テディちゃとネーさの読書雑記

ぬいぐるみの「テディちゃ」と養い親?「ネーさ」がナビする、新旧の様々な読書雑想と身辺記録です。

《見えない妖精》さんたちの、足跡。

2011-07-05 23:11:26 | ブックス
 こんにちは、ネーさです。
 事件だ、テディちゃムズ! 虎くん!
 ……というのは嘘ですが。

「ぷふァッ??
 こッ、こんにちわッ、テディちゃでス!」
「ぐるる!がるがーるぐる?」(←訳:虎です!何事ですかぁ?)

 つい『事件だホームズ!』と叫びたくなっちゃう――
 本日ご紹介いたしますのは、そんな一冊なんですよ。
 さあ、活字マニアさん、とりわけホームズ愛好家さんは、こちらを、どうぞ~!

  


 
            ―― 図説 英国メイドの日常 ――


 
 著者は村上リコさん、2011年4月に発行されました。
 『The World Downstairs at the Turn of Century――The Daily Life of the British Maidservant』と
 英題名が付されています。
 日本語では、小間使いさん、住込みのお手伝いさん、女性の使用人さん、
 などと表記される例が多いですね。
 この御本の冒頭では、

 『他人の家に雇われて、給料と住み込む部屋と食事をもらって働く家事使用人』

 と定義されています。

「ははァ! めいどさんッ!
 えいがにィでてきまスねッ!」
「がるるぐるぐる!」(←訳:TVドラマにも!)

 そうね、ヴィクトリア朝を舞台にした映像作品には
 必ず登場しているのが、執事さんや、彼女たちメイドさん。
 ドラマの主人公にされることはあまり多くないけれど、
 メイドさんたち無しには
 侯爵のお屋敷も、伯爵の別邸も、
 いえ、ロンドンの町が、国そのものの運営が立ち行かなくなってしまうような、
 社会を支える労働力であったと思われます。

「めいどさんたちッ、はたらきものだッたのでスゥ!」
「がるるるぐるるがる!」(←訳:料理に掃除にお裁縫に!)

 『ホームズ氏がいらっしゃいました』
 『ワトソン先生、お客さまです』
 そんな台詞を言い終えるや、
 画面から退場してゆくメイドさんたち。
 彼女たちは、どのような生活をしていたのでしょう?
 お給料は?
 休日は?
 労働時間は?

 ヴィクトリア期のメイドさんの暮らしを、
 著者の村上さんは
 カントリーハウスを例にして
 詳しく説明してくださいます。

 メイドさんたちが殆どの時間を過ごすのは
 『使用人区画』。
 家令(ハウス・スチュワード)や執事(バトラー)を中心に
 さまざなな職種ごと、朝から晩まで働いて、
 寝室は屋敷の屋根裏部屋、
 職場の人間関係は難しくて、
 新人メイドさんのお給金は2ポンド10シリング(1913年当時)。
 制服は、自前である場合が多かった……?

「わわわッ、それはァ、たいへんッ!」
「ぐるぐるがるがる!」(←訳:すごい重労働だよ!)

 二度の大戦の後、
 階級制度は崩れ、
 大貴族は絶滅し、
 屋根裏部屋のメイドさんという存在も消えてゆきました。
 日本で、武家政権が崩壊し、
 大名の領地が解体されていったように。

 歴史に、
 特に近代西洋史に興味あり!という御方に、
 ヴィクトリアンの歴史ドラマが好き!という御方に、
 おすすめの一冊です。
 図版も豊富で、感心したり、なるほど~と思うことしばしば、ですよ♪

「いまはァ、むかしィ~のォ、ものがたりッ!」
「ぐるるるぐるがるがる~がる~」(←訳:屋敷のすべてを知っているのは~!)
「めいどさんッ!」

 豪奢な生活の影の主役、
 《目に見えない妖精》さんたちの記録に、注目です!
 
コメント
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