テディちゃとネーさの読書雑記

ぬいぐるみの「テディちゃ」と養い親?「ネーさ」がナビする、新旧の様々な読書雑想と身辺記録です。

吾は、一つの夢にて候。

2011-07-22 23:54:47 | ブックス
 こんにちは、ネーさです。
 チビっ子の皆さ~ん、宿題はもう片付きましたか~?

「こんにちわッ、テディちゃでス!
 しゅくだいッ、くまにはァ、ありませんッ♪」
「がるる!ぐるぐるるるがるるー♪」(←訳:虎です!ボクも宿題ないもーん♪)

 ……かつて宿題に苦しんだ経験者としては、割り切れなさを感じますわ。
 ではこの思いを、えいやっ!と読書タイムに投入いたしましょう。
 なぜって、本日ご紹介いたしますのは、
 上下2巻にも及ぶ大作なんですから!
 さあ、夏休み中&夏休み準備中の活字マニアさん、こちらを、どうぞ~!

  



               ―― 一刀斎夢録 ――


 
 著者は浅田次郎さん、2011年1月に発行されました。
 ↓こちらは、下巻の画像ですよ~!

  

「むむゥ!
 なんだかァ、ものものしいィ、ふんいきィッ!」
「がるぐるるー!」(←訳:緊張するねー!)

 そうね、緊張してしまうのも、無理はないかもしれません。
 この御本は、こういう言い方が許されるならば、
 忌み嫌われた或る《人斬り》集団のものがたり、なのですから。

「ひゃあァッ! ひッ、ひとききッ、きりッ??」
「がるるるー!」()←訳:怖いよー!)

 多くの人が、かつてはそう思っていたことでしょう。
 ヤツらは人斬りだ、
 人間らしさなんてカケラもなうヤツらなんだ、と。
 そんな感情を一変させたのは、
 司馬遼太郎さんでした。

 司馬さんの筆によって、
 彼らは嫌悪すべき人斬り集団から、
 語る価値ある青年たちへ、
 大きく変容してゆきました。
 官軍つまり明治政府に長い間“賊”扱いされていきたその青年たちとは――

  新撰組。

「ふァいッ!
 テディちゃ、しッてまスゥ、しんせんぐみィ!」
「ぐるるぐるがるがるるがる!」(←訳:ボクも知ってるよ!地元だもん!)

 ええ、そうです!
 新撰組の隊員さんのうち多数の御方が、
 私たちと同じく多摩っ子でした。
 そして、この御本の著者・浅田さんも、多摩っ子さんなんです。

 浅田さんは、司馬さんのそれとは異なる目線と情感をもって、
 丹念に、新撰組の物語を紡いでゆきます。
 『壬生義士伝』
 『輪違屋糸里』――
 ひとつの時代が綻び、
 新たな布が織り始められるまでのわずかな間合いに、
 奇しくも名を残すこととなった人々のものがたり……

 ですが、こうも言いますね。
 《明治は遠くなりにけり》
 私たち平成に生きる日本人は
 昭和という時代が日々遠ざかってゆくのを実感していますが、
 明治はさらに遠くです。
 明治の先の、幕末やら江戸やらときたら、
 もっともっと遠くて、
 何が本当なのか、分からない。

 この物語のもうひとりの主人公さんも
 同様に思っているようです。
 明治は、どこへ行った?
 大正って、何だ?
 新時代とやらで、俺はどうすればいい?

「うむむゥ~、むずかしィもんだいィ、でス!」
「がるぐるる~」(←訳:哲学だよう~)

 陸軍中尉の梶原稔(かじわら・みのり)さんは、
 軍きっての剣術の達者です。
 が、大正の御世になって以来、
 どうも冴えを欠き、
 今日も道場でライヴァルの榊吉太郎(さかき・きちたろう)警部から
 あまえらしくないぞ、
 などと言われてしまうありさま。

 これではいかん。
 そう考える梶原中尉に榊警部は、
 おまえは神経衰弱だとからかいつつも、
 或る思い出を語ってくれました。

  俺にはひとりだけ、師と仰がずにおられないお人がいる。
  そのお人に会えなかったら――

 話に引き込まれた梶原中尉は
 とうとう《そのお人》を探しにかかるのですが……?

「うむゥ、そのひとがァ、きッとォ!」
「がるがるるぐる!」(←訳:あのひと、かもね!)

 多摩っ子の心を動かす、
 浅田さん版『新・新撰組』!
 時代もの大好きな活字マニアさんは必読の一冊です。
 歴史マニアの中&高校生さんたちも、
 ぜひ挑戦してくださいねー!
 
「けんとうをォ、いのるゥ!」
「がるる!」
 
 


  

 
 
コメント
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