選書)2023年)くらいはググりたい。(←本書では否定的な見解も)

第二章 謎の丹後王国偏(丹後半島)も盲点をつかれ新鮮だった。

もっと若いころからこうした旅をしていたら、
と思うことしきり。動画映像付きも配信してほしい。


※『サライ』とは、小学館から発刊されている月刊誌。発売日は毎月10日。シニア世代の男性を対象に、旅、食、人物、歴史、文化、趣味、健康、モノ情報などをテーマとして扱っている。wiki

\\\\\

第一章 大和王権誕生編(奈良)
第二章 謎の丹後王国偏(丹後半島)
第三章 出雲国譲り編(島根半島)
第四章 宇佐八幡と対隼人戦争編(国東半島)
第五章 聖地・熊野と神武天皇編(紀伊半島)
第六章 関東とヤマト政権編(房総半島)


『百姓の力』―江戸時代から見える日本 単行本 – 2008/5/1

2023年11月20日 | 本と雑誌

百姓の力―江戸時代から見える日本 単行本 – 2008/5/1
渡辺 尚志 (著)
4.5 5つ星のうち4.5    45個の評価

 

百姓の力 江戸時代から見える日本 (角川ソフィア文庫) 文庫 – 2015/12/25
渡辺 尚志 (著)


昔の農民の生活は貧しく苦しいことばかりだった、というのは本当なのだろうか?と考えたことことのある人はすくなくないのではなかろうか。

百姓=農民ではない。また農民とは言っても、田、畑ばかりでなく海や山で仕事やそのほかの仕事はあった。様々な形での他地域とのいろいろな関係、つながりもあった。
わかってはいても、これまでの百姓、農民、村人等に対するイメージは単純で貧弱であった。

支配層だけでなく、教科書やTVなどであまり取り上げられない百姓の具体像は最も知りたかったところ。

著者の念入りな研究の結果(研究の方法も教えてくれる)、の前では、百姓や農民に対する先入観は覆されてしまう。
入門書とは言え、知らないこと、考えてもみなかった視点など、いろいろ長年の疑問を解きほぐしてくれる。


信長もビックリ!? 『科学でツッコむ日本の歴史』 ~だから教科書にのらなかった~ 単行本

2023年11月11日 | 本と雑誌

信長もビックリ!? 科学でツッコむ日本の歴史 ~だから教科書にのらなかった~ 単行本 – 2018/11/26

新聞で話題になった本だそうだ。
ネットでは、科学、歴史、双方の側から突っ込みが入っている。

トリヴィア - Wikipedia

トリヴィア、トリビア (英: trivia) は、「くだらないこと、瑣末なこと、雑学的な事柄や知識、豆知識」を指す。
一説に、ラテン語で「三叉路」3 (tres) + 道 (via) を意味する言葉で、古代ローマの都市において三叉路が多かったことから、「どこにでもある場所」「ありふれた場所」を指すようになり、さらに転じて、くだらないこと、瑣末なことを意味するようになったという。

日本ではトリビアの泉というTV番組もあるくらいだし、書店では雑学本もけっこう目にする。
だから、雑学もまったくくだらないということでもない。

たとえば秀吉の中国大返しで、岡山から京都にむけて2万人が一週間以上走り続けるための食糧(おにぎり)を用意した三成の働きが賞賛されている。話はそこまでだが、そう考えると、トイレやその他、水のこととかはどうだったのかと想像がわいてくる。2万人という数字についても、実はどうだったのか科学してみたくなってもくる。。

副題の~だから教科書に乗らなかった~理由もくだらなかったからという理由だけでもなさそうだ。


『古代史入門事典』 単行本 – 2022/2/26

2023年11月03日 | 本と雑誌

古代史入門事典 単行本 – 2022/2/26
武光 誠 (著)
3.0 5つ星のうち3.0    1個の評価


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出版社 ‏ : ‎ 東京堂出版 (2022/2/26)

単行本 ‏ : ‎ 352ページ


「入門」とはいえ盛沢山、「事典」とは言え体裁からして違っていて、どちらのイメージからも遠い内容だが、『古代史」対するこれまでの古いイメージも正してくれる。平易で理解しやすい文章。図解あり。

巻末付録の略年表は、

弥生時代57年倭の奴国の王、後漢に遣使。洪武帝より印綬を賜る(『後漢書』東夷伝 建武中元2年)
から

1185年(寿永4(文治1)壇ノ浦の戦い。平氏滅亡まで。

古代史では、大化の改新あたりから天智(38)、弘文、天武(40)持統41あたりがかろうじて物語でイメージがつかめていたくらいのだが、特にその後の「794年鳴くよ鶯(ウグイス)平安京」で有名な50代桓武天皇の時代(奈良から平安時代の始まり)が物語的でわかりやすく印象に残った。
それまでの仏教政治の腐敗をただし最澄や空海の新仏教を保護し、律令政治再建、政治の分離をすすめた桓武天皇のイメージが固まった。古代史には資料が少なく、それだけではない謎や疑問も多いのだが。


[増補版]神道はなぜ教えがないのか 単行本(ソフトカバー) – 2023/9/1

2023年10月25日 | 本と雑誌

[増補版]神道はなぜ教えがないのか 単行本(ソフトカバー) – 2023/9/1
島田 裕巳 (著) 8個の評価

名瀬の書店で見つけた。

全18章のうちとくに印象にのこったのは7章と8章とあと第13章

第7章 人を神として祀る神道
吉田茂は国葬だったが、死後カトリックの洗礼を受けた。浄土宗の戒名も授かっている
さらに大磯の旧吉田邸にある七賢堂に神としても祀られている。

第8章 神道は意外にイスラム教と似ている。

神道とギリシャ神話に登場する神々も共通するところがあるように感じるのだが、
イスラム教については世界で二番目に信者数が多いのにもかかわらず日本にあまりなじみがなく
すこしわかりにくかった。この章は11ページほどしかない。
もっと掘り下げてくれれば、おもしろいテーマになると思う。

第13章 ないがゆえの自由と伝統
こちら興味深いがもっと論じてもらいたい。
全18章もある章立ての中ではしかたないのかも知れない。


アマゾンより
第1章 「ない宗教」としての神道
第2章 もともとは神殿などなかった
第3章 岩と火-原初の信仰対象と閉じられた空間
第4章 日本の神道は創造神のない宗教である
第5章 神社の社殿はいつからあるのか
第6章 「ない宗教」と「ある宗教」との共存
第7章 人を神として祀る神道
第8章 神道は意外にイスラム教と似ている
第9章 神主は、要らない
第10章 神道には生き神という存在がある
第11章 伊勢神宮の式年遷宮はいつから行われているのか
第12章 救いのない宗教
第13章 ないがゆえの自由と伝統
第14章 浄土としての神社空間
第15章 仏教からの脱却をめざした神道理論
第16章 神道は宗教にあらず
第17章 「ある宗教」への胎動
第18章 「ない宗教」の現在と未来


『「新しさ」の日本思想史』 ――進歩志向の系譜を探る (ちくま新書) 新書 – 2022/2/9

2023年09月27日 | 本と雑誌

「新しさ」の日本思想史 ――進歩志向の系譜を探る (ちくま新書) 新書 – 2022/2/9

「新しさ」という割と日常的な概念だけでこれほどの内容が語れるのか、と驚く。
日本思想史の本なので学術的で難解なところは、ところどころ飛ばしつつ読み進めてみたが、
最後までけっこう読み応えあり。日本語のスキルブラシュアップも兼ねた日本史のおさらいにもなった。

たとえば、海保青陵(wiki 人生の過半を遊歴に費やし、各地で『論語』などの中国古典や漢文作成の文法を教えながら、一方で経済上の様々な相談や指導を行って家計や経営の立て直しに手腕を振い、現在の経営コンサルタントの先駆けとも評される人物である)
についての項が興味を引いた。

いかなる人間関係も基本的にはウリカイ(売り買い)阿蘭陀ハ国王ガガ商ヒヲスル、「物ヲ売リテ物ヲ買ウハ、世界ノ理」
君臣関係もまた 「ウリカイ」 である。

そういわれてみれば「官尊民卑」のイメージが強い薩摩藩は、藩自体が奄美の砂糖などを「ウリカイ」するなどして破綻寸前の財政を立て直すなど、さまざまな貿易にものりだしている。
このことも地政学的に思想史の文脈で語ることも可能だろう。


登録情報
出版社 ‏ : ‎ 筑摩書房 (2022/2/9)
発売日 ‏ : ‎ 2022/2/9
言語 ‏ : ‎ 日本語
新書 ‏ : ‎ 288ページ


『ChatGPTの全貌』 何がすごくて、何が危険なのか? (光文社新書 1267) 新書 – 2023/8/18

2023年09月20日 | 本と雑誌

ChatGPTの全貌 何がすごくて、何が危険なのか? (光文社新書 1267) 新書 – 2023/8/18
オタクを自認する著者の視点はユニークで、視野も広く文の語り口もソフトでノリもいいし、わかりやすい
(専門的なことも言っているのだが)、経歴もちょっと変わっている。
こういう本を書くには最適任ではないだろうか、と読み始めてすぐに思った。

P200 エリートの幻想(小見出し) 「人間にとって自分で考えること、自分で決めることが重要で、価値があり、みんながそれを望んでいる・・・」は恵まれたエリートの幻想である。は今の社会をよく観察している。


名瀬の書店で買ったGPTの本


『日本とユダヤの古代史&世界史』 - 縄文・神話から続く日本建国の真実 - 単行本 – 2023/6/9

2023年09月18日 | 本と雑誌

日本とユダヤの古代史&世界史 - 縄文・神話から続く日本建国の真実 - 単行本 – 2023/6/9


amazon 登録情報
出版社 ‏ : ‎ ワニブックス (2023/6/9)
発売日 ‏ : ‎ 2023/6/9
言語 ‏ : ‎ 日本語
単行本 ‏ : ‎ 304ページ

本書も名瀬の書店のいつも行く棚の裏側で見つけた。
いかにもトンデモ本のような装丁だったのだが、それと割り切ってもペラペラめくると面白そうだ。
対談本なので読みやすい。カラー写真、イラストなども豊富。

いきなり千葉県芝山古墳群(殿塚・姫塚)出土埴輪(しばやまこふんぐん(とのづか・ひめづか)しゅつどはにわ)の人物埴輪群の写真。それが本書ではユダヤ人とされる。

渡来人の秦氏もユダヤ人とされる。

島津氏の出自は秦氏の後裔とされる惟宗氏であるという話は歴史の本で、何度か読んだ記憶があるので、興味を引かれた。

まあ、NHKBSダークサイドミステリー”神秘の古代ミステリー 徹底検証!日本・ユダヤ同祖論
初回放送日: 2023年7月13日”が再放送されたら、観てみたい。本書の主張を肯定的にとらえる内容とは思えないのですが。しかし不思議なことはあるものである。

NHKBSダークサイドミステリー”神秘の古代ミステリー 徹底検証!日本・ユダヤ同祖論

”日本人の祖先はユダヤ人と共通?日本各地の神社にユダヤの痕跡?「かごめかごめ」はヘブライ語の暗号?ネット等で話題の古代ロマン・日ユ同祖論を専門家とともに検証する。”


「古事記ワールド案内図」池澤夏樹著 発売日 ‏ : ‎ 2023/5/24

2023年09月11日 | 本と雑誌

「古事記ワールド案内図」池澤夏樹著

登録情報
出版社 ‏ : ‎ 河出書房新社 (2023/5/24)
発売日 ‏ : ‎ 2023/5/24
言語 ‏ : ‎ 日本語
新書 ‏ : ‎ 256ページ

読了から時間が経ってしまった。
読書中はアマゾンのカスタマーレビューはまだなかったのだが、現在ついている
2~3のレビューはいづれも批判的だ。文学ガイド的なので、記紀についてのそれなりの基礎知識は要求される。おもしろく読める人とそうでない人に大きく分かれるのだろう。
また同じ人でも読むときの気分で、評価が分かれそうな。
おもしろく読んだ、と思ったのだったが、今振り返ると具体的に何が面白かったのか思い出せない。あまり角度をつけずに、断定を控えつつの語りが、そうさせたのかも知れない。歌の引用も多かった。

ワカタケル 単行本 – 2020/9/1
池澤 夏樹 (著)
を先に読んでおけばよかったかも知れない。21代雄略天皇にまつわる小説です。