テディちゃとネーさの読書雑記

ぬいぐるみの「テディちゃ」と養い親?「ネーさ」がナビする、新旧の様々な読書雑想と身辺記録です。

~ ふるさと偲べば、ネコの原 ~

2011-07-24 23:12:15 | ブックス
 こんにちは、ネーさです。
 今日7月24日もここ・八王子の繁華街には
 祭り囃子が、ぴーひゃらら、てけてんてん、と流れておりましたよ。

「こんにちわッ、テディちゃでス!」
「がるる!ぐるるるがーるる!」(←訳:虎です!お祭りっていーね!)

 チビっ子ちゃんたちの半被にパッチ、雪駄姿も
 とっても可愛いかったですね♪
 本日ご紹介いたします一冊も、可愛い……いえ、違うかしら?
 怖い? いえいえ、怖いのとも違うわね。
 うう~む、とにもかくにも、
 こちらを、どうぞ~!

  


 
               ―― 妻と猫と暮らす ――



 著者は小路幸也さん、2011年6月に発行されました。
 『蘆野原偲郷(あしのはらしきょう)』と副題が付されています。
 先ごろ『東京公園』が映画化された人気作家・小路さんの、
 この御本は、えーと、うーんと……

「どしたのでスかァ、ネーさッ?」
「ぐるがるるるる?」(←訳:つっかえてるよ?)

 うーん、何と申したらよいのかと、迷っているんです。
 この御本、ホラーではありませんけれど、
 強いて言うなら……怪談の半歩手前?

「ひィッ! かッ、かいだんッ?」
「がるっ!」(←訳:怖っ!)

 いえ、やっぱり怪談じゃないわねえ……
 幻想小説? ファンタジー?
 御伽噺、かしらん?
 あ~空気感が似ているなあと思ったのは、
 レイ・ブラッドベリさんの『火星年代記』なんですけどぉ……

「ちッともォ、わきゃりませんッ!」
「がるぐるぐるがるるー!」(←訳:解るように説明してー!)

 事情がよく分からない、という点では、
 主人公の和野和弥(かずの・かずや)さんも
 私たち読み手と大差ないかのようです。
 なぜって、それはいきなり起こったのですから。

 和弥さん、お嫁さんを迎えたばかりの新婚さんです。
 大恋愛の末の結婚、ではありませんでした。
 お嫁さんは、恩師の大学教授さんに一人娘さん。
 じゃあ味気ない見合い結婚?かというと、
 そんなこともないのです。
 優美子(ゆみこ)さんと和弥さん、
 今では、人もうらやむオシドリ夫婦さん、なんですね。

 ところが、です。
 或る日、
 和弥さんがお家に帰ってみれば。

 猫がいました。

「ねこォ?」
「がるるーる?」(←訳:にゃーごろ?)

 猫です。
 ニャンコです。

  ……おかしい。
  猫なんて、ウチでは飼っていないのに。
 
  ……もうひとつ、おかしい。
  妻が、いない?

 和弥さん、そこでハッとして猫を見遣りました。
 もしや、この猫――この猫は。

「もしかしたらッ?」
「ぐるがるる?」(←訳:もしかする?)

 猫が来た日から、
 それとももっと昔から、
 和弥さんの身の周りには不思議な出来事が絶えませんでした。
 不思議の源泉は、
 和弥さんの一族の出身地・蘆野原(あしのはら)と呼ばれる土地と
 深く係わりがあるようですが、
 その土地はいったい何処に――?
 
 人気シリーズ『東京バンドワゴン』著者の小路さん、
 この御本では
 変幻自在の“語り部”ぶり!
 ほんのり怪談風味、
 じんわりファンタジー、
 ゆるやかなユーモアも
 おおらかに織り入れた《蘆野原年代記》、
 ミステリ好きさんにもSF好きさんにもおすすめの作品ですよ!

「ゆうやけェ、こやけのォ、ふるさとにィ~」
「ぐるるるがるがるる!」(←訳:読後の余韻が響きます!)
 
コメント
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