もうとっくに紅葉は見られないものと思っていたのに、堤防に赤い色彩を残していた。
遅い遅いといわれていた今年の紅葉は、宇治でも遅れていた。
平等院の裏手に沿った逍遥道路である。
観光季節には、軒を連ねて店が開いているが、どこもシャッターが閉められていて、そこには季節の華やぎがないだけに、残り紅葉の侘しさにある種の感動を覚えた。
曇り空の下の、逍遥の道に人影が少ないのは、そのせいだろう。
紅葉のトンネルに重なるように、桜の枝だけがアーチを作っている。
この道が人で埋め尽くされるのは、春になってからだろう。
しかし、宇治川に秋の名残を浮かべている紅葉は、こよなく愛しく思えた。