テディちゃとネーさの読書雑記

ぬいぐるみの「テディちゃ」と養い親?「ネーさ」がナビする、新旧の様々な読書雑想と身辺記録です。

新春特別企画《怪傑!テディちゃ頭巾》第三巻

2008-01-01 22:56:49 | 新春特別編!
 めでたやの、風が舞います江戸の春。
 テディちゃ頭巾の行く先へ
 福は吹くのか、
 吹雪が舞うか?
 さあさ、語りは三段目、
 続けましょうぞ、続けましょう――

 
  **  **  **  **  **  **  **  **


「たかおまいりだァ、おまいりだァ!」
「おまいりいこうッ、おやまへいこうッ!」

 掛け声高く、足取り軽く、
 進みますのはテディ猛者。
 ゆきのジョーを先頭に、
 おのおの抱え持ったるは
 『えんぜる』紋入り不思議の小箱。
 高尾の尊き天狗さまへ、
 奉納しようこの小箱。

「たかお、たかおだッ!」
「おまいりだーいッ!」

 のっしのっしと道を往く
 テディくまたち一行に、
 さぞや人々眉ひそめ?
 いえいえ、それが、そうでもない。
 高尾参りと叫ぶ間に、
 交わす言葉というたなら、

「ねえ、ゆきのジョー、
 さッきのおそば、おいしかッたねッ♪」

 ははあ、深大寺名物お蕎麦のことでございましょう。

「うんッ。
 でも、いまたべた、きびの、おもちも、おいしかッたァ」

 どうやら、
 府中は大国魂神社、
 その門前市で黍餅を食したので。

「みたらしだんごも、よかッたね♪」

 立川の諏訪神社でも、はあ、
 お団子を食べましたか。

「かえりはァ、おふどうさまで、おまんじゅうッ!」
「ほかほかの、おまんじゅうは、いいなッ♪」

 帰路には日野の高幡不動、
 蒸かしたてのお饅頭を食べようなァと、
 万事が万事この調子。
 行き逢う人もくすくす、ぷふふ、
 笑わせておりますテディたち。

「たかおまいりだァ! もぐもぐもぐッ」 

 西へ西への甲州街道、
 お江戸と甲府をつなぐ道。
 美味しいものに誘われて、
 四谷にあります《北クマ一刀流》道場より、
 とんとことんの、とんとことッと
 歩み到った山の裾。

 さあ、テディたち、御覧あれ!
 お江戸日本橋より十里がほど、
 やってきました高尾の里。
 あれに見ゆるは、登りの小道。

 胴震いしてテディたち、
 踏み出そうとした、ちょうどその時。

「おおいッ!
 テディちゃ頭巾へ、早飛脚!
 江戸から文が、参っておるぞ!」

 急ぎの文とは何であろ?
 はてな、とテディくまたち首傾げ、
 お山を前に足止める。

 続きまするは第四巻、
 いよいよ高尾のお山にて、
 いかなる椿事が待ち受ける?
 どうか、ゆるりんしゃんしゃんと、
 お待ちくだされ、お待ちあれ――
 
 
 
 
 

 
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新春特別企画《怪傑!テディちゃ頭巾》第二巻

2008-01-01 14:25:21 | 新春特別編!
 ♪めでたやな、あらめでたやな、この新春♪
  またも始まる始まるよ♪
  テディちゃ頭巾の物語♪
  耳を澄ませば、ほら、聞こえましょう♪
  たッたかたァ~と足音が♪


  **  **  **  **  **  **  **  **

 たッたか、たッたか、たッたかた、
 お江戸の町を小走りの、
 おや、テディちゃ頭巾じゃありませんか。

 はて、追われていたのはどうなった?
 ネーさ師匠とやらを訪ねていったはどうなった?
 今はなにやら、明るい顔のテディちゃ頭巾、
 勇んで門を叩きやる。
 門には大きな札があり――

      『北クマ一刀流』

「おういッ!
 おういッ! ゆきのジョー!」
 
 テディちゃ頭巾が呼ばわれば、うっそり出てきたその姿。
 色は白いが、しっぽも白いが、
 どこかで見たことあるような。

「ゆきのジョー!
 ひさしぶりッ、あけましておめでとォ!
 ねえねえ、それでさァ、ゆきのジョー、
 たかおまいりへ、いかないかいッ?」

「たかおまいりィ?」

 ゆきのジョーこと白熊雪乃丞、
 北クマ一刀流道場師範代を務めまする剣の達者。
 実はテディちゃ頭巾の遠い親戚。
 『高尾参り』と出会い頭に言われても
 何が何やら、霧の中。

「あのねッ、こういうことなんだッ」

 テディちゃ頭巾は解き明かす。
 黒い影に襲われて、教えを乞うたはネーさ師匠、
 某寺子屋の物識り屋。
   ――テディちゃずきんよ、
     高尾参りにゆくがよい。
     お主にとってさほどでなくとも
     黒い影には大事な何かを持っているのなら、
     高尾の山の天狗さま、
     仙力ある御方にお預けするのだ。
 えッ天狗さまァ、と驚くテディちゃ頭巾です。
   ――天狗さまであれば、
     物事の善悪を見極めてくだされよう。
     お主に知恵を授けてもくだされよう。
     高尾参りに、ゆくがよい。

「ふゥゥん、たかおまいり、かァ」

 うむと頷くゆきのジョー。
 
「でも、テディちゃ、
 くろいかげの、ねらいはァ、いッたい、なんなんだいッ?」

 これであろうと見せました、
 小脇に抱えた或る小箱。
 ネーさ師匠が言いますに、
     ――おお不可思議な紋章が?
       もしや、伝承にある《えんぜる》紋か?
       テディちゃ頭巾よ、
       悪意持つ者にこれを渡すでないぞ!
 なのだそうでございます。

「みちで、ぐうぜん、ひろッたんだよォ」
「うう~ん、よくわからんが、
 あくにんにィわたしてはならん!というのなら、
 いこう!
 たかおまいりへ、いこう! 
 てんぐさまのおやまへ、いこう!」
「うんッ、いこうッ!」

 行かむ、はるばる高尾参りへ。
 おおと上げる雄叫びに、
 北クマ一刀流道場の猛者たちも唱和する。

「いこう! いこう!
 みんなでいこう!
 たかおまいりだ、
 おまいりだ!
 たかおのおやまへ、さあいそげ!」

 かくして目指すは高尾の御山。
 お江戸の西方、ちょっと西。
 テディくまたち一行は、
 剣を手挟み、
 草鞋を結び、
 手拭いひとふりふところに、
 やッと繰り出す門のそと。

 行き着けるのか、高尾まで。
 歩きつけるか、西のやま。
 語りはまだまだ続きます、
 巻の三へと続きます。
 ゆるりゆるりと
 のんびりほろろと、
 お待ちくだされ――
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