テディちゃとネーさの読書雑記

ぬいぐるみの「テディちゃ」と養い親?「ネーさ」がナビする、新旧の様々な読書雑想と身辺記録です。

鉄路の《謎》ものがたり。

2010-01-10 21:47:17 | ブックス
 元旦や御節料理や初詣に七草粥と来て連休……
 ふ~、1月ってスケジュール満杯ですね。
 こんにちは、ネーさです。

「こんにちわゥ、テディちゃでス!」
「がるっ!」(←訳:虎です!)

 では、スケジュールの間隙を縫って、
 読むべし!読もう!な一冊を本日も御紹介いたしましょう。
 こちらを、どうぞ~!



                ―― ロスト・トレイン ――



 著者は中村弦さん、’09年12月に発行されました。
 第20回日本ファンタジー賞受賞作
 『天使の歩廊 ある建築家をめぐる物語』でデビューされた中村さんの、
 この御本は第2作目となる作品です。

「むむッ? ネーさ!
 ひょうしのォ、このえはァ……せんろッ、でスかッ?」
「がるるるーぅ!」(←訳:うんうん線路かもっ!)

 ええ、その通り、これは……線路の一種、なんですね。
 ただし、現役の線路さんとは申せませんのですけれど。

「むッ! いみィふめィ!」
「がる~?」(←訳:どうゆうことぉ?)

 世の中には、廃墟というものがあります。
 そしてまた、廃線というものも、あるのです。
 何らかの、或いは様々な要因が絡み合った結果、
 廃止されてしまった鉄道路線のことですね。
 鉄道マニア――通称テツさんたちにはよく知られていて、
 廃線跡の写真集なども出版されているほどです。

 主人公の『ぼく』こと牧村(まきむら)さんは、
 廃線跡めぐりを趣味としている若い会社員さん。
 一昨年の春、三月も下旬の頃だったでしょうか、
 牧村さんは奥多摩の小河内線跡を訪れました。
 ハイキングコースを歩いてゆけば、ほら、
 樹々と草の間に、赤錆びたレール、朽ちた枕木が見えるでしょう……?

「おくたまッ!
 はちおうじからァ、とおくゥないィでスゥ!」
「がるぅ!」(←訳:近くじゃん!)

 その小河内線の踏み切り跡で知り合ったのが、
 平間要一郎(ひらま・よういちろう)さんでした。
 数年前に区役所を定年退職した平間さんは、
 本格的な鉄道マニアさん!
 話すうち、2人は年齢差を超えて意気投合したのですが。

 昨年の初冬のこと。
 ふいと、平間さんは消えてしまいました。

「きッ、きえたァッ??」(←ややビビってます?)
「がるるっ?」(←訳:煙みたいにぃ?)

 平間さんがいなくなったと報された牧村さんは、
 最後に会った日の彼の言葉を思い出しました。

  日本のどこかにまだ誰にも知られていない、
  まぼろしの廃線跡がある。
  その廃線跡に行って始発駅から終着駅までたどれば、
  ある奇跡が起きる――

「はいせんのォ、きせきッ?」
「がるっ?」(←訳:奇跡って?)

 牧村さんは直感します。
 平間さんの失跡とまぼろしの廃線とは、つながりがある。
 その廃線跡を捜し当てれば、平間さんはそこに……

 仕事のかたわら、牧村さんは探します。
 誰も知らぬ廃線とは、ごこにあるのだろう?
 奇跡とは、どのような?
 
 幾億もの星の中からたったひとつの光を見つけ出すような、
 切なくもあてどない作業の涯(はて)に
 まぼろしの線路はあるのか、それとも……?

「むむゥ!
 あッてほしィようなァ」
「がる~るる……」(←訳:ないような……)

 鉄道好きさんのみならず、
 ミステリ好きさん、ファンタジー好きさんも、
 このすてきな《謎》物語を、ぜひ!
 『天使の歩廊』を未読の御方は、どうかそちらも、ぜひぜひとも!

「ネーさァ、ちからをこめてのォ、おすすめェでスッ!」
「がるるるる~るっ!」(←訳:ぼくらもおすすめさっ!)
コメント
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