(豚肉を買い求める南寧の住民【9月12日 WSJ】 南寧を含む広西チワン族自治区では、アフリカ豚コレラのまん延により今年の生産量が最大9割減となる可能性もあるとか)
正直なところ、ニュースを見聞きしても殆ど関心がなく聞き流す感じでしたが、日本でも豚コレラ感染が広がっているようです。
農林水産省HPによれば・・・
****豚コレラについて****
令和元年9月12日 担当:消費・安全局動物衛生課
岐阜県、愛知県、長野県、滋賀県、大阪府、三重県、福井県で豚コレラの発生が確認されています。
豚コレラは、 豚やいのししの病気であって人に感染することはなく、 仮に豚コレラにかかった豚の肉や内臓を食べても人体に影響はありません。また、感染豚の肉が市場に出回ることはありません。
なお、豚やいのししには強い伝染力と高い致死率が特徴のため、 畜産農家の方 は、引き続き、飼養衛生管理の徹底や早期摘発のための監視の強化に万全を期すようお願いします。
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上記の中部・近畿各県だけでなく、埼玉でも。
****埼玉)豚コレラ「封じ込める」 秩父で発生、県対応急ぐ****
昨年9月以来、中部地方や近畿地方で確認されていた家畜伝染病「豚コレラ」が13日、秩父市の養豚場で飼育された豚からも見つかった。県内では約85戸の養豚農家が約9万頭の豚を飼育している。
豚コレラは人に感染せず、感染した豚肉を食べても人体に影響はないとされるが、養豚農家からは感染拡大への懸念の声が上がった。(後略)【9月14日 朝日】
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当然ながら、養豚農家にとっては死活問題であり、深刻な状況となっています。
岐阜では発生から1年が経過しています。
****迫る危機、県内から豚が消える日 豚コレラで飼育数半減****
岐阜県で家畜伝染病「豚(とん)コレラ」の発生が確認されてから、9日で1年が経った。県内では6万頭以上が殺処分され、飼育される豚の半数以上が失われた。9月に入っても中津川市で新たな発生があり、関係者は「岐阜から豚が消えるのでは」と危機感を募らせる。
「夢であってほしい」
8千頭を超える豚を飼育していた岐阜県関市の兼松真吾さん(56)は、感染を知らされた時、とっさに思った。昨年12月24日、クリスマスイブの夜だった。
防疫作業員が続々とやってきた。仮設テントを立てる乾いた音が響き、周囲を照らす光がまぶしかった。自動でエサを与える機械を止め、豚が腹をすかせて「ギャーギャー」と鳴く声が、耳から離れない。大切に育てた豚は、あっという間に埋められた。
大学の獣医学科を卒業し、父の農場を継いだ。最新の設備を導入して衛生管理に力を入れ、高品質の豚肉を出荷してきた自負がある。「なぜ、うちが……」。9カ月経った今も、悪夢の中にいるような思いだという。
年明け、追い打ちをかけるできごとがあった。「自治会役員一同」名の要望書が届き、「人間の生活圏から離れた場所で再開を」とあった。「長年、悪臭などに悩まされてきた」とも書かれていた。
「理解してくれる人もいる」と思いながらもショックだった。養豚場は鳴き声やにおいがするとして、山林に近い場所で営まれることが多い。だがそうすると、イノシシなど野生動物から感染する可能性が高くなる。
「全国の養豚農家は、厳しい環境、競争の中で鍛えられてきた。自分も努力して対応できる力をつけなければいけない」。養豚場を守っていくと決意しているものの、再開のめどは立っていない。
県職員の嘆き「もう限界。ワクチン接種を許可して」
「ついに半数を超える豚が失われた」。8月17日、県内22カ所目の施設で豚コレラが発生し、古田肇知事は肩を落とした。知事が本部長を務める「県家畜伝染病防疫対策本部」の本部員会議は40回に迫る。
昨年9月9日、岐阜市の養豚場で発生が確認されて以降、感染施設は県内12市町に広がった。国は感染拡大を防ぐために「飼養衛生管理基準」の徹底を求め、農場は防鳥ネットを張ったり、豚に石灰の上を歩かせたりして対策を講じてきた。だが、改善が確認されたはずの農場でも感染が相次ぐ。
国や県は感染拡大の最大要因に野生イノシシを挙げる。一方で農林水産省の疫学調査チームは5月、「ハエやネズミがウイルスを運搬した可能性も否定できない」として、粘着シートの設置や殺鼠(さっそ)剤の散布を求めた。「自然の中にある養豚場で、ハエを1匹も入れないことが可能だろうか」。ある養豚農家は無力感にさいなまれる。
殺処分などの防疫作業に携わった県職員は、延べ1万6千人を超える。職員の1人は「もう限界です。早く豚へのワクチン接種を許可してほしい。職員はみんなそう思っているはず」とこぼした。
国は豚へのワクチン接種について、豚肉の輸出入への影響や、農家の衛生管理の意欲が下がって別の家畜伝染病が広がることなどを懸念し、まだ認めていない。「国は岐阜から豚がいなくなるのを待っているかのようだ」。養豚農家からはそんな不満の声も上がっている。【9月9日 朝日】
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治療法もなく、ワクチン接種もできず、「ハエ・ネズミからも・・・」という話になると、「為す術がない」としか言いようがありません。
長野県塩尻市では、管理体制が厳しいと思われる県畜産試験場でも豚コレラが発生しています。
****畜産試験場のブタが豚コレラに感染 長野 塩尻****
長野県は、塩尻市の県畜産試験場で研究用に飼育されているブタが、豚コレラに感染していたことが確認されたと発表しました。県内では、ことし2月にも感染が確認されていて、県は飼育しているおよそ350頭のブタの殺処分を行っています。(後略)【9月14日 NHK】
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アフリカ豚コレラによって、日本以上に深刻な状況となっているのが中国。
中国の食生活には豚肉は欠かせませんが、世界の流通量の半分をしめる中国で「処分された豚は1億頭を超えた」とも。その動向は世界にも影響します。
また、急激な価格高騰で社会問題にもなってきています。
なお、日本で問題となっている豚コレラと、中国で拡大しているアフリカ豚コレラは全く別の病気です。
日本ではアフリカ豚コレラの発生は確認されていません。
****中国で猛威振るう「アフリカ豚コレラ」、1億頭処分、豚肉価格が急騰、緊急備蓄の放出も****
中国で家畜の伝染病「アフリカ豚コレラ」が猛威を振るっている。米CNNは「中国で処分された豚は1億頭を超えた」と報じた。これに伴い、品薄から豚肉価格が引き続き上昇。中国当局は緊急備蓄の放出検討や養豚場への補助金拠出などの対策を強化している。
中国の豚肉市場は世界で最も規模が大きく、中国での流通量は世界の半分を占める。豚肉は中国の食事に欠かせない食材で、不足すれば社会的安定を脅かしかねず、世界の豚肉供給網が揺らぐ恐れもある。
CNNはアフリカ豚コレラのため「中国農務部が3日に発表した統計によると、7月現在、中国で過去1年の間に処分された豚は1億頭を超えた」と報道。「これまでに処分された豚が国内の頭数の3分の1に上った」とも伝えた。
中国メディアの新京報によれば、本年前半の豚肉卸売価格は1キロ20元(約300円)前後だったが、ここ3カ月ほどは一貫して上昇傾向にある。7月29日から8月4日の週は1キロ25元(約380円)を超え、8月19日から8月25日の週には1キロ30元を突破し31.77元(約480円)に達した。
その後、8月26日から9月1日の週は1キロ34.59元(約510円)と、1週間で8.9%も上昇した。わずか数カ月間で70%を超える急騰となった計算だ。
事態を重視した中国当局は8月21日に開かれた国務院常務会議で、養豚回復の総合措置▽地方での法律法規外の養豚禁止と養豚規制の迅速な廃止▽大規模養殖の発展と養豚業者の支援▽ウイルス予防能力の向上▽豚肉供給の保障と地方の豚肉貯蓄量の増加―五つの対策を打ち出した。
9月4日の国務院常務会議では、物価の全体的な安定維持、豚肉の供給保障と価格安定措置の実施、貧困者の社会支援と保障基準・物価上昇の連動メカニズムの適時始動を求めた。 (中略)
豚肉の消費は13日からの「中秋節」の3連休、10月1日からの「国慶節」の7連休を迎え、最盛期に入る。これに先立ち、中国当局は「必要があれば非常用の冷凍豚肉の備蓄を放出する」と表明。実際に放出するかどうかは市場の動向を見極めた上で決定するという。【9月14日 レコードチャイナ】
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米中貿易戦争といった国際問題、人権・民主化にかかわる香港問題などには関心はない国民も、豚肉が食べられないという事態になると・・・中国当局も神経を使っているようです
****中国の豚肉急騰、祝賀行事控え対策に苦慮 ****
指導部は米国との貿易戦争や香港デモなどに加え、さらなる頭痛の種
中国当局はここ数週間、豚肉の供給拡大と価格押し下げに向けてあらゆる手段を講じているが、1年におよぶアフリカ豚コレラまん延による影響にまだ十分対処できないでいる。
政府当局者はここにきて、養豚場への補助金支給から配給制、鶏肉消費の促進、豚肉の緊急備蓄放出まで、総動員で対策に当たっている。
だが、価格上昇に歯止めがかかっておらず、10月1日の中国建国70周年記念を控え、祝賀ムードを台無しにしかねない状況だ。指導部にとっては、米国との貿易戦争や香港デモなどに加え、さらなる頭痛の種となっている。
10日公表された公式統計によると、中国人の食生活に欠かせない豚肉価格は8月、前年同月比46.7%急上昇し、8年ぶりの大幅な伸びを記録した。消費者物価指数は豚肉価格の高騰だけで1ポイント余り押し上げられ、7月につけた1年5カ月ぶりの高水準に並んだ。
アフリカ豚コレラまん延により、消費者が牛・羊肉などを代わりに買い求めたことで、食肉価格全体でも31%近く上昇した。アフリカ豚コレラは人間には無害だが、豚にとっては致死率が高い伝染病だ。
中国商務省は豚肉価格の動向を注視しており、8月には急激な価格変動を防ぐため、備蓄の冷凍豚肉を放出すると表明した。
経済的に豊かな南部・広東省は9日、13日からの中秋節と建国70周年記念を控え、3000トン以上の豚肉備蓄を放出すると明らかにした。
アフリカ豚コレラによる影響は、とりわけ広西壮族自治区・南寧の市場で深刻だ。南寧は従来、中国国内でも豚肉の供給・消費が盛んな地域で、アフリカ豚コレラまん延により、生産者、消費者の双方が経済的に大きな打撃を受けている。
南寧の当局者は9月初旬、豚肉価格に上限を設け、価格を10%引き下げた。また地元の市場でピンク色の配給チケットを配布し、1日の購入量を1キロに制限。市民からは毛沢東時代を彷彿(ほうふつ)とさせるとの声が上がった。
だが配給制度はその2日後に廃止となった。全体的な価格引き下げを受けても、地元住民は肉が高すぎて買えないと話している。
値引き販売する市場でも客の姿はほとんどみられなかった。販売業者は売上高の落ち込みは、過去数十年に見られなかった大きさだと嘆いている。(中略)
価格反転の兆しが見えない中、当局は市民が臨機応変に対処することを学ぶよう期待を寄せている。国営メディアは足元、「豚肉を食べない」メリットを強調し始めた。
中国共産党機関紙「人民日報」系の「生命時報」は先週6日、豚肉消費を控えることで、健康にも財布にも良いと主張。代わりに鶏肉や魚を食べるよう促した。
だが、読者からはすぐさま懐疑的な反応が寄せられた。ネットではあるユーザーが「次に牛肉価格が値上がりすれば、牛肉を食べるのは良くないと言うだろう」と書いている。
国務院(内閣に相当)は10日、地方政府の当局者に対し、豚肉価格の安定化に向けた取り組みを強化するよう指示。「大型祝日期間中の十分な豚肉供給の確保」を命じるとともに、年末までに進ちょく状況に関する報告書の提出を義務づけた。政策担当者が窮地に追い込まれ、必死になっている状況を物語っている。(中略)
政府にとって長期的な課題の1つは、畜産農家に対し、再び豚の飼育頭数を増やすよう説得することだろう。アフリカ豚コレラに対する有効な予防ワクチンがない中で、畜産農家は次のまん延の脅威を恐れ、生産の拡大や回復に消極的になっている。 【9月12日 WSJ】
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食べ物の恨みは恐ろしい・・・ということで、中国政府も「あの手この手」ですが、備蓄の冷凍豚肉がどれだけあるのか・・・
「豚肉を食べない」メリット・・・日本でそんな対応をとったら、責任回避と袋叩きにあいます。
日本にしろ、AIなどの先端技術を誇る中国にしろ、不可欠の食材の安定を脅かす豚コレラ・アフリカ豚コレラに「為す術がない」というのも奇妙な話です。