テディちゃとネーさの読書雑記

ぬいぐるみの「テディちゃ」と養い親?「ネーさ」がナビする、新旧の様々な読書雑想と身辺記録です。

プチホラーな『相談所』?

2009-10-03 23:11:32 | ブックス
 お月見だというのに、お月さまは……お月さまは……
 うう~む、雲の彼方をお散歩中らしゅうございますね。
 ちょっと残念なネーさです、こんにちは。

「こんにちわッ、テディちゃでスッ」

 お月さまは見えないけれど、
 カンのいい人には、ほ~ら、見えますか?
 暗がりから忍び寄る妖しきものの影が……?

「ひィッ! な、なんでスかッ、あれはッ!」

 さあ、御紹介いたしましょう!
 妖しき影の主さんの物語は、こちらで~す!


 
             ―― 花の道は嵐の道 ――



 著者は天野頌子さん、’09年4月に発行されました。
 副題に『タマの猫又相談所』とあります。

「むむうむむッ! ねこまたァ!」

 物語の語り手『タマ』さん、
 生年月日ははっきりいたしませんが、とても長生きの猫さんです。
 そう、猫又という妖怪になってしまうほどに。

 タマさんいわく。
 猫が20年生きると、尻尾が2本になり、
 言葉を話す妖怪になる、んだとか。

「ようかいとはァ、ゆだんならじィ!
 どんなァわるいことをォ、するのでスかッ?」

 いえ、特に何も。

「ふァ?? だッてェ、ようかいィ……」

 猫又のタマさん、目下の関心は
 現在住み着いている或るお家の、当主の孫息子さんにあります。
 高校一年生の、草薙理生(くさなぎ・みちお)くんは
 イマドキ珍しい気弱っ子ちゃん。
 高校では花道部に入ってね!
 と祖父の知人さんから説得され、
 溜め息しつつ花道部の部室を訪ねてみれば――

 茶道部にいらっしゃいな。
 美味しい高級和菓子を食べさせてあげるわよ♪

「えッ♪ おかしィ~♪」

 いきなりのルール違反な勧誘の犯人は、茶道部の部長さん。
 花道部と茶道部は、共同で和室を使っているんですね。
 でも、茶道部の部長の鈴木さんは、
 和室を独占すべく、花道部追い出しを画策しているのでした。

 花道部の新人部員となった3人組――
 理生くん、
 同じクラスの瀬川くん、
 もうひとりの一年生・工藤さんは、
 ふたつの部の争いの狭間で苦労が絶えません。
 特に、打たれ弱いのが理生くん。
 
 聞いて、タマ!
 どうしようタマ! 

 と泣きついてくる理生くんに、
 タマさんは、妖怪、いえ、年長者ならではのアドヴァイスを
 授けるのですが……。

「ははァ~、それでェ『そうだんじょ』なのでスねェ~」

 著者の天野さんは『警視庁幽霊係』シリーズで知られる
 ミステリ作家さんです。
 この御本は、ミステリとはちょっと違う、
 ゆる~いコミカルホラー、といったジャンルの御話でしょうか。
 
 理生くんの話を聞くたび、
 タマの猫ひげレーダーは近づく危険を察知し、
 ピクピクと揺れます。
 和室の覇権と、タマが予感する危険、
 ふたつはどこでどう交差するのでしょう……?

 猫又さんといえど、猫は猫。
 なので、猫大好きっ!な御方におすすめの楽しい一冊です。
 犬派さん、鳥派さん、爬虫類派さんも、ぜひ~!

「むぎょッ!
 はちゅうるいィそうだんじょはァ、こわいィでスよゥ~!」
 
コメント
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