迦陵頻伽──ことだまのこゑ

手猿樂師•嵐悳江が見た浮世を気ままに語る。

美彩幻彩ニッポン。

2024-05-17 21:31:00 | 浮世見聞記
兵庫縣の神戸市立博物館の特別展「Colorful JAPAN 幕末・明治手彩色写真への旅」を觀る。幕末・明治の激動ニッポンにもたらされた“冩真”と云ふ文明は、やがてニッポン人からも優れた冩真技師が誕生するが、この時の冩真にはまだ、色彩と云ふものがなかった。開國間もないJAPANの風景と文化を目の當たりにした異國人たちの、その美しい印象をより實際に近い形で本國へ持ち帰りたいとの欲求に應 . . . 本文を読む
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“月百踊”。

2024-05-16 17:12:00 | 浮世見聞記
太田記念美術館で前期後期に分けて全點が展示された「月岡芳年 月百姿」展を觀る。月岡芳年が明治半ばから末にかけての長きにわたり發表し續けた月下百景の傑作は、これまでにいろいろな美術展で數點を目にしたことはあるが、全點と接するのは今回が初めて。もっとも、かうした企画は今後もどこかでやるだらうが、その日の満月はその日限りの姿なれば、この御縁を逃さじと二度に分けて出かける。(※案内チラシより)私が先日に披 . . . 本文を読む
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進化深化の眩惑。

2024-05-15 20:10:00 | 浮世見聞記
河原崎國太郎の女形を樂しみに、池袋の東京建物BriiaHALLの前進座歌舞伎公演を觀に行く。昨秋に國立劇場が閉館したのを受け、毎年五月の恒例公演をこちらに移したもので、傳統藝能向けではない會場らしくナナメに假設された花道が、いかにも根城を失ひあちこちの劇場を彷徨ふ現今の前進座らしい。目當ての河原崎國太郎は、今回は「歌舞伎十八番の内 鳴神」の雲の絶間姫──嵐市太郎時代から手掛けてきた“ . . . 本文を読む
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皐月の育活。

2024-05-14 20:50:00 | 浮世見聞記
燕の子育てを見かける。 燕はヒトに幸せを運ぶ云々、心をほんわかとさせる、さういふ幸せ。今年の初め、知人のまだ若い勤勞者が職場の中間管理職に“育休”を申請したところ、組織本体が推奨することにも拘はらず、イヤな顔をされた云々。子育てすら他人(ヒト)の顔色を窺はねばならぬニンゲンの、なんと生きにくい浮世であることよ。 . . . 本文を読む
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荒天騒転。

2024-05-13 20:30:00 | 浮世見聞記
未明から窓を強く叩く風と雨の音とで、一時間おきに目を覺まされて朝となる。昨日から怪しかった空模様が、ついに今日になって本性を顕したやうに見える。午前中に小降りとなった一瞬を狙って買ひ物に出かけ、今日は好転を望めぬ空を見て、手猿樂を舞ふのが昨日でよかったとつくづく思ふ。今日の様子では、たとへ雨天決行でも私は面と装束が濡れるのを嫌って参加を辞退したらう。夕方にふだんは見向きもせぬTVを眺めてゐると、報 . . . 本文を読む
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盛百奮舞!

2024-05-12 21:47:00 | 現代手猿樂
春と秋の「おかげマルシェ」で現代手猿樂を舞はせてもらってゐる上目黒氷川神社で、今回は「和の文化祭」と云ふ企画が行なはれ、神樂殿で「月小町」を初演する。百歳の小野小町を描いた能樂の老女物を基本に、老女の姿をいくつか取材して一曲にまとめたもので、上演に相應しい場所や雰囲氣になかなか當を得られずにゐたところ、 和モノに的を絞った今回の催しと御縁があり、やうやく日 . . . 本文を読む
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洋風憧風。

2024-05-11 18:50:00 | 浮世見聞記
觀覧無料が魅力的な板橋區立美術館へ久しぶりに出かけ、「歸空庵コレクションによる 洋風画という風」展を觀る。西洋との交流が著しく制限されてゐた江戸時代、長崎出島經由で僅かにもたらされた西洋繪画と技法に魅せられた、有名無名の日本の藝術家たちの手による、繊細で器用な異國情緒の世界。(※案内チラシより)異國を實見したわけではない彼らが、なんらかの原版だけを頼りに描いた“西洋風”の世界は、未だ見ぬ海の向かふ . . . 本文を読む
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戯れを透かして味はふまことかな。

2024-05-10 20:16:00 | 浮世見聞記
川崎浮世絵ギャラリーにて「SHO(笑) TIME! 戯画展」を觀る。後世の漫画へとつながっていく浮世繪の“戯画”を集めた企画展で、今回の前期展示では歌川國芳、廣重、河鍋暁斎に焦點を當てる。戯(ざ)れゑも江戸時代まで下るとだいぶ庶民臭──低俗味が濃くなり、洒落もだいぶこじつけだったりして、いささか泰平ボケしてゐるやうにも映る。(※案内チラシより)その後に突入する幕末の世情不安は、さうした“泰平の眠り . . . 本文を読む
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魂響招瞳。

2024-05-09 18:15:00 | 浮世見聞記
橫濱人形の家で、コーナー展示「日本の人形芝居・人形浄瑠璃と竹田人形」を觀る。(※展示室内フラッシュ無しで撮影可)竹田人形とは、江戸時代初期に新興音曲の義太夫節と組んで隆盛した竹田近江一座に因んだ上方製の人形云々、力強さを強調した見得風の身振りに、極端なまでに首をひねった姿態は、私の眼にはむしろ滑稽に映る。しかし、チカラと云ふものを瞬間的に冩し取ったものと見れば、極端さのなかにも得難き冩實味を見出せ . . . 本文を読む
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5+5+5=國寶文庫。

2024-05-08 22:12:00 | 浮世見聞記
神奈川縣立金澤文庫の特別展「国宝文選集注といただきもの!?」を觀る。昭和天皇即位記念の御下賜金五萬圓と、戰前の實業家で金澤にも縁のある大橋新太郎が寄附した五萬圓とを資金に昭和五年に開館した金澤文庫は、昭和四十年代まで縣内唯一の博物館であったことから縣民より多種多様な歴史的文物が寄贈・寄託されるも、金澤文庫の企画展は古文書類の展示が多いため、普段はあまりお目に掛かれないそ . . . 本文を読む
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石和法力根性。

2024-05-07 15:00:00 | 浮世見聞記
ラジオ放送の觀世流「鵜飼」を聴く。安房國清澄を立って甲州石和まで来た旅僧──日蓮を暗示してゐる──は、かつて禁制の漁を行なった罰として地元民に殺された漁師の靈と出會ひ、法華經の功力をもって成佛に導く──石和に着いたワキ方がつとめる旅僧は、狂言方がつとめる地元の男に一夜の宿を乞ふが、旅人禁制の“掟”を楯に斷られたので、川沿ひのお堂に泊まることにすると、地元の男があそこは夜な夜な怪異が起きるから止めた . . . 本文を読む
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靈跡錦顔。

2024-05-06 19:32:00 | 浮世見聞記
池上本門寺靈寶殿にて、「本門寺の狩野派」展を觀る。江戸幕府の奥繪師を數家に分かれて代々つとめ、池上本門寺に墓所もある狩野派歴代當主の作品を揃へた企画展、傳統的に定型化された構図を代々描いてゐたとの漠然とした印象を、はっきりおのれの不認識と知らしむ。清爛なやまと繪風もあれば、静謐な水墨画風もあり、當主の數だけ繪にも“顔”があるのである。“顔”と云へば、木挽町狩野派の九代目だった狩野養信(おさのぶ)の . . . 本文を読む
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終活法要。

2024-05-05 20:18:00 | 浮世見聞記
東京都世田谷區の九品佛淨眞寺にて、東京都と淨土宗の無形文化財に指定されてゐる、「二十五菩薩 来迎會」を見物する。人生の終はり──すなはち“お迎へ”の有様を視覺的に再現した法要行事で、實際に金色の佛頭を被った二十五人の菩薩役が、淨土に見立てた三佛堂と、現世に見立てた本堂とをつなぐ通天(木橋)を行列して渡ることから、通稱“おめんかぶり”云々、かつて初めて九品佛を訪ねた際にさういふ行事があ . . . 本文を読む
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恩恵特賣。

2024-05-04 20:37:00 | 浮世見聞記
昨夜まで何でもなかった電気ケトルが、今朝になって急にウンともスンとも云はなくなり、まさにこれが家電製品の宿命なれば、仕方なく地元のホームセンターへ、新たに買ひに出かける。かういふ臨時出費は忌々しいばかりだが、大型連休中限定の特別セールとかで、メーカー品が通常の3分の2の価格で出てゐたので、「せっかくだからいいものを……」と、迷はずそれを取る。浮世の大型連休は、私には殆ど關はりもなければ關心もないが . . . 本文を読む
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署名快讀。

2024-05-03 20:34:00 | 浮世見聞記
前から探してゐた本が古本で手に入り、帰宅してから樂しみに開いて見ると、見返しにいまは故人の著者本人の手で、ある俳優宛への寄贈サインが繪入りでしたためられてゐた。つまり、いまも健在のその俳優は、自分宛のサインが入ったその本を、古物商に流したわけである。……なんとなくその俳優の人間性が、讀めた氣がした。 . . . 本文を読む
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