テディちゃとネーさの読書雑記

ぬいぐるみの「テディちゃ」と養い親?「ネーさ」がナビする、新旧の様々な読書雑想と身辺記録です。

かわいいあの子は……豆富の子?

2011-07-14 23:12:16 | ブックス
 こんにちは、ネーさです。
 今日も『あ(略)』……いえ、言いますまい、『あ(略)』のことは。
 
「こんにちわァ~、テディちゃでスゥ~、ふゥ~」
「がるる~ぐる~…」(←訳:虎です~ふぅ~)
「みんなァ、そろッてェ、なつばてェ、でスゥ~…!」

 こんな時は、んもう日陰&冷所へ逃げ込んで、体力を温存いたしましょう。
 お好みの飲みものを手に、さあ、読書タイム!
 本日は、こちらを、どうぞ~!

  


 
            ―― 豆腐小僧双六道中 おやすみ ――



 著者は京極夏彦さん、2011年3月に発行されました。
 『本朝妖怪盛衰録(ほんちょうもののけじょうすいろく)』と副題が付されています。
 『豆腐小僧双六道中 ふりだし』に続く《豆腐小僧》シリーズ第二作、ですね。
 お久しぶりだわ、豆腐ちゃん!

「とうふちゃんッ、あにめにもォ、なりましたでス!」
「ぐるるがるぐるるーぐるる!」(←訳:ぷるぷる揺れるCGのおトウフ!)

 そうね、京極さんの著作が映画化されるのは珍しくないことですが、
 豆腐小僧ちゃんがCGで映像化されちゃう、っていうのは
 ええっ?ホントに?と驚かされました!
 映画は、小説作品とはストーリーが異なる脚色作品でしたが、
 こちらの『双六道中 おやすみ』は、
 第一作『ふりだし』の物語が終わった直後から始まる、
 ホントの意味での“続編”となっています。

 ちょこまか、ちょこまか。
 ぴょんぴょこ、ぴょん。
 お豆腐を載せたお盆、
 ちょいっとボロな笠を被り、
 単衣(ひとえ)の着物、
 ドでっかい頭――
 これだけ揃えば、ええ、間違いようもありません、
 街道をゆくのは、
 豆腐小僧ちゃん、でございます。

「おとうふにはァ、もみじィ!」
「ぐるるがるがる!」(←訳:緊張感はゼロ!)

 豆腐小僧ちゃん、
 本文によりますれば《自我めいたもの》に目醒めてしまった、
 なかなかに不思議な妖怪ちゃんです。
 その思考力ときたら、あんまりに天然、
 いえ、素朴ですもので、
 豆腐小僧ちゃんの着物の中に棲んでいる滑稽達磨(こっけいだるま)先生に
 叱られたりしております。

  その下品な鼻歌を止めろ小僧!
  いったい何しに何処へ行くのだ?

 豆腐ちゃんの、はあ別に、なんぞという
 のんびりした答えに達磨先生がまた憤り、
 街道の真ん中でやいのやいのとヘッポコ問答をしておりますと……

 おお!あれはっ?

「ぎゃわわッ!! かにィ?!?」
「がるっ!」(←訳:蟹だっ!)
「かにのォ、おばけェ~ッ!」

 海辺、ではありません。
 ここは甲州の、山道、なのですが。

 その山道を駆け下ってまいりますのは、
 おっそろしき異形のものども。
 八咫烏(やたがらす)さんに、
 もやもやと形さだまらぬバケモノに、
 ヒトの邪念から生じた邪魅(じゃみ)、
 そして……カニ??

「とくだいさいずのォ、かにィ!」
「ぐるるー!」(←訳:怖いよー!)

 見上げんばかりの超Lサイズの大きなカニは、
 『蟹坊主』なる伝説の、妖怪さん?
 そこへ飯綱権現さま、熊野の神使(みさき)の八咫烏さま、
 ローカルな妖怪さんたち、
 人間たちの野心も入り乱れ、
 物語は『おやすみ』どころか、
 大賑わいの大混乱、となりまするは、京極さんのお約束。

 幕末を舞台の、
 可愛らしい妖怪変化譚でありながら、
 《我思う、ゆえに我あり》風SFの色合いもいっそう濃ゆ~くなってきた
 豆腐小僧ちゃんと達磨先生の珍道中、
 ああ別世界を旅したい!とお望みの方々は、ぜひ!
 いえ、それとも、
 これは別世界ではなく、
 私たちの住まうこの世界の、
 ホントにあった出来事なのでしょうか……?

「えッ? あのおおきなァ、かにもォ、ほんものッ?」
「がるぐるがるるぐる?」(←訳:焼けば食べられるの?)
「ひゃあッ♪♪」

 カニ好きの御方にも、そうでない御方にも、おすすめです!
 
コメント
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