長谷寺は牡丹の寺として有名で、今頃訪れる人は稀であろうが、何かの花に出会えると思い、急に出かけることにした。
ひっそりとした登廊の脇には、花芽をつけた牡丹が春の日差しを浴びて花開く日を待っている。
数知れないそれらの牡丹園の後ろに、背丈の低い枝垂れの梅を見た。
淡いピンクが優しい。
登廊を上る途中で、枝垂れ梅が左右に見える。その枝垂れが、そこにあるべくしてあるというように、石垣にも、建物にもよく似合うのがとてもいい。
造園の時考えられた末の枝垂れであるが、ごく自然に、参詣する者の目を癒し、心を鎮めてくれる。
名刹、古刹といわれるお寺でいつも感じる落ち着きをこの日も携えて帰れそうだ。