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   ある日のできごと、心の呟き、よしなしごとetc

宮沢賢治:イーハトーブの世界

2008年04月18日 | 雑文
5月の下旬に東北(奥入瀬・陸中海岸・遠野)への旅を計画している。

航空券(行きはバーゲン、帰りは先得割引で予約)と宿(1泊は宿に直接mail、4泊はネットで予約)だけは手配済み。

どのバスや電車に乗るのかは、まだ確定していない。5月になってから決めようと、楽しみはまだとってある。

「5月にまた旅に行くのよ。」と母に言うと、「また行くの?元気でいなきゃいけないね。」と今回も言っていた。そう、元気でいてもらわねば!!母が倒れると私は旅行に行けないからね。航空券が無駄になってしまうからね。


岩手県に行くのだから(花巻は散策する時間がないかもしれないのだが)、この機会に宮沢賢治の童話を何冊か読んでおこうという気になり、図書館で借りてきて、読み始めている。

『どんぐりと山ねこ』 『やまなし』 『いちょうの実』 『雪わたり』 『注文の多い料理店』 『セロひきのゴーシュ』 『虔十公園林』等々。

『雨ニモマケズ』の詩で、棟方志功が『不来方板画柵』という作品を作っているということも今回知った。

『不来方板画柵』は、仏様、山、森、鳥、魚、竹などが散りばめられた画面に『雨ニモマケズ』が彫られているのだが、なんと「ソシテワスレズ」の一行が抜け落ちている。

『雨ニモマケズ』は、執着せず、奢らず、あらゆる生き物にやさしく、ひっそりと目立たず、実直に生きた賢治の生き様が感じられる、見事な詩だと思う。
結局のところ、人はこうあるべきなのかもしれないと、この歳になって、素直にそう思うようになった。
    
「アメニモマケズ手帳」  1931(昭和6)年11月3日

雨ニモマケズ

風ニモマケズ

雪ニモ夏ノ暑サニモマケヌ

丈夫ナカラダヲモチ

欲ハナク
 
決シテ瞑(いか)ラズ

イツモシズカニワラッテイル

一日二玄米四合ト

味噌卜少シノ野菜ヲタペ

アラユルコトヲ
                    
ジブンヲカンジョウニ入レズニ

ヨクミキキシワカリ

ソシテワスレズ

野原ノ松ノ林ノ蔭ノ

小サナ萱ブキノ小屋ニイテ

東二病気ノコドモアレバ

行ッテ看病シテヤリ

西ニツカレタ母アレバ

行ッテソノ稲ノ束ヲ負イ

南ニ死ニソウナ人アレバ

行ッテコワガラナクテモイイトイイ

北ニケンカヤソショウガアレバ

ツマラナイカラヤメロトイイ

ヒデリノトキハナミダヲナガシ

サムサノナツハオロオロアルキ

ミンナニデクノボートヨバレ

ホメラレモセズ

クニモサレズ

ソウイウモノニ

ワタシハナリタイ



詩人、童話作家、宗教者、教師、科学者、農業者、芸術家であった賢治は、37歳でその生涯を閉じた。(1933年9月)

*棟方志功『不来方板画柵』の写真は、宮沢賢治絵童画集⑮(くもん出版)より引用
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