孤帆の遠影碧空に尽き

年に3回ほどアジアの国を中心に旅行、それが時間の流れに刻む印となっています。そんな私の思うこといろいろ。

レバノン南部への侵攻 イランのミサイル攻撃への報復 中東全面戦争のカギを握るネタニヤフ首相

2024-10-02 23:26:50 | 中東情勢

(イランのミサイル発射を受け起動した迎撃システム=1日、イスラエル中部アシュケロン(ロイター=共同)【10月2日 産経】)

【イスラエル レバノン南部で「限定的な地上作戦」 「限定的」にとどまるかは疑問】
レバノン各地を空爆するなど攻撃を激化させ、9月27日にはヒズボラの指導者だったナスララ師を殺害したイスラエル軍は、更にレバノン南部への「限定的かつ局地的」な地上作戦を開始しています。

****イスラエル軍がレバノン南部に地上侵攻を開始 2006年以来 イスラエル軍発表****
レバノンを拠点とするイスラム教シーア派組織ヒズボラと交戦を続けるイスラエル軍は、レバノン南部への地上侵攻を開始しました。

イスラエル軍はさきほど、レバノン南部で「限定的な地上作戦を開始した」と発表し、レバノンへの地上侵攻を始めたことを明らかにしました。イスラエル軍は、レバノン南部のヒズボラの拠点を標的に、「限定的かつ局所的に地上襲撃を開始した」としています。

ヒズボラは、去年10月のイスラム組織ハマスによるイスラエルへの奇襲攻撃以降、ハマスに連帯を示してイスラエル北部を中心にロケット弾を発射するなど攻撃を続け、イスラエル軍と交戦していました。

イスラエル軍は9月23日からレバノン各地を空爆するなど攻撃を激化させ、27日にはヒズボラの指導者だったナスララ師を殺害しました。

イスラエル軍がレバノンに地上侵攻するのは2006年の大規模戦闘時以来初めてのことで、この時はレバノンで民間人を含む1100人以上が犠牲になるなど甚大な被害を及ぼしました。【10月1日 TBS NEWS DIG】
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アメリカとの協議で「限定的」なもの留めたとも。ただ、いったん戦闘が始まってしまうと互いの攻撃の応酬のなかで戦闘が拡大する危険があります。

****イスラエル、レバノンに「限定的」侵攻 米政府の危惧に一定の配慮か****
レバノンを拠点とするイスラム教シーア派組織ヒズボラとの戦闘を巡り、イスラエル軍は1日、「限定的かつ局地的」とするレバノン地上侵攻の開始を発表した。バイデン米政権は地上侵攻による紛争のさらなる拡大を危惧する。

米国の支援を受けるイスラエル側が一定の配慮を示した可能性もあるが、ヒズボラ側の反撃などによっては、戦火が広がる懸念もある。

米紙ワシントン・ポストは9月30日、イスラエルが米政府に対し、レバノンでの限定的な地上作戦の実施計画を伝えたと報じていた。米政府関係者の話としている。

また、米ニュースサイト「アクシオス」によると、大規模な地上侵攻を懸念する米政府がイスラエルと協議した結果、イスラエル側は国境沿いの軍事インフラの掃討に焦点を絞り、完了後の部隊撤収を約束したという。

ワシントン・ポストの報道によると、米政府に伝えられた計画では、イスラエルとの国境沿いにあるヒズボラの軍事インフラを標的にする。2006年にイスラエル軍がレバノンに地上侵攻した際より小規模の作戦を見込むという。

06年の両者の戦闘は約1カ月続き、レバノン側で約1200人、イスラエル側で約160人が死亡した。

米国務省のミラー報道官は30日の記者会見で、イスラエル側から「国境沿いのヒズボラのインフラに対する限定的な作戦について説明を受けた」と話した。

ホワイトハウスのジャンピエール報道官は30日、イスラエルの自衛権を支持すると強調した上で、「我々は緊張緩和を望む。イスラエル側と話し合っている」とも述べ、外交的な解決の重要性を強調した。【10月1日 毎日】
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戦力的に優勢なイスラエル軍に対し、ヒズボラはゲリラ戦で応戦しているようです。

****急峻な地形知り尽くすヒズボラ、地の利を生かし反転攻勢の構え…ナンバー2「戦いは長い」****
レバノンのイスラム教シーア派組織ヒズボラは、地上侵攻を始めたイスラエル軍に徹底抗戦する構えだ。ここ2週間ほどの大規模空爆などで大打撃を受け、劣勢を強いられるが、地の利を生かして反転攻勢を目指す。

組織ナンバー2のナイム・カセム師は9月30日のテレビ演説で「あらゆる幹部の代わりがいる」と述べ、空爆で多数の幹部が殺害された影響はないと主張した。その上で、「我々の作戦は続く。戦いは長い」と消耗戦もいとわない姿勢を強調した。

イスラエル軍の猛攻で多くの司令官を失ったヒズボラは、保有しているミサイルとロケット弾の20〜25%を破壊されたとの見方もある。

だが、シリア内戦への参戦経験があり、レバノン南部の急峻きゅうしゅんな地形を知り尽くした熟練民兵は多数が健在とみられる。地下に築いたトンネル網も生かし、イスラエル軍に大きな打撃を与えたい考えだ。

イランの支援でレバノン国軍をしのぐとされる強大な組織となり、中東で影響力を拡大してきたヒズボラは、指導者ハッサン・ナスララ師を殺害され、築き上げた威光を失いかねない危機に直面している

。様々な宗教と宗派が混在するモザイク国家レバノンでは、キリスト教徒やイスラム教スンニ派の間でヒズボラの減退を歓迎する声もささやかれるといい、これ以上の権威失墜は避けたい状況だ。

ヒズボラは、全面紛争による壊滅的な被害を避けるため、これまでイスラエルの市街地などには抑制的な攻撃にとどめてきた。今後もこうした姿勢を維持するかどうかは不透明だ。【10月1日 読売】
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侵攻したイスラエル軍には増強の動きがあります。

****イスラエル、限定侵攻の規模拡大 レバノン南部、1個師団が参加****
イスラエル軍は2日、親イラン民兵組織ヒズボラ掃討を狙い「限定作戦」として進めるレバノン南部での地上侵攻に、三つの旅団や追加部隊を含む1個師団が参加したと発表した。

連日部隊の招集や派遣をしており、規模が大きくなっている。(後略)【10月2日  共同】
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【増加する難民・避難民 レバノンからシリアへ逆流も】
すでに空爆の時点で、レバノンから隣国シリアへの難民は10万人に及んでいます。地上戦が始まった現在は更に増加しているとも思われます。

もともとレバノンにはシリアからの難民が150万人規模で暮らしていましたが、今回の戦闘で今度はレバノンからシリアに逆流している形です。

ただ、シリア難民はシリアに戻れない事情もあり、レバノンでもレバノン人に劣後し、シリアにも戻れずと困難な状況にあります。

****避難者あふれるレバノン 内戦下のシリアに難民が「逆流」****
イスラエル軍が地上侵攻したレバノンで、多くの住民が避難民となっている。だが、首都ベイルートなどでは避難所に入りきれず、屋外で夜を明かす人も相次いでいる。内戦が続く隣国シリアへ逃れる人も後を絶たず、人道危機の懸念が強まっている。

「家を出るときもミサイル攻撃があった。40〜50発は飛んでいた」。レバノン東部で電話取材に応じた運転手、バクリー・アフメドさん(27)はこう語った。

イスラエル軍の空爆が激しさを増した9月下旬、家族とともにレバノン南部の自宅を逃れた。10月1日には地上侵攻も始まり、帰れる見通しは立たなくなった。「早く戦闘が終わってほしい。望むのはそれだけだ」

イスラエル軍は地上戦について「限定的」と説明している。だが、対抗するイスラム教シーア派組織ヒズボラは徹底抗戦の構えを崩しておらず、戦闘が長期化する恐れもある。

東部バールベックに住むアリ・ヤヒさん(26)はネット交流サービス(SNS)による取材に「国際社会は助けてくれないだろう。我々は(パレスチナ自治区)ガザ地区のように見捨てられている」と嘆いた。

ロイター通信などによると、ベイルートでは学校などが避難所として開放されたが、収容人数が限られており、ビーチや路上で寝泊まりする人も少なくない。混乱が続く中、人道支援を行き渡らせるのも難しい状況だ。

国外で難民となった人たちもいる。国連難民高等弁務官事務所などによると、数十万人の避難民のうち、すでに10万人以上が隣国シリアに逃れた。

シリアでは2011年以来、親イランのアサド政権と反体制派の内戦で600万人以上の難民を出した。レバノンにも政府の推計で約150万人のシリア難民が暮らしていたが、イスラエル軍の地上侵攻を機に難民が「逆流」した形だ。

ただ、内戦を機にシリアを追われた難民は、帰国すれば危険が及ぶ可能性もある。南部からベイルートに避難したシリア難民の主婦、サラ・ナハスさん(32)は電話取材に「ベイルートではレバノン人が優先され、アパートも借りられなかった。シリアに行くこともできない。レバノン人の方が簡単にシリアに行ける」と語った。【10月2日 毎日】
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【イランのミサイル攻撃 イランは「ここで打ち止め」にしたい思惑 ネタニヤフ首相は報復実施を示唆】
レバノン情勢と並んで全面戦争の危機が懸念されているのがイランとイスラエル。
イランは1日、複数の親イラン武装組織指導者殺害への報復として、イスラエルに向けて約180発のミサイルを発射しました。

イランはこれまで抑制的な対応をしてきましたが、ここにきてミサイル攻撃に踏み切った背景には、抑制的対応が効果をあげず、イスラエルが攻撃を拡大するなかで、国内に不満が高まっていることがあると推測されます。

今回の攻撃は4月の同様のイスラエル攻撃に比べると、内容的に強化されている面もありますが、基本的にはイスラエル側の被害が大きくならないように制御されたものとなっています。

イランとしても、これ以上、攻撃の応酬で戦闘が拡大するのは避けたい思惑があると思われます。

****増長するイスラエルにくぎを刺す、イランの報復攻撃 背景に国内事情****
イスラム教シーア派国家のイランが1日、敵対するイスラエルに対して180発以上の弾道ミサイルを発射した。中東全域を巻き込む紛争に拡大するリスクがありながら、なぜ攻撃に踏み切ったのか。中東情勢に詳しい慶応大の田中浩一郎教授に聞いた。

イランが4月にイスラエル本土をミサイルで攻撃して以降、イスラム組織ハマスやイスラム教シーア派組織ヒズボラの最高指導者らが相次いで殺害された。この間、イランは抑制的な対応を取ってきたが、イスラエルの行動は止まらなかった。イランはイスラエルを抑止できておらず、今回の攻撃には増長するイスラエルにくぎを刺す意図があったと言える。

イランが報復攻撃にかじを切った背景の一つには、国内事情もあったと考える。7月末にテヘランでハマスの最高指導者ハニヤ氏が殺害された後、イランの最高指導者ハメネイ師は厳しい言葉でイスラエルへの報復を宣言した。

一方で、米欧から抑制的な対応を求められる中、イラン指導部としてはガザ停戦を実現して外交で成果を上げようと、報復から流れを変えた経緯がある。

ただ交渉は実を結ばず、放置されている状況だ。国内では「抑制を働きかけたことがあだとなった」と指導部への不満の声も出ている。

今回のイランの攻撃は、市民の被害を出さないように市街地を標的から外すなどしている。事態がエスカレートするのを避けたい狙いがあるのは明白だ。

一方で、4月に在シリアのイラン大使館が空爆されたことに対する報復攻撃を行った時とは異なり、イスラエル本土に到達するまでに時間のかかる無人機(ドローン)は使用せず、十数分で到達する弾道ミサイルを使って攻撃能力を示した。相当数がイスラエルに着弾しており、防空網をかいくぐった可能性が高い。

イスラエルは米国の後ろ盾を得て紛争を拡大させ、歯止めがかからなくなっている状況だ。今回のイランの攻撃に対するイスラエルの出方が注目される。【10月2日 毎日】
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イランのアラグチ外相は、10月2日、イスラエルに対し「自衛」措置を講じたとし、イスラエル側がさらなる報復を招く決定をしない限り、イランの措置は終了したとⅩに投稿しいます。

イラン側はミサイルを撃ち込んで、「これで終了」と言ってはいますが、撃ち込まれたイスラエル・ネタニヤフ首相がこのまま矛を収めるとも思われません。

何らかの報復をすると思われますが、問題はそれがどの程度のものになるかです。

****報復の連鎖で全面戦争の恐れは?イランがイスラエルに大規模攻撃****
(中略)
■全面戦争になる?外報部デスク解説
報復の連鎖で全面戦争の恐れはあるのでしょうか。その答えは「イランが攻撃に踏み切った理由にある」と中東取材を続ける外報部・荒木デスクはそう指摘します。

テレビ朝日外報部 元カイロ支局長 荒木基デスク
「イランは直接攻撃を受けた訳ではありません。ただ、イランが直接支援するガザ地区のハマスやレバノンのヒズボラの指導者が相次いで殺害されました。

これは、イスラム教シーア派世界のリーダーを自認するイランとしては、主権が侵されたという意識を持っています。こうした国内の世論に対して、イランの指導部が何もしない訳にはいかなかった、それが報復として今回の攻撃につながったわけです」

そのイラン、イスラエルの反撃があれば「より破壊的で破滅的になる」と警告していますが、本音はそうでもないようです。

荒木基デスク
「本音ではイランも全面戦争など望んでいません。今回のイランの攻撃の程度を見ると、イスラエル側がある程度防ぐことができるくらいにとどめているようにも見えます。

つまりイスラエルの被害は最小限にとどめつつ、イランの側のメンツも立つ、ここで一度打ち止めにしたいとの思惑が感じられます。

この後。イスラエルの反撃が限定的なものにとどまれば、全面戦争という事態にまでは至らないと考えられます。しかし、イスラエルでは『イランの核施設に報復攻撃する計画』も伝えられ始めていて、攻撃の規模によっては事態がさらに悪化する可能性も捨てきれません」【10月2日 テレ朝news】
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戦争が終わるとハマスの奇襲を許した責任を問われ、政治生命が終わりかねないネタニヤフ首相は大統領選挙中のアメリカがイスラエル支援を続けざるを得ない事情も利用して、戦争の継続を狙っていると言われています。

そんなネタニヤフ首相には「ここで一度打ち止めにしたい」というイランの思いは通じないかも。これを機に、一気にイランに致命的な打撃を加えたいという方向に走るかも。

****イスラエル首相「イランは代償払う」 数日以内に石油関連施設攻撃か****
イランの精鋭軍事組織・革命防衛隊は1日夜(日本時間2日未明)、イスラエルに対して180発以上とみられる多数の弾道ミサイルでの攻撃を実施した。大半はイスラエル軍が迎撃した模様だが、一部はイスラエル領内に着弾した。現地の報道によると、1人が死亡、2人が軽傷を負った。

イランによるイスラエルへの直接攻撃は、今年4月に300発以上の巡航ミサイルなどを発射して以来。イスラエル軍による1日のレバノン南部への地上侵攻に続く事態で、中東の緊張はさらに高まっている。今回の事態を受け、国連安全保障理事会は2日に緊急会合を開く。

(中略)イスラエルのネタニヤフ首相は1日、「イランは大きな過ちを犯した。代償を払うことになる」と述べ、報復実施を示唆した。数日以内にイランの石油関連施設などを攻撃することを検討中との報道もある。

イスラエルでは1日夜、各地で警報が発令され、軍は国民に避難を呼びかけた。地元メディアは、パレスチナ自治区ヨルダン川西岸地区でガザ出身の男性が死亡し、商都テルアビブでも2人が破片で軽傷を負ったと報じた。

軍などによると、発射されたミサイルは180発以上で、うち「少数」がイスラエル中・南部に着弾。中部では学校が損壊した。迎撃には米海軍の駆逐艦も参加した。

一方、イランメディアは、国産の極超音速ミサイル「ファタ」が初使用され、イスラエルの迎撃ミサイルシステムを破壊したと報じた。革命防衛隊は声明で、敵軍のレーダー施設などを標的にしたと説明し、「90%が目標に命中した」と主張した。ただ、テルアビブ近郊などでは多くのミサイルが迎撃される様子が確認されている。

イランのペゼシュキアン大統領は1日、X(ツイッター)への投稿で「国益と市民を守るため」に攻撃したと説明し、「戦争は望んでいないが、いかなる脅威にも断固たる対応を取る」とけん制した。

ロイター通信によると、イラン政府高官は「(イスラエルを支援する)米国には攻撃の直前に外交チャンネルを通じて警告した」と主張。

一方、米国防総省などは事前通知を否定している。サリバン米大統領補佐官(国家安全保障問題担当)は1日の記者会見で「この攻撃の効果はなかったように見える」と述べつつ、「事態の重大な激化だ」との認識を示した。

バイデン大統領は記者団に「米国は完全にイスラエルを支持している」と表明。ハリス副大統領も「イランは中東を不安定化させる危険な存在だ。イスラエルは我々の支援を受けて攻撃を撃退できた」と強調した。(後略)【10月2日 毎日】
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イスラエルの報復で、核施設が攻撃されたり、石油関連施設が大きな被害を被るということになれば、イランとしても「ここで打ち止め」とはならないでしょう。

イスラエルのレバノンへの地上侵攻がどこまで拡大するのか、イスラエルのイランへの反撃がどのようなものになるのか・・・・中東における全面戦争が起きるのかどうかにつながりますが、全てはいまネタニヤフ首相の決断にかかっています。

ただ、「危険」な人物に委ねられているようにも思われて怖いですが。ネタニヤフ首相にとっては絶好の機会かも。

コメント (1)
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