おみやげは《信玄》のお餅。

　ご近所の方からいただきました。
　山梨県を代表するお菓子、
　桔梗屋さんの『桔梗信玄餅』です。

「ゆうめいッ、でスよ、ネーさ！」

　関東圏では知られているでしょうけれどね、テディちゃ、
　全国区ではどうなんでしょう？

　小さな容器には、やわらかな御餅が３切れ。
　たっぷりのきな粉が、御餅にまぶされています。
　別添えの黒蜜をかけて、はい、いただきましょう。

「おいしィ～♪
　テディちゃ、しんげんもちィ、だァ～いすきッ♪♪」

　いいの、テディちゃ？
　たしか前に、
　武田信玄派でなく上杉謙信派だと言ってませんでしたか？

「ぎくッ」

　これは、仮にも信玄さんの名が冠された御餅よ。

「だ、だッてェ、うーんとォ、
　けんしんもち、あッたら、いいけどォ」

　謙信餅はありませんが、
　それに近いものがね、
　新潟のお菓子屋さんで作られているんだそうですよ。

「えッ？
　あるのでスかッ！」

　名前は、『出陣餅』。

　それが、『信玄餅』とよく似た餅菓子だとか。
　えーと、
　信玄餅の御餅の部分を、
　ヨモギ入りの草餅にした御菓子をイメージして下さい。

「あいッ、いめじィしましたでス！」

　そしてやはり、きな粉をまぶし、
　黒蜜と一緒に……はい、これで出陣餅、完成です！

「た、たべたいィッ！」

　ネーさもぜひ食べてみたいんですが、
　噂でしか知らなくて、
　実物を見たことはないんです。
　東京のどこかで売っているんでしょうか？
　新潟でのみ入手可、なのかしら？

「いいなァ、しゅつじんもちィ……。
　きめたッ！
　テディちゃ、かいにゆくでスッ！」

　　　　　　　　　　　　　　　　（ぴゅ～～ッ）

　……テディちゃ、そっちは甲府へ行っちゃう道なのに……。　

求！マッドサイエンティスト！そのⅡ！

「あれれッ？
　ネーさ、このひょうしィ、みたことあるようなァ？」

　そうなんです、テディちゃ。
　昨日に続きましてマッドサイエンティストみのりちゃん登場です。
　シリーズ第２作を、本日は御紹介いたしましょう！



　　　　　　　　――　大冒険はおべんと持って　――


　
　著者は火浦功さん、１９８７年１月に発行されたものです。
　前作同様、表紙カバー画、口絵、本文挿絵はいしかわじゅんさん。
　
　シリーズ第一作『日曜日には宇宙人とお茶を』では、
　宇宙の謎を解いたり、
　悪い？宇宙人と戦ったり、
　マッドサイエンティストみのりちゃんの毎日は
　思ったよりも忙しいものだと判明しましたね。

「そ、そうだッた、でスかァ？」

　その疲れを癒すためでしょうか、
　みのりちゃんと、
　タウン誌『猫又ジャーナル』編集者の山下さんとサトルさんは、
　連休を利用して遊びにゆくことにしました。
　太陽系から７光年の位置にある
　《大冒険惑星》へ、
　おべんと持って、出発です！

「……ネーさァ、すごォ～く、いやァなよかん、するでスよォ」

　それは虫の知らせというものですね、テディちゃ。
　ええ、そうなんです。
　《大冒険惑星》で三人を待ち受けていたのは
　ＳＦファンには毎度お馴染みのテーマ――
　コンピュータの叛乱でした。
　荒れ狂う海、
　発狂したおとぎの国のヌイグルミたち！
　楽しい筈の休日はどこに？
　危機を脱する秘密兵器は、
　マッドサイエンティストみのりちゃんが高く掲げ持つ、
　マーブルチョコレートです！

「ま、まぶるゥちょこォ？」

　無事に地球へ戻った後も、

「ふェ？
　か、かえれたのでスかッ？　ちきゅうへッ？
　まぶるゥちょこォ、つかッてェ？」

　えへん、おほん、
　みのりちゃんと編集者さんたちの身辺に、
　奇怪な出来事が……？
　探ってゆけば、驚愕の真実が現われ出ます。

　地球征服を企む、怪人が！
　ついに、その牙をむいたのでした！

「……ちきゅう、せいふくゥ……」

　あら、テディちゃ、どうしたの？
　地球征服をバカにしちゃいけませんよ。
　とっても難しいことでしょ、征服って。
　誰にでも出来ることじゃないわ。
　
「ふァ～、そでスねェ」

　数々の名作ＳＦのパロディも織り込みつつ、
　今日もマッドサイエンティスト上級試験合格を目指し、
　けなげに頑張る可愛いみのりちゃん。

　いつか……いつか、続編が読めたらなあ、と
　願っているのですが、
　著者の火浦さんは寡作で知られる御方で……
　ファンとしては悲しゅうございます。
　
　今頃はもう、みのりちゃん、試験に受かっているのでしょうか……。
　
「うむむゥ。よそう、できないでス～」

　この御本も、残念ながら現在は絶版であるようです。
　古書を探して、ぜひお読み下さい！
　地球征服を狙う怪人の意外な？正体！
　怪人によって沈没させられてしまった日本（！！）は
　どうやって甦ったのか？！
　笑えます！
　
「みなさんはァ、ちきゅうせいふくゥ、しちゃだめ！でスよッ」