テディちゃとネーさの読書雑記

ぬいぐるみの「テディちゃ」と養い親?「ネーさ」がナビする、新旧の様々な読書雑想と身辺記録です。

~ 黄金時代の、宝石挿絵 ~

2011-07-12 23:20:02 | ブックス
 こんにちは、ネーさです。
 今夜のお月さまは、一段と太っちょで、ピカピカッ!
 でも、秋のお月さまのような優雅さはないわね~。

「こんにちわッ、テディちゃでス!
 おつきさまァ、でッきゃいィッ!」
「ぐるる!ぐるぐるがるる!」(←訳:虎です!すぐ近くに見えるね!)

 お月さまには、はたしてウサギちゃんがいるのか、
 それとも外国での言い伝えのように、カニさんがいるのか、
 仙人さんや仙女さまが住んでおられるのか……
 本日は、そういったファンタジィ心をかき立てられる画集を御紹介いたしましょう。
 こちらを、どうぞ~!

  



          ―― 挿絵画家 アーサー・ラッカムの世界 ――



 編者は新人物往来社さん、2011年5月に発行されました。
 前々回記事ではオリュンポスの神さま画、
 前回記事ではネコちゃんたちが描かれた浮世絵の選集を御紹介いたしましたが、
 今回は、かつて英国出版界で盛名を誇った挿絵画家さんの登場です!

 ……と言っても、悲しいことに21世紀の現在、
 ラッカムさんの名を知っている活字マニアさんは、少数派かしら……。

「ふむむッ?
 ひょうしのォ、これはァ~」
「ぐるがる!」(←訳:『アリス』だ!)

 ええ、表紙になっているのは、
 ラッカムさんの代表作の一つ、
 『不思議の国のアリス』!
 このラッカムさん挿絵版の『アリス』は、発行当時は不評だったようですが、
 現代の視点から眺めれば、
 ヴィクトリア朝の雰囲気を捉えた素晴らしい《語る絵》であると思われます。
 
 アーサー・ラッカムさん(1867~1939)はまた、
 荒俣宏センセも絶賛の
 『ケンジントン公園のピーター・パン』、
 偉大なるW・シェイクスピアさんの『真夏の夜の夢』、
 『グリム童話集』、
 『スリーピーホロウの伝説』などの挿絵も描き、
 人気を確かなものにしました。

 そして、もう一作、この御本の後半でも大きく取り上げられているのが、
 こちらの作品です!
 
  

 リヒャルト・ワーグナー原作、
 オペラファンさんなら、音楽マニアさんなら知らぬ者はない壮大な叙事詩
 『ニーベルングの指輪』!
 ↑上の画像は、ネーさ所蔵の洋書なのですが、
 どうです? 表紙のこの画だけを観ても、
 なんとな~く伝わってきませんか?
 黄金の指輪をめぐって愛憎錯綜するゲルマン神話の片鱗が……

「えいゆうたちのォ、たたかいッ!」
「がるぐるるるぐる!」(←訳:ラインの乙女たち!)
「だいろまんッ、でスねッ!」

 ラッカムさん画の『ニーベルングの指輪』を目にした後では、
 毎年のオペラフェスでの『指輪』の演出や美術・衣装への批評など
 なんとも薄っぺらでチャラい井戸端会議にしか思えなくなります。
 最強にして最高の『指輪』ここにあり!

「じーくふりーとォ、かちょいいィッ!」
「がるるぐるがるるがるーる!」(←訳:どんな映画も敵わないよー!)

 日本では殆ど知られていないラッカムさんですが、
 英米圏では今も挿絵の大家として支持されています。
 アマゾンなどでは、ラッカムさんの挿絵本を多数扱っていますので、
 この『挿絵画家 アーサー・ラッカムの世界』をきっかけに興味を持った御方は、
 挿絵本黄金時代の作品世界へ、どーん!と、

「とびこもうッ!」
「がるっ!」(←訳:ぜひっ!)


  
コメント
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