(確かにテレビ映りが良いソフトなイメージです。こわもての極右イメージと彼女のソフトイメージがどのように融合するのか・・・ “flickr”より By Partisans de Marine Le Pen...
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【将来を恐れるフランス人】
フランス人に対しては、どちらかと言えば快楽志向の楽観的なイメージを持っていましたが、必ずしもそうではないようです。
****世界で一番悲観的なのはフランス人、世論調査*****
フランスは世界有数の先進国で、治安も比較的良い国だ。だがフランス人たちは、世界で最も悲観的な国民であることが、BVAギャラップが3日発表した世論調査の結果で明らかになった。
BVAギャラップが53か国を対象に実施した調査によると、2011年に経済は悪化すると答えたフランス人は61%で、53か国平均の28%を大きく上回った。
さらに67%が、2011年の失業率は増加すると答え、74%の英国、72%のパキスタンに次ぐ悲観度の高さとなった。
2011年は前年よりも悪い年となると答えたフランス人は37%で、14%のアフガニスタン、12%のイラクよりも高かった。
世論調査の結果をうけ、評論家のドミニク・モワシ氏はいう。「フランス人は恐れている。現在は過去よりも良くはない。未来はさらに悪くなる。子どもたちの世代は、より厳しい時代に直面するだろう、とね」(中略)モワシ氏は、背景に病的な鬱(うつ)傾向があると指摘する。
■不況で中間層が悲観的に
モワシ氏は、日常的に生命の危険があるアフガニスタンやイラクの人々よりフランス人の方が悲観的になっているというBVAギャラップの調査結果には懐疑的だが、ある程度はそのような現実もあると考えている。モワシ氏ら何人かの評論家が複数の要因を挙げている。
フランスは社会保障が比較的、充実した国だったが、経済危機により国民が国に頼るのは難しくなっている。そこで、フランス国民は国に対し「反抗する一方で、より大きな保護を要求する」という「親に対する10代の子どものような」態度を取っているとモワシ氏は分析する。
実はフランス人が悲観的だという事実は目新しいものではない。フランスの抗うつ剤の消費量は欧州で最も多い。
失業率の上昇が彼らの悲観的傾向に拍車をかけている。その上ニコラ・サルコジ大統領が推し進める年金の支給開始年齢を2018年までに現行の60歳から62歳に引き上げる法案が議会を通過したことから、フランス全土で抗議運動が巻き起こった。
「フランス人は、精神的に疲れきっている」と語るフランス政府のオンブズマンを務めるジャンポール・デレボワイエ(Jean-Paul Delevoye)氏は語る。政府に対する市民の苦情調査の任に当たる同氏は、悲観的になっているのは主に中間層だとみている。仕事が不安定となるなかで、生活の質が低下していくと恐れているからだ。
「フランス人は元来、快楽好きな国民だ。今、社会が沈滞し、ささやかな個人的喜びが失われつつある」(デレボワイエ氏)【1月12日 AFP】
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経済的な危機感や移民の増加などを受けて、欧州社会において排外主義的な傾向が強まり、極右政党が各地で台頭していることは、これまでも何回か取り上げてきました。
フランスにおいても、イスラム教徒の女性の顔を含む全身をほぼ覆う衣装「ブルカ」や「ニカブ」を公共の場で着用することを事実上禁止する法案や、ロマの強制送還などに、その傾向がみてとれます。
悲観的な“現状への不満”“将来への恐れ”の矛先が、移民・イスラム教徒に向けられていると思われます。
【極右政党・国民戦線の復調】
昨年9~10月には、上記記事にもあるサルコジ政権の年金改革に対し、激しい抗議ストが繰り返し行われました。
こうした社会保障への不安は、“将来への恐れ”に拍車をかけます。
すでに、昨年3月に行われたフランス地域圏議会選挙(比例代表制)において、サルコジ政権の経済政策・失業対策には厳しい評価がなされています。
****サルコジ陣営惨敗、右翼政党に勢い 仏地域選第2回投票****
フランス地域圏議会選挙(比例代表制)の第2回投票が21日に行われ、右派与党の民衆運動連合(UMP)が社会党を軸とする左派連合に惨敗した。右翼政党・国民戦線は、UMPへの支持を取り込む形で勢力を拡大。失業対策を怠ったサルコジ政権への異議申し立てとみられ、政府は経済政策の練り直しを迫られる。(中略)
今回の選挙の傾向が2012年の大統領選に引き継がれる保証はないものの、過去10年で最高水準の失業率を改善できない政権への国民の不満が噴出しているのは明らかだ。
投票率は50%以下と地域圏議会選では最低水準にとどまった。これが固定票の多い国民戦線の追い風となり、候補を立てた12地域圏の平均推定得票率で17%を超えた。23%近い支持を集めたルペン党首は「サルコジ主義の崩壊」と今回の選挙を言い表し、支持層の年金生活者や貧困層への支援強化を訴えた。
一方、左派連合にとっては04年の前回選挙を上回る地滑り的勝利だった。社会党のオブリ党首は21日、「前例のない勝利」と歓迎。そして、サルコジ政権に対し、「抜本的な政策転換」を促した。
ただ今回の圧勝は、07年の大統領選以降、党内対立で求心力を失った社会党の復権というよりも、緑の党を軸として結党したばかりのヨーロッパ・エコロジーに支えられたとの見方が強い。(後略)【10年3月22日 朝日】
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極右政党・国民戦線は、80年代、保守層が多い東部や南部などで地盤を固め、90年後半から移民排斥を訴えて労働者が多い北部工業地帯で支持を広げました。02年の大統領選では党首ルペン氏が社会党候補を破り決選投票に進出しましたが、その後は党勢が低迷していました。
ここにきて、高い失業率への不満、国民の将来への不安、増加するイスラム・移民への不満を取り込む形で復調してきたようです。
【三女、マリーヌ・ルペン氏 新党首へ】
これまで約40年にわたりジャンマリ・ルペン党首(82)が率いてきましたが、高齢のため、後継党首が選任されました。後継党首には、ルペン党首の三女であるマリーヌ・ルペン副党首が選ばれ、メディア受けのいい柔らかいイメージもあって、12年大統領選挙に向けたその動向が注目を集めています。
****フランス:極右「国民戦線」党首にルペン氏三女****
フランスの極右政党「国民戦線」(FN)は16日、党大会を開き、党首を退いたジャンマリ・ルペン氏(82)の後任として同氏の三女、マリーヌ・ルペン副党首(42)を党首に選出した。72年設立の同党は移民排斥などを訴え、勢力を伸長。世論調査でマリーヌ氏は17%の支持率を獲得しており、同氏が打ち出す「ソフトな極右戦略」が、さらに支持を広げる可能性がでている。
投票でマリーヌ氏は、約68%の党員票を獲得。同氏は当選後の演説で「グローバリゼーションで(人の移動が進み)我々の文明が損なわれてしまう」と、間接的にイスラム教徒を中心とする仏への移民増加を非難した。
同氏は父のジャンマリ氏に比べ過激な表現を避ける傾向にあり、「女性なりのソフトさが支持者増大につながる」(仏紙)との指摘がある。だがこの一方で、最近では仏国内でイスラム教徒が行う野外の礼拝を大戦中のナチスの侵略に例え、批判された。同氏は今後の政治目標を来年の次期大統領選としている。
同党はジャンマリ前党首が設立。移民排斥のほか欧州連合(EU)からの脱退、死刑復活などを主張、02年の大統領選の第1回投票では前党首が第2位となった。党首退任の演説でジャンマリ前党首は「移民の増加で仏の統一が損なわれている」と主張、「信念」の変わらないことを見せた。前党首は今後、名誉党首となる。【1月17日 毎日】
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【「ソフトな極右戦略」】
「ナチスのユダヤ人迫害否定に固執する守旧派は時代錯誤だ」と言い、「イスラム系移民の排斥」ではなく、「フランス社会にふさわしいイスラムのあり方を」と呼びかけ「柔軟さ」を演出、イメージ刷新を訴えるマリーヌ氏に対して、大衆誌パリマッチの最新調査では33%が「好感を持つ」と回答。主要メディアの扱いも有力政治家並みとか。【12月23日、1月16日 読売より】
****大統領選で台風の目か=ルペン氏三女が新党首―仏極右*****
フランスの極右政党・国民戦線(FN)は16日の党大会で、引退するジャンマリ・ルペン党首(82)の後任に、三女で欧州議会議員のマリーヌ・ルペン副党首(42)を選出した。マリーヌ氏は最近の世論調査で支持を伸ばしており、来年の大統領選で「台風の目」になるとの見方も出ている。
ジャンマリ氏は過去5回の大統領選に立候補。2002年には社会党候補を抑えて決選投票に進み、欧州政界に衝撃を与えた。
14日発売のマリアンヌ誌に掲載された世論調査では、18%が大統領選の第1回投票でマリーヌ氏に投票すると回答。社会党候補と目されるストロスカーン元財務相の30%、再選を目指すサルコジ大統領の25%に次ぐ3位に入った。【1月16日 時事】
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現在ところ、“大統領選を勝ち抜くには十分な数字ではないが、中道右派のサルコジ氏にとっては、票田を脅かす大きな脅威となってくる”【1月17日 AFP】といった位置付けですが、今後、マリーヌ氏が打ち出す「ソフトな極右戦略」が、さらに支持を広げる可能性がでているとも。
それにしても、「ソフトな極右戦略」とはどんなものでしょうか?その実態がよくわかりません。