テディちゃとネーさの読書雑記

ぬいぐるみの「テディちゃ」と養い親?「ネーさ」がナビする、新旧の様々な読書雑想と身辺記録です。

ちび鉄道に、旗をふれ!

2009-10-02 22:53:35 | ブックス
「みぎよォしッ! ひだりィよォしッ!
 しゅッぱつゥ、しんこうゥでスよッ!」

 いつになく張り切っているのは運転士・テディちゃ、
 そして車掌は、私ネーさでございます。こんにちは~!
 本日御紹介、いえ、ご案内いたしまするは、

「ぴぴィ~ッ! どあァ、しまりまスゥ!」

 はい、こちらを、いえいえ、こちらへ、どうぞ~!


 
             ―― 東京箱庭鉄道 ――



 著者は原宏一さん、’09年5月に発行されました。
 箱庭鉄道……鉄道好きさんには、もうググッと来てしまう題名ですね。

「おこりまス!
 てつどうがァ、でてこなかッたらァ、おこりィまスよゥ!」

 その点は大丈夫!
 題名と内容が一致しない御本もありますが、
 こちらは正真正銘、或る《鉄道》の物語、なのですから。

  《あなたの手腕で、鉄道を作っていただけませんか?》

 そう言われたら、さあ、どうしましょう?
 妹尾順平(せのお・じゅんぺい)さんは、大いに呆れ、怪しみ、
 しかし……心のどこかから声がするのを感じるのです。
 面白そうじゃないか!と。

 しかも!
 用意された資金は400億円ですって?!?
 
「よよよッ、よんひゃッ? あぷッ」(←舌を噛んでしまいました)

 嘘か?と思ったら、そうではない……?
 出資者さんは、さっそく妹尾さんに準備資金として
 1億円を提供しました。
 もとは広告代理店に勤めていた妹尾さん、決意を固めます。

 よし! やってやろうじゃないか!
 鉄道を、つくろう!
 この東京に!

「うむうむッ!
 よんひゃくおくえんあればァ、しんぱいィむようッ!」

 いえ、テディちゃ、それがそうも行かないのよ。
 妹尾さんが調べてみたところによるとね、
 東京の郊外に鉄道を敷設した場合、
 1キロあたりに要する費用は80億~100億円。
 リニア新幹線の場合は、1キロあたり172億円。
 東京都心部の地下鉄になると、もっとすごくて、
 都営大江戸線の場合は1キロあたり300億円もかかったそうです。

「い、いちきろさんびゃッあわわわわッ」(←失神寸前?)

 となると……400億円という巨額のお金があっても、
 いえ、400億円しかない、のですから、
 長大な鉄道は作れっこありません……
 出資者へのプレゼンテーションを控えて、
 妹尾さんは案を練ります。

 400億円の資金で可能なのは、全長4、5キロの、ミニ鉄道。
 それを、東京のどこに造るか?
 華やかでにぎやかな、新宿?
 多摩川に近い世田谷の田園?

「ふむゥ~、どッちもォ、よさそうゥでス!
 ちびでんしゃはァ、きゃわゆいィでスよゥ~♪」

 ところが。
 出資者さんは、GOサインを出してくれませんでした。

「えええェッ?
 なにがァ、たりないィのでスかッ???」

 妹尾さんも、同じように悩みます。
 何が足りないんだろう?
 出資者さんは、どんな鉄道を望んでいるんだ?
 
 悩みに悩んだ妹尾さんとスタッフさんたちが、
 ようやく答えをつかみ、大きな山を越えたと思ったとき、
 そこにはさらなる難題が――

「ううゥッ、てつどうはァ、やまありィ、たにありィ~……」

 マニア度の差はあれ、
 鉄道好きな御方なら一度は夢見る《自作》鉄道プロジェクト。
 こんな車両を、
 こんな路線で、
 作ってみたら、走らせてみたら――?
 
 妹尾さんたちのミステリアスな箱庭鉄道、
 行きつく先はどこなのでしょう。
 鉄道好きさん、必読!
 ミステリ好きさんにも、おすすめの一冊です!

「ちびてつどうゥッ、
 しゅッぱつゥいたしまスゥ~!」
 
コメント
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