テディちゃとネーさの読書雑記

ぬいぐるみの「テディちゃ」と養い親?「ネーさ」がナビする、新旧の様々な読書雑想と身辺記録です。

シッポもツノもないけれど……?

2009-10-26 23:15:59 | ブックス
 台風ですか……今ごろですか……ふー、
 秋晴れが恋しいネーさです、こんにちは。

「こんにちわッ、テディちゃもォ、おさんぽいけなくてェ、つまんないィ!」

 テディちゃ、ちょいっと情緒不安定かも~と思ったら、
 必要なのは《笑い》です。
 あはは♪と笑えば寒さも吹っ飛ぶ!
 笑いたい時には、さあ、本日ご紹介いたしますこちらを、どうぞ~!



             ―― 悪魔の下回り ――



 著者は小林信彦さん、単行本は1981年に、
 画像の文庫版は1984年に発行されました。
 悪魔!なーんてハロウィンシーズンにはぴったりの御題ですよね♪

「あくまァ……?
 こわいィおはなしィ、なのでスかッ?」 (←ぶるるッ!)

 いえいえ、ホラーではございませんよ。
 主人公さんは、砧一平(きぬた・いっぺい)さんという、会社員さん。
 あ、失礼、もと会社員さん、ですね。
 砧さん、いま、ものすごーくブルーです。
 いえ、ブルーを超えた暗黒圏におられます。

 失業してしまって、
 奥さんには駆け落ちされてしまって、
 借金を背負わされてしまって、
 もうあれやこれやで……いやになっちゃいました。
 終わりにしよう、何もかも。

 亡き父が復員の折に密かに持ち帰ったリボルバーを、
 砧さんは自分に向けて――

「ひィィィッ! だめでスよゥゥッ!」

 と、そこへ。

「ふァ~、よかッたァ~!
 てんしさまがァ、すくいにきてくれたのでスねッ!」

 いえ、現れたのは、悪魔です。

「……ふァ?」

 尻尾は焼けちゃって無いんですけど、
 ツノも見当たらないんですけど、
 身分証明書もありませんけど、
 本人いわく、

 《私は、飽くまで、悪魔です!》。

「…………えェ~とォ??」

 テディちゃと同様、砧さんも疑いの眼差しです。
 悪魔、って……ねえ?
 なんだかなぁ~?

 お疑いもごもっとも、と悪魔氏、プレゼンを始めます。
 わたくし、正真正銘、本物の悪魔なんです。
 1480年生まれの満500歳、
 これでも悪魔の世界ではヤングアダルトの部類でして、
 徳川幕府がキリシタン弾圧を盛んにやっていたころ、
 このジパングに参りました。
 あっ、ちょっと待って、
 話を最後まで聞いて下さいっ!

 私の得意技は、若返り~っ!

「むゥ?
 わかがえりィ?」

 若返りと耳にして、
 砧さんの目がキラリ!

 ……若返り? 若返り!!!

「わァッ、だめでスゥ!
 ゆうわくにィ、のッてはァ、だめだめでスよゥ!」

 ああ、時すでに遅し。
 『若返り』の一言に心動かされた砧さん、
 悪魔の契約書にサインしてしまいました。

 しかし、いいんでしょうか……?
 この悪魔さん、自ら『松竹梅の梅』ランクとカミングアウトしちゃう
 最下級の下回り悪魔さんなのです。
 そんな半端な『梅』悪魔と砧さんの、
 二人ならぬ一匹と一人が見果てぬ野望へ走る珍道中は
 第一章から脱線の連続~!

「うわうゥ~、だからァいッたのにィ~」

 雑俳あり、替え歌あり、パロディあり、
 笑いたい!突拍子もない御話を読みたいぞ!という方々に、
 おすすめの快作です。
 残念ながら、現在は入手困難な状況にあるようですが、
 古書店さんや図書館で、ぜひ!

「あくまでェ、あくまをォ、げきたいィしようッ!」
 
コメント
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